注記の不確実な部分(157行)は底本で確認できる方の修正をお願いします。 修正したらv1.0としてください。 また、このテキストはWindows用に特化されています。   文春ウェブ文庫    金子信雄の楽しい夕食 [#地から2字上げ]金子信雄     |咄《はな》しのお|惣《か》|菜《ず》 「君がどんなものを食べているか言ってみたまえ、私は、君の性格を当てて見せよう」  と言ったのは『美味礼讃』の著者、フランス革命時代のグルメ作家のブリア・サヴァランだが、私も彼のこの言葉には共感を持っている。  私は食通でも料理研究家でもなく、ただの食いしん坊である。  私の子供の頃、大正末期から昭和の初期は日本は大変な不況時代で、今日の飽食時代には考えられない粗食時代であった。東北地方などの農村では娘を都会に売ってはその貧しい糊口をしのぐという悲惨な暮しが続いた。いまでこそ田舎でもお米を日々の糧としているが、それは太平洋戦争以後昭和三十年を過ぎての話で、戦前の貧農の食生活は|稗《ひえ》、粟、麦、芋が常食でお米は|老《とし》|人《より》の死に際に竹筒に入れてその音を聞かせたという話が残っていた。  そんな時代に育った私はひ弱な虚弱児で極端な偏食家だった。なんせ口に出来るものと言ったら卵と白身の焼魚に少量の野菜だけという食生活だったから、おふくろは三度の食事にどれだけ苦労したことだろう。限られた材料を手を代え品を代えて私に食べさせてくれたものだ。  いまでも覚えているのは、幼稚園児の頃、冷え性にいいと言って祖母が|鯰《なまず》の焼いたものを持ってきて私に無理矢理食べさせた。口のなかに押しこめるように詰めこまれたが、どうしても喉を通らない。私は祖母の手をふり切って便所に駆けこみ口から吐き出した。だから青年になるまで私にとって鯰は地震よりも大敵であった。  小学校に入る頃には多少偏食がなおったが、それでも鶏肉、牛肉、刺し身が食べられない。レパートリーとして増えたものは脂身のつかない豚肉、鮭、小魚の焼いたものと言ったお粗末なものだった。ただ、味噌汁だけは好んで飲んだ。とくに大根の味噌汁は毎日出されてもよかった。だからとうとうそれが|嵩《こう》じて俳優(大根役者)になってしまった。  私は言うところの戦中派だから青年時代は物資不足食糧難のときで、食べられるものは親の|脛《すね》はおろか|麩《ふすま》(飼料)、大豆粕、木の根ッ子まで食べた。昭和十九年に召集で海兵団に入隊したが、そのとき軍隊食は麦飯ながらとにかく一応のカロリーがあったから栄養失調の身にはありがたかった。副食として出されたらっきょう、梅干しの一粒を新兵同士で掴み合いの喧嘩をしてまでの奪い合いだった。仲間から勝ちとったらっきょう、梅干しを食べている兵隊を見てその食べぶりで性格がわかるのが面白かった(その頃、私は芝居の演出を勉強していた)。  終戦後の食糧難時代、東京の闇市で仕入れた衣類、砂糖、油を農村へ持って行っては米、粉、芋と交換の闇屋をして飢えをしのいだのだが、母はそれを|如《い》|何《か》にして食い伸ばすかと苦労をしていた。私の料理好きは母の手作りの苦労を見てますます嵩じたようだ。 「食は生の根源にしてはじめなり」とは孔子の言葉だが、食べることは退屈しない唯一の場所ではないかと私は考えている。 「飲む、打つ、買う」は男の三道楽と昔から言われてきたが、その三道楽を|経《へ》て六十歳を過ぎた私は生きるためには食欲があり、それに伴って快楽があると信じている。  最近、私は新聞を読んで|愕《がく》|然《ぜん》とした。それは小学校の児童がスナック菓子を食べすぎて高血圧、糖尿病に患るケースが増えているという記事を読んだからだ。大人の病気が子供のなかに拡がっている。これは笑って見過せない問題である。  大分前に給食のありかたが問題になり、子供の好む食べ物は、「カアサンヤスメ」だと言われた。即ちカはカレーライス、アはアイスクリーム、サンはサンドイッチなどのパン食、ヤは焼そばなどの中華ソバ、スはスパゲッティ、メは目玉焼(卵)と言われ、それが今度はハハキトクに変わってきた。ハはハンバーグ、その次のハはハムエッグ、キは|餃《ギヨ》|子《ーザ》(中華ソバ類)、トはトースト(パン類)、クはクリームスープと品数が少なくなってきた。  私はファーストフード、マクドナルドもケンタッキーもそれ自体悪いとは思わないが、それに終始する若者たちを見ていると食生活の怖さを感じる。つまり、それによって味覚の生理が失われていくからだ。食物の味は、味覚、嗅覚、聴覚、触覚がなくては味わえない。これらの諸感覚がマッチしてはじめて食味が生まれる。近頃、青少年の犯罪が凶悪化していくのは動物の|餌《えさ》的な食事感覚で著しく食事のバランスを欠いているからだと思う。国民の盛衰はその食べ方のいかんによるとはブリア・サヴァランの言葉だが、まさに言い得て妙である。 「楽しい夕食」も五年目を迎えて、アイテムも千三百種類ぐらいまでになった。はじめ、テレビ局から半年ほどお願いしたいと言われた仕事が、こんなにも続くとは私も局側も思わなかった。ただ、料理作りは役者の役作りと同じで、創造的な仕事なので、苦労しながらも下手の横好きで私には楽しい仕事である。何処まで出来るかわからないが、安い材料で旨いものを作ることをモットーに料理作りをしていきたいと思っている。  文庫版の読者の方々のために、巻末にあとがきに代えて、お正月用のもてなし料理を新たに何品か紹介してみた。   目 次  咄しのお惣菜 一 月 比叡の初春 [#ここから3字下げ] しょっつる鍋 〈一月のお惣菜〉 ●かまぼこの和え物二種 ●にらみ鯛の湯豆腐鍋 ●ハムと玉ねぎのチーズ重ね焼き ●七草粥 ●たいら貝のムニエル ●ベーコンとトマト、玉子の炒め物 ●さけの酒かす煮 ●おでん ●ステーキの煮込み ●まぐろステーキ・オニオンソースかけ ●たらのマヨネーズ焼き ●こんにゃくの揚げ煮 ●豆腐入り玉子とじ ●ソーススパゲッティ ●いわしの巻き揚げ ●牛肉味噌ダレの網焼き ●さつま汁 ●牛肉のワイン煮 ●ちくわのカレーサラダ ●錦丼 ●豆腐と豚薄切り肉の含め煮 [#ここで字下げ終わり] 二 月 冬のスタミナ料理 [#ここから3字下げ] カキの土手鍋 〈二月のお惣菜〉 ●ポークチャップ・スパゲッティ ●白身魚とカキの昆布鍋 ●節分豆味噌 ●豆腐のカニあんかけ ●豆腐の土鍋煮 ●たらこの甘辛煮 ●あこうだいの煮物 ●いわしつみれの詰め物焼き ●白菜のクリームあんかけ ●野菜入りとんかつ ●豚バラ肉の煮込み鍋 ●醤油味つけビフテキ ●豚肉と昆布の煮物 ●ぶり(たら)、おひょうの宝蒸し ●豚肉の昆布巻き ●いかのひき肉詰め煮 ●牛肉の野菜炒め ●昆布イリチー ●コンビーフとキャベツの煮込み [#ここで字下げ終わり] 三 月 美味・珍味・妙味 [#ここから3字下げ] 九州・柳川の春 〈三月のお惣菜〉 ●豚ひき肉と福神漬蒸し ●牛肉と大根のスープ煮 ●手羽肉の天ぷら野菜煮込み ●しらす干しとさけ入りご飯 ●豚バラ肉と蓮根の炒め物 ●いかと玉ねぎのリング揚げカレー風味 ●ハンバーググラタン ●切り干し大根とむき身の煮つけ ●ベーコンの重ね煮 ●筍のおろし揚げとハム筍 ●ゆで玉子のグラタン ●マカロニ・ナポリターナ ●カキのすり流し味噌汁 ●粉ふきいもの牛ひき肉炒め合わせ ●里いものカレー煮 ●たらの酒蒸し焼き ●高野豆腐と里いもの煮物 ●フランス風あんこう鍋 ●カキの辛子ソース揚げ ●豚ロースと玉ねぎの風味焼き [#ここで字下げ終わり] 四 月 筍の刺し身 [#ここから3字下げ] 谷中の桜見物 〈四月のお惣菜〉 ●ひな鳥の中華風空揚げ ●牛肉のウスターソース煮 ●豚肉とこんにゃくの酒蒸し ●さけのムニエルとトマトの味噌汁 ●めばるの煮つけ ●とんかつの風味揚げ ●若竹煮 ●あじの玉子風味揚げ ●鶏肉のクリーム煮 ●なすとカニ缶、じゃがいもとソーセージの炒め物 ●牛肉と野菜のスープ煮 ●筍ご飯と若竹汁 ●いかのマカロニ詰め煮 ●洋風厚焼き玉子 ●たいの赤飯蒸し ●紅生姜入り肉だんごの甘酢かけ [#ここで字下げ終わり] 五 月 新茶がゆ [#ここから3字下げ] 細魚の思い出 〈五月のお惣菜〉 ●セイボリーシチュー(牛バラ肉の煮込み) ●牛肉と玉ねぎ炒め韓国風 ●筍のちらし寿司 ●牛レバー炒め ●油揚げの包み焼き ●筍のはさみ揚げ ●プチ・ロールキャベツ ●むきえびとえんどう豆のバター炒め ●玉ねぎと鶏肉の旨煮 ●きゅうりの肉詰め ●かつおの洋風たたき ●白身魚の醤油煮込み中華風 ●さやいんげんの辛子ソース和えと豚三枚肉の納豆和え ●深川鍋 ●金子式ドライカレー ●まぐろの串焼きとじゃがいもサラダ ●あじのチーズ焼き [#ここで字下げ終わり] 六 月 かつおを食べる [#ここから3字下げ] 鱒のイクラ飯 〈六月のお惣菜〉 ●蒸しハンバーグ ●厚揚げの味噌炒め ●かつおの焼きびたし ●あじの冷製野菜添え ●スパゲッティのマヨネーズ和え ●グリーンアスパラガスのグラタン ●洋風牛どん ●ウインナソーセージの牛肉巻き ●そら豆と高菜の炒め物 ●いかと大根の煮物 ●お茶漬けソバ ●なすの肉詰め ●豚ロース肉の大葉焼き ●冷しちり豆腐 ●なすのスコッチエッグ風 ●ひき肉の小判揚げ ●鶏もも肉と玉ねぎのカレー炒め ●豆腐だんごの冷し汁 ●牛肉とらっきょうのおろし和え ●中華風ビフテキの照り焼き ●はんぺんのバーベキュー ●新じゃがいもと牛肉の煮物 [#ここで字下げ終わり] 七 月 ビール炊き御飯 [#ここから3字下げ] 〈七月のお惣菜〉 ●枝豆のお好み焼きとあづま煮 ●冷し中華ソバ ●ヨーグルトスープとあじのムニエル ●大正えびと白身魚のチーズ揚げ ●ちりめんじゃこの中華風炒め ●焼き豚と野菜の辛子醤油和え ●冷し茶碗蒸し ●豚肉のカレーソテー ●シャブカレー ●夏バテ防止・変わりすき焼き ●トウモロコシとちくわのかき揚げ ●いんげんとレタスの煮物 ●いわしの生姜蒸しのごま油焼き ●牛肉とほうれん草の炒め物 ●金子式ところ天素麺とトマトとカニカマボコのバター炒め ●ミネストロン(イタリア風野菜スープ) ●枝豆とハムのかき揚げ ●豆腐とコーンのスープ ●たかべの塩焼きと揚げ出し豆腐 ●あじの甘酢あんかけ ●鶏の治部焼き ●カボチャと豚バラ薄切り肉の煮物 ●かつおと蓮根の磯辺揚げ [#ここで字下げ終わり] 八 月 梅干し [#ここから3字下げ] 夏の素麺 〈八月のお惣菜〉 ●ビーフストロガノフ ●パンおじやの玉子とじ ●さけとキャベツの和え物 ●芝えびの天ぷらの醤油炒め ●マカロニとカボチャのサラダ ●納豆の朝鮮風味噌炒め ●柳川プディング ●梅肉仕立てのあらい ●ちくわのかば焼き ●ボイルド・ミートローフ ●いわしとじゃがいもの重ね焼き ●ポテトピザ ●なすと枝豆の味噌炒め ●カリー・ド・ポーク ●豚肉のたたき風 ●鳴門豆腐 ●中華風冷や奴 ●オクラの含め煮 ●牛肉のインド風ロースト ●冷製生ざけ(コールドフィッシュ) [#ここで字下げ終わり] 九 月 ペルーの珍味 [#ここから3字下げ] アラスカざけ 〈九月のお惣菜〉 ●鶏手羽肉とキャベツのクリーム煮 ●なすの舟形揚げ ●酢キャベツとフランクフルトソーセージの煮物 ●カボチャのシューマイ ●牛肉の三色揚げ ●五目きんぴら ●厚揚げの肉詰め煮 ●なすとソーセージのチーズ風味 ●白身魚の香り蒸し ●豚肉とスイートコーンのメキシカンソテー ●秋さばの味噌煮 ●あじの合わせ焼き ●油揚げと糸こんにゃくの炒り煮 ●青じそのスパゲッティ ●牛肉の醤油煮 ●さけの照り焼き(酢かぶ添え) ●さば(又はかつお)のロースト ●里いもと鶏ひき肉の煮つけ ●ポークピカタ ●さわら(はまち)の祐庵漬 [#ここで字下げ終わり] 十 月 匂り松茸味しめじ [#ここから3字下げ] 〈十月のお惣菜〉 ●シャリアピン風ステーキ ●白菜と鶏もも肉のスープ煮 ●かじきまぐろのトマトケチャップ煮 ●さんまのカレー風味ムニエル ●豆腐と豚肉のソテー ●牛肉の中華風味噌煮 ●えびだんごと小かぶの煮物 ●豚肉とさつまいものかき揚げ ●ミートボールシチュー ●里いもとツナのサラダ ●ひき肉のいが栗蒸し ●合びき肉とトウモロコシのカツレツ ●さけのマヨネーズ焼き ●あぶ玉どんぶり ●豚肉の明太子焼き ●さんまのパン詰めベーコン巻き ●ちくわのいんろう揚げ ●いかのカレー煮 ●秋のせい目めし ●玉子と野菜入りしらす干しの炒め [#ここで字下げ終わり] 十一月 北陸路の味覚 [#ここから3字下げ] 善福寺川の川芹 〈十一月のお惣菜〉 ●煮込みローストビーフ ●きんめだいの煮つけ ●和風チャーハン ●カリフラワーのパン粉炒め ●たらの酒蒸し ●揚げ豆腐の煮物 ●大根の中華風煮込み ●牛肉と昆布の煮込み ●豚ロースどんぶり ●白菜鍋 ●大根と塩昆布の即席漬け ●白身魚のカレー風味 ●さけのおろし和えと味噌汁 ●大根といかの煮物 ●カキのベーコンフライ ●カキの味噌煮 ●さばのオランダ揚げ ●なまりと豆腐の煮物 [#ここで字下げ終わり] 十二月 年の瀬の下町 [#ここから3字下げ] ポトォーフー 〈十二月のお惣菜〉 ●ひじきと油揚げの炒り煮 ●豚肉と野菜のソース炒め ●鶏肉の味噌煮 ●牛肉とピーマンの炒め物 ●白身魚のおぼろ昆布和え ●牛肉の中華風炒め煮 ●さばの洋風照り焼き ●もやしの松前漬 ●かれいと豆腐の煮物 ●ハンバーグのベーコン巻き ●金子式ローストビーフ ●カキの土手鍋 ●ウインナソーセージとじゃがいものカレー炒め ●新巻ざけの酢漬け ●チキンの西洋水たき ●豆腐の変わり玉子とじ ●小だい、きすのささ漬昆布じめ 文庫版の読者のために〈お正月のもてなし料理〉 主材料別お惣菜索引 [#ここで字下げ終わり]    金子信雄の楽しい夕食     一 月     比叡の初春  ここ数年、元日は京都比叡山の山荘で迎えている。  京都の冬は寒さが厳しい。ことに、私の山荘は、すぐ目の前が杉林の谷になっていて、遥か下方の裾に大津の町並があり、その|背《うし》|後《ろ》に琵琶湖が拡がって一望に見える。  冬場は、晴れた日でも比叡山の尾根から舞う風花が散り、ときに湖から吹きあげる風が家の戸をふるわす。  元日に久しぶりに雲ひとつない御来迎を拝んだ。|暁闇《あかつきやみ》の湖面に薄く色がさすと、薄墨色の姿を見せている伊吹山あたりが、うっすらと茜色に染まって太陽がポッカリと顔を出す。日頃、信心のない私だが、このときだけは、お|天《てん》|道《と》さまに向かって手を合わせる。  亡父も信仰心の薄い人だったが、なぜか元旦には早く起きて太陽に向かい、|柏手《かしわで》を打っていた。言うなれば四方拝の略式のようなものだが、父の所作に無関心だった私が、元日に早起きして琵琶湖の背に昇るお陽さまを拝む。いつの間にか私もそんな|齢《とし》になってしまったのだろう。     京を照らす|白《おけ》|朮《ら》火  私は、大晦日かその前日にひとりで山荘に入る。大晦日に京の町で年越し|蕎《そ》|麦《ば》をすませてから、馴染みの酒亭で除夜の鐘までの一刻を過す。  京都の町の年越しは風情がある。京都祇園の八坂神社で行なわれる|白《おけ》|朮《ら》祭はつとに有名で、参詣人は火縄に悪疫除けの白朮火をつけて、振り回しながら帰り、その火で元日の雑煮を炊く。この夜ばかりは乗物も火種の持ち込みが許される。市電の通っていた頃、電車の中でくるくる火縄を回しているのを見ると、ああ京都だなと思ったものだ。  白朮祭は、暮れの二八日に神主が檜材で|讃《さん》|火《か》をつくり、神事は大晦日の深夜に行なわれる。元日の暁に燈籠の忌火を社殿一二本の|折《お》|敷《しき》に盛った|削掛《けずりかけ》に移して焚火をつくるのだが、その削掛には白朮が混ぜてあり、悪疫除けの呪いになるので、参詣人はその火種をうけて新玉の床火にするのである。  私は、八坂神社で白朮火をもらうと、それをくるくる回しながら人込みをかきわけて知恩院へ回る。  知恩院の大|梵鐘《ぼんしょう》のぐるりは善男善女で人垣がつくられている。梵鐘を囲んで僧侶や|檀《だん》|家《か》席に着くと、|撞《しゅ》|木《もく》に力自慢の若僧がならび経文がひときわ高く唱えられ、先導のリードで大撞木が大梵鐘を|撞《つ》く。  その鐘の音を聞いて、私はタクシーで比叡の山荘に帰る。京の除夜は寺々の打つ梵鐘が響いてさわやかである。  凍てついた家の中で白朮火を燈明に移し、諸行無常の梵鐘を聞きながら若水で沸かした風呂に入る。  独り住いのことだから、正月のおせち料理は簡単である。三日には東京に帰って正式に祝うので、山荘では京都錦小路で求めた餅と馴染みの酒亭で詰めてもらった一重の箱詰めのみである。  ただ、酒は驕る。日本酒は賀茂鶴の特等酒、ブランデーはレミーマルタン、ウイスキーはオールド・パー、寒気はひしひしと身に迫るが、酒が冷気を払ってくれる。  チビリチビリとやりながらの初日の出待ちは楽しいものである。ときに、前の谷から物の怪のような声が聞えてくる。実際、わが家の前庭に狐の親子が残飯を漁りにくることがある。     素朴な雑煮  東京で祝う雑煮は四角に切った切り餅だが、ここでは京風に丸餅を使う。  私は東京で育ったので、正月の雑煮はごく素朴なものである。かつお節と昆布で出し汁をとるが、わが家ではおふくろの味として、上等のかつお節を丁寧に削ったものをたっぷり使い、出し昆布はほんの補いほどに使うだけである。  昔は|雉《きじ》の肉や鴨を使ったこともあるが、戦後は|専《もっぱ》ら鶏肉のささ身を酒塩に浸してから軽く湯がいたものを使う。他に小松菜などの青菜だけである。味つけはこれも関東風に醤油味である。  切り餅と丸餅の境界は富士川が境だといわれているが、私は切り餅の雑煮を好む。  九州博多雑煮も悪くない。アゴ(とび魚)の素乾しと昆布で出しをとるが、さっぱりしていて私の口に合う。アゴの何本かを、カルキを抜いた水に出し昆布といっしょに漬け込み丸一日以上置いてから、出し汁を濁さぬように沸かして出し汁をとる。|鰤《ぶり》などの魚を入れたりするが、博多雑煮にかつお菜は欠かせない。  私は、秋の松茸の出盛りに錦小路の八百屋「川政」から開き松茸を送ってもらい、傘が汗をかくぐらいオーブントースターで|炙《あぶ》ってから、冷やしたものを汁ごとラップでしっかりと包み、冷凍庫に入れておく。正月にこれを取り出して、自然解凍してから薄く切っておく。  大振りの木の椀に、若狭の小鯛のささ漬か|鱚《きす》のささ漬(これは※[#「※」はたぶん○に海と思われ]印のものが最上である)を糸切りにして、松茸と一緒に置く。  そして、こればかりは上等の昆布出しでとった出し汁に、薄口醤油と塩と酒を入れて吸物出しを作り、軽く焼いた小振りの切り餅にささ漬、松茸をのせて、上からかけてやる。三つ葉などの青味をつけて、吸い口に橙の小片をのせる。  酒肴のあと口に評判のよい自慢の雑煮である。     しょっつる鍋〈秋田〉  一年のうち、半年を仮寝の宿で暮す私は、せめて、正月三ヶ日は自宅で静かに過したいと思う。だから、無理をしても東京に帰るようになる。多くの人は、正月の休みを|外《そと》|出《で》でのバカンスを楽しむのだろうが、私は、その逆である。  そんな私でも、仕事の都合でママ、我が家を離れて正月を迎えることがある。それは、舞台かテレビで東京を離れていて、帰るに帰れないときだが、|街《まち》|中《なか》やホテルで一家団欒のさまを見ると、ちょっと淋しい気持ちになり、家に電話をかけ、子供を呼び出して、ルームで酒を飲みながら長話をしたりする。  これが、年の暮れに旅先から東京に帰るとなると勇ましい。その土地の|美《う》|味《ま》いものをしこたま仕入れ、|担《かつ》ぎやよろしくの姿で帰ってくる。若しそれが京都からだったりすると、錦市場の目ぼしいもの大方が我が家の正月の食卓を賑わすから、家中の者に歓迎されるサンタクロースである。  面白いことに、私のように日本全土を歩くと、自然、縁不縁の土地が出来る。一例を挙げると、ロケーションで一月半も北海道網走市で仕事をし、帰って来たら、次の仕事が又、網走行きだったことがあった。不縁の例を挙げると、秋田県である。竿燈祭に何度か誘われ、私も出掛けるべくスケジュールを調整するのだが、かならず間際になって差し障りがでてくる。映画やテレビの仕事のときも、何故か駄目になるジンクスのようなものがあった。それが思いもかけず、十一月、文化の日にゴルフの招待をうけた。そして、待望の秋田行きが実現された。  私が、秋田に行きたかったのは、本場のしょっつる鍋が喰べたかったためで、時季としても十一月は良かったようである。東京での秋田料理は、戦後昭和二十六、七年から、新宿の酒亭“秋田”へ通い、知り過ぎるほど知っている。それだけに、がっこ(漬物)ひときれにしても地のものが喰べたかったのだ。  その、私の年来の夢は果され、私は大いに満足した。そして私は、自家製しょっつる汁の原液を手に入れ、ときどきしょっつる鍋を楽しんでいる(汁は瓶詰をデパートで売っている)。     金子式しょっつる鍋  秋田では、帆立貝の貝殻を鍋に使うが、私は土鍋を使う。 〈材料と料理の仕方〉  ねぎ、春菊、白菜、生椎茸、芹、豆腐、白身の魚(たい、たら、ほうぼう)、かき、蛤、豚三枚肉(うす切り)、大根おろし、土生姜、七味。  大き目の土鍋に昆布出しカップ三杯、沸いたら日本酒カップ三杯を少しずつ入れ、次にカップ一杯ほどのしょっつる汁を入れる(瓶の指示を参考に)。これに土生姜のスライスを数片入れ、さきの材料を煮る。おろしをたっぷりかけ、汁とともに喰べる。残り汁は味つけしてうどんか素麺、餅があう。 一月のお惣菜 かまぼこの和え物二種 [#ここから2字下げ] 〈材料〉四人前(以下、指定のない材料はすべて四人前) (1)かまぼこ二枚(2)若布二〇グラム(3)セロリ一本(4)きゅうり一本(5)人参一本(6)あさつき(千切り)(7)切りごま大さじ一杯、焼き海苔二分の一枚(8)醤油大さじ八杯、わさび小さじ一杯、酒大さじ四杯、梅肉(うらごし)大二個分、化学調味料少々 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 [#ここから1字下げ] かまぼことセロリと若布の和え物 [#ここで字下げ終わり] (1)かまぼこは薄く五ミリ幅の棒状に切っておく。 (2)若布は歯ごたえのあるくらいにかたくもどして、食べやすいように切っておく。 (3)セロリもかまぼこと同じように切り、薄い塩水で洗っておく。 (4)酒大さじ四杯ほどを煮切ってアルコール分をとばし、煮切り酒を作る。醤油大さじ五杯と煮切り酒小さじ一杯とわさびを混ぜ、化学調味料で味を整え、若布、かまぼこ、セロリを和えて器に盛り、切りごま、あさつきをふる。 [#ここから1字下げ] かまぼこの梅肉風味和え [#ここで字下げ終わり] (1)きゅうり、かまぼこを同様に千切りにしておく。 (2)うらごしした梅肉二個分、煮切り酒小さじ一杯、醤油小さじ二杯、みりん小さじ二分の一杯をよく混ぜ合わせる。 (3)きゅうり、かまぼこを混ぜ(セロリか人参の薄切りがあってもよい)、(2)の調味料で和え、あさつき、切りごま、もみ海苔をふる。 にらみ鯛の湯豆腐鍋 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)鯛の焼き物一尾(2)出し昆布(一〇センチ角)一枚(3)ベーコン(長いまま)又は油揚げ二枚(4)豆腐(一人前半丁)二丁(5)白菜四分の一束(6)長ねぎ一本(7)しいたけ八枚(8)三つ葉一束(9)干しえび一〇グラム(10)土生姜(スライス)ひとかけ(11)酒、ポン酢、大根おろし、おろし生姜、柚子、醤油、一味唐辛子(12)うどん [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)鯛は熱湯をかけ、油ぬきしておく。 (2)昆布はぬれ布巾などで汚れをふいておく。豆腐は奴切り、ねぎはななめ切り、白菜は食べやすい大きさに切っておく。 (3)土鍋に昆布をしき、土生姜のスライスをおき、切り目を入れた鯛をおく。このとき好みでベーコン二枚を長いまま(又は適当に切った油揚げ)おき、あれば干しえびを入れる。鯛がひたるほどに熱湯を静かに注ぎ、火にかけ、しいたけ、酒四分の一カップ、豆腐、白菜、長ねぎを入れて、沸騰させないように煮る。材料にひと通り火が通ったら、三つ葉を入れて食べる。 (4)つけダレは、市販のポン酢、大根おろし、一味唐辛子などを合わせる。食べ終わったら具を引きあげ、煮汁を|漉《こ》して、出し汁又は固形スープの素などを入れて汁をふやし、うどん、餅、冷飯、などに具を足す。 ハムと玉ねぎのチーズ重ね焼き [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)ロースハム(一〜一・五センチの輪切り)四〇〇グラム(2)玉ねぎ(五ミリ幅)二個(3)ほうれん草(ゆでたもの)一束(4)とけるチーズ三〇〇グラム(5)塩、胡椒、バター、白ワイン又は日本酒、ナツメッグ少々、サラダ油大さじ一杯半、にんにくパウダー、パプリカ、パセリのみじん切り [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)玉ねぎは五ミリ幅の輪切りに、ロースハムは一センチ幅の輪切りにして、片面に格子状の切り目を入れておく。 (2)ほうれん草は軽く下ゆでしておく。 (3)フライパンを熱してサラダ油大さじ一杯半をしき、バター小さじ一杯ほどを足してハムの両面を焼く。皿に取り、残った油でほうれん草を軽く炒める。 (4)ハムが包める大きさに二重にしてアルミホイルを切り、その上に玉ねぎの輪切りをのせ、ハム一枚をのせ、塩、胡椒、ナツメッグをふり、その上にチーズ、玉ねぎ、ハム……と重ねる。そのまわりにほうれん草を添えてホイルでガードするように包み、白ワイン大さじ一杯をかける。次に一番上にチーズをのせ、オーブン、又はオーブントースターでチーズに薄く焦げ目がつくまで焼く。 (5)焼けたら、パセリのみじん切り、胡椒、パプリカなどをふりかける。オーブンを使わないときはフライパンに餅網をしいてのせ、フタをして蒸し焼きにする。 七草粥 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)米一に対して五倍の水が|強《こわ》粥、米一に対して七倍の水が五分粥、米一に対して一〇倍が三分粥、重湯は粥のうわずみを取る(2)「七草なづな唐土の鳥が日本の国へ渡らぬ前に」セリ、ナズナ(アブラナ科の三年生植物)、ゴギョウ(ハハコグサ)、ハコベラ(ナデシコ科二年生)、ホトケノザ(キク科、れんげ草に似る)、スズナ(かぶ)、スズシロ(大根)、(これらの七草がそろわない場合は、ミズ菜、三つ葉、春菊、ほうれん草などあり合わせの緑野菜を使う)(3)餅四個(4)塩、片栗粉、出し汁、薄口醤油、酒、みりん、玉子 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)米一カップはよく洗ってザルにあげておく。七草の野菜は軽く下ゆでしておく。 (2)米一カップに五カップの水を注ぎ、火にかけ塩少々を入れ、フタをしてはじめ強火、吹いたら弱火にして約一時間ほどじっくり粥になるまで煮る。このとき、決してかき混ぜないこと。かき混ぜると白く濁りが出る。そしてフタを取らないこと。 (3)粥ができたら下ゆでしておいた七草や緑野菜を入れ、静かに混ぜて出来上がり。もう少しボリュームのある粥をという人には、出し汁一カップに塩少々、みりん小さじ二分の一杯、酒小さじ一杯、薄口醤油小さじ二分の一杯を鍋で熱し、水とき片栗粉大さじ一杯を入れ、トロミをつけ、粥の中心部に卵黄一個を落とし、上からくず汁をかけて食べる。 たいら貝のムニエル [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)たいら貝一〇個(2)ベーコン又はハム五〇グラム(3)玉ねぎ(スライス)一個(4)塩、胡椒、酒又はワイン少々、バター、片栗粉大さじ三杯、サラダ油(5)レモン汁二分の一個分 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)たいら貝はヨコ二つに輪切りにして、塩、胡椒、酒をふり、ハムを間にはさみ、ようじでとめて片栗粉をまぶす。ベーコンは片栗粉をまぶしてたいら貝をひと巻きしてようじでとめ、フライパンにサラダ油を入れて焼く。このときそばに玉ねぎのスライスもおく。 (2)仕上げに酒又はワインをふって、バターをのせる。 (3)皿に盛り、レモン汁をふる。 ベーコンとトマト、玉子の炒め物 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)ベーコン(一センチ切り)八〇グラム(2)トマト一個(3)グリンピース三分の一カップ又はさやえんどう三〇グラム(4)玉子五個(5)塩小さじ一杯、砂糖小さじ一杯半、胡椒少々、バター小さじ一杯半、サラダ油大さじ二杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)玉子はほぐして砂糖小さじすりきり一杯、塩小さじ三分の一杯を入れて、とき玉子を作っておく。 (2)トマトは湯むきをしてひと口大に切っておく。 (3)グリンピース、さやえんどうは湯がいておく。 (4)鍋にサラダ油を入れてベーコンを炒め、そこへトマト、グリンピース(さやえんどう)を入れ、砂糖小さじ一杯と、塩、胡椒を入れて、トマトが煮くずれかけたら、バターを入れてひとかきして味をなじませ、玉子を流し入れて半熟までかき混ぜる。 さけの酒かす煮 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)さけ(新巻の場合はちょっと塩出しをしておく)四切れ(2)大根(五ミリ幅に輪切り又はいちょう切り)一五〇グラム(3)しいたけ(水にもどしておく)四枚(4)長ねぎ(三センチに切り、焼いておく)(5)土生姜(薄切り)(6)酒かす一五〇グラム、出し二カップ(しいたけのもどし汁も少し入れる)、酒大さじ五杯、砂糖大さじ一杯、醤油大さじ一杯、味噌大さじ一杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)鍋に出し二カップ、酒大さじ三杯、砂糖大さじ一杯、醤油大さじ一杯を入れて煮たて、さけ、しいたけ、土生姜、長ねぎ、大根を入れて一〇分ほど煮る。 (2)酒かすは酒大さじ二杯を入れてやわらかくしてきざみ、すり鉢で煮汁二分の一を入れてのばして、味噌を入れてよく練り合わせる。 (3)鍋に少しずつ(2)をとき入れて味をふくませる。このとき火は弱火にする。 おでん [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)大根(二〜三センチ輪切りにして米大さじ一杯を入れてゆでておく)(2)さつま揚げ(油ぬきしておく)、がんもどき(油ぬきしておく)(3)こんにゃく、白たき(湯通し)(4)ふくろ、もちぶくろ(市販のものでよい)(5)ロールキャベツ(豚ひき肉一五〇グラム、玉ねぎのみじん切り大さじ五杯、小麦粉又は片栗粉大さじ一杯、生姜のみじん切り小さじ一杯、塩、胡椒、酒少々をよくまとめて、玉子大の大きさにし、ゆでたキャベツで包む)(6)つみれ(鰯の頭とワタを取り、大きいものは骨を取り、すり鉢かミキサーですり身を二〇〇グラムつくり、味噌小さじ一杯半、塩小さじ二分の一杯、生姜小さじ二分の一杯、小麦粉又は片栗粉小さじ一杯半、玉子一個、長ねぎみじん切り大さじ二杯を入れて合わせ、湯に落としてゆで、浮いてきたら取りあげる)(7)ゆで玉子、ぜんまい、しゅうまい、ねぎま(8)とき辛子 おでんの出し●出し汁四カップ、塩小さじ一杯半、薄口醤油大さじ一杯半、濃口醤油大さじ二杯、酒大さじ二杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)出し四カップに対して、塩小さじ一杯半、薄口醤油大さじ一杯半、濃口醤油大さじ二杯、みりん大さじ二杯を合わせる。(市販の出しの素でもよい) (2)おでんの具を全部、おでんの出しで煮て、取り出し、こんどは食べる分だけ煮ていく。 ステーキの煮込み [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)ステーキ用牛肉(六〇〜七〇グラム)五枚(2)塩、胡椒、トマトケチャップ大さじ二杯、酒大さじ三杯、ウスターソース大さじ一杯、マスタード小さじ一杯、バター大さじ一杯、ローリエ、小麦粉、サラダ油大さじ三杯(3)スープ(固形スープの素一個)一カップ半(4)じゃがいも(丸のまま下ゆでしておく)(5)人参(四〜六つ割りにして面取りしておく)一本(6)玉ねぎ(タテ四つ割りにする) [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)肉に塩、胡椒して小麦粉をふり、両面に焦げ目のつく程度に焼いておく。 (2)スープ一カップ半に酒大さじ三杯、トマトケチャップ大さじ二杯、ウスターソース大さじ一杯、バター、胡椒少々、マスタード、ローリエを入れて、肉と人参を入れて中ブタを落としてごく弱火で煮る。 (3)途中で玉ねぎ、じゃがいもを丸のまま入れて一五分ほど煮る。野菜が煮えたら取り出して、肉と一緒に皿に盛り、ソースはもう少し煮つめる。 まぐろステーキ・オニオンソースかけ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)まぐろ(切り身)四切れ(2)玉ねぎ(みじん切り)一〇〇グラム(3)サラダ油大さじ一杯半、砂糖大さじ一杯半、塩小さじ二分の一杯、酢大さじ三杯、トマトケチャップ大さじ一杯、ワイン小さじ一杯、バター小さじ一杯、マスタード小さじ一杯(4)小麦粉少々、玉子(とき玉子)、パン粉少々(5)油、塩、胡椒、ワイン又は酒 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)まぐろの切り身に塩、胡椒、ワインをふって、しばらくおいておき、小麦粉、とき玉子、パン粉をつけて、やや多い目の油で焼く。 (2)玉ねぎをサラダ油で炒め、材料の(3)を入れて煮て、皿に盛ったまぐろステーキにかける。 たらのマヨネーズ焼き [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)たら(又は白身魚の切り身)四切れ(2)じゃがいも(薄くスライスして、軽くバター炒め)中一個(3)玉ねぎ(薄くスライスして、軽くバター炒め)中二分の一個(4)トマト中一個(5)ブロッコリー(又はほうれん草、ゆでたもの)少々(6)卵黄三個(7)マヨネーズ大さじ六〜八杯(8)粉チーズ大さじ二杯(9)酒少々、バター、油、塩、胡椒、小麦粉、生クリーム一〇〇cc(10)ゆで玉子(飾り用)二個 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)たらの切り身は、塩、胡椒、酒をふってしばらくおく。 (2)じゃがいもと玉ねぎはスライスして、バターで炒めておく。 (3)トマトは湯むきして輪切りにして種を取っておく。 (4)ゆで玉子はくし型に切る (5)粉をふった魚を油で軽く焼く。トマトも片面だけを焼く。 (6)耐熱皿にバターを塗り、じゃがいもをおき、玉ねぎの半分をかぶせ、トマトをおき、魚をその上におき、玉ねぎの半分をかぶせる。 (7)ゆで玉子と野菜をまわりに飾る。 (8)マヨネーズに卵黄と粉チーズ、生クリームを入れてよく混ぜ合わせ、上からかけて、オーブントースターに入れて、表面に焦げ目がつく程度に焼いてやる。 こんにゃくの揚げ煮 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)こんにゃく二枚(2)土生姜(厚目にスライスしたもの)三枚(3)タカの爪二本(4)醤油大さじ一杯半、砂糖大さじ一杯、酒大さじ三杯、白ごま小さじ二杯、揚げ油 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)こんにゃくは下ゆでして全体に細かくジャバラの包丁目を入れて、油で二度揚げにする(はじめは低温で。冷ましてから一九〇度の高温で。半分の厚さになるまで)。このとき生姜を入れる。 (2)揚げこんにゃく(半分ほどの厚さに切る)はザルに並べて熱湯をかけ、油ぬきしておく。 (3)調味料を合わせてこんにゃくを入れて一〇分ほど煮、タカの爪、白ごまを入れてさらに五分ほど煮る。 (4)煮上がりははじめの半分ぐらいの大きさになる。一本を五個ほどに切って皿に盛る。貝割れ菜などを飾りつける。 豆腐入り玉子とじ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)豆腐一丁(2)鶏肉一五〇グラム(3)長ねぎ一本(4)生しいたけ六枚(5)三つ葉一束(6)玉子四個(7)出し汁三分の二カップ(8)醤油大さじ五杯、みりん大さじ四杯、酒大さじ二杯、生姜のしぼり汁小さじ二分の一杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)鶏肉はそぎ切り、長ねぎはななめ切り、しいたけも薄くそぎ切り、三つ葉は三センチに切る。 (2)鶏肉は生姜汁小さじ二分の一杯と、酒大さじ一杯をふりかけて少しおいておく。 (3)浅い鍋に鶏肉、長ねぎ、しいたけを入れて出し汁を注ぎ、煮たて、みりん大さじ四杯、醤油大さじ五杯、酒大さじ一杯を入れて、鶏肉に火が通ったら、軽く水気をしぼった豆腐を一面にくずしておき、煮汁をかける。 (4)煮たったらとき玉子をかけて、三つ葉を散らして半熟に仕上げる。 ソーススパゲッティ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)スパゲッティ(ゆでたもの)四〇〇グラム(2)ハム五枚(3)ベーコン三枚(4)おろしチーズ大さじ四杯(5)玉子二個(6)ウスターソース大さじ一杯(7)バター大さじ三杯(8)パセリ(みじん切り)大さじ一杯(9)玉ねぎ(みじん切り)大さじ二杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)スパゲッティはややかためにゆでておく。 (2)ハムとベーコンはみじん切りにしておく。 (3)フライパンにベーコンを入れて炒め、油が出てきたら、玉ねぎのみじん切り、バターを入れて炒めて、油を吸わせ、ハムを入れて炒める。 (4)玉子とおろしチーズは、混ぜ合わせてからフライパンの(3)に入れ、ガスからおろして手早くかき混ぜ、半熟状にしておく。 (5)スパゲッティは少量の油で炒めてウスターソースをからませ、胡椒して器に盛り、(4)をかけて、パセリのみじん切りをふる。つけ合わせはサラダ。 いわしの巻き揚げ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)いわし(中ぐらい)一〇尾(2)長ねぎ二本(3)生姜(細い千切り、水にさらす)親指大ひとかけ(大さじ三杯)(4)塩少々、酒少々、片栗粉大さじ五杯、油(5)きゅうり二本、セロリ一本、人参(千切り)二〇〇グラム(6)酢四、砂糖二、塩少々の割りで甘酢を作っておく [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)いわしは頭を取り、腹開きにして尾を残して中骨を取る。塩と酒少々をふってザルにあげ、水気を切っておく。 (2)長ねぎは薄くななめ切り、生姜は細い千切りにしておく。 (3)いわしの汁気をふき、片栗粉をまぶし、長ねぎ、生姜を芯にして頭のほうから巻いていき、尾を立ててようじでとめる。 (4)揚げ油を一八〇度に熱して、カラリと揚げる。 (5)野菜は千切りにして甘酢と合わせていわしと一緒に盛りつける。 牛肉味噌ダレの網焼き [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)牛肉薄切り(輸入肉でもよい)三〇〇グラム(2)酒大さじ二杯(3)生姜のしぼり汁大さじ一杯半(4)味噌大さじ二杯(5)砂糖小さじ二杯(6)醤油大さじ三杯(7)ごま油大さじ二分の一杯(8)一味唐辛子又はラー油少々(9)春菊一束(10)長ねぎ(11)サラダ油 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)牛薄切り肉に酒、生姜汁、化学調味料をまぶし、一五分おく。 (2)長ねぎはブツ切り、春菊は食べやすく切る。 (3)材料の(4)〜(8)を混ぜ、(1)の牛肉を三〇分つけておく。長ねぎも一緒につけておく。 (4)網焼き、又はフライパンに油をしいて、肉、長ねぎを焼き、残りつけ汁で春菊を手早く炒めて一緒に皿に盛る。 さつま汁 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)豚バラ肉(薄切り)一五〇グラム(2)ごぼう(乱切り)小一本(3)大根(いちょう切り五〜六センチ)一本(4)人参(半月四ミリ)二分の一本(5)里いも(皮をむき、塩でぬめりを取り、一センチの小口切り)六個(6)こんにゃく(ちぎりこんにゃく、ひと口大)二分の一枚(7)焼き豆腐(一センチの小口切り)二分の一個(8)長ねぎ(一センチの小口輪切り)二本(9)油揚げ(10)味噌一五〇グラム、醤油大さじ一杯、酒大さじ一杯、出し昆布(五センチ)一枚 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)豚肉はひと口大に切り、醤油、酒をまぶしておく。 (2)味噌五〇グラムを六カップの水でとき、昆布と一緒に鍋に入れ、中火で火の通りの悪いものから入れていき、アクを取りながら煮る。 (3)途中で昆布はひき出し、すべてがやわらかくなったら、残りの味噌を入れて味つけし、最後に長ねぎと油揚げを入れる。 牛肉のワイン煮 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)牛もも肉一五〇グラム(2)赤ワイン一カップ半(3)マッシュルーム(スライス)小缶一個(4)玉ねぎ(輪切り)二分の一個(5)にんにく(みじん切り)大さじ一杯、トマトピューレ二分の一杯、トマトケチャップ大さじ三杯(6)塩、胡椒、バター、レモン汁(7)つけ合わせは温野菜 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)牛肉は塩、胡椒して厚手の鍋でにんにくを入れてこんがりと焼き、そこへワインをふりこんで火を中弱火にし、マッシュルームと一緒に煮こむ。 (2)途中でトマトピューレ、ケチャップを入れて二〇分くらい煮こんで、やわらかくなったら出来上がり。 (3)残りの煮汁は塩、胡椒、化学調味料で味を整え、コンスターチか片栗粉でトロミをつける。 ちくわのカレーサラダ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)ちくわ一〜二本(2)ハム五枚(3)セロリ二本(4)マカロニ一五〇グラム(5)卵黄一個(6)マヨネーズ大さじ一杯、砂糖大さじ一杯、胡椒少々、カレー粉小さじ一杯半、酢大さじ三杯、塩小さじ二分の一杯、サラダ油大さじ四杯、酒小さじ一杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)マカロニは短いものを塩ゆでにしておく。 (2)ちくわは薄く輪切りにして、酒を入れた熱湯で湯通しし、冷ます。 (3)ハムは一センチ幅に切り、セロリは皮をむいて薄切りにする。 (4)ボウルに卵黄を入れ、砂糖、胡椒、カレー粉、酢、塩、サラダ油、マヨネーズを入れ、練りあげ、(1)〜(3)の具と合わせる。仕上げにパセリか貝割れのみじん切り、パプリカをふりレモンの輪切りを添える。 錦丼 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)鶏ひき肉一五〇グラム(2)醤油大さじ一杯半(3)砂糖大さじ一杯(4)みりん大さじ一杯(5)生姜のしぼり汁小さじ二分の一杯(6)玉子五個(7)砂糖(炒り玉子用)大さじ二杯半(8)塩(炒り玉子用)小さじ一杯(9)いんげん(どじょう、ゆでたもの)三〇グラム(10)人参(ゆでたもの)三〇グラム(11)しいたけ(もどしたもの)三〇グラム(12)米四カップ(13)塩小さじ一杯、酒大さじ二杯、みりん大さじ二分の一杯、醤油少々、化学調味料少々(14)紅生姜(千切り)少々 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)鶏ひき肉は醤油大さじ一杯半、砂糖大さじ一杯を入れて、そぼろにして煮つめる。煮つまってきたら、生姜汁とみりんを加えて汁気のなくなるまで|炒《い》りつける。 (2)玉子五個は割りほぐして砂糖大さじ二杯半、塩小さじ一杯、酒小さじ一杯を合わせて炒り玉子を作る。 (3)いんげん、人参、しいたけは、しいたけのもどし汁大さじ四杯を同量の水で薄めて、砂糖小さじ二分の一杯、醤油小さじ一杯、酒小さじ一杯、塩小さじ四分の一杯と化学調味料で薄味に煮上げる。 (4)米は洗って三〇分ほど水切りしてから釜に入れ、塩小さじ一杯、酒大さじ二杯、みりん大さじ二分の一杯、醤油大さじ一杯と化学調味料少々を入れ、水四カップで炊きあげる。 (5)塗り重箱か丼に、ご飯を入れて、鶏そぼろと炒り玉子をいろどりよく盛り、いんげんのななめ切り、しいたけ、人参の薄切りを散らし、紅生姜少々をおく。汁物は若竹汁。 豆腐と豚薄切り肉の含め煮 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)豆腐二丁(2)豚薄切り肉一五〇グラム(3)しいたけ(もどしたもの)二枚(4)長ねぎ一本(5)タカの爪一本(6)生姜(みじん切り)ひとかけ(大さじ一杯半)(7)醤油大さじ二杯(8)酒大さじ二杯(9)スープ(固形スープの素一個半)二カップ(10)ごま油小さじ一杯、サラダ油大さじ三杯(11)片栗粉(水どき)少々 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)豆腐は一センチ幅に切り、水気をしぼっておく。長ねぎとしいたけは一センチ幅に切る。タカの爪は種を取り、輪切りにしておく。豚肉はひと口大に切る。 (2)中華鍋にサラダ油を入れて熱し、生姜、長ねぎ、タカの爪、豚肉を入れて強火で炒め、醤油、酒を入れてなお炒める。 (3)しいたけを入れてスープ(しいたけのもどし汁を少し入れる)を加えて沸騰させ、豆腐を加えて四〜五分煮てから、塩で加減して水どきの片栗粉でトロミをつけ、最後にごま油を落としてやる。     二 月     冬のスタミナ料理     陽光に輝くモレナたち  北国に雪がなく東京に雪が降った。わが家では庭の池が、正月からうすく凍てついてその上を小鳥たちが歩いて、池の水をすすっている。  もう、ひと昔も前のことだが、ブラジルのリオのカーナバルを見物に出かけた。ちょうど二月の半ばで、東京では何年ぶりかの大雪だったが、三〇時間の空の旅をして南半球の彼の地にたどり着き、リオデジャネイロの空港に降りると、空は抜けるように青く澄んで晴れあがっていた。  ホテルはリオの海岸通りに面したクラシックなホテルで、私の入ったルームは中庭にあるプールを見下ろすことのできる四階にあった。窓からプールを眺めると、肉体美豊かなカリオカッ子の若さに溢れたモレナ(混血児)たちが、黒く豊満な胸もとを惜し気もなく陽光に晒している。その太股はハチきれんばかりで、チョイと突ついただけでパチンと音を立ててはじけるような張りを見せていた。  ホテルの食堂で食べたアボカドも旨かったが、彼女たちの黒い果皮に包まれた果肉はもっと旨いに違いない。私は年甲斐もなくそんな妄想に駆られて、飽くことなくプールではしゃぐ彼女たちを眺めたものだ。  マニアーナの大陸と呼ばれる彼女たちの陽気さは、手軽に金をかけずにすませる食生活にある、といってもそう粗末なものではない。  インディオの食料だったとうもろこしやじゃがいも料理のほか、ポルトガル人が持ちこんだヨーロッパ料理やアフリカから奴隷として連れてこられた黒人の料理。世界一勤勉な日本人移民が持ちこんだ日本料理がある。野菜は日本人のおかげでなんでもあり、ないものはワサビぐらいだという。     カーナバル狂騒の源  ブラジル庶民の代表的な煮込料理にフェジョーダがある。牛の内臓と日本のうずら豆に似た豆を一緒に煮込んだもので、一世の日本人でも食べるのに抵抗があると言われたが、私は敢えて挑戦してみた。  脂が強くてもう少しで万歳するところだったが、郷に入れば郷に従えの主義だからとうとうやっつけた。もっとも、ピンガという砂糖キビの|滓《かす》から作った六〇度の強さを持つ焼酎の助けを借りなければ食えなかったろう。現地人のカーナバルに現われる物狂おしいばかりのエネルギーの根源だというので挑んだのだ。たしかにその効き目はあった。若いモレナの娘っ子と対等に闘えたのだから……。  ブラジル名物牛肉のあぶり焼きシュラスコは楽しい。あんこうの吊し切りならぬ牛肉の吊し切りである。二五〇グラムのステーキにスープからパン、デザートまで付いて一〇〇〇円、おまけに肉のお代り(一五〇グラム)は何回もできる。私は二枚までお代りしたが、そこでダウン。  コパカバーナにある日本料理屋ではシャブシャブとすき焼きをした。肉が霜降り肉になっていないので、ついうっかりと「松坂肉のようにこいつが霜降りだったら旨いだろうな」と言ったら、仲居さん(日本女性)に笑われた。 「こちらでは、肉が御飯代りのようなもんだから、霜降り肉なんか肉のマシュマロを食べるようなもので、とても毎日は食べられません」  なるほど、そういうことでありますな。 [#ここから3字下げ] 牛肉の香味焼き [#ここで字下げ終わり]  しかし、日本でリオなみの肉食生活を続けたら|忽《たちま》ち破産してしまう。だから私は、東京では専ら牛肉の小間切れか並肉を買う。|不《ま》|味《ず》くはないが、旨いともいえない。そこでちょっとした工夫をする。  まず牛肉をマリネにする漬け汁を作る。材料は玉葱中一個と、できれば紅玉のようなりんご一個をおろし金で摺りおろす。にんにくの好きな人は一かけか二かけを摺りおろすと風味が増す。  摺りおろした玉葱とりんごは深目の皿かバットに入れ、そこに日本酒かワイン(白、赤いずれでもよい)を四分の一カップ(五〇cc)入れて、化学調味料を振る。さらにサラダオイル大さじ三杯、胡麻油一杯を入れてよく混ぜ合わせる。あれば月桂樹の葉一枚、パセリの軸二〜三本、セロリの葉先二〜三本を入れる。  以上の漬け汁のなかに肉を表面が出ないように漬けてラップで包み、半日から一日ほど冷蔵庫に寝かせておく。冷蔵庫に入れておけば、二〜三日そのまま置いてもよい。  食べる三十分ほど前に、食べる分だけ冷蔵庫から肉を取り出して、醤油三、砂糖一の割りで混ぜ、漬け汁をその倍量合わせたなかに、再び一五〜二〇分ほど漬ける。このとき長葱の四センチほどに切ったもの五〜六本と、大人向けには一味唐辛子を振るとよい。調味料の味付は好みで塩梅する。  肉に味が滲みたら、朝鮮焼きコンロかジンギスカン鍋で焼く。なければ、中華鍋かフライパンで汁気をよく切って、油を多い目に落として強火で手早く焼く。さきの長葱やピーマン、えのき茸、生椎茸なども一緒に焼くとよい。砂糖分があるので焦げつきやすいから、鍋はこまめに掃除しながら焼く。  冬のスタミナ料理として若者には最高のおもてなしである。     カキの土手鍋  日本の気候で、一番寒いときは二月ではないか……。東京育ちの私には、二月という月に一番寒さを覚えるのだが、北国育ちの人達は、どんなものだろう。待ち焦がれた春の息吹をはやくも感じとっているかも知れない。  これが、若いうちならば、スキーやスケート、冬山登りと楽しみもあるのだろうが、いまの私にはそんな気持ちはさらさらに無いから、|如《きさ》|月《らぎ》という月は冬眠よろしく、つい家に閉じ籠りがちになる。|但《ただ》し、沖縄や南九州のような暖国となれば、これはまた別の話である。  そんな無精者の私が、伊勢志摩に旨いものを食べに行ったのだから、美味求真の欲はすさまじい。といっても、二月に名古屋で芝居を公演してのついでだから、やっぱり出無精にはちがいない。  私はこの土地が好きで、とりわけて、賢島から眺める|英《あ》|虞《ご》湾の入り江に惚れこんでいる。賢島の志摩観光ホテルから見渡す海景色に私は、なんとなく、ヨーロッパの潮騒の匂いを感じ、的矢湾の生ガキを啜ったとき、その気分がなおのこと|弥《いや》|増《ま》すのである。  このカキという二枚貝、日本全国に分布しているが、仙台の松島、伊勢の志摩、瀬戸内の広島と風光|明《めい》|媚《び》の地に名物として賞味されているのが憎い。新鮮なカキを殻から剥ぎとり、レモン汁を滴らしてカキの汁ごとチュウチュウと啜りながら食べるのが、最高の食べ方だが、ほかに、煮てよし焼いてよしである。松島でも伊勢でも広島でも、その土地で食べるカキは本当に|美《う》|味《ま》い。甲乙は全くつけ難い。  広島で遊んだとき、土地の友人から、太田川に浮ぶカキ船料理屋の特製だと言って、カキの塩辛をもらった。それまで、カキの塩辛なんて知らなかったから、ビックリして、恐る恐る賞味したが、その美味かったこと、その塩辛入りの小壺を拾も二拾も欲しかったが、友人はひとつしか呉れなかった。それだけに、あのトロリとしたカキの塩辛が、何年経っても口中に残っているのである。若し、広島のお方で、太田川に浮ぶカキ船屋にあるそうだが、そのカキの塩辛の存在を知っていたら御一報頂きたい。友人に頼めばなんでもないことなのだが、「ひとつ下さい。お伴します。」と彼に頭を下げるのが、いかにも口惜しい……。  東京で、生ガキは万一のことがあるから、自宅ではあまり食べない。そのかわり、カキの土手鍋をよく仕立てる。これは、味噌を土鍋の縁に土手のように盛りつけ、少しずつ煮溶かしながらカキを食べるのだが、コツは味噌で、別の鍋に赤味噌白味噌半量ずつの割りで、日本酒と|味《み》|醂《りん》を少々ふりこんでトロ火でプクッと泡立つまで練り、これを経木になすり遠火で焼いてうすい焦げ目をつくり、土鍋のふちになすり、鍋底に出し昆布をしいて、味噌にかからないように水を張り、煮立ったら、味噌を煮溶かしながら、カキや野菜豆腐などを入れて食べるだけのことである。 二月のお惣菜 ポークチャップ・スパゲッティ [#ここから2字下げ] 〈材料〉(以下、指定のないものは四人前) (1)豚肉(赤身の切り身四枚)三〇〇〜四〇〇グラム(2)玉ねぎ(薄切り)一個一五〇〜三〇〇グラム(3)トマト又はトマトピューレ一五〇グラム(4)スープ(スープの素一個)一カップ(5)塩小さじ一杯、胡椒少々、バター大さじ二杯、小麦粉大さじ二杯半、酒又はワイン大さじ三杯、ローリエ一枚、トマトケチャップ大さじ一杯半、ウスターソース大さじ二杯、サラダ油大さじ一杯半、パセリ、パプリカ、クレソン、粉チーズ(6)スパゲッティ三〇〇グラム [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)豚肉は塩、胡椒をして粉をふり、三つ切りか四つ切りにしておく。 (2)フライパン又は中華鍋にサラダ油大さじ一杯半を入れ熱し、バター大さじ一杯を入れ、とけかかったら、小麦粉をふった豚肉を入れる。強火で豚肉の表裏に焼き目をつけ、皿に取り出し、その後へ玉ねぎのスライスを入れて色の変わるまで炒めてから、豚肉を鍋に返し、トマト又はトマトピューレ、ウスターソースを入れて混ぜ合わせてスープを入れ、中火で六〜七分煮る。豚肉がやわらかくなったら、味をみて、塩、胡椒で味を整え、酒又はワインをふる。 (3)スパゲッティはゆでて熱いうちにバターをからめておく。 (4)温めた皿にスパゲッティを盛り、豚肉を煮たものをかけてやる。 ※パセリのみじん切りとパプリカをふり、クレソンをつけ合わせにのせ、粉チーズをかける。 白身魚とカキの昆布鍋 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)白身魚(たら)二切れ(2)カキ二〇粒ぐらい(3)春菊一束(4)えのきだけ一束(5)豆腐一丁(6)長ねぎ一本(7)酒かす大さじ四杯(8)出し汁一カップ(9)幅広昆布(10)かんぴょう(11)生姜(薄切り) [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)カキはふり洗いしておく。 (2)春菊、えのきだけは半分に切る。長ねぎはななめ切り、豆腐は奴切りにする。 (3)昆布を湿らせ、かんぴょうでくくり、昆布鍋を作る。 (4)白身魚は酒、塩をし、下味つけをする。 (5)酒かすを出し汁一カップでとく。 (6)昆布鍋に(1)〜(4)の具を入れ、かす汁、生姜を入れる。 (7)コンロの遠火に餅網を置き、その上に昆布鍋をのせて中火で煮ながら食べる。 節分豆味噌 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)大豆二分の一カップ(2)白ごま二分の一カップ(3)土生姜(薄切り)ひとかけ(4)タカの爪(唐辛子)一本(5)味噌一カップ(6)砂糖一カップ半(7)酒大さじ二杯、みりん大さじ二杯、油 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)大豆は洗って水にひたして、一晩水につけてやわらかくしておく。 (2)水につけた大豆はザルにあげて水切りして水気をふいてから、低温(一六〇度)の油で揚げる。 (3)白ごまは炒って切りごまにする。 (4)味噌と砂糖をよく練り合わせて、弱火にかけて練り、照りが出たら大豆を入れてよく練り合わせ、生姜の千切り、タカの爪(種ぬきの輪切り)、白ごまを入れて、酒とみりんを入れて練りあげる。 豆腐のカニあんかけ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)豆腐(絹ごし)二丁(2)カニ缶(くずガニの缶詰)小一缶(3)長ねぎ(薄くそぎ切り)二分の一本(4)ほうれん草(ゆでたもの)二分の一束(5)土生姜(水にさらして細く千切り)ひとかけ(6)スープ(固形スープ一個をといたもの)一カップ(7)塩小さじ二分の一杯、砂糖小さじ二分の一杯、酒大さじ二杯、油大さじ三杯(8)片栗粉(水とき)小さじ二杯を倍量の水でとく(9)トマト(薄切り)三分の一個分 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)カニは缶から出してほぐし、酒大さじ一杯をふっておく。 (2)中華鍋に油大さじ三杯を熱し、カニを炒めて、そこへ塩小さじ二分の一杯、砂糖小さじ二分の一杯、酒大さじ一杯を入れて炒め、長ねぎを入れて炒め、ほうれん草も入れて、そこへスープ一カップを注ぐ。 (3)豆腐は一丁をタテ二つ割りにして、端から八つ切りにして、熱湯に入れてあらかじめ温めておく。 (4)スープが沸いたら、豆腐の水気を切って入れ、再び煮たったら、塩、胡椒で味を整え、片栗粉の水ときでトロミをつけ、器に盛って生姜の千切りをふり、トマトをおく。 豆腐の土鍋煮 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)豆腐(木綿)一丁半(2)鶏肉一〇〇グラム(3)ハム八〇グラム(4)筍(ゆでたもの)一五〇グラム(5)長ねぎ一本(6)しいたけ(もどしたもの、そぎ切り)四枚(7)白菜(軸の部分)三枚(8)人参(薄切り)二分の一本(9)鶏もつ一五〇グラム(10)むきえび(冷凍もの)一〇〇〜一五〇グラム(11)塩少々、胡椒少々、醤油大さじ二杯、砂糖小さじ一杯、酒大さじ二杯、卵白二分の一個、片栗粉大さじ一杯、スープ(チキンスープの素一個半)二カップ、ラード、化学調味料 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)豆腐は熱湯に通して厚さを半等分にして大きく拍子切りにする。 (2)白菜は軽く炒めて水分をとばし、厚めにそぎ切りにする。|筍《たけのこ》、しいたけ、長ねぎもそぎ切り(厚さ八ミリ、幅一・五センチ、長さ六センチ)。 (3)ハムは一センチ幅に切り、鶏肉(塩、酒で下味をつける)もそれに合わせて切る。 (4)鶏もつは醤油、酒をかけ、片栗粉をまぶしておく。 (5)えびは背ワタを取り、卵白二分の一個分をまぶして塩、胡椒し、片栗粉をまぶす。 (6)中華鍋を充分に熱して、ラード大さじ五杯を入れ、鶏もつを手早く炒めて取り出し、次に鶏肉、えびを炒めてこれも取り出し、その後へ筍、白菜、しいたけ、人参を入れて炒める。 (7)(6)の材料を中華鍋にもどして、強火にして醤油大さじ二杯、砂糖小さじ一杯、酒大さじ二杯、化学調味料少々をふり、スープを注ぎ、三分ほど煮ながらアクを取る。 (8)(7)を土鍋に移し、豆腐をのせ、テーブルコンロにのせて塩味をみながら弱火でコトコト炊きながら食べる。 ※あれば、干し貝柱を出しとして使う。 たらこの甘辛煮 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)生たらこ(二腹)四本(2)醤油二分の一カップ(3)みりん大さじ三杯(4)砂糖大さじ一杯(5)酒大さじ二杯(6)出し汁三分の一カップ(7)生姜(薄切り)大さじ一杯半(8)油揚げ(油ぬきして短ざく切り)一枚(9)小松菜(ゆでたもの)三分の一束 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)生たらこは洗って汚れを落として、塩をちょっとふっておく。 (2)鍋に材料の(2)〜(6)を入れて煮たたせ、生たらこと生姜を入れて煮つけ、沸騰したら火を弱めて、フタをしてちょっと煮て、たらこに火が通って身がしまったら、取り出してひと口大に切り、もう一度煮汁がしみるまで煮てやる。途中で油揚げと小松菜を入れて、煮汁がなくなるまで煮る。出しが足りないようだったら足してやる。 あこうだいの煮物 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)あこうだい四切れ(2)長ねぎ二本(3)ごぼう(下ゆで)二本(4)生姜(スライス、皮つき)四切れ(5)昆布出し二カップ、みりん大さじ二杯、砂糖大さじ一杯半、塩少々、醤油大さじ四〜五杯、ごま油小さじ二杯、酒二分の一カップ(6)ほうれん草二分の一束、あさつき [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)あこうだいはザルに取り、塩と酒(大さじ一杯)をふってしばらくおいておく。 (2)長ねぎは青い部分を取らずに、六等分にする。 (3)ほうれん草は塩湯でさっと下ゆでにしておく。 (4)鍋に酒を入れて火にかけ、沸騰したら火をつけてアルコールをとばしてやり、そこへ昆布出しを入れ、砂糖、みりん、醤油の調味料を入れて煮たたせ、生姜と長ねぎ、ごぼうをおき、魚をのせて落としブタをして、一五分煮てやる。煮上がったら、ごま油を落としてひと煮立ちさせ、ほうれん草を加えて煮てやり、皿に盛り、あさつきをふる。 いわしつみれの詰め物焼き [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)いわし四〇〇グラム(正味二五〇グラム)(2)玉子一個(3)砂糖大さじ二杯、味噌大さじ二杯、小麦粉大さじ一杯、酒大さじ一杯(4)長ねぎ(さらしたもの)大さじ二杯(5)生姜(みじん切り)大さじ一杯(6)生しいたけ四枚(7)ピーマン四個(8)黒ごま大さじ一杯(9)塩、胡椒、片栗粉、油 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)いわしは頭とワタを取り、手開きにして骨と皮を取り包丁の背で身を叩いてからすり鉢でよくする。 (2)いわしのすり身に玉子、砂糖、酒、小麦粉、長ねぎ、生姜を混ぜ合わせてよく練っておく。 (3)しいたけは軸を取り、塩と胡椒少々をふっておく。 (4)ピーマンは二つ割りにして中を掃除しておく。 (5)しいたけとピーマンの内側に片栗粉をふり、魚肉を詰めて表面に油を塗り、ごまをふって軽く押し、はがれないようにする。 (6)フライパン又は厚手の鍋にアルミホイルをしき、(5)をのせて、はじめはピーマン、しいたけの表側部分から蒸し焼きするようにフタをして、中火で焼き、火が通ったら一度取り出して、油をしいて魚肉を中弱火で焼き目をつけてやる。電子レンジだったら四〜五分入れてやる。 (7)つけ合わせは、貝割れ菜か酢生姜をつける。 白菜のクリームあんかけ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)白菜小一個(2)牛乳二分の一カップ(3)ハム(千切り)三枚(4)固形スープの素三個(5)塩小さじ二分の一杯、酒大さじ一杯、ごま油小さじ一杯、化学調味料少々、胡椒少々、片栗粉少々 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)白菜は芯を残したままタテ八つに切り分ける。ロースハムは千切りにしておく。固形スープの素三個は六カップの湯でといて鍋に入れて沸かしておく。 (2)白菜をスープの入った鍋に入れてゆく。このとき、たがいちがいに入れてゆくようにすると、かなりの量でもうまく入る。 (3)強火で煮て、白菜がやわらかくなったら、ザルにあげ、水気を切って皿に形よく盛りつける。 (4)白菜を煮たスープ一〇〇ccを小鍋に取り、牛乳一〇〇cc、塩小さじ二分の一杯、酒大さじ一杯、ごま油小さじ一杯弱、胡椒少々、化学調味料少々を入れ、味を整え、水とき片栗粉でトロミをつけてクリームあんをつくる。 (5)盛りつけた白菜の上にクリームあんをかけ、その上からロースハムの千切りをふりかける。 野菜入りとんかつ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)豚肉(一枚四〇グラム、又は幅広の薄切り肉)四〇〇グラム(2)セロリ一本(3)プロセスチーズ(薄切り)一〇〇グラム(4)らっきょう(薄切り)五〇グラム(5)ゆで玉子二個(6)小麦粉大さじ六杯、とき玉子一個、パン粉大さじ一〇杯、揚げ油、塩、胡椒、酒 つけ合わせ●キャベツ(きざみ)、レモン(くし型)、ジャガイモ、プティトマト [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)四〇グラムの豚肉は叩いて薄く伸ばす。薄切り肉ならば二、三枚合わせて、とんかつの大きさに作る。それに塩、胡椒し、酒をちょっとふっておく。 (2)セロリは筋を取って薄切り、らっきょうも薄切りにきざんでおく。チーズと玉子も薄切りにして、塩、胡椒をまぶしておく。 (3)豚肉に(2)をのせて巻いてようじでとめ、とんかつと同じように小麦粉、とき玉子、パン粉をつけて揚げてやる。 豚バラ肉の煮込み鍋 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)豚バラ肉(薄切り肉)四〇〇グラム(2)白菜二分の一株(3)長ねぎ(ザク切り五センチ)三本(4)れんこん三〇〇グラム(5)ぎんなん一〇〇グラム(6)なめこ一袋(7)春雨一束(8)油揚げ(油ぬきして千切り)四枚(9)生姜(薄切り)五〜六枚(10)酒大さじ四杯、薄口醤油大さじ二杯、醤油大さじ一杯、塩少々、みりん大さじ一杯、かんずり、出し昆布(五センチ)一枚 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)豚バラ肉はひと口大に切り、酒と塩少々をかけておく。白菜は三センチぐらいに切り、カラ炒めしておく。れんこんは皮をむき、五ミリの厚さに切って酢水に放しておく。 (2)鍋に出し昆布をしき、水六カップを入れて煮たつ前に昆布をひき出し、長ねぎをおき、豚肉、白菜を入れて煮てやる。 (3)具が煮えかかったら、酒、醤油、塩、みりんを合わせたものを入れ、油揚げ、ぎんなん、なめこ、春雨を入れてやる。 (4)ポン酢醤油や大根おろし、かんずりなどを入れて食べる。残りは具を引きあげて出しを足して、雑炊や煮こみうどんにする。 醤油味つけビフテキ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)牛肉(ビフテキ用)三〇〇グラム(2)にんにく(スライス)ひとかけ(3)油大さじ三杯 つけ汁●醤油大さじ三杯、砂糖大さじ一杯、ごま油大さじ一杯、酒大さじ一杯、化学調味料少々、生姜(しぼり汁)大さじ一杯、トウバンジャン小さじ一杯又はタカの爪一本(小口切り) [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)牛肉は両面をフォークでよくつついて叩き、厚さを平均にして化学調味料と酒をふって四つに切ってつけ汁に一〇分ほどつけてやる。 (2)フライパンにオイルを入れて熱し、スライスしたにんにくを入れて香りをつけ、にんにくが焦げかけたら取り出し、その後へ牛肉の汁気をしぼって強火で両面を焼きつけあとは中弱火で焼く。皿にレタス、ゆでたチンゲンサイなどの野菜をしき、まわりにトマトを飾り、肉をおき、肉のつけ汁を洗ったフライパンに入れて煮たたせ、かけてやる。 豚肉と昆布の煮物 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)豚バラ肉(かたまり)二〇〇グラム(2)ごぼう小一本(3)早煮昆布三〇グラム(4)土生姜ひとかけ(5)長ねぎ(青い部分)一本(6)酒二分の一カップ、みりん四分の一カップ、砂糖大さじ三杯、醤油大さじ一杯、味噌七〇グラム [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)豚肉はかたまりのまま塩もみをする。次に熱湯をくぐらせ、水洗いし、余分な脂肪とアクを抜いておく。 (2)ごぼうは皮をむき、五センチの長さに切り、酢水につけてから下ゆでしておく。 (3)早煮昆布は湿らせて、一センチ幅のヒモ状に切り、それを結んで、結び昆布を作っておく。 (4)鍋に豚肉がつかるくらいの水を入れ、土生姜、長ねぎの青い部分を入れて五分ほど煮る。アクをていねいにすくい取り、酒二分の一カップを入れて、さらに豚肉がやわらかくなるまで煮る。 (5)豚肉を取り出してひと口大に切り、残った煮汁を漉してまた鍋にもどし、砂糖大さじ三杯、みりん四分の一カップ、切った豚肉、結び昆布、ごぼうを入れて約一〇分煮る。薄味がついたら、醤油大さじ一杯、味噌七〇グラムを入れて味を整え、さらに一〇分ほど煮こむ。 ぶり(たら)おひょうの宝蒸し [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)ぶり(又はたら)、おひょう一五〇グラム四切れ(2)ごぼう(ささがき、水にさらしておく)二分の一本(3)人参(千切り)五〇グラム(4)生しいたけ(千切り)五枚(5)玉子一個(6)炒りごま小さじ一杯半(7)梅干し(うらごし)一個分(8)塩、醤油大さじ一杯半、砂糖小さじ一杯半、酒、化学調味料、複合調味料、サラダ油、片栗粉 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)魚は切り込みを入れて広げ、塩、酒をふって身をしめておく。 (2)鍋にサラダオイルを熱してささがきごぼう、人参、しいたけを入れて炒め、砂糖、醤油、化学調味料で味つけして玉子を割り入れ、炒りごまを混ぜる。 (3)布巾をしいた蒸し器に皿をおいて、ぶりを入れ、(2)の具をのせて蒸し器で強火にして六〜七分間蒸す。 (4)鍋に水大さじ四杯と複合調味料(イノシン酸)を入れて塩、砂糖で味をつけ、梅干しのうらごしを入れて煮たたせ、片栗粉の水ときでトロミをつけて、器に盛ったぶりにかけてやる。春菊の蒸したものなどをつけ合わせに、|柚《ゆ》|子《ず》の皮をのせてやる。 豚肉の昆布巻き [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)出し昆布(幅の広いもの一〇センチ角)三〜四枚(2)豚肉(かたまり)三〇〇グラム(3)長ねぎ(青い部分も入れて)二〜三本(4)土生姜(大きめ、スライス)ひとかけ(5)かんぴょう二本程度(6)砂糖三分の一カップ(7)醤油四分の一カップ(8)酒二分の一カップ(9)みりん大さじ一杯(10)塩少々 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)豚肉は一センチ幅の棒状に切りそろえ、酒、塩少々をふりかけて下味をつけておく。 (2)出し昆布は軽く水洗いして砂を落とし、二カップの水に一〇分ほどひたしてから水気を切っておく。もどし汁も取っておく。 (3)長ねぎは五センチの長さに、かんぴょうは水にもどしておく。 (4)昆布の端に豚肉をおき、ひと巻き半ほど巻いてかんぴょうでくくる。昆布巻きの両端を切り、それぞれの大きさをそろえる。 (5)出し昆布をつけておいた水二カップを鍋に入れ、そこに昆布巻きを入れ、土生姜のスライス、長ねぎ、酒二分の一カップを入れて強火で約一五分、アクをていねいに取りながら、煮る。昆布と豚肉が煮えたら火を弱め、砂糖三分の一カップ、醤油四分の一カップを入れ、弱火でトロトロとさらに三〇分煮る。 (6)昆布と豚肉に充分味がしみたら、みりん大さじ一杯を入れ、照りをつける。 いかのひき肉詰め煮 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)いか二杯(2)豚ひき肉一〇〇グラム(3)人参(みじん切り)二〇グラム(4)生しいたけ(みじん切り)三枚(5)グリンピース大さじ一杯(6)レタス三枚(7)塩小さじ三分の一杯、酒大さじ一杯、砂糖小さじ二杯、醤油小さじ二杯、胡椒少々、生姜汁小さじ一杯、片栗粉小さじ一杯半(8)レモン(くし型切り)二分の一個分(9)とき辛子少々、片栗粉(水とき)少々 スープ●チキンコンソメの素二個、湯二カップ、酒大さじ一杯半 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)いかは皮をむき、ワタを出して足の部分はみじん切りにしておく。人参、しいたけはみじん切りに、豚ひき肉は包丁の背などでよく叩いて、ねばりを出しておく。 (2)熱湯に、塩、酒少々を入れ、いかの胴の部分をサッと湯にくぐらせ、氷水に取り、水気をふき取る。足をみじん切りにしたものも、同じ要領で湯びきをする。 (3)ボウルに豚ひき肉、人参、しいたけのみじん切り、いかの足を入れ、よく混ぜ合わせ、材料(7)のすべてとグリンピース大さじ一杯を入れてよく練る。いかの胴の内側に片栗粉をまぶし、練った具をしっかりと詰め、つまようじなどでとめる。 (4)深鍋にいかを入れ、固形のチキンコンソメスープの素を二カップの湯でといたものを入れ、一〇〜一五分煮る。煮上がったらいかを取り出し、輪切りにして、残ったスープに水とき片栗粉でトロミをつけ、上からかける。 牛肉の野菜炒め [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)牛薄切り肉三〇〇グラム(2)ピーマン四個(3)玉ねぎ一個(4)トマト一個(5)キャベツの葉(ザク切り)二枚(6)赤唐辛子(種ぬき、輪切り)一本、にんにく(みじん)ひとかけ(7)醤油大さじ二杯、酒大さじ二杯、砂糖小さじ三分の二杯、片栗粉大さじ一杯半、塩、胡椒少々、サラダ油大さじ三杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)ピーマン、トマト、玉ねぎ、キャベツは大きさをそろえてザク切りにしておく。 (2)牛肉はひと口大に切り、酒大さじ二杯、醤油大さじ一杯をかけて下味をつけておく。 (3)中華鍋を充分に熱し、サラダ油大さじ三杯をしき、玉ねぎ、ピーマンを強火で炒め、塩少々、水大さじ一杯を入れて、玉ねぎが少ししんなりしたら取り出しておく。 (4)牛肉に片栗粉大さじ一杯半ほどをふり、油を少し(大さじ二分の一)足し、にんにくのみじん切りを入れ、次に牛肉を入れて強火で炒める。湯もどしして種を取ったタカの爪一本、キャベツ、トマト、先に炒めたピーマン、玉ねぎを加え、砂糖小さじ三分の二杯、醤油大さじ一杯、胡椒少々を入れ、味を整える。 昆布イリチー(沖縄料理) [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)きざみ昆布(なければ出し昆布を水でもどしたものを五ミリ幅にきざむ)二〇〇グラム(2)豚三枚肉(かたまり)一〇〇グラム(3)こんにゃく二分の一枚(4)油揚げ二枚(5)生しいたけ三枚(6)かまぼこ(紅白)一〇〇グラム(7)土生姜(小指大)ひとかけ(8)長ねぎ(青い部分)一本(9)塩少々、砂糖大さじ三杯、醤油大さじ三杯、酒大さじ三杯、みりん小さじ一杯、化学調味料少々、ラード大さじ一杯、胡椒少々(10)豚出し汁三カップ [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)昆布はさっと煮てやわらかくし、煮出し汁でこんにゃくのスライスを煮ておく。 (2)豚肉は塩もみして水洗いをし、長ねぎの青い部分、生姜のスライスと一緒にゆでて冷まし、細切りにし、煮汁は漉して取っておく。油揚げは油ぬきして短ざく切り、しいたけ、かまぼこも短ざく切りにする。 (3)鍋にラード大さじ一杯をしき、豚肉、しいたけ、こんにゃく、昆布を入れて油をからめるようにして、炒めてから豚の煮汁三カップを注ぎ入れる。 (4)次に砂糖大さじ三杯、醤油大さじ三杯、酒大さじ三杯、塩少々を入れ、昆布がやわらかくなるまで約一時間ほど、落としブタをして煮る。この間、焦がさないように、ときどき混ぜてやる。 (5)昆布がやわらかく煮えたら、かまぼこ、油揚げを入れ、みりん小さじ一杯、胡椒少々、化学調味料少々を加えて味を整え、約五分ほど煮ふくめる。 コンビーフとキャベツの煮込み [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)コンビーフ一缶(一九〇グラム)(2)キャベツ二分の一個(3)トマトピューレ(トマトなら中二個)五〇cc(4)赤ワイン二分の一カップ(5)固形スープの素一個(6)玉子一個(7)塩、胡椒、バター大さじ二分の一杯、化学調味料、ローリエ一枚、片栗粉大さじ一杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)キャベツは少し荒い目の千切りにしておく。 (2)コンビーフはよくほぐし、卵黄一個、バター大さじ二分の一杯、片栗粉大さじ一杯を入れてよく混ぜ合わせる。 (3)キャセロールなどの厚手の深鍋の底に、バターをたっぷりと塗りつけ、キャベツを底にしく。その上にコンビーフをのせ、またその上にキャベツというふうに順に重ねていく。鍋にギュッと押し入れる感じで入れてゆく。 (4)赤ワイン二分の一カップ、トマトピューレ五〇cc、固形スープの素一個、ローリエ一〜二枚、胡椒少々を入れ、フタをして弱火で約一五分ほど煮る。味が濃いようだったら、水を加え、塩、バター、化学調味料などで味を整え、五分ほど煮る。     三 月     美味・珍味・妙味  四季の訪れのあし音は、常にあし早にやってくるような気がするが、私には春の訪れが一番早く思われる。  三月は晴れて卒業式の月、このあし音を聞くと、ああ、また来たかと思う。  なぜならば、私はこの月の生まれだから誕生日がくると、否応なくひとつ馬齢を重ねるからだ。  私は、誕生日の献立は自分で調達し調理するのだが、年々歳々嗜好が変わってくるのがわかる。  四〇歳台にはなかったことだが、五〇歳も半ばを過ぎる頃からそれがわかるようになった。  つまり、肉より魚、魚より植物性蛋白や野菜にと好みが移行するのが、自分で献立を作るとはっきりわかるのである。     幻の“熊の|掌《てのひら》料理”  昭和五八年の暮れ、中華民国台北市へ食旅行をし、彼の地で“|満《まん》|漢《かん》|半《はん》|席《せき》”ぐらいの中国料理を食べた。一夜のことだが、品数は三六、七品出た。同行した連中はそのうちの半分ぐらいしか手をつけなかったが、私は、折角の機会だから点心を除いては全部を少量ずつ賞味した。  酒家は環亜大飯店の頤和園だが、その味付の巧緻に感心した。支配人の説明によると、台湾中の料理人のなかからエリート中のエリートを引き抜いたと言っていたが、中国式“白髪三千丈”から大分割引しても旨かった。  特に感心したのは、そのほとんどが獣肉を使っているのに、肉食のくどさを感じさせなかったことだ。そのうえ甘|鹹《かん》(しおからい)辛酸苦のバランスがよくて、日本で食べた本格的中華料理よりさっぱりしていて、あと口がさわやかだった。  当日の料理から、日本人の口に合いそうなもの、合わないものを一、二並べよう。 〈|乳《ルウ》|豬《ツウ》|敬《チン》|佳《チヤ》|賓《ピン》〉  これは縁起もの料理で、子豚のロースト焼きである。結婚式をあげて新婦がはじめて里帰りをするとき、婿の家で作って嫁と一緒に持たせることになっているそうで、客に敬意を表した料理である。  乳離れをしていない八〜一二、三キロくらいの子豚を使い、食べるのは皮の部位である。こんがりと黄金飴色に焼けた子豚は、丸ごと(内臓は抜いてある)大皿に乗せられてくる。皮はカルタのカードほどに切って唐辛子味噌をつけて食べるが、軽くて柔らかく滋味である。 〈|窩罐《ウオクワン》 |[#特殊文字 t-code src="g-hihennwai.png"] 《ウエイ》|鹿《ルウ》|筋《チン》〉  鹿の|蹄《ひづめ》のところの腱(アキレス腱)の煮込料理。一頭には四本の短い腱しかないので、一品作るのに数十頭の鹿の脚がいるわけだから、まさにぜいたく料理である。  特製の釜に腱を入れて弱火でじっくりと煮て、柔らかくなったところで調理する。美味珍味、これはちょっと日本では食べられない。 〈|一《イツ》|掌《アン》|定《テイ》|山《サン》|河《ホウ》〉  とうとうお目にかかった。小生にとって幻の料理であった。熊の掌の料理である。中国の古書によると、地面を掘って穴を作り石灰を入れて熊の掌を置き、石灰をかぶせて冷水をかけ、発熱させる。それを冷まして毛根から毛を取り去り、米のとぎ汁に何日か浸してアクを抜き、清水でよく濯ぐ。次に豚脂に包んで煮て、その脂を抜き、豚肉と一緒に蒸し煮にするという。  とにかく、手の込んだ掌の料理であろうことはよくわかった。味は、妙味とでもしておこうか……。  熊掌は右手より左手の値段(手というからには前足であろう)が高い。それは、熊の習性として冬眠に入るとき、花蜜を左手で取るからだと言われている。  ハテ、熊は左利きばかりなのかな……?     菜の花で季節感を 〈金子式|東《トン》|坡《ポー》|肉《ロー》〉  豚の三枚肉の脂肪と赤肉半々ぐらいの上等な部位を五〇〇グラムほど求める。たっぷりの熱湯で一度洗い流してから、中華鍋を熱して軽く全面に焦げ目をつけ、そこに水を注ぐ。分量は、肉に充分にかぶるくらい入れる。  その鍋に、長ねぎの青いところ二〜三本、土生姜の叩きつぶしたもの小一個、八角一個を入れて、はじめ強火で、沸騰したら弱火にして、アクを取りながら煮る。肉に串が通るようになったら、酒半カップ、黒砂糖大さじ一・五杯、醤油大さじ三杯ほど入れて味つけする。  干し椎茸を何枚かもどして、戻し汁と一緒に煮たり、干し貝柱一個ほど入れるとコクを増す。好みでにんにくひとかけを入れるもよい。味つけしてから、長葱の白い部分を四〜五センチに切って一緒に煮て付け合わせにする。ほかにホーレン草などの青味を添える。 〈蛤の潮汁〉  蛤は、小粒のものを砂を充分に吐かせてからよく洗って鍋に入れ、ヒタヒタぐらいまで水を差し、ふたをせずに火にかける。このとき、五センチ角ほどの出し昆布も入れ、昆布の縁に小さなアブクが出たら取り出す。  貝が煮えて全部が口を開けたら、日本酒を手早く大さじに三分の一杯ほどかけまわす。塩気が足りないようなら、ほんの気持ちだけ粗塩を足す。椀に盛って、菜の花の軽く湯通ししたものか、ふきのとうの一花をつけて出来あがり。  濃淡取り合わせの料理。お試しあれ。     九州・柳川の春  冬枯れの霜あとのため、|火傷《やけど》のようにささくれだった庭をぼんやり眺めていると、青草の萌え出した黒い地面を這うようにひとひらの牡丹雪めいたものが舞っている。  よく見ると、その頼りなげな一片の白いものは蝶々だった。冬日和よりはいくらかましな日だまりを追いかける蝶々をはじめは幻かと思ったが、それは、まごうことなしの紋白蝶である。 「へえー、もう蝶々が……」  それにしても早すぎる。前年の患いで、例年になく冬の寒さが身に滲みて、家人から笑われるぐらいに着ぶくれているから、春の訪れをちっとも肌に感じない。それどころか、庭先に立つだけで足もとからふきあげる寒さに|寒《さむ》|子《こ》が立ってくる。だから、|蕗《ふき》の|薹《とう》も摘むことなしに如月も過ぎて春を迎えての紋白蝶の舞い降りには|酷《ひど》く戸惑ってしまう。  おれも齢だな……。  持病の喘息の治療に、九州の柳川に行った。その折、川下りをする遊山客が炬燵に足を入れて寒そうにかがんでいる姿を見て、物好きなと笑ったが、傍から見たら己の姿もそんなさまに見えるだろう。  柳川は好きな町だ、一番いいのは春だ。まだ、泥臭い川の匂いもなく春草や柳の新芽がさわやかである。旧藩主立花家が経営する「御花」まで舟で下り、|沖端《おきのはた》の北原白秋の生家を訪れるとよい。道路ひとつへだてた島田屋で旨い蒲ぼこを売っている。また、「御花」の近くには、名物の鰻のセイロ蒸し[#「セイロ蒸し」に傍点]の若松屋と本吉屋がある。もちろん「御花」にもあるが、ここではお庭を見物しながら鴨を喰べるといい。仙台の松島湾を|模《も》した庭には有明から飛んで来た鴨が無数羽を休めている。  殿さま|曰《のたまわ》く「当家の鴨は、庭でとったものではございません。有明の海で撃ったものでございます」。ハテ、鴨の何処が違うのだろう。  ついでのことを言えば、鰻飯は、若松屋が甘口で本吉屋は辛口である。と申しても醤油が違うから私にはどちらも甘く思われる。  有明の海では摩訶不思議な魚や貝類が沢山獲れる。その代表はムツゴロウ、器量は悪いが味のある魚だ。他にシャッパ(シャコ)、ガネ(蟹)、|口《くつ》|底《そこ》(シタビラメの一種)、アゲマキ、メカジャ(貝)と他の土地ではお目にかかれない魚介がうじゃうじゃといる。  とっておきをひとつ。それは、ワケ(イソギンチャク)だ。魚屋の金だらい[#「金だらい」に傍点]のなかでうごめいているのを見て、私もはじめはナマコだと思った。それにしては様子がオカしいので主人に聞くとイソギンチャクで、味噌汁や味噌煮にして食べる。土地の若者に聞くとあまり旨いものでないという。しかし、私は敢えて「ワケ」に挑戦してみた。三百円ほども買うと、生きたイソギンチャクを三〇個ほどもポリ袋に入れてくれた。私は、それを福岡に持ち帰り、RKBテレビの友人に頼んで、彼の行きつけの酒場で調理した。  まず、本体をふたつに切り、なかの臓物をキレイに洗う。これを丁寧にやらないと泥臭い。臓物を洗い落としたら、うす塩の湯を煮立てて、そのなかでサッと湯洗いしてからすぐに冷水に取りふり洗いをして水気を切っておく。鍋に酒半カップを煮たててから水をその半分ほども入れる。そこへ、土生姜のスライスを親指の半分ばかりほうり込む。そして、味噌適量に醤油を大さじ一杯ほど入れて沸いてきたら「ワケ」を投げ込んでやる。落としぶたで、ものの五分ほども中火で煮ればできあがり。好みで長ねぎ一本ほどザクに切って入れてもよい。はじめのうちは仔牛の脳味噌に似た味の柔らかさで、も少し煮つめるとコリコリした「ワケ」の味噌煮ができあがる。柳川の若者は軽ベツするが、決して不味いものではない。大人の味である。おもしろいことに、博多ッ子には「ワケ」の味を知っている人が、全くと言っていいほどいなかった。ということは、小説家の檀一雄さんの言い分ではないが、「ワケ」こそ純沖端料理と言えるのかもしれない。口底は、東京に持ち帰って、ムニエルと辛目の醤油煮にしてみた。ムニエルは、ドーヴァー・ソールのムニエルよりコクがあり、醤油煮は煮こごりが旨かった。  メカジャは、もやしのような吸管をバター炒めにしたら、これもイケた。  春の磯の香りを充分すぎるほど味わえる有明海の魚介料理は、|何《ど》|処《こ》にでもあるものではない。  春とは言いながら、この月の気候は気まぐれ、|四《わ》|月《た》|朔《ぬ》|日《き》がきたかと思えば気まぐれな大雪を降らしたりする。 三月のお惣菜 豚ひき肉と福神漬蒸し [#ここから2字下げ] 〈材料〉(以下、指定のないものは四人前) (1)豚ひき肉三〇〇グラム(2)福神漬一袋(3)長ねぎ(みじん切り)一本(4)生姜(みじん切り)大さじ一杯(5)にんにく(みじん切り)小さじ一杯(6)片栗粉小さじ一杯半(7)塩小さじ一杯、酒大さじ三杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)豚ひき肉に長ねぎ、生姜、にんにく、酒、塩、片栗粉を入れてよく練り、混ぜ合わせて皿に入れ、その上に汁気をしぼった福神漬をおいて、手のひらで軽く押してやる。 (2)充分に沸かした蒸し器に(1)を入れ、強火で一五分ほど蒸してやる。 牛肉と大根のスープ煮 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)牛すね肉二〇〇グラム(2)大根(五〇〇グラム)二分の一本(3)きくらげ四〜五枚(4)土生姜(スライス)三枚(5)にんにく三分のひとかけ(6)長ねぎ(青い部分)二本(7)塩少々、酒大さじ二杯、ごま、化学調味料、八角、ごま油小さじ一杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)牛すね肉は一センチの厚さに切り、たっぷりの水を火にかけて肉と青ねぎ、土生姜、にんにくを入れて、酒大さじ二杯を入れ、はじめ強火で煮たってきたら中弱火でアクを取りながら一時間ほど煮る。 (2)大根は皮を厚くむき、一センチ厚さの輪切りにして肉鍋に入れ、塩小さじ一杯を入れてやわらかくなりかけたら、青ねぎ、生姜、にんにくを取り出し、塩と化学調味料、八角を入れ、大根がやわらかくなるまで(三〇分)きくらげと一緒に煮てやる。やわらかくなったら、塩、胡椒、酒で味を整え、最後にごま油をたらして仕上げごまをかける。 手羽肉の天ぷら野菜煮込み [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)手羽肉(骨なし)二枚(2)キャベツ一〇〇グラム(3)もやし四〇〇グラム(4)しいたけ三枚(5)筍(ゆでたもの)五〇〇グラム(6)長ねぎ二分の一本(7)春雨(湯でもどしておく)二分の一束(8)玉子一個(9)スープ(チキンスープの素一個半)二カップ(10)酒大さじ二杯、みりん大さじ一杯半、醤油大さじ三杯、塩、胡椒少々(11)片栗粉、ごま、化学調味料、生姜(しぼり汁)大さじ一杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)手羽肉はひと口大に切り、酒、みりん、生姜のしぼり汁をふりかけておく。 (2)キャベツは湯がいてしいたけ、筍と一緒に千切りにしておく。春雨は湯でもどして適当に切っておく。もやしもヒゲと頭を取って、長ねぎは薄くななめ切りにしておく。 (3)玉子と水を合わせ、片栗粉を入れて天ぷらの衣を作る。 (4)手羽肉に粉をつけて片栗粉の衣をまぶし油で揚げてやる。 (5)鍋にスープを煮たて、キャベツ、しいたけ、筍を入れて煮たて、塩、胡椒、醤油で味をつける。その中に春雨、もやし、長ねぎを入れてひと煮たちさせ、化学調味料で味を整え、そこへ手羽肉の天ぷらを入れてやる。 しらす干しとさけ入りご飯 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)米三カップ(2)しらす干し五〇グラム(3)さけ(甘塩)一切れ(4)生姜(みじん切りにして水にさらしたもの)大さじ一杯半(5)長ねぎ(みじん切りにして水にさらす)大さじ三杯(6)醤油大さじ一杯、塩小さじ三分の二杯、みりん小さじ一杯、酒大さじ一杯、化学調味料少々(7)海苔(もみ海苔)一枚(8)大根おろし一カップ(9)かつお節(薄くけずったもの)大さじ二杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)米は洗って三〇分ほどおいてから釜に入れ、一割増(三・三カップ)の水を入れ、醤油、塩、酒、みりん、化学調味料を入れる。 (2)甘塩さけはこんがりと焼いて皮と骨をはずして細かくしておく。 (3)お米に生姜のみじん切りとしらす干しを入れて炊きあげる。 (4)蒸らしのときに、さらしねぎと、さけを加えて一〇分ほど蒸らし、蒸し上がったらご飯の中に混ぜこむ。 (5)大根おろしは水気をしぼり、醤油と化学調味料を合わせたもので味つけしておく。 (6)蒸しあがったご飯を丼に入れ、大根おろしとけずり節を真中におき、まわりに錦糸玉子ともみ海苔を飾る。つけ合わせは野菜の煮物など。 豚バラ肉と蓮根の炒め物 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)豚バラ肉(薄切り肉)三〇〇グラム(2)蓮根一五〇グラム(3)かんずり(トウバンジャン)小さじ一杯半(4)醤油三分の一カップ、酒三分の一カップ [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)豚バラ肉はひと口大よりやや大きめに切っておく。 (2)蓮根は薄切りにして酢水につけてさらしておく。 (3)フライパン又は中華鍋を熱して豚バラ肉を入れ、弱火にして、豚脂が充分に出るように炒めてカラカラに仕上げ、そこへ蓮根を入れて脂をからませてから、かんずり(トウバンジャン)を入れて全体にまぶしつけ、火を強火にして醤油と酒を注ぎ入れ、手早くかきまぜて汁気のなくなるまで炒りつけてやる。 いかと玉ねぎのリング揚げカレー風味 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)いか(冷凍もの)二杯(2)玉ねぎ(中)二個(3)粉チーズ大さじ三杯(4)カレー粉大さじ一杯(5)塩、胡椒、小麦粉、とき玉子一個、パン粉、揚げ油 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)いかは足とワタを抜き、皮をむいて水気をふきとり二センチ幅に輪切りに切り軽く塩、胡椒をふっておく。 (2)玉ねぎもいかと同じように輪切りにして、塩、胡椒をふっておく。 (3)粉チーズとカレー粉はよく混ぜ合わせてパン粉に合わせる。 (4)いかと玉ねぎに小麦粉をふり、とき玉子をつけ、パン粉をまぶして余分をはらって一七〇度の温度で揚げてやる。サラダ菜、パセリ、レモンのくし型などをあしらい、ウスターソースか、タルタル、サウザンをかけてやる。 ハンバーググラタン [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)牛ひき肉二〇〇グラム(2)玉ねぎ中二分の一個(3)カットマカロニ(ゆでたもの)二〇〇グラム(4)玉子四個半(5)トマトケチャップ大さじ五杯、ウスターソース大さじ二杯、酒大さじ一杯、ナツメッグ少々、塩、胡椒、おろしチーズ大さじ二杯、バター大さじ三杯(6)スープ(スープの素一個)一カップ [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)牛ひき肉に玉ねぎのみじん切り、玉子二分の一個をといて、酒大さじ一杯を入れ、塩小さじ三分の一杯、胡椒、ナツメッグを入れ、よく混ぜ合わせる。 (2)マカロニはゆでておく。 (3)グラタン皿又はアルミホイル(二重)にバターを塗り、マカロニ一〇〇グラムをしき、その上に牛ひき肉一〇〇グラムをのせ、またその上に残りのマカロニをおき、またその上に牛ひき肉一〇〇グラムを並べる。 (4)トマトケチャップ、ウスターソースに、塩、胡椒少々を混ぜたものを(3)にかけて、四か所をくぼませて玉子四個を割り落とし、塩少々とおろしチーズをふり、バター大さじ二杯をところどころにおいて、オーブンで中火で二〇〜三〇分焼く。オーブンがない場合は、フライパンにアルミホイル一枚をしき、二重のアルミホイルで包んでフタをして一五〜二〇分焼いてやる。 切り干し大根とむき身の煮つけ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)切り干し大根五〇グラム(2)あさりむき身(缶詰でもよい)二〇〇グラム(3)油揚げ(短ざく切り、油ぬき)一枚(4)砂糖大さじ三杯、醤油大さじ六杯、酒大さじ一杯(5)タカの爪一本 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)切り干し大根はよく洗って五〜六センチに切り、ひたひたのぬるま湯でもどして、つけ汁ごと火にかけ、煮たったら弱火にしてやわらかく煮てやる。 (2)むき身は小ザルに入れて塩水でふり洗いして水気を切る(缶詰はそのまま)。 (3)油揚げとむき身を切り干しの鍋に入れて調味料を入れ、強火で汁気のなくなるまで煮る。このときタカの爪一本を切らずに種だけ取ったものを入れてやる。 ベーコンの重ね煮 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)薄切りベーコン八切れ(2)玉ねぎ中一個(3)じゃがいも大二個(4)人参(輪切り)三分の一本(5)月桂樹の葉(ローリエ)一枚(6)きざみパセリ大さじ一杯(7)スープ(スープの素二〜三個)三カップ(8)酒又はワイン大さじ三杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)ベーコンはサッと湯をかけ、四つ切りにする。 (2)玉ねぎは荒みじんにきざみ、じゃがいもは五ミリ厚さに切り、水に放しておく。人参は薄く輪切りにしておく。 (3)厚手の鍋にベーコン、玉ねぎ、じゃがいもを重ねて、一番上に人参の輪切りとローリエをおき、スープの素をといたスープを入れ、酒大さじ三杯を入れて一五分ほど煮てやる。仕上げにパセリのみじんを散らす。 筍のおろし揚げとハム筍 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 筍のおろし揚げ(1)筍(根の固い部分をすりおろす)四〇〇cc、二カップ(2)粉大さじ五杯(3)玉子一個(4)ベーコン五〇グラム(5)青じそ一束(6)塩小さじ二分の一杯(7)油 ハム筍(1)筍五〇〇グラム(2)ハム又はベーコン一〇〇グラム(3)固形スープの素一〜二個(4)酒大さじ一杯(5)胡椒少々(6)片栗粉大さじ二分の一杯(7)水又は湯二分の一カップ(8)さやえんどう又はほうれん草 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 [#ここから1字下げ] 筍のおろし揚げ [#ここで字下げ終わり] (1)筍の根元の固い部分をすりおろして、水気を軽くしぼっておく。 (2)おろした筍に粉を入れ玉子を落として塩を入れてよく混ぜる。 (3)三等分して、そのひとつにベーコンのみじん切り、もうひとつに青じその千切りを混ぜて、三品にする。 (4)鍋に揚げ油を入れて、天ぷらの要領で大さじですくって落として揚げる。 (5)揚げた筍は、熱いうちに天つゆと大根おろしで食べる。みそ汁仕立てか又は、甘辛く煮つけてもよい。 [#ここから1字下げ] ハム筍 [#ここで字下げ終わり] (1)筍とハム又はベーコンをマッチの軸ほどに切っておく。 (2)鍋に分量の水又は湯を入れ、スープの素と酒を入れて煮たたせて、そこへ筍とハム又はベーコンを入れて、四〜五分ほど煮て、味つけする。 (3)熱したスープの中に、さやえんどう又はほうれん草のきざみを入れて、片栗粉でトロミをつける。かき玉子の散らしを入れてもよい。もうひと味ほしいときは、バターを少々落とす。市販のインスタントスープを使えば簡単である。 ゆで玉子のグラタン [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)玉子(固ゆで)四個(2)ロースハム(みじん切り)四枚(3)パセリ(みじん切り)大さじ二杯(4)玉ねぎ(おろしたもの)大さじ一杯半(5)バター大さじ二杯、ウスターソース小さじ一杯半、マスタード小さじ一杯、サラダ油小さじ一杯(6)ホワイトソース二カップ(7)パルメザンチーズ大さじ三杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)ゆで玉子はタテ半分に切って黄身を出して器に取ってつぶし、とかしたバターを加えてよく練り、そこへ玉ねぎ、ウスターソース、マスタード、パセリ、ハムを加えてよく混ぜ、合わせて白身に詰めてやる。 (2)グラタン皿、又は耐熱ガラス皿(熱皿)にサラダ油を塗り、玉子を並べて、ホワイトソースを注いでおろしチーズをふりかけ、弱火のオーブンで二〇分ほど焼いてやる。 [#ここから1字下げ] ホワイトソース [#ここで字下げ終わり] (1)大さじ二杯のバターを弱火で焦がさぬようにとかしてそこへ小麦粉大さじ三杯を入れてゆっくり炒め、スープ(コンソメ一個)を入れたもの一カップと、牛乳四分の三カップを温めたものを入れてルウを作り、塩、胡椒で味を整えてやる。 マカロニ・ナポリターナ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)マカロニ(リボン)三〇〇グラム(2)ベーコン(千切り)二枚又はハム二枚(3)あさり(むき身)一〇〇グラム(4)玉ねぎ(薄切り)一個(5)生しいたけ(薄切り)二枚(6)パセリ(みじん切り)大さじ一杯(7)スープ(スープの素二個)三カップ(8)トマトピューレ大さじ四杯(9)塩小さじ三分の二杯、胡椒少々、酒大さじ一杯、油大さじ一杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)マカロニはゆでておく。 (2)フライパンに油大さじ一杯を入れ、玉ねぎ、しいたけ、ベーコンを入れて炒め、火が通ったらスープを入れて四〜五分煮て、マカロニ、あさり、トマトピューレ、塩、胡椒、酒を入れて火を通してやる。火が通ったら皿に盛って粉チーズ、パセリをふってやる。耐熱ガラスに入れて天火にちょっとかけてやれば一層うまくなる。 カキのすり流し味噌汁 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)カキ二〇粒(2)味噌大さじ四杯(3)出し汁(昆布かつお出し)四〇〇cc(4)酒かす大さじ一杯(5)わけぎ(きざんだもの)大さじ二杯(6)針生姜大さじ二杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)カキは塩水で洗って汚れを取り、粒のいいものを一〇粒残して、後はすり鉢でよくすっておく。 (2)出し汁を沸かして粒ガキを湯がいて取り出し、その出し汁をすり鉢にいれてカキのすり身をとき、鍋にもどして火にかけ、沸かさないように弱火で煮る。味噌と酒かすをすり合わせたものを入れて味を整える。家の味噌でも、好みで西京味噌でもよい。少し沸きかげんになってきたら、粒ガキを入れてちょっと煮て、出来上がり。お椀に盛ってわけぎのきざみを散らし、針生姜を少々おく。好みでとき辛子でもよい。 粉ふきいもの牛ひき肉炒め合わせ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)じゃがいも大三個(2)牛ひき肉三〇〇グラム(3)バター大さじ二杯半(4)塩、胡椒、カレー粉大さじ一杯、日本酒又はワイン(5)パセリ(みじん切り)大さじ一杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)じゃがいもは皮をむき、乱切りにして水にさらしてアクをぬき、やや固めにゆで、ゆであがったら水を切り、再び火にかけて粉ふきいもを作る。 (2)フライパンにバターを入れ中火にしてとけ出したらひき肉を入れ、調味料(カレー粉はのぞく)を入れて強火にしてよく炒め、火が通ったら火を弱めてカレー粉を炒め、全体にからめる。味が足りないようだったら、塩、胡椒で味を足す。 (3)器に熱い粉ふきいもを盛り、ひき肉をかけ、パセリ又はパプリカをふる。 里いものカレー煮 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)里いも六〇〇グラム(2)玉ねぎ中一個(3)にんにくひとかけ(4)生姜(みじん切り)大さじ二杯(5)トマト二個(6)ピーマン三個(7)牛ひき肉三〇〇グラム(8)バター大さじ三杯又はサラダ油大さじ五杯(9)カレー粉大さじ一杯半(10)塩小さじ二杯、砂糖小さじ一杯、酒大さじ一杯、ウスターソース大さじ一杯(11)揚げ油 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)里いもは皮をむいて大きさをそろえて乱切りにする。それをゆでて串が通るくらいのやわらかさになったら、水気をよく切って中温(一八〇度)の揚げ油でキツネ色に揚げておく。 (2)ピーマンはみじん切りにし、トマトは湯むきし、種を取って乱切りにする。 (3)玉ねぎ、にんにくは細くきざみ、厚手の鍋にサラダ油又はバターを入れ、よく炒める。その中へ牛ひき肉を入れ、酒をいれて塩を少々、ウスターソースを入れて、さらにカレー粉を加えてよく炒める。 (4)(3)に生姜、ピーマン、トマトを入れ、塩小さじ二杯、砂糖を入れて軽くひと煮だちさせる。そこへ里いもを加えて火を弱め、煮汁が少なくなるまで煮つめる。味をみて、カレー粉、塩を足す。 たらの酒蒸し焼き [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)たら(切り身)四枚(2)わけぎ(又は長ねぎ一本)半束(3)生姜(薄切り)四〜五枚(4)塩、胡椒少々、酒大さじ三杯、バター小さじ一杯、サラダ油大さじ二杯、小麦粉少々 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)たらは甘塩だったらそのまま、生だらだったら薄く塩をして胡椒をふり、軽く小麦粉をふっておく。 (2)わけぎは一〇センチの長さに、長ねぎだったら五センチのななめ薄切りにしておく。 (3)フライパンにサラダ油を入れ、バターを入れて魚を炒め、焦げ目がついたら返して焼く(このとき生姜も入れて焼く)。裏返したとき、わけぎをわきにおき、酒を全体にふりかけて、フタをしてちょっと強火にして汁気のなくなるまで蒸し焼きにしてやる。 高野豆腐と里いもの煮物 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)高野豆腐四個(2)里いも四〇〇グラム(3)出し汁三カップ(4)出し昆布(一〇センチ)一枚(5)砂糖大さじ五杯、醤油(薄口)大さじ一杯、塩小さじ一杯半、酒大さじ二杯、みりん大さじ一杯(6)柚子の皮、さやえんどう(ゆでたもの)二〜三枚 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)高野豆腐はボウルに入れて熱湯をたっぷりかけてもどし、やわらかくなったら水を入れ、軽くしぼりながら濁りのなくなるまで洗い、形をくずさないように水気を切っておく。 (2)里いもは塩もみをして水洗いしてゆでる。途中でゆでこぼしてぬめりを取ってやる。 (3)鍋に出し汁一カップ半、砂糖大さじ三杯、醤油大さじ一杯、塩小さじ三分の一杯、酒、みりんを入れて煮たたせ、高野豆腐を重ねないようにして入れ、弱火で汁のなくなるまで煮てやる。煮上がったら一個を四つに切る。 (4)鍋に里いもを入れ、出し昆布を入れ、出し汁一カップ半、砂糖大さじ二杯、酒大さじ一杯を入れて四〜五分ほど弱火で煮て、味をしみこませてから、塩小さじ三分の二杯を入れてゆっくり煮ふくませる。 (5)両方を器に盛って、柚子の皮少々、青味(さやえんどうをゆでて千切りにしたもの)を添えてやる。 フランス風あんこう鍋 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)あんこうの切り身(皮、内臓も一緒)一パック(2)はまぐり又はカキ五個(3)玉ねぎ(みじん切り)中三分の一個(4)わけぎ又はポロねぎ(四センチに切る)三本(5)トマト(熟したもの、あられ切り)一個(6)白身魚のアラのスープ又は水(固形スープ二個)二カップ(7)にんにく(みじん切り)ひとかけ、ローリエ一枚、セージ小さじ一杯、サフラン少々(8)塩、胡椒、醤油小さじ一杯(9)白ワイン四分の一カップ(10)サラダ油又はオリーブ油大さじ二杯(11)クルトン、パセリ(みじん)大さじ一杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)シチュー鍋か厚手の煮物鍋を熱してオイルを入れ、火をちょっと弱めてにんにく、玉ねぎ、わけぎ、トマトを入れて、トマトが煮くずれるまで炒める。 (2)そこへあんこうを入れて色が変わるまで炒め、はまぐりを入れ、スープ二カップを入れてやる。煮たってきたら、アクをていねいに取る。水気が足りないようだったら、水三分の一カップほど足し、塩、胡椒、香辛料を入れて中弱火で一〇分ほど煮て、スープに味がしみたらワインを入れて香りをつけ、最後に醤油で味を整え、深皿に盛り、クルトンとパセリのみじんをふる。 カキの辛子ソース揚げ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)カキ二〇〜二五粒(2)玉ねぎ(細かくみじんにして水にさらしてしぼっておく)一個(3)ベーコン五〜六枚(4)小麦粉大さじ六杯、パン粉大さじ一〇杯、玉子一個(5)パセリ(みじん切り)大さじ二杯、おろしチーズ大さじ三杯(6)辛子ソース(ウスターソース大さじ五杯、マスタード大さじ一杯)(7)ブラウンソース(即席)(a)バター大さじ一杯(b)スープ大さじ三杯(c)ウスターソース大さじ二杯(d)トマトケチャップ大さじ二杯塩、(e)胡椒少々(f)酒大さじ一杯、(a)〜(f)の材料を入れて煮る。(8)揚げ油 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)カキは塩水又は大根おろしでふり洗いして掃除をしておき、布巾で水気を取っておく。 (2)玉ねぎはごく細かくみじん切りにして水にさらしてから、布巾でしぼって水気を取っておく。 (3)カキに玉ねぎをまぶし、ベーコンでひと巻きして、ようじでとめて、小麦粉をつけ、辛子ソース(6)をからませ、とき玉子、パン粉をつけ一九〇度の油でカラリと揚げてやる。 (4)器にカキフライを盛り、(7)のブラウンソースをかけ、パセリとおろしチーズをふる。 ※揚げたポテト、レモン(くし型)をつける。トースト(バターつき)をつけてもよい。 豚ロースと玉ねぎの風味焼き [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)豚ロース一二〇〜一五〇グラム(2)玉ねぎ中二個(3)キャベツの葉(千切り)二枚(4)人参(千切り)五〇グラム(5)トマトケチャップ大さじ一杯、ローリエ一枚、パセリ(6)塩、胡椒、バター大さじ二杯、酒大さじ二杯、油大さじ五杯(7)レモン [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)豚肉は油の部分に切り込みを入れて軽く叩いておく。 (2)玉ねぎは五ミリの厚さの輪切りにしておく。 (3)深皿に油大さじ五杯を入れ、ローリエ、パセリの軸を入れて、肉と玉ねぎを三〇分ほど漬け込んでおく。 (4)キャベツと人参は千切りにして水に放してハリハリさせておく。 (5)皿から豚肉を取り出し、塩、胡椒をして、豚肉を漬けたオイルをフライパンに入れて熱し、強火で両面を焼き、弱火にして、焼き上がりにバター大さじ一杯と酒をふってやる。 (6)豚肉を取り出したフライパンに玉ねぎを入れ、火を弱めて塩、胡椒して色が変わるまで炒めて、仕上げにバター大さじ一杯を落としてやる。残りの汁にトマトケチャップを落とし、ソースを作ってやる。 (7)温めた皿に豚肉と玉ねぎを盛り、パセリをふり、人参、キャベツ、レモンのくし型をおく。     四 月     筍の刺し身     |湯《ゆ》|葉《ば》|真《しん》|蒸《じょ》  私の芝居の師、故岩田豊雄(獅子文六)先生は、食べることが大変お好きでグルメであった。  芝居のお話にお宅に伺うとたいていは、芝居よりも食うことの話になった。先生が動脈瘤破裂で急逝される三日前に、私は京都での仕事の帰りに錦市場に寄ってグジ(若狭の甘鯛)と湯葉真蒸(湯葉を蒸してカステラのように作りあげたもの)を求めてお土産に持参した。  実は、湯葉真蒸にはこんな話がついている。ある日、先生のお宅にお邪魔すると、 「金子、お前は湯葉の蒸しもの湯葉真蒸を食ったことがあるか?」 「はい」 「そうか、京都にはまだまだ本当の食いものがあるんだなあ」  そんな会話があって後、私はこれも故人になった京都|先《ぽん》|斗《と》町の酒亭「ますだ」の女主人お|好《たか》さんの手引で、湯葉屋に頼みこんで湯葉真蒸をつくってもらい先生のお宅に持参したのだ。  先生急逝の知らせを受けて女房とお宅へお悔みに飛んで行くと、まだ通夜の客も少なく、先生は穏やかに眠っているようなお顔で横になっていた。その|傍《かたわ》らで奥様が、 「ねえ、金子さん、こんなことがあったのよ。金子さんにグジと湯葉真蒸を三日前にいただいたでしょう」 「はい」 「岩田はね、これはお前たちにやれないと言って私と息子にはグジのアラのお吸物だけで、あとは全部冷蔵庫にしまいこんで自分だけで楽しんで食べていたの。だから、とうとう湯葉真蒸はまだ食べきらないうちに逝ってしまったのよ。でも、|美《お》|味《い》しいもの、食べたいものを自分だけで食べる岩田を見ていると、楽しそうだったわ」  と、夫人は物静かに言われた。  私も、この棲み辛い世の中を楽しく自由に生きるためには、三度の食事を他人に|忖《そん》|度《たく》することなく喰うことこそがこの世の快哉であり口悦だと信じて、暇があると包丁を研ぎ、料理を作っている。  日本国最後の元老西園寺公望公爵は、尺余の鯛から目玉と脇腹一寸四方だけを魚屋から取り寄せて食べたという。  目玉と脇腹は尺余の鯛の魚肉のなかでも珍味中の珍味である。  私の財力では、そんな贅沢はできないが、それでも|鯵《あじ》ぐらいならできるから、鯵の煮付をつくると、目玉と頬肉は私だけがせせって食べてしまう。女房や息子には食べさせない。  もっとも、近頃の若いものは、目玉や頬肉をせせるようなことはしなくなった。淋しいかぎりである。     釧路の生腹子  仕事がら日本全国を歩くが、旨いものに目がない私は、かならずその土地の市場をのぞく。  早起きが辛いときもあるが、それこそ早起き三文の得と思って出かける。市場に行くと、思いもかけない勉強をする。  北海道釧路には、駅前に和商市場という大きな近代的な市場がある。魚の水揚げが日本一の港を控えているだけに市場は活気に満ちている。  十月に市場に寄ったらさけの生腹子のいいものがあったので、私は何本か求めて東京に持ち帰り、酒とうすくち醤油で生筋子漬をつくって大いに賞味した。  ひと粒ずつを口のなかでプチプチと割ると、滋味溢れる液体がじわーっと喉まで滲みてくる。炊きたての御飯に大さじ一杯ほどの筋子漬をのせてひとかき混ぜて口に入れると、生玉子の混ぜ御飯の百倍ぐらいの旨さである。  これに味をしめて、十一月に、また釧路に行き、和商市場に行って生腹子を買おうとしたら、「やまげん」(魚屋)の親父に、もう皮が固くて旨くないからおやめなさいといわれた。十月に買って帰ってから二十日も経っていないのにである。  なるほど、そういわれて釧路の料理屋で突き出しに出されていた筋子漬を食べたら、口中にいくらの皮が確かに残った。おかしなもので、そうなると、東京に帰って珍味として高級料亭で出されても、以前のような旨さは感じなくなった。われながら現金なものである。     旬の味覚  四月の声を聞くと|筍《たけのこ》が出廻るようになる。近頃では、十二月に筍の天然のものが出ているが、本当の味は四月に入って白子筍が出るようになってからだ。その歯ざわりは、春から初夏の味である。 〈筍の刺し身〉  掘りたての新鮮で太ぶりな筍でつくると珍味である。これはゆでたての筍の先の柔らかいところを薄くそぎ身に切り、いち度びきの昆布出しで洗うように|濯《すす》いで冷蔵庫に入れ、よく冷やしておく。  梅干しの種を取り、すり鉢で当って大粒の梅干し一個にうすくち醤油をひとたらしに味醂少々を加え、昆布出し大さじ一杯ほどを足してゆるく溶き伸ばしてから、丁寧につくるなら裏ごしにかける。これに|山葵《わさび》をおろして混ぜ合わせて筍のうす切りを食べる。  簡単にするなら市販の梅びしおでよいが、手づくりの味には及ばない。     谷中の桜見物  冬の終わりを告げる春一番がひと吹き吹き荒れると春の訪れは早い。三寒四温という陽気の繰りかえしがあって、西の方から桜便りがもたらされ、東京の空を大陸からの黄塵が灰色に染めると陽春である。  都会の食べ物に四季がなくなって、夏野菜のようなものでも一年中出廻っているが、それでも、四月の声を聞くと、山の幸海の幸はビニール栽培や養殖ものでない、|旬《しゅん》の味が出廻ってくる。  京都の錦小路の市場をのぞくと、|春《はる》|韮《にら》、|独《う》|活《ど》、山椒、春筍、空豆、桜鯛、|鱚《きす》、|飛《とび》|魚《うお》、|目《め》|張《ばる》、若布、|鹿《ひ》|尾《じ》|菜《き》、蛤、などが見栄えよく並べられていて楽しい。  鯛は、何時でも味があまり変わらないと言われ、姿の美しさと言い、肉のしまり具合や風味は、まさに「腐っても鯛は鯛」である。ことに外海の深みから産卵のために瀬戸内海の浅瀬に乗り込んでくる鯛こそは魚の王者とたとえても過言ではあるまい。  ただ、残念なことには近年めっきり漁獲量が減って、名物瀬戸内海の鯛網漁も昔ほどの活気がないようだ。これについては面白いことがあった。  テレビで鯛網漁を中継放送しているとき、鯛網指導船が大漁旗をかかげながら、漁船の取り囲んだ網の上をエンジンの音も高くポンポンと通り過ぎて行った。その場面の状況を伝えていたアナウンサーが、傍にいる組合長に、 「あれ、船の|生《いけ》|簀《す》の底をあけて、鯛を放しているんでしょう」  と聞いた。組合長のそれまでの機嫌のいい顔が途端に仏頂面になって、 「ヤボな質問をするもんじゃありませんよ」  と横を向いてしまった。  それもそのはずで、今日では、|他《よそ》から鯛を持って来て囲っておき、それを春の瀬戸内海のショーとして客を呼んでいるのである。私も大分前に見物したことがあるが、網がだんだん締められてくると、鯛のやつ、やれやれ、またおつとめか! とまるで気のない面を見せたので、思わず笑ってしまったことがある。揚げた鯛は、遊覧船のお客にその場で売るが、どう見てもその色合いが養殖ものだったことがある。  鯛の養殖もいまでは進んで、昔とは違い味もずい分とよくなったが、その色だけはどうしても天然の真鯛には及ばない。  鯛の浜焼は、尾道や糸崎の名物だったが、塩田のなくなった現在では、鯛もさることながら、いい塩がないから昔のような味が出せないのではなかろうか……。     東京の故里  母方の祖父母の墓参りかたがた、私の生まれ故郷でもある台東区の谷中の墓地に桜見物に行った。昭和二〇年三月の空襲で家を失って、流れ流れて杉並村に居を構えて二五年になり、ここが|終《つい》の|栖《すみか》になりそうだが、ときに無性に谷中が恋しくなる。その土地には、亡くなった父や母の匂いがあるからだ。町の様子は戦前とすっかり変わって、向う三軒両隣の知人もいない。みんな何処かへ散ってしまった。しかし、道だけは変わらない。子供の頃、大通りだと思っていた団子坂から谷中天王寺町への坂道は、やっと自動車がすれ違うだけの道幅だった。そして、こんなせまい路地でキャッチボールをしたのかと想像もできない小路がちゃんと残っている。わが家の前が酒屋で、その隣が印刷屋、次にラジオ屋があって唐木屋(置物細工)と続き、角が植半という鰻屋で団子坂下からの道になっていた。わが家の隣は荒物屋、炭屋、喫茶店、そして角がその昔は焼芋屋だったが、戦争の激しくなった頃には古本屋だった。現在では有名な千代紙屋さんになっている。そんな一軒一軒の想い出をふりかえりながら、生まれた土地を歩くのは楽しい。  幸田露伴の名作『五重塔』のモデルになった谷中天王寺の五重塔は浮浪者かアベックだったか忘れてしまったが、火を出して焼いてしまった。その傍に妖婦高橋お伝の石碑があり、その隣が共同便所というのはどういうわけか……。  徳川家の|霊廟《れいびょう》を遠くから拝んで寛永寺坂を下って根岸へ出た。母方の大伯父は彰義隊の若年の隊士で、函館の五稜郭まで行って闘った武士である。銚子沖の軍船に乗るためには、根岸から水戸街道へと落ちて行ったのだろう。当時、このあたりの民家は戸を固く閉じて、その前に酒樽や握り飯を置いて隊士たちを|労《ねぎら》ったという。  根岸へ下りてから日暮里へ曲がる道角で、豆富[#「富」に傍点]「笹乃雪」の看板が目に入った。谷中に住んでいたときには、父に連れられて何度か食べに来た。子供にとって、豆腐料理オンリーというのは苦痛だったが、年寄りになったいまの私にはふさわしい食物である。昔と趣きがすっかり変わってしまったが、ぶらりと入って見た。  卯月を意識してのことではないが、心の隅の御先祖や父母への思慕の情が働いてフラリと入ったのだ。 四月のお惣菜 ひな鳥の中華風空揚げ [#ここから2字下げ] 〈材料〉(以下、指定のないものは四人前) (1)鶏肉(ひな鳥)手羽先四五〇グラム(2)サラダ菜四枚(3)長ねぎ二分の一本(4)片栗粉少々(5)生姜のしぼり汁小さじ一杯半、砂糖小さじ一杯、醤油大さじ一杯半、塩小さじ二分の一杯、花椒粉又は山椒粉(なければ黒胡椒でもよい)小さじ二分の一杯(6)酢大さじ四杯、ごま油小さじ一杯半、炒め油小さじ一杯半 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)ボウルに(5)の調味料を入れ、よく混ぜ合わせておく(好みによりにんにくひとかけをすりおろしたものを加えてもよい)。 (2)食べやすい大きさに切ったひな鳥の手羽先を(1)に入れて、三〇分ほど漬けておき、ときどき上下まんべんなくかきまわす。 (3)手羽先をボウルから取り出し、漬け汁をよくきってから、軽く片栗粉をまぶす。 (4)一八〇度ぐらいの揚げ油で、中までよく火が通るように、油を箸でかき混ぜながら揚げる。 (5)サラダ菜は氷水で洗い、水気をよくきって、皿に広げておく。 (6)長ねぎは荒目のみじん切りにしてから、よく熱した中華鍋に炒め油を入れてさっと炒め、そこに酢とごま油を入れて煮たててから火を止め、サラダ菜の上に盛りつけた手羽先の上にふりかける。 牛肉のウスターソース煮 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)牛肉のスネ肉五〇〇グラム(2)土生姜(スライスしたもの)ひとかけ(3)にんにく(スライスしたもの)ひとかけ(4)長ねぎ(四センチ切り)一本(5)ローリエ(月桂樹の葉)一枚(6)セロリ(葉の部分はのぞき、筋を取って四センチの長さに切る)二本(7)日本酒(一カップ)二〇〇cc(8)ウスターソース(一カップ)二〇〇cc(9)サラダ油大さじ三〜四杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)牛スネ肉は凧糸でよくしばってから、フライパンにサラダオイルを入れて熱し、そこへ肉を入れ、強火でころがしながら焦げ目をつけてから取り出し、熱湯をかける。 (2)牛肉が入るぐらいの大きさの深目の厚手鍋に牛肉を入れ、生姜、にんにく、長ねぎ、セロリ、ローリエを入れて、日本酒を注ぎ、牛肉がかぶるぐらいまで水を足して火にかける。はじめは強火で、沸騰しかけたら火を弱めて、三〇分ぐらいコトコトとていねいにアクを取りながら煮る。水が足りないようだったら足してやる。 (3)肉に串が通るようになったら、そこにウスターソース二分の一カップを入れ、また三〇〜四〇分ぐらい中弱火で焦がさないように煮て、肉が充分にやわらかくなったら、残りの二分の一カップのウスターソースを入れてソース味をふくませてから火を止める。 (4)冷めたら肉を取り出し、切り分ける。 (5)残ったソースは、カレーライスの材料として使ったり、ハヤシライスに応用すると無駄がない。 (6)ソースの煮汁二分の一カップにトマトケチャップ大さじ一杯半と固形スープの素二分の一個を入れてソースを作って肉にかけてやる。 豚肉とこんにゃくの酒蒸し [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)豚肉(肩ロース又は三枚肉を、かたまりで)四〇〇グラム(2)長ねぎ(四センチくらいに切っておく)四〜五本(3)こんにゃく(湯通しして、三ミリ幅に切る)一枚(4)干ししいたけ(水にもどしておく)四、五枚(5)出し昆布(一〇センチ)一枚(6)土生姜(親指大)スライス二かけ(7)塩大さじ一杯半、黒胡椒小さじ一杯、日本酒五〇cc、にんにく(好きな人は入れる) [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)豚肉は凧糸で軽くしばって深皿におき、塩、胡椒をして、竹串かフォークで肉全体をつついて、酒を五〇ccほどふっておく。 (2)深皿の底にこんにゃくを並べ、青い長ねぎと生姜の半量をおいて、肉をのせて、肉と凧糸の間に残りの長ねぎ、しいたけ、生姜をはさみこんでゆく。肉の上に出し昆布をかぶせる。 (3)蒸し器の底に布巾をしき、深皿をおいて、布巾をはさんでフタをし、四〇分ほど強火にかけて一気に蒸し上げる。 (4)蒸し上げて豚肉に串を刺してみて、ピンク色の濁り汁が上がってこなければ出来上がり。肉汁が赤かったらもう少し蒸してやる。熱いうちでもよいが、冷ましてから薄切りにして、こんにゃくとともに皿に盛る(蒸し器が大きい場合はこんにゃくを増やす)。生姜は捨てるが、長ねぎ、しいたけ、昆布(千切り)はつけ合わせにする。辛子醤油か酢醤油で食べる。 (5)深皿に残った肉汁は、熱いうちに布巾で|漉《こ》して、水を足し、固形ブイヨン、又は味噌に化学調味料などで好みの味をつけて、わけぎ、玉ねぎのみじん切りを入れてスープにする。 さけのムニエルとトマトの味噌汁 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 さけのムニエル(1)生さけ(筒切り、なければ切り身でもよい)四切れ(2)塩、胡椒、小麦粉、酒、粒入りマスタード、オリーブ油、バター、化学調味料(3)(つけ合わせ用として)カボチャ二分の一個、いんげん豆二〇〇グラム、パセリ、レモン一個、トマト(4)市販のタルタルソース、和風ステーキソース トマトの味噌汁(1)合わせ味噌大さじ二〜二杯半、コンソメ固形スープの素二分の一個(2)トマト中くらいのもの一個(3)貝割れ菜か三つ葉、昆布出し又は水六〇〇cc [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 [#ここから1字下げ] さけのムニエル [#ここで字下げ終わり] (1)生さけは塩、胡椒、酒をふって、ザルに並べて一〇分ほどおいておく。その間にカボチャを四センチ角に切り、薄く塩をふり蒸し器にかける。いんげん豆は塩ゆでして、ゆで上がったらうちわであおいで冷まし、塩、化学調味料をふる。 (2)さけの片面にマスタードを薄く塗り、よくふるった小麦粉をまぶす。 (3)厚手のフライパンか鍋にオリーブ油大さじ一杯半を熱し、バターを入れてからさけを入れ、はじめは強火で焦がさないように手早く表裏を焼き、フタをして、弱火でじっくりと蒸し焼きにする。 (4)温めた皿につけ合わせの野菜を盛りつけ、さけのムニエルをおき、くし型に切ったレモンとトマト、パセリを添え、タルタルソースか和風ステーキソースを各自の好みでかける。 [#ここから1字下げ] トマトの味噌汁 [#ここで字下げ終わり] (1)湯むきしたトマトを五ミリ幅の輪切りにして、種を取り、昆布出しの味噌汁にスープの素を入れて沸騰する直前にトマトを入れて、火を弱めて煮てから椀に盛り、貝割れ菜か三つ葉を散らす。 めばるの煮つけ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)めばるの切り身四切れ(2)小松菜二分の一束(3)あさつき半束(4)生姜のスライスしたもの四、五切れ(5)昆布出し(二カップ)四〇〇cc、みりん大さじ四杯、酒大さじ五杯、醤油大さじ四杯、塩少々、砂糖大さじ一杯、ごま油小さじ一杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)めばるの切り身に薄く塩を落として、日本酒少々をふりかけて二〇分ほどおき、汁気をふく。 (2)小松菜は塩を入れた熱湯でさっとゆでて、冷水に取り、水気をしぼって三センチぐらいの長さに切る。あさつきは小口切りにしておく。 (3)昆布出しを煮たたせ、酒、みりん、醤油を加えて煮たたせ、魚が重ならないように並べて入れ、生姜のスライスを乗せて、強火で五分、落としブタをして弱火で一〇〜一五分ほど煮る。魚の鮮度がよくないときは、砂糖を少し足す。 (4)煮上がったら、ごま油を落とし、ふくませてから魚を取り出し、残った煮汁で小松菜を煮る。 (5)皿に盛り合わせて、煮汁をかけ、あさつきをふる。 とんかつの風味揚げ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)豚ロース又は赤身切り肉(二〜三ミリの厚さのもの)一二枚、四〇〇グラム(2)ハンバーグ用プロセスチーズ(とけるもの)四枚(3)しその葉(大葉)千切り半束(4)(応用編として)ハム、ソーセージ、かまぼこ、りんごを煮たもの、貝割れ菜など適量(5)(つけ合わせのサラダ用に)レタス、貝割れ菜、トマト、キウイフルーツ(6)小麦粉、パン粉、玉子、塩、胡椒、揚げ油 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)豚肉の薄切り肉を広げて軽く塩、胡椒をする。全面にプロセスチーズをのせ、その上にまた豚肉を重ね、しその葉をのせ、再び豚肉を重ねる。 (2)小麦粉をまぶし、とき玉子、パン粉をつけて一七〇度ぐらいに熱した油でゆっくり揚げる。 〈応用編〉ハム、ソーセージ、かまぼこ、りんごなどを薄くスライスしたものを肉の間にはさみ先ほどの要領で重ね合わせて揚げる。 若竹煮 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)筍(ゆでたもの)四〇〇グラム(2)わかめ(生わかめ、干しわかめ)一カップ(分量はもどした状態で)(3)出し汁三カップ(4)砂糖大さじ一杯(5)醤油大さじ三杯(6)みりん大さじ三杯(7)酒大さじ二杯(8)塩小さじ二分の一杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)筍は一センチの輪切りにして根の部分にタテヨコに包丁で筋目を入れておく。 (2)生わかめのない場合は、干しわかめを水にもどして筋を取って一センチのザク切りにする。 (3)筍にかぶる程度の煮出し汁を入れ、砂糖、酒、みりんを入れて一〇分ほど煮て、甘味をふくませて、それから醤油と塩を入れて一五分ほど煮る。出し汁を少し足してやる。わかめは筍と一緒に煮てもよいが、筍を煮てとりだした後の煮汁で煮る。器に盛り、木の芽をいろどりにそえる。 あじの玉子風味揚げ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)あじ大一尾(2)春雨二〇グラム(3)ラディッシュ二個(4)玉子二個(5)片栗粉大さじ六杯(6)おろし生姜大さじ三杯(7)合わせ調味料(醤油大さじ三杯、酒小さじ一杯、みりん小さじ一杯、黒胡椒少々)(8)揚げ油、小麦粉 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)あじを三枚におろし、小骨を取ってひと口大にする。 (2)合わせた調味料(7)にあじを漬けて一五分ほどおく。 (3)玉子を割りほぐして片栗粉を加えてよく混ぜる。 (4)あじの汁気を切って軽く粉をふり、(3)の衣をからめて油で揚げる。 (5)春雨も揚げすぎないように手早く揚げる。 (6)ラディッシュは輪切りにして塩水で洗い、水気を切っておく。 (7)器に揚げたあじを盛り、おろし生姜を添える。 (8)二杯酢か三杯酢、ドレッシング又はレモン塩で食べる。 〈応用編〉あじ、いわしの片身揚げ 鶏肉のクリーム煮 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)鶏もも肉四枚(2)白ワインカップ一杯半(3)スープ(固形スープの素一個)二カップ(4)生クリーム二分の一カップ(5)マッシュルーム(スライス小缶詰)一個、生しいたけ、しめじ、えのき(6)パセリみじん切り大さじ一杯半、パプリカ大さじ一杯(7)塩、胡椒、バター大さじ三杯半、小麦粉大さじ一杯半、ローリエ一枚 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)鶏肉はフォークで穴をあけて、大き目のひと口大に切り、塩、胡椒をよくすりこんでおく。 (2)厚手の鍋を熱し、バター大さじ二杯半を入れ、鶏肉の両面に焦げ目がつく程度に焼いて、そこに静かにワインをふり、五分蒸し煮して、ローリエとスープを加えて、フタをして、中弱火でさらに一五分蒸し煮にする(浮いてくるアクはていねいに取る)。 (3)フライパンにバター大さじ一杯をとかし、小麦粉をふり入れ、焦がさないように弱火で、ルウを作る要領で炒める。そこへ、先ほどの煮汁を少しずつ加えてのばし、肉も全部入れて、茸類も入れて味がしみこむようにトロ火で煮こみ、生クリームを加えて、味が足りないようなら塩を足して味を整える。あたためた皿に盛りつけ、パセリのみじん切り、パプリカをふりかける。 なすとカニ缶、じゃがいもとソーセージの炒め物 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 なすとカニ缶詰の炒め物(1)なす五個(2)カニ缶詰(くず肉)小一缶(3)長ねぎ(五ミリの輪切り)一本(4)土生姜(親指大のもの、スライスして千切り)半かけ(5)醤油小さじ二杯、塩小さじ二分の一杯、砂糖大さじ二分の一杯、酒大さじ一杯半、ごま油小さじ一杯 じゃがいもとソーセージの炒め物(1)じゃがいも三個(2)ソーセージ又はハム一五〇グラム(3)ピーマン二個(4)トマト(湯むきして乱切り)一個(5)塩、胡椒、酒、化学調味料、サラダ油(6)粉チーズ [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 [#ここから1字下げ] なすとカニ缶詰の炒め物 [#ここで字下げ終わり] (1)なすはタテ六つ切りほどにして水に漬け、アクを抜いてから水気を切って、全体を串で刺し、揚げ油(二番)でやわらかくなるまで揚げ、油を切っておく。 (2)中華鍋にサラダ油大さじ二杯を入れ、よく熱してから長ねぎ、生姜とカニ缶の身を入れて、手早く炒める。その中になすを加えて、塩、醤油、砂糖、酒で味を整える。仕上げの火の止め際にごま油を入れる。皿に盛って、貝割れ菜などを散らす。 [#ここから1字下げ] じゃがいもとソーセージの炒め物 [#ここで字下げ終わり] (1)じゃがいもは三ミリ幅の千切りにして、水にさらしておく。 (2)ソーセージ又はハムも同じように千切りにしておく。 (3)ピーマンは薄い輪切りにしておく。 (4)フライパン又は中華鍋に大さじ三杯のサラダ油を入れ、水をよく切ったじゃがいもを入れて、強火でじゃがいもの色が変わるまで炒めてから、ソーセージを入れ、調味料をからめ、そこへピーマン、トマトを入れる。 (5)皿に盛りつけ、粉チーズをふる。手早く作って、炒めすぎないのがコツ。 牛肉と野菜のスープ煮(マルミット) [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)牛肩肉のかたまり三〇〇グラム(2)玉ねぎ大一個(3)人参大一本(4)セロリ一本(5)いんげん豆(どじょういんげん)五、六本(6)じゃがいも中一個(7)塩、黒胡椒、固形スープ二個、ローリエ一枚、ブーケガルニ、セロリの葉二枚、赤ワイン又は日本酒五〇cc(8)ベーコン一〜二枚 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)牛肉は三センチ角に切り、塩、胡椒、酒をふりかけておく。 (2)野菜は二センチ角に切り、水にさらしておく(市販のミックスベジタブルでもよい)。 (3)片手鍋にサラダ油大さじ一杯を熱して、そこへ小さく切ったベーコンと、牛肉をつけ汁ごと入れて手早く、表面が焦げるくらいに炒めて、水六カップを入れて煮たて、煮たったら火を弱めてアクを取り、ローリエ、ブーケガルニ(又はローリエの葉)を入れ再びアクを取りながら弱火でコトコト煮こみ、人参、じゃがいも、玉ねぎ、セロリ、いんげん豆の順に入れて、汁が濁らないようにゆっくりと煮る(沸かすと汁が濁るから気をつけること)。アクがでてきたらていねいにすくい取ること。 (4)野菜に味がついたら、ブーケガルニ、ローリエ、セロリの葉を取りのぞき、塩、胡椒で味を整え、つぼ皿か深めの皿にスープを盛る。好みで粉チーズをふってもよい(スープだけを布で漉すとキレイに出来る)。 筍ご飯と若竹汁 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 筍ご飯(1)米(といで水切りしたもの)四カップ(2)筍(皮つきのもの、むいてアクを取ったもの)水と同量か又は半量(3)醤油大さじ五杯(4)酒大さじ五杯(5)砂糖又はみりん大さじ一杯(6)塩小さじ二分の一杯(7)油揚げ(千切り)一枚(8)化学調味料 若竹汁(1)筍の穂先(2)わかめ(生のもの、干したもの)ひとにぎり(3)すまし汁六椀分 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 [#ここから1字下げ] 筍ご飯 [#ここで字下げ終わり] (1)筍は薄く短ざくか、いちょう切りにして、四カップの水で(3)〜(6)の調味料と一緒に煮たたせておく。油揚げも一緒。 (2)米を洗い、筍と煮汁を釜に入れて、普通の水加減で炊く。このときの味は、なめてみて、ちょっと薄味かなと思われるぐらいの塩味がよい(足りないようだったら塩を足す)。 (3)煮汁だけを先に入れて炊き、蒸らしのときに具をいれるやり方もあって、このほうが筍の風味が失われないが、面倒だったら一緒に炊きこんでもよい。 [#ここから1字下げ] 若竹汁 [#ここで字下げ終わり] (1)わかめは筋を取って細く切り、二椀分のすまし汁で筍の穂先と、わかめを煮つけて、軽くしぼって椀に盛り、熱いすまし汁を注ぎ、木の芽をつける。 いかのマカロニ詰め煮 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)いか(大)二杯(2)マカロニ二カップ(3)玉ねぎ(みじん切り)一個(4)豚ひき肉(又はハム)一〇〇グラム(5)トマトケチャップ大さじ四杯(6)固形スープ一個(7)小麦粉大さじ二杯(8)バター大さじ二杯(9)塩、胡椒、片栗粉小さじ一杯、マスタード、白ワイン五〇cc、サラダ油大さじ三杯(10)添え野菜(さやいんげん、カリフラワー) [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)いかは足を抜いて皮をむき、塩を少量入れた熱湯でさっとゆがいておく(足も同様に)。 (2)マカロニはゆでておく。 (3)玉ねぎはみじん切りにして、サラダ油大さじ一杯を入れたフライパンで炒め、色が変わりかけたらひき肉を入れて、塩、胡椒してよく炒める。 (4)鍋にトマトケチャップ大さじ四杯と、固形スープ、バターと小麦粉を入れてよく練り合わせ、弱火にかけてワイン五〇ccほどを少しずつ入れてルウを作る。ルウが出来たらルウの半分を取り出して、その後へひき肉とマカロニを入れ、よく混ぜ合わせる。味が足りないようだったら塩、胡椒をする。この具をいかの胴に詰め、つまようじでとめる。 (5)フライパンにサラダ油大さじ二杯を入れて、いかをころがすように炒めた後、残りのルウを入れてからめてから、いかを取り出し、ルウに水とき片栗粉を足してトロミをつける。 (6)付け合わせは、さやえんどうを炒め、カリフラワーを湯がいたものをつける。 (7)いかの足は細くきざんで、きゅうりと玉ねぎの塩もみサラダを作り、混ぜこみ、マヨネーズをレモン汁でのばしたものと和える。このとき、塩、胡椒、マスタードを少々入れて味を整える。 洋風厚焼き玉子 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)玉子四〜五個(2)プロセスチーズ(五ミリ厚さ)四切れ(3)ウインナソーセージ四本(4)玉ねぎ(小ぶりのもの)一個(5)人参四〇グラム(6)グリンピース大さじ二杯、ブロッコリー(湯がいておく)適量、プティトマト適量(7)生クリーム大さじ二杯(8)酒又はワイン大さじ一杯(9)塩、胡椒、化学調味料、バター、サラダ油 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)チーズとソーセージは五ミリ角にきざんでおく。 (2)人参も五ミリ角にきざみ、ゆでておく。 (3)玉ねぎはみじん切りにして、バター大さじ一杯で炒めて、さらにゆでた人参を加えて塩小さじ二分の一杯、胡椒小さじ三分の一杯を入れて炒め、冷ましておく。 (4)玉子を割りほぐして、生クリーム、酒、塩小さじ二分の一杯、胡椒小さじ三分の一杯、化学調味料を入れ、そこに具全部を入れて混ぜこんでおく。 (5)フライパンにサラダ油を入れて熱し、(4)の玉子液三分の一カップを入れて半熟に焼き、二枚に折って空いたところに油をしき、また玉子液を入れて焼きあげる。 (6)皿に切って盛り、プティトマト、湯がいたブロッコリーを添える。 たいの赤飯蒸し [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)小だい四尾(2)赤飯(市販のもの)四カップ(茶碗盛り)(3)生しいたけ四枚(4)ほうれん草二分の一束(5)貝割れ菜一束(6)チキンスープの素二個、酒大さじ一杯、醤油、みりん(7)柚子(又はレモン)のきざみ小さじ一杯半、人参 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)たいはうろこを落とし、背びれの裏側から二枚に切って腹皮を残し、袋状にする。ワタとエラを取りのぞき、薄い塩水で洗う。 (2)スープの素を湯二カップでとき、酒、醤油、みりんを足し、ひと煮たちさせて冷やし、水気を切ったたいを二〇分ほどひたしておく。 (3)二〇分ほど漬けたたいに赤飯を形よく詰めてようじで止めて蒸し器にかけ、一〇〜一五分ほど蒸しあげる。 (4)残りのスープで、しいたけとゆでたほうれん草を煮て、火が通ったらたいと具を形よく皿に盛る。煮汁は漉して足りないようであれば、湯と調味料を足して、上からかける。柚子と貝割れはあしらいとする。 (5)お椀は、とろろ昆布の椀にする。 (6)あいなめ、いしもちなどの頭つきの魚でもよい。 紅生姜入り肉だんごの甘酢かけ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)豚ひき肉三〇〇グラム(2)卵黄一個(3)長ねぎ(みじん切り)一本(4)紅生姜(みじん切り)大さじ一杯半(5)塩小さじ二分の一杯、日本酒大さじ一杯、胡椒小さじ一杯(6)片栗粉大さじ二杯(7)ごま油大さじ一杯半(8)揚げ油(9)レタス、トマト、きぬさや 甘酢あん(1)砂糖大さじ三杯(2)酢大さじ三杯(3)醤油大さじ二杯(4)片栗粉適量、水大さじ二杯、化学調味料 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)豚肉は出刃包丁の峰でよくたたいてねばりを出しておいてから、(2)〜(7)の材料、調味料を入れ、よく混ぜ合わせて、串だんごぐらいの大きさのだんごを作り、中温度(一八〇度)の油でゆっくり揚げる。 (2)甘酢あんは全部の材料、調味料を合わせて小鍋でゆっくり煮て、トロミが出たらできあがり。 (3)皿にレタスをしき、油切りしただんごを盛り、甘酢あんをかける。飾りつけにトマト、湯がいたきぬさやをつける。     五 月     新茶がゆ     やはりフランス料理  東京・赤坂のホテルで、日本ではじめての、世界料理フェスティバルが催され、私も出席した。  世界の国々から日本、フランス、中国、アメリカなど一四か国が参加し、それぞれのお国自慢の料理を、その国の一流コックが持ち込みの材料を使って腕を振るった。  私のような食いしん坊には珍しい料理もあって目も楽しませてくれ、愉快な一夜であった。  その国の料理、たとえばフランス料理の本当の味はフランスでしか味わえないというのが私の持論だが、今回の催しは一夜のことでもあり、可能な限りの材料を、その国から持ち込んだので、たしかに本場の味であった。とはいえ、料理は昼頃に作られて、賞味したのは夜も七時過ぎだったから、旨いという思いにはほど遠かった。  私が予想したとおり、フランスが大賞を獲得し、続いて中国、日本が入賞した。  今回、欧州から参加したのは、フランス、ベルギー、スイス、スペイン、イタリアの各国だったが、フランス料理が図抜けてよかった。  フランス王政の頃、美食家のルイ一四世お抱えのコックは三二四名もいたというから驚きである。それが、かの有名なルイ一六世のお妃、マリー・アントワネットの「パンがなければお菓子をお食べ!」の一言でフランス革命は成就し、四〇〇人近くいたコックは全員失業して、町場のコックとして生活しなければならなくなった。フランス料理は革命によって、より一層の向上を遂げたのである。  この日、日本料理は技術賞を受賞した。材料の生地を生かした料理は巧緻でいかにも優雅であった。ただし各国の料理と比べると、いささかオードブルの感ありで、その点、中国料理は、飛ぶものは飛行機、四つ足はテーブル以外は何でも食べるといわれるだけあってドン欲である。  美食家は日本人の女性を女房にして(近頃はちと相場が下がった)、中国料理を食べながら、フランス(これも下落気味)に住むことが理想だそうだが、中国料理は日本で食べてもそこそこの味がするから、たいしたものである。     「呉春」の酒  大阪伊丹空港近くの池田市に「呉春」という銘酒がある。その造り酒屋のご主人、西田さんは面白いお方だ。作家・谷崎潤一郎の崇拝者で、戦中戦後の食い物のない時代にせっせと山海の珍味を探し出しては、自分は食べずに谷崎家へ運んだという奇特な御仁で、いまは、本当に旨い酒をと、老いの身を忘れて精進されている。  生産量はそう多くないので、一般の人の口にはなかなか入りにくいようだが、たしかに一|盞《さん》の価値はある。二度ほどお宅にお邪魔したが、夫人手作りの酒肴は料理屋のそれでなく、「呉春」に合わせた酒菜で、久しぶりに酒と肴を堪能した。  早掘りの筍が旨かった。毎年、京都の錦市場の八百屋「川政」に白子筍が出廻り、値段も目玉を剥くようなことがなくなったら送ってくれと頼んであったので、四月八日お釈迦さまの日に到来した。その日の朝、掘ったものである。  早速、赤唐辛子と|糠《ぬか》を入れたたっぷりの水でゆであげたが、掘りたてだったので例年になく出来がよくて、ゆであがりも早くやわらかい。筍御飯、じか煮で食べたが、五合の御飯があっという間になくなった。  この頃では、松茸よりも旨い筍に食欲がおきる。昔は筍には栄養がないといわれていたが、当節は、筍にもいろいろミネラルがあるといわれている。おかしなものだ。     二日酔いは茶がゆで  このところ、ひどい二日酔いを二度ばかりやった。はじめのときは、テレビドラマの打上げの晩で、久しぶりに気持ちのよかった仕事だったので、夜の九時から明け方の四時まで飲み続けた。もう歳だから天罰てきめん二日酔いである。  こんなとき、私は茶がゆ[#「茶がゆ」に傍点]を作る。幸い八十八夜、新茶の出廻る頃でもある。おかゆにもいろいろ作り方があり、強がゆ、五分がゆ、三分がゆとあり、強がゆはお米一に対して五倍の水を入れ、五分がゆはお米一に対して七倍、三分がゆは一〇倍の水を入れて炊く。二日酔いのときには五分がゆがいい。  おかゆを炊くときには、|行《ゆき》|平《ひら》のような土鍋か、なければ厚手の鍋、あればホーローびきがいい。旨いおかゆを作ろうと思ったら生米から煮るとよい。お米はよく研いで、一時間ほど水に漬けておく。煮るときにはその水を捨てて分量の水を入れ、はじめは強火で、吹いたらごく細い火にして、ゆっくり三〇〜四〇分煮るのだが、決して吹きこぼしたり、途中でふたをあけたりしてはいけない。  いよいよ出来あがったとき濃い目の新茶をふり出して、鍋に入れ軽くひと煮たちさせる。このときちょっと塩をふり込んでやる。お米一カップに水七カップだが、茶がゆのときは、あとから足すお茶の分だけ水を減らして炊く。  上等の梅干し、塩昆布で召しあがって御覧じろ。新茶の香りがぷんと鼻をつき、二日酔いは|忽《たちま》ち飛んでいってしまう。     細魚の思い出  夜半の雨音で目が覚めた。|目《め》|敏《ざと》くなったこの頃に、ふと、歳を感じる。  五月雨にはまだ早いのにと思いながら、家の竹藪をゆする|雨《あめ》|風《かぜ》に耳をすます。  翌る朝、飯を食べながら庭先に目をやると、雨に濡れた藪の竹が青く色づいて爽やかである。 「綺麗だな」と私、すると長男が、 「竹というやつ、一年中生命を感じさせる不思議な植物だな」とポツリと言った。長男は|現《い》|在《ま》の杉並村に居を構えた年に生まれた、無口な方である。  杉並村に越して来た頃、まだ、廻りは麦畑や畑地が多かった。わが家の庭先は、隣家の大地主の庭と地続きになっていて、雑木林がうっそう[#「うっそう」に傍点]と茂り、蔦蔓がからみ合ったさまはちょっとしたジャングルだった。兵隊の経験のある私は、ここで、キャメラアングルを|上《う》|手《ま》くすれば実験的8ミリの戦争映画が撮れるなと思ったりしたものだ。  隣家との地境には大谷石を置き、その上に長さ五〇センチほどの孟宗竹の丸物を揃えて|棕《しゅ》|櫚《ろ》縄でつないで竹垣にした。わが家の庭は横に長く、三〇メートルほどもあるので、ちょっとした仕事だった。しかし、その竹垣は隣家の雑木林ともマッチして、なかなかよき風情があった。  私の父は、東京の下町で歯科医を開業していたのだが、昭和ひとけたの頃、下町の|仕《し》|舞《もた》屋でブリキ製の竹垣まがいが流行って家の|囲《かこ》いに使っている家があったが、毒々しく青くて、見るからに安っぽい。下町の経済観念から生まれたものだろうが、私は嫌いだった。  竹垣は存外に長持ちのするものである。二五年間のうちに、五回ぐらい作り直した。はじめは、丸物の節を揃えて作らせたのだが、節を揃えると、一本の孟宗竹のあらかたを無駄にしてしまう。一本の竹から三節も使えれば上等である。竹垣を直すたびに一〇〇本以上の太さを揃えた孟宗竹が必要である。とうとうその|費用《かかり》に降参して、三回目からは孟宗竹を半分に割って節目を気にせず太さだけを揃えて作らせた。それでも二〇万円ぐらいかかる。  竹は一年中笹を散らすが、ときに、風もないのに庭先一面に笹の葉が散っているときがある。私はそれを竹秋と呼んでいる。ある年、竹の花が咲いたように稲穂状の白っぽいものを竹がつけた。さては、六〇年一花にめぐり合ったかと思ったが、枯れることもなく、その翌る年にも筍が生えた。毎年、筍のシーズンが来ると、わが家の朝掘りの筍を何本か食卓にのせる。京都の白子筍には及びもつかないが、掘り立てはお江戸の筍も悪くない。いまは無くなってしまったが、筍御飯を作ると、目黒の筍飯はこんなものであったろうぐらいの味はする。  この頃では、一月の末に、大人の握りこぶしぐらいの筍が、京都錦小路の八百屋に出ている。主人は「天然ものだっせ」と言ったが、どういう意味なのか……。     若竹煮  筍のはしりは毎年、二月の終わりか三月の初旬に徳島から、四国放送の松村氏(故人)に送っていただいた。私はそれを、鳴門名産の若布と一緒に若竹煮[#「若竹煮」に傍点]にして賞味する。このとき、いたずらに菜の花を色どりに添える。初夏の訪れより春の訪れといった方がよいのかもしれない。そして、いよいよ京都長岡京の白子筍の到来である。京都の在の竹林は、私も何度か足を運んだ。丁寧に耕された筍の畑は、竹の落葉が白く、石綿灰が厚く|撒《ま》かれたようで、真冬でも温かさがある。そのためか、ときに、大きな藪蚊にチクリとやられることがある。  地に生えた筍をそのまま蒸し焼きにする「鉄砲やき」を私はまだ味わったことがない。このぜいたくな料理は、その廻りの何十平方メートルかの筍の出る地下茎を駄目にしてしまうというから、まさに大名料理の名にふさわしい。     細魚と烏蛇  |細《さよ》|魚《り》は美しい魚である。立春後、四、五月の産卵期には群れをなして川筋にも入ってくる。子供の頃、夏の避暑に房州岩井に行ったとき、堤防に沿って群れをつくって細魚が泳いでいた。小学生の私は弟と一緒に海面に浮かんだ細魚の群れに|手《た》|網《も》をつっ込むのだが、|漁《と》れそうで、とうとう一匹も漁れなかった。空しい思いで、夕方の畔道を手網を肩に背負って帰ると、畔から田圃にどさりと真黒な細魚より十倍も大きな生きものの絡み合いが落ちた。よく見ると、烏蛇の絡み合いである。しっかりと絡み合った雌雄は|何《ど》|処《こ》に頭があるのかもわからない。子供のことで、まさか交尾しているとは知らないから、手網の竹竿の先で突っついてもビクともしない。弟が、「細いお魚は、あんなに沢山いたのによく小間結びにならないね」と言った。まさに、蛇の絡み合いは小間結びである。  その弟も四〇半ばにして|身《み》|罷《まか》った。  細魚の群れの美しさと烏蛇の絡み合いは妙な取り合わせだが、忘れることのできない幼時の思い出である。もう間もなく夏が来る。 五月のお惣菜 セイボリーシチュー(牛バラ肉の煮込み) [#ここから2字下げ] 〈材料〉(以下、指定のないものは四人前) (1)牛バラ肉五〇〇グラム(2)トマト三個(3)ウスターソース大さじ三杯(4)玉ねぎ三個(5)セロリ一本(6)洋人参二本(7)じゃがいも三個(8)ローリエ一枚(9)酒又は赤ワイン二〇〇cc(10)塩小さじ二杯半(11)胡椒小さじ一杯(12)小麦粉大さじ六杯(13)ラード又はヘッド大さじ四〜五杯(14)バター大さじ二杯、ブランデー大さじ二杯、生クリーム小さじ一杯半、グリンピース小さじ一杯半 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)牛バラ肉は三〜四センチ角に切って、塩、胡椒をよくすりこんで二〇分ほどおく。その肉に小麦粉をふり、もみこむようにしてよくまぶしておく。 (2)厚手のシチュー鍋にラード(ヘッド)を入れて熱し、肉を入れて肉の色が変わるまで強火で炒める。 (3)肉を炒めた鍋に酒と湯むきしたトマトの乱切り、玉ねぎ(六つ割り)、洋人参(タテ四つ割り)、セロリ(皮をむいて)四センチの長さ、ウスターソース、ローリエを入れ、水八カップを入れて強火で煮て、煮たったら弱火にして(フタはしない)、アクを取りながら二時間ほど煮こむ。 (4)二〜三時間煮てスープに粘りがでてきたら、バター大さじ二杯を入れて、粘りをいっそう出して、やや味がもの足りなければ、塩、胡椒、スープの素一〜二個を入れてコクを出す。 (5)じゃがいもは、べつゆでにして仕上げの間際に入れて煮こむ。 (6)火を止める間際に、あればブランデーを大さじ二杯ほど入れると、風味が増す。 (7)皿に盛り、グリンピースを散らし、生クリーム小さじ一杯半ほどをたらす。 〈応用編〉ウスターソースのかわりに、四月の惣菜に入れた牛すね肉のウスターソース煮の汁を使うと、いっそう味がひきたつ。 牛肉と玉ねぎ炒め韓国風 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)牛肉(赤身薄切り)四〇〇グラム(2)玉ねぎ大一個(3)セロリ一本半(4)なす(タテ六つ切りにして水にさらす)二個(5)にんにく(みじん切り)二かけ、醤油大さじ六杯、みりん大さじ二杯、砂糖大さじ二杯、日本酒大さじ三杯、白ごま(炒めて半ずりにしたもの)大さじ二杯半、油大さじ三杯、胡椒、ラー油、ごま油、トウバンジャン [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)牛肉はひと口の食べやすさに切り、醤油、日本酒をふっておく。 (2)玉ねぎは厚目のくし型に切る。なすはタテ六つ切りにして(大きさによっては八つ切り)、水につけておく。セロリも食べやすい大きさに切っておく。 (3)材料(5)を合わせて調味料を作っておく。 (4)中華鍋を熱し、サラダ油大さじ一杯を入れ、にんにくを入れ、牛肉を入れて、手早く強火で半煮えまで焼いて取り出す。その鍋に油大さじ一杯を入れて野菜を強火で炒め、玉ねぎの色が変わりかけたら牛肉を入れ、さらに調味料を入れて強火で炒め、仕上げにラー油とごま油、トウバンジャンを少々落とす。 筍のちらし寿司 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)米四カップ(2)筍四〇〇グラム(3)油揚げ(短ざく切り)一枚(4)炒りごま大さじ四杯(5)もみ海苔二枚(6)紅生姜(千切り)大さじ二杯(7)しらす干し一カップ(8)玉子二個錦糸玉子(薄甘く作る) 合わせ酢(1)酢二分の一カップ(2)塩大さじ一杯(3)砂糖大さじ二杯 煮汁(1)醤油大さじ四杯(2)砂糖大さじ一杯(3)酒大さじ一杯(4)出し汁(昆布)一カップ半 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)筍は、煮汁材料の(1)〜(4)の醤油、砂糖、酒、出し汁で煮て、その煮汁と一緒に米の水加減を少な目(煮汁分だけ)にした釜に入れて、炊きこむ。 (2)炊き上がったら、蒸らしを少なくして(五分)、合わせ酢を混ぜ、手早くうちわで熱を取り、ごま、しらす干し、油揚げを混ぜ合わせて皿に盛る。 (3)紅生姜ともみ海苔、錦糸玉子を飾りつける。紅生姜のほかに木の芽を散らすといっそう上品になる。 牛レバー炒め [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)レバー(牛、豚)三〇〇グラム(2)小松菜二分の一束(3)土生姜(親指大)ひとかけ(4)にんにく(なくてもよい)ひとかけ(5)サラダ油大さじ二杯(6)醤油大さじ二杯(7)酒大さじ二杯(8)かき油ソース、トウバンジャン、黒胡椒、塩(9)卵黄一個(10)ごま油少々、化学調味料 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)レバーは食べやすい大きさに切り、牛乳に二〇分ほどひたして臭味を取る。 (2)小松菜は塩を入れた湯でゆで、すぐ水につけて、荒熱を取り、よく水気をしぼっておく。 (3)中華鍋をよく熱し、火を弱めて油大さじ二杯を入れ、生姜、にんにくのスライスしたものを入れてひとかきしてから、水気を取ったレバーを入れて中火で半生ほどに炒めて、そこへ合わせた調味料を入れて炒める。仕上げにごま油をふる。レバーは、あまり火を通しすぎないように気をつける。 (4)皿に小松菜をしき、レバー炒めを盛りつけ、中央に卵黄一個を落とす。まわりにレモンのくし型、トマトなどを盛りつける。 (5)にらレバーは、レバーを炒めるときに、にらも一緒に炒めつける。このとき塩はやや多い目にする。 油揚げの包み焼き [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)油揚げ四枚(2)もやし(ひげと頭を取る)一五〇グラム(3)生しいたけ四枚(4)ねぎ一本(5)三つ葉五〇グラム(6)生姜ひとかけ(7)ロースハム四枚(8)大根おろし(9)塩、胡椒、醤油、スープの素 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)油揚げは、湯通しして半分に切り、包丁を入れて袋状にしておく。 (2)ひげと頭を取ったもやしは、塩湯に通して水気を切っておく。 (3)しいたけは薄く千切りにして、一カップの湯に固形スープの素一個をといたもので軽く煮ておく。 (4)ハムは千切りにしておく。 (5)ねぎは小口切りにして、三つ葉は三センチの長さに切っておく。生姜は、千切りにして、水にさらしておく。 (6)袋状にした油揚げに(2)〜(5)を七分目に詰めて塩、胡椒を少々ふり、ようじで袋口を閉じて中弱火のガスを遠火にして焼く。表裏に焼目がついたら出来上がり。 (7)大根おろし醤油で食べる。 筍のはさみ揚げ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)筍(一センチの輪切り)一〇個(2)煮出し汁一カップ半(3)醤油大さじ二杯(4)酒大さじ一杯(5)鶏のささみ又は白身の魚一二〇グラム(6)芝えびのすり身とハムをきざんだものを合わせ、片栗粉と卵黄でねばりをつけたもの(7)粉一カップ(8)玉子一個(9)パン粉(10)片栗粉大さじ二杯(11)揚げ油 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)筍の輪切りは横に包丁を入れて、四分の三ほどまで切れ目を入れ、材料の(2)〜(4)で薄味で煮ておく。 (2)鶏のささみ(白身の魚)は、酒と醤油大さじ一杯を入れて、下味をつけておく。 (3)えびとハムも酒と塩で薄味をつけておく。 (4)筍の切れ目に小麦粉又は片栗粉をふって(2)と(3)の具を入れて粉をまぶし、玉子の溶液をつけ、パン粉をつけて揚げる。又は天ぷら風に揚げてもよい。このときの衣は、天ぷらのときより濃い目に作る。 (5)つけ合わせは、野菜の揚げ物にサラダ菜でも添える。 プチ・ロールキャベツ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)新キャベツ中一個(2)合びきミンチ二〇〇グラム(3)ベーコン二切れ分(4)玉ねぎ中一個(5)生パン粉一カップ(6)玉子一個(7)生クリーム大さじ二杯(8)バター大さじ二杯(9)グリンピース大さじ一杯(10)スープの素一個半(11)塩、胡椒、ナツメッグ少々 ソース(1)小麦粉大さじ二杯(2)バター大さじ二杯(3)酒大さじ二杯(4)トマトピューレ一〇〇cc(5)塩小さじ二分の一杯、ローリエ一枚(6)ウスターソース大さじ一杯半 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)キャベツは湯がいて芯を取る。一人前四個分の割り合いで葉を残してあとは芯と一緒に細かくきざみ、よく水気を切っておく。外側の破れたキャベツも捨てずに細かくきざんで、一緒にする。 (2)玉ねぎは半個をみじんに切り、半個は薄く輪切りにする。 (3)みじん切りの玉ねぎ、キャベツの細かく切ったものおよび芯、ベーコンをバター大さじ二杯で炒める。炒まったら冷ましておく。 (4)ボウルにミンチ、(3)の炒めた野菜、パン粉、玉子、生クリーム、塩、胡椒、ナツメッグを入れ、混ぜる。 (5)(4)をまるめてキャベツで包む。 (6)鍋にバター大さじ一杯を入れ、輪切りの玉ねぎをおき、ロールキャベツを並べ、湯を注ぎ(キャベツがつかるくらい)、スープの素を入れ、煮る。 (7)ブールマルニエ(小麦粉とバター同量を練り合わせたもの)を鍋に入れ、(6)の煮汁を少しずつ入れてのばし、ソース材料(3)〜(6)の調味料を入れ、ソースを作る。 (8)このソースをキャベツの鍋にもどし、弱火で一〇分煮て味をしみこませる。 (9)皿に盛りつけ、グリンピースを散らす。 むきえびとえんどう豆のバター炒め [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)むきえび(小えび、冷凍のもの)二〇〇グラム(2)えんどう豆(むいたもの)二カップ(3)長ねぎ二分の一本(4)バター大さじ三杯(5)塩、胡椒、酒、白ワイン、粉チーズ サラダ(1)新キャベツ(2)青じそ(3)ドレッシング(サラダ油大さじ二杯、酢大さじ一杯半、胡椒、塩少々をよく混ぜ合わせる) [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)むきえびは背ワタを取り、酒大さじ二杯をふりかけておく。 (2)長ねぎはみじん切りにする。 (3)サラダ用にキャベツ、青じそを千切りにする。 (4)フランパンにバターを入れえびを炒める。 (5)これに軽く塩湯でゆでたえんどう豆を入れて炒め、塩、胡椒をし、最後に白ワイン大さじ一杯を入れる。 (6)皿に盛り粉チーズをふりかける。 (7)キャベツと青じその千切りを混ぜ、ドレッシングで和え、器に盛る。 玉ねぎと鶏肉の旨煮 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)鶏のもも肉三〇〇グラム(2)玉ねぎ中一個半(3)こんにゃく一枚(4)出し汁(薄いもの)二カップ(5)醤油大さじ五杯、みりん大さじ五杯、酒大さじ一杯、化学調味料(6)土生姜(千切り)大さじ一杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)鶏もも肉は食べやすいように薄くそぎ切りにしておく。 (2)玉ねぎは皮をむき、タテ二つに切り芯を取りヨコ輪切りに細く(五ミリ)切っておく。 (3)こんにゃくは厚さを半分にして短ざくに切り、ゆでて(五分)水洗いして水気を切っておく。 (4)鶏肉、こんにゃくは出しと酒で煮て(このとき生姜を入れる)、鶏肉がやわらかくなったら、玉ねぎを入れてみりんと醤油をほぼ同量に入れて弱火で煮あげる。つけ合わせとして、玉ねぎスライス、みょうが、わかめの三杯酢をつける。 きゅうりの肉詰め [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)きゅうり(かなり太めのもの)四本(2)豚ミンチ肉二〇〇グラム(3)ハム四枚(4)玉ねぎ二分の一個(5)長ねぎ二分の一(6)塩小さじ一杯、酒小さじ一杯、バター小さじ一杯半、胡椒、ローリエ一枚、スープの素一個半、片栗粉小さじ一杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)ハム、玉ねぎ、長ねぎはみじん切りにする。 (2)きゅうりは両端を切り、タテじまに皮をむき、真中からタテ半分に切り、種を取りのぞく。 (3)ボウルにミンチ肉、玉ねぎ、長ねぎ、塩、胡椒、酒、片栗粉を入れ、よく混ぜ合わせる。 (4)きゅうりの種を取りのぞいた部分にミンチを詰め、上から残りの半分をかぶせ、糸でしばる。 (5)鍋にきゅうりを長いまま入れ、湯、スープの素、バター、ローリエを入れ、二〇〜三〇分煮る。 (6)きゅうりを取り出し、塩、胡椒で味を整えた煮汁に水とき片栗粉でトロミをつけてきゅうりにかける。 かつおの洋風たたき [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)かつお(刺し身用)片身半分(2)粒マスタード大さじ二杯(3)万能ねぎ(きざむ)二分の一束(4)サラダ油、ごま油適量(5)大根(おろしたもの)二〇〇グラム(6)レモン一個(7)にんにく(すりおろしたもの)二かけ(8)青じそ(千切り)五枚(9)みょうが(薄切り)二〜三個(10)白ワイン又は酒一〇〇cc(11)ピーマン(細く千切り)一個(12)塩 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)かつおの片身はタテ二節におろし、血合いを取る(市販の出来ているものが便利)。 (2)かつおに串を打ち、サラダ油、ごま油を塗って全体にたたき風に焼き目をつけて、ワインの入った氷水につけて手早く熱を取り水気をぬぐって厚目に切る。 (3)塩、にんにく、大根おろしとマスタードを合わせたものをかつおにかけ、ねぎ、青じそ、レモン汁半個分をかけ、包丁の背で軽くたたき、しばらく冷蔵庫に入れておき味をなじませる。みょうが、ピーマン、レモンのくし型を飾る。 白身魚の醤油煮込み中華風 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)かれいの切り身四切れ(四〇〇グラム)(2)豚バラ肉(薄切り)一五〇〜二〇〇グラム(3)干ししいたけ二〜三枚(4)ゆで筍一〇〇グラム(5)にんじん四〇〜五〇グラム(6)きぬさや一〇枚(7)白ねぎ二分の一本(8)タカの爪一本(9)醤油大さじ五杯、酒大さじ三杯、酢大さじ一杯、みりん大さじ一杯、ごま油、片栗粉、スープの素 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)魚に酒大さじ一杯、醤油大さじ一杯、みりん大さじ一杯をふり一〇分ほど下味をつける。 (2)豚肉を四センチ角ぐらいに切る。 (3)干ししいたけはもどして大きくそぎ切りにする。 (4)筍、人参は薄切りにし、きぬさやは湯がいておく。白ねぎは白髪ねぎにする。 (5)タカの爪は湯洗いし、種を取り、五ミリの輪切りにする。 (6)下味つけした魚に片栗粉をつけ、油で揚げる(油の量は魚がつかるぐらい)。 (7)フライパンに油を入れ、タカの爪、豚肉を炒め、筍、しいたけ、人参を入れて炒め、湯を一カップとスープの素を入れる。 (8)煮たってきたら、醤油大さじ三杯と酒大さじ二杯、酢大さじ一杯を入れ、(6)の魚を入れ、弱火で煮こむ。 (9)汁気がなくなったらきぬさや、白髪ねぎ、ごま油を入れる。(白髪ねぎはねぎの白い部分を三センチの長さに切って細く千切りにして水にさらしたもの) さやいんげんの辛子ソース和えと豚三枚肉の納豆和え [#ここから2字下げ] 〈材料〉 さやいんげんの辛子ソース和え(1)さやいんげん四〇〇グラム(2)玉ねぎ(みじん切り)大さじ一杯半(3)パセリ大さじ一杯(4)とき辛子大さじ二杯(5)サラダオイル、塩、胡椒少々(6)ベーコン(細く切り、炒めておく)四枚、又はウインナソーセージ 豚三枚肉の納豆和え(1)豚バラ肉の薄切り三〇〇グラム〜四〇〇グラム(2)納豆一包(3)オクラ(納豆ぎらいの人のため)一袋(4)長ねぎ(小口切り)半カップ(5)とき辛子小さじ一杯半(6)醤油、塩、酒、化学調味料(7)片栗粉大さじ五杯(8)炒り切りごま大さじ一杯半 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 [#ここから1字下げ] さやいんげんの辛子ソース和え [#ここで字下げ終わり] (1)さやいんげんは筋を取って、たっぷりの塩湯(小さじ一杯)でしんなりするまでゆで、水気を切って冷まし適当な大きさに切っておく。 (2)ベーコン四枚は細く切り、油が落ちるくらいに、焦がさぬように炒める。 (3)とき辛子をサラダオイルで少しずつのばしマヨネーズ状にし、塩、胡椒で味を整え、玉ねぎ、パセリのみじん切りを入れて練り、ゆでたさやいんげんとベーコンを合わせる。 [#ここから1字下げ] 豚三枚肉の納豆和え [#ここで字下げ終わり] (1)豚バラ肉は食べやすい大きさに切り、酒、塩をふって肉になじませておく。 (2)納豆は包丁でたたいてきざみ納豆をつくり、長ねぎ、醤油、辛子、化学調味料を加えてよく混ぜ合わせておく(オクラのときもきざんで納豆と同じようにする)。 (3)鍋に湯をわかして、味つけした豚肉に片栗粉をよくまぶして小口に鍋に入れる。肉に火が通ったら素早くとり出し、氷水につけて熱を取り、水気を切っておく。 (4)肉をボウルに入れて(2)とよく和え、皿に取り、ごまをふる。あしらいに貝割れやトマトの種ぬきの小口切りを添える。 深川鍋 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)あさり二〜三カップ(なければ缶詰一缶)(2)生姜(みじん切り)大さじ一杯半(3)長ねぎ(小口に切ってさらしたもの)大さじ三杯(4)海苔(もみ海苔、又は切ったもの)大さじ二杯(5)出し汁(昆布とかつお節でやや濃い目に作る)三カップ(6)醤油大さじ二〜三杯、味噌大さじ二杯、みりん、酒少々 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)カラつきあさりは塩水につけて塩をはかせてよく洗い、冷ました出し汁に入れ、煮る。口があいたら火を止め、カラから実を取り、煮汁を漉して砂を取る。 (2)漉した汁に調味料と生姜を入れ、あさりを入れる(缶詰のときは、このとき汁ごと出し汁に入れる)ひと煮たちさせて火を止める。 (3)鍋のまま食卓に出してめいめいにとってもよいが、どんぶりにご飯をいれてかければ深川どんぶりになる。仕上げに長ねぎ、海苔をふる。 (4)出し汁に調味料を入れるとき醤油と味噌は控え目に入れて、味が薄いようだったら少しずつ足してやる。 金子式ドライカレー [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)合びき肉三〇〇グラム(2)玉ねぎ(みじん切り)大一個(3)人参、セロリ(みじん切り)小各一本(4)ピーマン(みじん切り)二個(5)トマト(湯むきして種を取りあられ切り)二個(6)にんにく、土生姜(みじん切り)ひとかけ(7)レーズン(ひたひたにワイン又はリキュール、なければ日本酒につける)大さじ三杯(8)固形スープの素一〜二個(9)プレーンヨーグルト大さじ三杯(10)バター大さじ二杯、油、カレー粉大さじ二杯、塩小さじ二杯、ウスターソース大さじ一杯、砂糖小さじ一杯、生クリーム大さじ一杯(11)ブランデー [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)中華鍋又は厚手の鍋を熱して油とバター大さじ一杯を入れてにんにく、生姜と野菜を強火で炒め、色が変わりかけたらひき肉を入れて炒め、パラパラになってきたら塩とカレー粉を入れ、湯むきにしたトマトとヨーグルト、ウスターソース、砂糖、生クリーム、レーズン(つけ汁ごと)、スープの素を鍋に入れて中弱火でひと煮たちさせて、それからは火を強めて焦がさないようにかきまぜながら五〜一〇分ほど煮る(このとき、古く固くなったチーズがあれば、細かくきざんでいれると風味を増す)。 (2)カレー汁が煮つまってきたら味をみて、塩味が足りないようだったらカレー粉、塩をふり、練り合わせ、仕上げにブランデーかワイン、日本酒で丸みをつけてやる。 まぐろの串焼きとじゃがいもサラダ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 まぐろの串焼き(1)まぐろ(めじなど安いもの)四枚(2)ベーコン(三〜四センチ)四枚(3)長ねぎ(二センチ半の長さ)一二本(4)塩小さじ二杯、胡椒小さじ一杯、酒大さじ一杯、小麦粉大さじ二杯 じゃがいもサラダ(1)じゃがいも(二センチ角切りにしてゆでる)中二個(2)きゅうり(薄切りにして塩もみする)(3)ハム(千切り)三枚(4)玉ねぎ(薄切りにして塩もみにしてから水洗いする)半個(5)マカロニ(カットしたものをゆでて)三〇グラム(6)マヨネーズ大さじ二杯半、マスタード小さじ一杯、レモン汁大さじ一杯、塩、胡椒少々 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 [#ここから1字下げ] まぐろの串焼き [#ここで字下げ終わり] (1)まぐろは三〜四つに切り、酒、塩、胡椒をしておく。 (2)長ねぎはまぐろに合わせて切る。ベーコンも同じように切る。 (3)竹串にまぐろ、ベーコン、長ねぎを交互にさして、小麦粉をふっておく。 (4)フライパンにラード又はサラダ油を入れ、(1)の表面に焦げ色をつけるぐらいに焼く。 [#ここから1字下げ] じゃがいもサラダ [#ここで字下げ終わり] (1)材料(6)をよく混ぜ合わせて、材料(1)〜(5)の具に合わせてやる。 あじのチーズ焼き [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)あじ(中くらいのもの)四尾(2)ベーコン四枚(3)玉ねぎ二分の一個(4)とけるチーズ四枚(5)塩、胡椒、酒、小麦粉、パセリ、パプリカ、バター(6)三度豆、トマト [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)あじ四尾はワタとぜいごを取り、酒大さじ一杯、塩小さじ二杯、胡椒小さじ一杯をし、二〇分ほどザルに上げておく。 (2)ベーコン、玉ねぎはあられに切る。 (3)あじの水気をふき、小麦粉をまぶす。 (4)アルミホイルを二重にしてバターを塗り、あじをおき、ベーコン、玉ねぎ、チーズをそれぞれのせ包む。上のほうに竹串で穴を二つ三つ開ける。 (5)フライパンで焼く途中で一度かえしてやる。焼き上がったら、パセリ、パプリカをふりかける。 (6)三度豆のバターソテーとトマト四分の一個を添える。     六 月     かつおを食べる     旬の最後の毛ガニ  四月半ばに、九州博多と北海道の旭川、函館に行った。  旭川も函館も温かくて、東京よりは一か月遅れのつもりで少し厚着をしていったのだが、当てが外れた。しかし、東京ではすっかり散った桜は、まだこちらでは|蕾《つぼみ》も固くてその気も見せていない。  旭川では、銘柄は聞かなかったが、一升瓶の地の赤ワインを飲んだ。ブーケは物足りなかったが、色もよくて適当に渋味もあり、まあまあのワインだった。  ヨーロッパのワインに追いつくまでになるのはまだまだ先の事と思うが、嗜好が高まれば、器用な日本人のことだから、いいワインを作るだろう。日本で飲む舶来のワインは、あまりにも高すぎる。  函館では、久しぶりに旨い毛ガニ[#「毛ガニ」に傍点]にありついた。一匹九〇〇グラムもある大物だ。  土地の人に「今が旬ですよ」と言われたが、私が毛ガニの|丸《まる》|物《もの》にお目にかかったのは、戦後も二〇年を経てからのことなので、いつが本当の旬なのかよく知らない。  ただ、現在の主な漁場はオホーツク海と道東太平洋岸で、同じ北海道でも盛漁期が違うようだ。  オホーツク側では夏が旬だといい、道東では冬が旬だという。カニは脱皮を繰り返して大きくなるが、道東では春が近くなると脱皮し、オホーツク海では五月が脱皮期であるという。  函館で食べたのだから、多分、道東ものだと思う。とすれば、ちょっとおかしな言い廻しだが、旬の最後に獲れたカニなのかも知れない。  しかし、そんな|穿《せん》|鑿《さく》は抜きにして、ゆでた毛ガニの甲羅を剥いで汁気たっぷりの味噌や真白なむき身をせせると、よくぞ北海道に来たと思う。     春の風情を食べる  北海道の毛ガニを話題に乗せたからには、九州の旬のものも挙げずばなるまい。  なんといっても、冬の味覚はふぐ[#「ふぐ」に傍点]に止めを刺す。そして、二月も半ばすぎると、博多西部を流れる室見川へ|白《しろ》|魚《うお》が産卵のため上がってくる。  体長四センチほどの、飴色に向うが透けて見える細く小さな目高のような小魚で、故郷の川へ戻り産卵を終えると、短い一年の生涯を閉じる。  味わうという魚ではないが、まあ、春の風情を桜とともに食べるとでも言おうか。  白魚の踊り[#「踊り」に傍点]食いはご当地の名物だが、わずか一年の生涯を人間の腹中に納めてしまうのは、残酷物語と言えなくもない。  那珂川沿いの柳橋連合市場を覗いたら、「あぶってかも(雀鯛)」が皿に盛付けされて置いてあった。  雀鯛といっても鯛科の魚ではなく、一〇〜一三、四センチ程の黒色の小魚である。春の終わり、四月の末から五月にかけてが旬である。  |炙《あぶ》って噛もうの字義通り、塩をたっぷり振って焼魚にして、頭からウロコ、内臓までも食べてしまう。塩分の強いことを除けたら、まさに保健食である。  以前は、魚屋の店頭に、たっぷりと粗塩の布団をかけられて盛りつけてあったが、この頃は流行りの嫌塩のためか、塩をかけられた「あぶってかも」をあまり見かけない。  一見気になるウロコも、炙るとそれほどのこともなく、甘鯛のウロコより気にならない。小魚のくせに骨太だが、博多女子は、それを頭からバリバリ噛みくだくから、アナ恐ろしやである。  白身で淡泊でありながら、脂が充分に乗っていて、下魚だがその味を一度覚えたら忘れられない。しかも、調理は塩焼だけというのが、九州の魚らしくて気に入っている。     かつおのオイル焼きタタキ風  昔、江戸っ子は女房を質においても食べたというかつお、いまが旬である。  うちの奥さん、妙なご趣味があって、商い上手にすすめられるとついつい無駄買いする。そんなかつおの半身が、二日ほどわが家の冷蔵庫に眠っていた。私だって内儀さんの十分の一ぐらいは売れている役者だから、そう包丁ばかり握ってはいられない。  二日も寝転がっていたかつおは、ちょっと刺し身にする気にはならない。半身を更にふたつ節にとり、血合いを落として皿にとり、粗塩をきつめにふって、日本酒を少々かけて一〇分ほど置いた。そのかつおの節に、小生秘伝のにんにくのミジン切りサラダオイル漬を、小さじ三杯ほど塗りつけた。  にんにくのオイル漬は、にんにくの皮をむいてミジンに刻んでそれを広口瓶に入れ、オリーブ油をヒタヒタまで入れて冷蔵庫に保存しておく。  フライパンを熱してサラダ油大さじ一杯半入れ、長ねぎの捨てるような青い葉先を二、三本敷いて、そのうえに皮目を下にして節を置く。はじめは強火で焼き、焦げ目が軽くついたらにんにくをのせた魚肉を返して、フライパンに蓋をして中弱火で蒸し焼きにする。このとき、五センチほどに切った長ねぎの白い部分を何本か入れる。  にんにくがうっすらと狐色になり魚肉の色が茶色になったら出来あがり。青ねぎが余分な油とにんにくの臭みを消し、結構なかつおのオイル焼きタタキ風になった。白い長ねぎはつけ合わせにする。獅子唐辛子、ピーマンを焼いてつけても結構、失敗のないタタキである。     鱒のイクラ飯  映画、テレビが下火になってからは舞台が多い。うっかりしているうちに三か月を劇場で暮し、春の目覚めを知らぬうちに春寒が過ぎ、初夏を迎えた。私はこの間の|殆《ほとん》どを劇場で過したわけだが、舞台の華やかさにくらべると楽屋暮しは独房に近い孤独なものがある。  まず第一に、楽屋には窓がない。あってもその多くは開かず窓なので、ひとたび劇場に入ると、十二時間は下界ともお別れである。東京ならば、家と劇場との往復に多少の息抜きも出来るが、地方の場合、ホテルと劇場の行き交いだけだから、まさに独房住いに等しい。楽屋から舞台に向かう階段の四天窓からチラリと見る青空は切ないものだ。  劇場生活がながくなると、もうひとつ情けないものがある。それは食べることだ。楽屋に出前する店は限られているから、一週間もするとテンヤモノ[#「テンヤモノ」に傍点]に飽きてくる。  名古屋御園座での公演のときには、とうとう悲鳴をあげた。幸い小さな電気コンロの火鉢が備えつけてあったので、名古屋名物“山本屋”の味噌煮込みのお土産一式を求め、金子式味噌煮込みやおじや[#「おじや」に傍点]などを作って、楽屋での食生活をごまかして過した。  東京に帰って、食生活の欲求不満を解消するべく猛然と台所に入った。はじめに作ったのが、|韮《にら》とレバー、卵の炒めもの。長旅で疲れたためか、妙に食べたかった。  レバー料理のコツは血抜きを丁寧にして、特有の臭みを抜くことだ。それには、レバーをスライスして、水道の水を落としながら、一時間位漬けておく。レバーカツレツにするときには、よく水を拭き、さらに牛乳に三〇分ほど漬けてから塩、胡椒をするといい。  韮レバーは水気をきってから、一口大に切り、レバー一〇〇グラムに醤油と酒大さじ二杯ずつを合わせ、にんにくと生姜一かけをすりおろして混ぜ、その汁に三〇分漬けておき、鉄鍋に大さじ二杯半のオイルを熱し、汁ごと強火で手早く炒める。卵は割りほぐし、塩少々を入れ、油大さじ二杯で炒め、つぎに韮を入れ、レバーの炒めたものを合わせて、味を整える。  公演の合い間に鱒釣りをするつもりで、イクラを用意したが、その日が生憎と雨になってしまった。仕方なく、|餌《えさ》のイクラをプチプチ噛みながら、ウイスキーを飲み、雨あしを眺めているうち、ふとイクラ飯[#「イクラ飯」に傍点]を作る気になった。これが、思いのほか上手く出来たので、御披露しよう。  まず、米三カップをよく洗い、水加減して昆布一枚(切手四枚の大きさ)を入れておく。次に土生姜、梅干し二個分位をスライスして、清水に三〇分ほど浸しアクを抜き、ミジンに刻む。大さじ二杯半ほど出来たら、そのうちの一杯半をほんの少々の塩を入れた米と一緒に炊きこむ。残りの分は、イクラ一〇〇グラムに醤油大さじ一杯、酒二杯をふりかけたものと混ぜておく。御飯がふいたとき、昆布を出し弱火にして炊きあがったら、イクラを入れる。むらしたら、イクラをつぶさぬように混ぜて出来上がり。茶碗に盛ってもみ海苔をかけてやる。 六月のお惣菜 蒸しハンバーグ [#ここから2字下げ] 〈材料〉(以下、指定のないものは四人前) (1)牛ミンチ四〇〇グラム(2)玉ねぎ中一個(3)パン粉一カップ半、玉子一個、ナツメッグ小さじ一杯、生クリーム大さじ一杯、塩小さじ三分の二杯、胡椒少々、酒大さじ一杯、バター大さじ一杯、牛乳大さじ一杯半(4)人参、いんげん、カリフラワー(5)スープの素一個、ウスターソース大さじ一杯、トマトケチャップ大さじ一杯半、片栗粉 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)玉ねぎはみじん切りにし、バターで炒めておく。 (2)パン粉は牛乳で湿らせておく。 (3)ボウルにミンチ、パン粉、玉ねぎ、玉子、調味料を入れ、よく練って、丸い形(四〜五個)にする。 (4)フライパンに多い目(大さじ三杯)の油を入れ、肉を焼く(表面に焦げ目をつけるため)。 (5)焦げ目がついたら皿に移し、蒸し器にかける。一五〜二〇分蒸す(蒸し器が小さいときは二〜三回に分ける)。 (6)蒸し上がったら盛りつけ、人参のグラッセ、いんげんのバターソテー、カリフラワーを添える。 (7)蒸して出た煮汁を小鍋に移し、湯少々、スープの素、トマトケチャップ、ウスターソースで味つけし、水とき片栗粉でトロミをつけてソースを作る。 厚揚げの味噌炒め [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)厚揚げ二〜三枚(2)豚肉一〇〇グラム(3)ピーマン二個(4)長ねぎ一本半(5)酒大さじ一杯、醤油大さじ一杯(6)生姜汁小さじ一杯(7)砂糖小さじ一杯、味噌小さじ二分の一杯、固形スープの素(半個)、三〇〜五〇ccの水 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)ピーマンは種をぬき細長く切っておく。 (2)湯通しした厚揚げを短ざく(一・五センチ)に切る。 (3)豚肉を小口に切り、醤油大さじ一杯、酒大さじ一杯、生姜汁小さじ一杯をかける。 (4)フライパンに油をいれピーマン少量を軽く炒め、塩を少しふり、色出しする。そこに豚肉を入れ強火で炒め、厚揚げをいれる。 (5)スープ(薄めの味)、調味料を入れ、煮る。 (6)最後に残りのピーマンを入れる。 かつおの焼きびたし [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)かつお(さしみ用)ひとふし(2)長ねぎ二本(3)生姜ひとかけ(4)醤油二分の一カップ、酒大さじ二杯、みりん大さじ一杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)長ねぎは三センチに切る。生姜は皮つきのままでスライスする。 (2)かつおは刺し身に切り、魚焼きに油少々を塗ったアルミ箔一枚をおき中火で白焼きにする。長ねぎも一緒に焼く。 (3)ボウルに醤油、酒、みりん、生姜を合わせてつけ汁を作る。 (4)かつおが焼けたら熱いうちに(3)のボウルに長ねぎも一緒につけこみ味をなじませ、器に盛りつける。 (5)このつけ汁に砂糖少量を加え、ひと煮たちさせ、タレを作り、焼きびたしと長ねぎをのせたどんぶりご飯にかけるとかつお丼の出来上がり。 〈応用編〉このつけ汁で下ゆでした里イモを煮こむ。 あじの冷製野菜添え [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)あじ(中くらい)四尾(2)キャベツ二枚(3)玉ねぎ小一個(4)ピーマン二個(5)人参三センチ(6)塩、胡椒、酒又は白ワイン、サラダ油、酢、化学調味料(7)レモン、トマト [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)あじはゼイゴを取り、つぼ抜き(エラを取って腹を切らずに腹の中のワタを取り除くこと)にして塩水でよく洗い、両面に包丁目を入れ、塩、胡椒、酒、化学調味料をふって約一〇分おく。 (2)あじを皿に並べ、酒大さじ一杯、レモン汁大さじ一杯、好みでローリエ、パセリをのせ、一〇分蒸す。 (3)野菜は千切りにして塩小さじ一杯で軽く塩もみして水洗いしてザルにあげておく。 (4)サラダ油大さじ五杯、酢大さじ三杯、ワイン大さじ二杯、塩小さじ一杯、胡椒、化学調味料を合わせてドレッシングを作る。 (5)蒸し上がったあじに(4)のドレッシングの三分の二をかけ、三分の一は野菜にかける。 (6)それぞれを冷蔵庫で冷やし、器に盛りつけ、レモンのくし切り、トマトを添える。 スパゲッティのマヨネーズ和え [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)スパゲッティ三〇〇グラム(2)ハム一〇〇グラム(3)カニ缶(くずの安いもの)小一缶(4)さやえんどう五〇グラム(5)マヨネーズ大さじ三杯(6)レモン汁大さじ二杯(7)マスタード大さじ一杯(8)卵黄一個(9)黒胡椒、パプリカ、パセリ、砂糖少々、粉チーズ(好みの分量)、酢小さじ二分の一杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)ハムは千切りにし、さやえんどうはゆがいて細切りにする。 (2)カニ缶をほぐしてレモン汁、酢、砂糖で和える。 (3)ボウルにマヨネーズをいれマスタード、卵黄、黒胡椒を合わせる。 (4)(3)に、(2)と、ハム、さやえんどうを入れ、ボウルで和える。 (5)スパゲッティをゆで、ゆで上がったら水切りし、(4)のボウルに入れ和える。 (6)カレー皿に盛り、パプリカ、パセリ、粉チーズをふりかける。冷蔵庫で冷やすとおいしい。 グリーンアスパラガスのグラタン [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)グリーンアスパラガス一束(2)ベーコン三〜四枚(3)小麦粉大さじ三杯(4)バター大さじ二杯(5)温めた牛乳三〇〜五〇cc(6)塩、胡椒、粉チーズ、バター大さじ一杯、パン粉大さじ二〜三杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)グリーンアスパラガスは湯がいておく。 (2)ベーコンは千切りにし、軽く炒めておく。 (3)湯がいたグリーンアスパラガスを根元の固い部分を除いて五センチぐらいに切る。 (4)鍋にバターをとかし、小麦粉を入れて弱火で合わせながら、ルウを作る。一〇分ほどゆっくり炒めてそこへ温めた牛乳を少しずつ加え、スプーンですくってトロリと落ちるぐらいの、ホワイトソースに仕上げ塩、胡椒、粉チーズで味つけする。 (5)バターを塗ったグラタン皿に半量のソースを入れ、その上にグリーンアスパラガスを並べ、ベーコンを散らす。残りのソースを入れ、バターを五か所くらいにおき、パン粉をふってオーブントースターに入れる(約一五分上下の弱火)。 (6)オーブンの場合は一六〇度ぐらいで上段におき、パン粉の焼き上がり具合で出来上がりを見る。 洋風牛どん [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)牛肉(薄切り)三〇〇グラム(2)玉ねぎ大一個(3)トマト中二個(4)いんげん(ゆでたものを五ミリに切る)六〜七本(5)生姜(みじん切り)半かけ(6)スープの素二〜三個、酒大さじ二杯、トマトケチャップ大さじ五杯、塩、胡椒、バター、粉チーズ(7)添えとして福神漬、ピクルス、らっきょう、紅生姜など [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)トマトは湯むきして種を取り、荒く切る。 (2)いんげんは湯がいて五ミリに切る。 (3)牛肉はひと口大に切り、塩小さじ一杯、胡椒少々、酒大さじ二杯をふる。 (4)玉ねぎをくし切りにする。 (5)鍋にバターをとかし、中火で焦がさぬように生姜、玉ねぎを炒め、牛肉を入れ強火で炒める。炒まったら火を弱めてトマト、スープの素、トマトケチャップを入れ、味をみて塩、胡椒を加え、ひと煮たちさせ、いんげんを入れる。 (6)カレー皿にご飯を盛りつけ、具をかけて粉チーズをふりかける。 ウインナーソーセージの牛肉巻き [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)牛肉(薄切り)一二枚(2)ウインナソーセージ一二本(3)塩、胡椒、酒 ソース(1)トマトケチャップ一五〇cc(2)ウスターソース大さじ三杯(3)スープ(固形スープ一個半)(二〇〇ccの湯でとく)(4)白ワイン五〇cc(5)ローリエ一枚(6)粒マスタード小さじ一杯、砂糖小さじ一杯半、レモン汁大さじ二杯、片栗粉 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)牛肉はひろげて塩、胡椒して酒をふり、一枚を一本のウインナに巻きつけ、凧糸か木綿糸でしばっておく。 (2)フライパンにサラダ油を入れ、牛肉巻きを入れて、ころがしながら焼き目をつけてやる。 (3)厚手の鍋に焼いた肉を入れ、フライパンをスープで洗ってその汁を入れ、ソース、調味料を合わせて入れ、中弱火で焦がさぬように一五分ほど煮る。 (4)肉が煮えたら肉をあげ糸を切る。片栗粉で残りの汁にトロミをつけ、皿に盛った肉にかけてやる。 そら豆と高菜の炒め物 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)そら豆三カップ(2)高菜の漬物半束(3)豚肉(小間切れ)一〇〇グラム(4)長ねぎ二分の一本(5)タカの爪(種ぬき)一本(6)生姜(みじん切り)大一個(7)醤油小さじ一杯半、酒大さじ一杯、ごま油小さじ一杯、ラード大さじ一杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)高菜は塩出ししておく。そら豆は少量の塩を入れてゆでて皮をむいておく。 (2)長ねぎは荒みじんにし、生姜はみじん切り、タカの爪は小口切りにする。 (3)豚肉に醤油、酒をふりかける。 (4)熱した中華鍋にラードを入れ、中火で長ねぎ、生姜、タカの爪を炒め、強火にして豚肉を入れて炒める。そこへそら豆と高菜を入れて炒め、味が足りなかったら、調味料で味を整える。仕上げにごま油をふる。 いかと大根の煮物 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)いか二杯(2)大根八〇〇グラム(3)生姜ひとかけ(4)タカの爪一本(5)醤油三分の一カップ、砂糖大さじ一杯半、みりん大さじ一杯、酒大さじ二杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)いかはワタを出し、水洗いをしておく。足は二〜三本に切り分けておく。 (2)大根の皮は厚くむき、八ミリ〜一センチぐらいのイチョウ切りにする。葉がついていれば、塩湯で湯がいておく。これは水にさらして、塩もみして漬物にする。 (3)いかの胴を一センチ幅に切る。 (4)鍋に調味料と生姜、タカの爪を入れ、いかを加え、強火でさっと五分ほど煮る。 (5)いかを取り出し大根と水(かぶるぐらい)を加え、弱火で味をふくませる。大根に味がなじんだら、いかを加えて、軽く煮かえして皿に取る。 お茶漬けソバ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)干しソバ二束(四人分として束は適当に考える)(2)鶏肉ささ身(大切り)二〇〇グラム(3)長ねぎ(白い部分を白髪ねぎ)二本(4)みょうが(千切り)三個(5)わさび(6)煎茶(上物)五カップ(7)海苔(千切り)一枚(8)白ごま(いりごま、半ずり)大さじ三杯(9)醤油大さじ一〇杯、酒大さじ三杯、みりん大さじ三杯、化学調味料 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)ソバはゆでて冷やしておく。 (2)鶏肉は大切りのまま(9)のつけ汁につけて三〇分〜一時間おいてから、焼いて薄くそぎ切りにする。つけ汁はさっと煮たてて冷ましておく(つけ汁はこの倍量でもよい)。 (3)煎茶五カップほどを器に入れて冷蔵庫に入れよく冷やしておく。 (4)器にゆでたソバを盛り、鶏肉、白髪ねぎ、みょうがをのせてつけ汁をかけ、わさび、ごま、海苔をのせて冷えた煎茶をかけて食べる。錦糸玉子を飾ってもよい。酒を飲んだあとによい。 なすの肉詰め [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)なす八個(2)鶏ひき肉二〇〇グラム(3)ベーコン(みじん)二切れ(4)玉子一個(5)生姜(おろしたもの)ひとかけ(人さし指のひと節分)(6)塩小さじ二分の一杯、日本酒大さじ一杯、片栗粉大さじ三杯、揚げ油 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)なすはヘタを落として十文字に深く切れ目を入れて塩水に放しておく。 (2)鶏肉とベーコンを合わせて包丁の背でよく叩いて、塩、生姜、酒、玉子を入れてよく混ぜ合わせておく。 (3)なすを水から取り、水気をふいて、切れ目に片栗粉をふり、ミンチ肉を等分に詰める。 (4)揚げ油を熱して肉を詰めたなすを頭のほうから油(一七〇度)に入れて、ころがすようにして揚げる。 (5)皿にキャベツの千切りと、トマトを盛り、揚げたなすを放射状におく。熱いうちに、辛子酢醤油で食べる。 豚ロース肉の大葉焼き [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)豚ロース肉(とんかつ用)一三〇グラム×四枚(2)大葉一束(3)塩小さじ一杯半、胡椒小さじ二分の一杯、酒大さじ二杯(4)サラダ油大さじ三〜四杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)豚肉のまわりについている脂肪を切り取り、豚肉は一・五センチ幅に切り、塩、胡椒をする。脂肪は細かく切っておく。 (2)大葉は千切りにする。 (3)フライパンにサラダ油を入れ、強火で豚肉を炒める。肉が炒まったらそこへ酒をふりかけてフランベ(焼きつけ)してから火を止めて余分な油をこぼして、大葉をからめ、サラダ菜の上に盛りつける。 (4)脂肪の部分は豚肉を炒めた油で火加減しながらカリカリに炒める。これは野菜炒めや豚汁にするとよい。 ※フライパンに火を入れてフランベ(焼きつけ)する場合、馴れない人は油を別皿にとってから酒を入れて火をつけてやるとよい。 冷しちり豆腐(おひょう、かれいなど) [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)豆腐二丁(2)白身魚(切り身)三〇〇グラム(3)大正えび四尾(4)薄焼き玉子一個分(5)出し昆布五センチ角一枚(6)万能ねぎ(きざみ)半束(7)生姜しぼり汁大さじ一杯(8)塩、薄口醤油、日本酒(9)レモンの輪切り四枚 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)白身魚は適当に切り分けて塩と酒をふっておく。えびは皮をむき尾を残して背ワタを取り、これも塩と酒を少々ふっておく。 (2)薄焼き玉子(塩小さじ五分の一杯と牛乳小さじ一杯半を加える)は千切りにしておく。 (3)鍋に水五カップを入れて昆布を入れ、三〇分ほどおいてから火にかけ、昆布のふちに泡がたったら昆布をひき出して、火を強めて魚とえびを入れ煮たたせて出るアクをていねいにひき、塩、薄口醤油、酒で濃口の吸物仕立てにする。 (4)大きい目のヤッコに切った豆腐を入れてひと煮たちさせ、味が薄いようだったら調味料を足して、ひと煮たちさせてそのまま冷ます。 (5)深めの器に盛り、生姜のしぼり汁をたらし、薄焼き玉子とねぎとレモンをおく。 なすのスコッチエッグ風 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)豚ひき肉三〇〇グラム(2)なす(中ぐらいのもの)四個(3)玉子一個(4)塩小さじ一杯、砂糖小さじ一杯、胡椒小さじ三分の一杯、酒小さじ一杯半、片栗粉小さじ一杯半、化学調味料(少々)(5)揚げもの用として、小麦粉、とき玉子、パン粉、油を用意しておく [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)なすは漬物用ぐらいの大きさ(やや小さいもの)を選びヘタをつけたままタテに浅く四すじほど包丁を入れて、塩水につけてアク出しをしておく。 (2)ひき肉に塩、砂糖、胡椒、酒、玉子、片栗粉をふりこみよくこね合わせて四等分にしておく。 (3)アク抜きしたなすの水気をよくふき取り、なすに串で全体に穴をあけてやり、軽く粉をふって、スコッチエッグのように肉で包みこんでやる。 (4)肉でくるみこんだなすは、とんかつと同じように粉をまぶし、とき玉子をつけてからパン粉をまぶして中温の油でゆっくり揚げる。温度が高すぎると肉が焦げて中まで火が通らないから気をつけること。 (5)串でさしてみて串が楽に通るようだったら油から取り出し油切りして、ヘタの方から切り口を探して真中二つに切ってキャベツのきざみなどをつけて皿に盛る。ウスターソース、ケチャップで食べる。 ひき肉の小判揚げ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)合びき肉四〇〇グラム(2)芝えび(冷凍ものでよい)五〇グラム(3)長ねぎ(みじん切り)二分の一本(4)生姜(すりおろし)ひとかけ(5)玉子一個(6)砂糖小さじ二分の一杯、塩小さじ一杯、酒小さじ一杯半、片栗粉大さじ四杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)えびは背ワタをとって包丁の背でよくつぶしてすり身を作り、合びき肉もたたいてつくね状にしてからえびとねぎ、生姜のしぼり汁に玉子と調味料を入れてよく混ぜ合わせる。 (2)固まりが弱いようだったら片栗粉小さじ一杯半ほど入れてもよい。 (3)以上を小判型に四〜八にまとめて蒸し器で一〇分ほど蒸してから、濃い目の水とき片栗粉をつけて高温の油で揚げてやる。蒸し皿に汁が出るので漉して、固形スープを加えてスープを作る。 (4)辛子醤油、又はウスターソース、トマトケチャップなど好みのソースで食べる。 鶏もも肉と玉ねぎのカレー炒め [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)鶏もも肉四〇〇グラム(2)玉ねぎ中一個(3)きざみパセリ大さじ二杯(4)バター大さじ二杯、塩小さじ一杯半、胡椒小さじ一杯、カレー粉大さじ一〜二杯、酒大さじ一杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)鶏肉はブツ切りにして塩、胡椒をよくすりこみ酒をふっておく。 (2)玉ねぎは七ミリほどの輪切りにしておく。 (3)フライパンを熱してバターを入れてとけかかったら鶏肉を入れて、強火で手早く焼き目をつけて、火を弱めて玉ねぎを入れゆっくりと炒めて火を通し色が変わりこんがりしてきたらカレー粉(大さじ一〜二杯)を塩梅を見ながらふり入れ塩味が足りないようだったら足し、皿に盛ってパセリをふってやる。粉チーズも加えると風味を増す。 豆腐だんごの冷し汁 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)豆腐一丁半(2)白身魚(切り身のおひょう、たらなど)二切れ(3)芝えび(冷凍ものでもよい)一〇〜一五尾(4)ピーマン一個(5)グリンピース大さじ一杯(6)塩小さじ一杯半、醤油小さじ二分の一杯、酒大さじ一杯半、片栗粉大さじ一杯、胡椒少々 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)豆腐は荒くほぐして鍋に熱湯を入れたなかに落とし、浮いてきたら布巾にとって水気を切っておく。 (2)魚は皮を取って荒くきざみ出刃包丁の背又はすりこぎでよくたたいておく。 (3)えびは背ワタをとって酒(大さじ一杯)塩(小さじ二分の一杯)をふっておく。 (4)ピーマンは二つ割りにして芯を取りあられに切って塩湯で湯がいておく。 (5)豆腐と白身魚をよく練り合わせてそこへ塩、胡椒、醤油、酒、片栗粉を入れて二等分にしてそのひとつへグリーンピースを入れて、二・五センチぐらいのだんごにする。子供用には胡椒を入れないグリーンピースだんごを作っておく。 (6)熱湯(六〇〇cc)にだんごを落とし浮きあがってくるまでゆでて、浮いてきたら取り出してえびを軽くゆでてやる(カラつきのえびだったら、このままカラも頭も入れて出しをとる)。 (7)ゆで汁は布で漉してキレイにしてから塩と醤油で椀汁を作り(生姜のしぼり汁小さじ二分の一杯を足すとよい)冷やしておく。 (8)深目の皿にだんごとえび、ピーマンを入れてスープを注いでやる。これは温いものでも旨い。 牛肉とらっきょうのおろし和え [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)牛肉(赤身かたまり)四〇〇グラム(2)人参中二分の一本(3)きゅうり一〜二本(4)らっきょう(大粒の甘酢につけたもの)二〇〜二五個(5)醤油、酒二分の一カップ、レモン汁二分の一個分、酢大さじ一〜二杯、とき辛子小さじ一杯〜二杯、葉三つ葉一束 吸物(1)三つ葉(2)玉子一個(3)顆粒のだしの素少々 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 [#ここから1字下げ] 牛肉とらっきょうのおろし和え [#ここで字下げ終わり] (1)ひと口大に切った牛肉を、醤油、酒に二〇分つけておく。 (2)人参、きゅうりは千切りにし、塩をしておく。らっきょうはすりおろしておく。 (3)牛肉の汁気を取り、片栗粉をまぶす。沸騰した鍋に入れ、湯がきながら煮すぎないようにゆでる。大皿に取りうちわであおいで荒熱を取る。 (4)すりおろしたらっきょう、レモン汁、酢、とき辛子を合わせ、人参、きゅうり、牛肉と混ぜ合わせる(残った漬け汁を煮たたせ大さじ一杯ほど入れてやる)。 (5)器に盛りつけ、葉三つ葉をあしらう。 [#ここから1字下げ] 吸物 [#ここで字下げ終わり] (1)三つ葉の茎があまるので、これで吸物を作る。 (2)鍋に二カップの湯をはり、だしの素、残ったつけ汁で味つけをする。 (3)仕上げにとき玉子を入れる。 中華風ビフテキの照り焼き [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)牛肉(ステーキ用輸入ものでよい)一五〇グラムを四枚(2)にんにくひとかけ(3)醤油大さじ三杯半、砂糖大さじ二杯、酒大さじ三杯、ごま油大さじ二杯、生姜しぼり汁大さじ一杯半 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)牛肉は包丁の背でたたいて厚さを平均にして、酒と化学調味料をふっておく(化学調味料は固くて、味の足りない肉の場合) (2)材料(3)のつけ汁を合わせて、ひと切れを四等分にした肉を一〇分ほど漬けこんで味つけをしてやる。 (3)フランパンを熱し、油(大さじ三杯)を入れてにんにくを入れ香りが出たら、つけ汁を切った肉を強火で裏表を焼き、弱火にして蒸らすように焼いてやる。 (4)つけ汁は煮たて味が足りないようだったら化学調味料をふりこんでソースにする。 はんぺんのバーベキュー [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)はんぺん四枚(2)醤油大さじ四〜五杯、サラダ油大さじ二杯、ごま油小さじ一杯、酒大さじ二杯(3)とき辛子少々 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)はんぺんを遠火で、ガス焼き網で焼いてやり、ふくらみが出てきたら材料(2)のソースを合わせたものを塗りながら焼きあげてやる。 (2)子供向きにはケチャップを添えて出すが、大人にはとき辛子をつけ、野菜と一緒に皿に盛ってやる。つけ合わせ野菜はキャベツ、レタスの千切り、ゆでたほうれん草、貝割れ菜、トマトなど。 新じゃがいもと牛肉の煮物 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)新じゃがいも四〇〇グラム(2)牛肉(薄切り)二〇〇グラム(3)干ししいたけ(そぎ切り)四〜五枚(4)人参(皮むき二センチのあられ切り)小一本(5)生姜ひとかけ(6)ラード大一個(7)砂糖大さじ二杯、醤油大さじ三杯、酒大さじ一杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)じゃがいもはすり鉢で皮をむき、大きければ二つに切っておく。 (2)しいたけはもどして幅一センチのそぎ切りにしておく。 (3)牛肉はひと口大に切り、醤油小さじ一杯、酒小さじ一杯をふっておく。生姜は太めの千切りにする。 (4)鍋にラード又はサラダ油をとかし、牛肉を炒め、じゃがいも、人参、しいたけを炒め、水一カップ半(ひたひたぐらい)と砂糖大さじ一杯と醤油大さじ一杯半、生姜を入れて煮る。 (5)煮えてきたら、砂糖大さじ一杯、醤油大さじ一杯半を足し、やわらかくなるまで煮る。     七 月     ビール炊き御飯     重さと琥珀色の魅力  盛夏、ひと仕事したあと、シャワーか熱い風呂でひと汗流してサッパリした気分で飲むビールは、夏の銷夏法の醍醐味である。それも生ビールがいい。口当りがマロやかで生娘の柔肌にくちづけする思いである。  生ビールの旨さは、ジョッキに注ぐときの泡立ちにコツがある。むかし、ビヤホールには専門の注ぎ手がいて、馴れた手つきでジョッキに生ビールを注ぎ、グラスから盛りあがった余分な泡を指揮棒のようなものでジョッキの口を横に払ってジョッキをボーイに渡す。  キメ細かく白い均等化された泡が一センチ五ミリか二センチほどで、その泡の下は琥珀色の液体である。その泡立ちは、幾十幾百のジョッキのすべてが同じで、ちょっとした芸術品である。  飲み手は、静かにジョッキを持ちあげ唇にあてる。大ジョッキはその重さに、中ジョッキは琥珀色に旨さがある。小ジョッキは小娘の飲むものである。生ビールの旨さはその重みと色にあるからで、小ジョッキにはそれがない。  私は日本のビールは味の点では世界のトップクラスにあることは間違いないと思うが、メーカーの味覚くらべではメーカーがいいと言うほどのことはない。飲み手の好みでいい。  その点、本場ドイツビールは日本酒の地酒と同じで多彩である。旨くないと閉口したのは、ソビエトのビールとタイのビールだ。不味い口あたりはいまでも消えない。  面白いことに、ソビエトの船に積み込むビールはサッポロビールである。味覚の点かと思ったが、なんのことはない、サッポロビールのマークが赤い星だったことを彼等が気に入っていたのだ。ロシア人は大食漢だが、ガストロノミ(食道楽)ではない。  生ビールは喧噪のなかで飲むのがいい。日米戦争の末期に国民酒場というケッタイな飲み屋が生まれて、日本酒酒場、洋酒酒場、ビール酒場があったが、ビール酒場で飲むビールは、負け戦さの憂さ晴らしになった。これが、日本酒酒場だとどうしてもカラミや喧嘩になってしまうから面白い。     ビールの友・豆を食べる  ビールの|肴《さかな》には豆がいい。五月の声を聞くとグリーンピース、空豆、枝豆と九月の終わりまで尽きることがない。いずれも塩ゆでが一番シンプルな肴だが、ことに枝豆がビールには合う。フランス風にグリーンピースと塩豚の煮物や中国風に高菜と空豆の煮物も悪くない。  空豆は気をつけて買わないと、実が入りすぎて色が黄ばみ固くなったものがある。こうした豆は中国風に煮るか、面倒でもゆでて皮をむいてすり鉢ですって、鰯のすり身を合わせて空豆入りのつみれ[#「つみれ」に傍点]にしてやる。  この味つけは、鰯のすり身五〇〇グラムに塩小さじ一杯、味噌小さじ一杯、生姜しぼり汁小さじ一杯、日本酒大さじ一杯、生玉子一個に片栗粉小さじ二杯で練る。これに空豆のすったものを一〇〇グラムほど入れる。そして胡椒少々をふって、まとめて鰯団子にする。  昆布出し汁を沸かして団子を落とし、浮いてきたら取りあげて、出し汁を|漉《こ》してすまし汁を作る。味噌|味《あじ》や固形スープを入れれば洋風になる。また、すり身は揚団子にして天つゆで食べてもいいし、煮たものを生姜醤油、大根おろしで食べても旨い。     ペルーのライス料理  アロスコンポーヨはペルーのビール炊き込み飯である。鶏肉と米をビールで炊き込む。鶏肉の臭味も消え、ビールのホップの苦みも感じない。  材料は水炊き用骨付鶏肉四〇〇〜五〇〇グラム、玉ねぎ大一個、クミンシード(香料・市販されている)、なければパセリのみじん切り大さじ一・五杯、ニンニク二片、ローリエ一枚、塩、胡椒、オリーブ油(サラダ油)大さじ三杯、米五カップ、ビール一本。玉ねぎは赤玉ねぎが理想だが、なければ普通のでもよい。  玉ねぎを小豆大のあられに刻み、ニンニクも刻んでおく。鶏肉に塩、胡椒して十分ほどおき、厚手のシチュー鍋(フライパンでも可)に油大さじ三杯を熱し、焦がさぬように玉ねぎを炒めて色が変わってきたらニンニクと鶏肉のブツ切りを入れて炒める。  玉ねぎがトロけるようになったら、クミンまたはパセリのみじん、ローリエを入れ、洗ったお米を入れて中火で米に油が廻るように軽く炒める。そこへビールを注ぐ。  分量は御飯炊きの要領と同じでいいが、日本のビールはホップの苦みがペルー産より強いので、少し水を加えた方がいい。フライパンで作るときは炒めて、釜なり電気釜に移してから水加減をする。このとき醤油少々を落としても旨い。  あとは普通に炊くが、蒸らしのときに、日本酒かワイン大さじ一杯ほどふりかけると風味を増す。蒸らし終わったら、軽く具と御飯を混ぜ合わせる。  ペルーのパーティーには必ず出るライス料理だ。水加減にちょっとコツがいるが、炒め米だから水は普通より少な目にした方がやわらかくならず上手くいくようである。一度、お試しあれ。夏バテを防ぐスタミナ料理として最適です。 七月のお惣菜 枝豆のお好み焼きとあづま煮 [#ここから2字下げ] 〈材料〉(以下、指定のないものは四人前) 枝豆のお好み焼き(1)枝豆(ゆでたもの)二カップ(2)ベーコン(千切り)一〇〇グラム(3)塩、胡椒少々(4)粉一カップ(5)サラダ油(6)玉子一個(7)もみ海苔、かつお節(けずったもの) 枝豆のあづま煮(1)枝豆(さやつき)四カップ(2)砂糖二、醤油三、酒一、水六 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 [#ここから1字下げ] 枝豆のお好み焼き [#ここで字下げ終わり] (1)枝豆はゆでてさやから取り出し、少量の塩、胡椒をふっておく。 (2)粉と水半々と玉子で衣を作り、枝豆とベーコン(先に軽く炒めておく)を混ぜ合わせる。 (3)フライパンにサラダ油を入れて(2)を大さじ一杯ほどを流していく。押しつけるようにして焼き、火が通ったら、返してやる。 (4)もみ海苔、けずりかつおをかけ醤油又はソースで食べる。 [#ここから1字下げ] 枝豆のあづま煮 [#ここで字下げ終わり] (1)枝豆はさやのあとさきを切りゆでる。ゆで終わったら水気をよく切って、鍋にもどし、材料(2)の割り合いの汁を作り、枝豆の六分目くらいまで入れて煮る。中弱火で煮汁がなくなるまで煮つける。枝つきの枝豆は適当な長さに枝を切る。枝つきのまま煮るとさらに味わいが出る。 冷し中華ソバ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)中華ソバの玉四玉(2)豚肉(薄切り)一五〇グラム(3)ピーマン(千切り)二個(4)高菜漬け(千切り)二枚(5)ハム(千切り)四枚(6)玉子一個(7)きゅうり(千切り)一本(8)トマト(薄いくし型に切る)小一個(9)醤油小さじ三杯、酒、塩、ラー油 つけ汁●醤油大さじ三杯、酢大さじ二杯、ごま油大さじ一杯、出し汁大さじ三杯、塩、化学調味料、とき辛子少々 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)ソバはゆでて冷水に取り、水気を切ってサラダ油大さじ二杯をふる。 (2)豚肉は千切りにして醤油、酒小さじ一杯をからませる。 (3)高菜は千切りにしておく。 (4)鍋にラード大さじ二杯を入れ、豚肉を先に炒め、高菜、ピーマンを入れて強火で炒めながら醤油、化学調味料、酒、ラー油で味をつける。 (5)玉子はといて塩と化学調味料を入れて薄焼き玉子を作り、千切りにしておく。 (6)きゅうりはななめ薄切りにし、酢小さじ一杯、塩小さじ一杯、砂糖小さじ三分の一杯、化学調味料をからめて冷やしておく。 (7)つけ汁はよく合わせておく。(分量より少し多い目に作っておく) (8)ソバを皿に盛り、豚肉と高菜の炒めものをかける。まわりにハム、玉子、トマト、きゅうりを飾る。食べるときに、つけ汁を注いでやる。 ヨーグルトスープとあじのムニエル [#ここから2字下げ] 〈材料〉 ヨーグルトスープ(1)プレーンヨーグルト三〇〇cc(2)固形スープ(湯にとかしてスープにする)二個、二〇〇cc(3)牛乳二〇〇cc(4)ケチャップ大さじ一杯(5)砂糖小さじ一杯(6)ワイン大さじ一杯(7)パセリ(みじん切り)小さじ一杯半(8)レモンの皮(千切り)小さじ一杯(9)パプリカ、シナモン小さじ一杯 あじのムニエル●あじ、塩、胡椒、粒マスタード [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 [#ここから1字下げ] ヨーグルトスープ [#ここで字下げ終わり] (1)固形スープの素二個分を二〇〇ccの湯でとき、煮たたせて冷ましておく。 (2)ヨーグルトの中にスープを入れ、ケチャップ、牛乳、砂糖、ワインを少しずつ混ぜ合わせて好みの味にして冷やし、食卓に出すとき紅茶茶碗に入れてパセリ、レモンの皮少量を浮かせる。パプリカを少量か、シナモンをふるとよい。 [#ここから1字下げ] あじのムニエル [#ここで字下げ終わり] (1)三枚におろしたあじ(中型)に塩、胡椒をふり、粒マスタードを塗り、小麦粉をまぶす。 (2)フライパンにバターを多目に入れて強火で表になる方をはじめに焼いてから裏にし、火を弱めて蒸し焼きにする。 大正えびと白身魚のチーズ揚げ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)大正えび六〜八尾(2)白身魚の切り身又は生さけの切り身二切れ(3)パン粉二〜三カップ、粉、粉チーズ大さじ三杯、塩、胡椒、酒(4)玉子二個(5)大葉二〜三枚 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)大正えびは皮をむき、背ワタを取り尾の先をちょっと切り落として塩、胡椒する。 (2)魚の切り身は二つか三つに切り、塩、胡椒、酒少々をふり、大葉の千切りをからませる。 (3)粉チーズとパン粉は合わせておく。 (4)(1)と(2)にフライにするときのように粉、とき玉子をつけ、(3)の中にころがし、一七〇度の揚げ油で揚げる。 (5)サラダ、レモンのくし型をつけ、タルタルソースや好みのソースをつける。 ちりめんじゃこの中華風炒め [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)玉子五個(2)しらす二分の一カップ(3)ベーコン(みじん切り)二枚(4)生姜(細く千切り)ひとかけ(5)醤油小さじ一杯、塩、胡椒少々、酒小さじ一杯、ごま油小さじ一杯、化学調味料(6)サラダ油大さじ四杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)玉子は割りほぐして、塩、胡椒、酒、ごま油と化学調味料を合わせておく。 (2)中華鍋を熱し、油大さじ一杯を入れ、生姜を入れてベーコン、しらすを入れて手早くかき混ぜ、熱が通ったら醤油をたらして香りをつける。 (3)(2)をちょっと冷まして、玉子の中に入れる。 (4)中華鍋に油大さじ三杯を入れ、(3)を入れて|炒《い》り玉子風に炒りつける。 (5)しらす、ベーコンの塩味があるので、塩はひかえ目にし、出来上がりにブロッコリーかカリフラワー、さやいんげん、トマトなどを飾る。 焼き豚と野菜の辛子醤油和え [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)豚ロース(あみ焼きより少し厚いもの三枚)四〇〇グラム(2)トマト(タテに千切り)大一個(3)きゅうり(四センチの千切りにして塩水につける)大一本(4)玉ねぎ(くし型で薄く切る)一個(5)キャベツ(千切り)四〜五枚(6)辛子、醤油、塩、胡椒、酒、油(7)レモン汁大さじ一杯(8)じゃがいも [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)豚肉に塩、胡椒をふり、やや多い目にサラダ油を入れたフライパンで軽く焦げ目がつくくらいに焼いて、あとは弱火で蒸し焼きにして、仕上げに酒をふる。冷めたら千切りにする。 (2)野菜は千切りにしてトマトをよけて、塩水につけパリッとさせる。 (3)豚肉と野菜を器に盛りつけて、食べるときに両方を混ぜ合わせる。 (4)とき辛子と醤油を合わせたものに、レモン汁か酢を入れて(3)に混ぜてもよいが、小皿にとって食べた方が味が薄れない。 (5)じゃがいもの千切りを揚げるか、炒めたものをつけると、お菜になる。 冷し茶碗蒸し [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)玉子四個(2)出し汁、玉子の量の三〜三・五倍(3)むきえび一五尾(4)ロースハム(短ざく切り)三枚(5)枝豆大さじ二杯(6)三つ葉少々(7)塩小さじ二分の一杯、醤油小さじ一杯、酒小さじ一杯 くずあん●出し汁二分の一カップ、醤油小さじ一杯、砂糖小さじ二分の一杯、塩少々、片栗粉小さじ一杯、化学調味料 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)とき玉子に冷やした出し汁を入れて静かに混ぜ合わせ(7)の調味料を入れてスイノー(漉しあみ器)で器にたらし落としてからえびとハムを入れ、蒸し器に入れてはじめ五分強火、そのあと弱火で一五分ほど蒸す。 (2)蒸している間にくずあんの材料を混ぜ合わせとろ火にかけてくずあんを作り、冷蔵庫に入れて冷ましておく。 (3)蒸し上がったら枝豆と三つ葉を散らし、荒熱が取れたら冷蔵庫で冷やしておき、食卓に出すときあんをかけてやる。味はやや濃い目がよい。 豚肉のカレーソテー [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)豚もも肉(かたまり)五〇〇グラム(2)カレー粉大さじ二杯(3)醤油二分の一カップ、酒四分の一カップ(4)玉ねぎ、ピーマン、トマト [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)豚肉のかたまりは糸で巻いて、フォークか竹串で全体を突き、カレー粉大さじ二杯をていねいにこすりつける。 (2)醤油二分の一カップと酒四分の一カップでつけ汁を作り、豚肉を一時間ほどつけておく(ときどき返してやる)。 (3)フライパンに多い目に油大さじ二〜三杯を落とし熱し、汁気をふいた豚肉を入れてころがしながら中火で焼き、焦げ目を作る。 (4)蒸し器に深目の皿をおき、つけ汁ごと豚肉を入れて三〇分ほど強火で蒸す。串を中まで通して上がってくる肉汁が澄んでいたら出来上がり。 (5)玉ねぎ、ピーマン、トマトはつけ汁で軽く炒めて添えて出す。 (6)残ったつけ汁は片栗粉でトロミをつけてソースにする。 シャブカレー [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)豚肉のバラ肉(かたまり、上等なもの)四〇〇グラム(2)玉ねぎ三〜四個(3)じゃがいも三個(4)カレー粉、小麦粉、塩、酒 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)豚バラ肉はひと口大の大きさに荒く切る。 (2)玉ねぎも大ぶりにタテ四つ割りか六つ割りにする。 (3)じゃがいもは皮をむき、これも大ぶりに切っておく。 (4)水六カップほどを入れた鍋に豚肉、玉ねぎ、じゃがいもを入れ、塩小さじ一杯を入れて煮る。途中、アクが出たらすくい、水が足りないようだったら水を差し、じゃがいもと肉に串がささるまで煮る。 (5)カレー粉二〜三、小麦粉一ぐらいの割り合いで水ときのカレールウを作り、うらごし器を通して鍋に流し込んでやる。昔、おばあちゃんが作ったような薄いシャブシャブのカレー汁にして、そこへ塩(できれば天塩“ニガリの入ったもの”)を自分の好みで入れて塩味をつける。カレー風味が足りないようだったら、カレー粉を足す。仕上げに酒を少々入れる。仕上がりは味噌汁ぐらいの濃い目の汁にする。 夏バテ防止・変わりすき焼き [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)豚肉(やや厚目に切ったもの)一五〇グラム(2)鶏もつ肉一五〇グラム(3)いか一杯(4)かじきまぐろ(切り身)二切れ(5)長ねぎ三本(6)なす二個(7)生しいたけ一袋(8)トマト二個(9)もやし二〇〇グラム(10)ピーマン三個(11)キャベツ三枚 調味料(1)玉ねぎ(すりおろし二分の一個)、にんにく(すりおろしひとかけ)、土生姜(すりおろしひとかけ)、にんじん(すりおろし四分の一個)、りんご(すりおろし四分の一個)(2)醤油一カップ、みりん大さじ五杯、酒大さじ三杯、固形スープ一個、トマトケチャップ大さじ一杯、赤唐辛子一本、ごま小さじ二分の一杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)豚肉、もつ、いか、魚は食べやすい大きさに切っておく。 (2)長ねぎは三センチ、なすはタテ五ミリ幅の薄切り、ピーマンは種を取り四〜六つ割り、トマトはヨコ輪切りに一センチ幅に切る。もやしはできれば頭と根を取り掃除しておく。キャベツは二センチ幅に切る。 (3)調味料は全部合わせて鍋に入れて煮たたせてやや煮つめ、冷ましておく。 (4)すき焼鍋、又はホットプレートに油をしき、肉、野菜を交互に焼きながら、タレを小鉢に入れてつけて食べる。うどん、中華ソバを焼きながら食べても旨い(このときはバター、マーガリンで焼く)。 トウモロコシとちくわのかき揚げ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)スイートコーン(缶詰一缶又は生三本)(2)ちくわ一〜二本(3)ベーコン二切れ(4)人参(五ミリ角切り)五〇グラム(5)グリンピース大さじ三杯(6)玉子一個、小麦粉一カップ、冷水(氷を入れる)二分の一カップ、塩ひとつまみ 天つゆ(1)出し汁一カップ(2)砂糖大さじ一杯、醤油大さじ四〜五杯、みりん大さじ一杯、酒大さじ一杯、化学調味料少々、以上を煮たたせて天つゆを作る [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)ちくわはタテ二つ割りにしてさっと湯を通して、一センチ長さの細切りにする。 (2)人参は軽くゆでておく。 (3)ベーコンは細く千切りにする。 (4)(6)の材料で衣を作り、トウモロコシ、ちくわ、ベーコン、人参、グリンピースを合わせてお玉じゃくしにすくい取り、一八〇度ぐらいの温度の油で揚げる。 (5)皿に盛っておろし生姜などをつける。 いんげんとレタスの煮物 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)さやいんげん三〇〇グラム(2)レタス一個(3)ベーコン四枚(4)スープ(固形スープの素)一個、水二分の一カップ(5)バター大さじ三杯、塩、胡椒、砂糖少々(6)ワインか酒大さじ二杯(7)ゆで玉子二個 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)さやいんげんは洗って筋を取り、塩ひとつまみ入れてゆでて一センチの長さに切る。 (2)レタスは洗って食べやすい大きさに手でちぎる。 (3)鍋を火にかけベーコン二つ切りとバターを入れて、バターのとけたところへさやいんげんとレタスを入れて軽く炒める。そこへスープを入れ、砂糖、塩、胡椒、ワインで味を整え、ゆで玉子を入れて汁気のなくなるまで中弱火で煮る。皿に盛り、ゆで玉子は糸で何切れかに切って出す。 いわしの生姜蒸しのごま油焼き [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)いわし(小ぶりのもの)八〜一〇尾(2)塩少々、酒少々、土生姜(おろしたもの)大さじ五杯、ごま油大さじ二〜三杯(3)大根おろし、辛子酢醤油 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)いわしは頭と中骨をとって腹を開き、塩水で洗い、軽く塩をふってザルにひろげ、汁気を切っておく。 (2)汁気を切ったいわしに塩、酒とおろし生姜をふって、腹を合わせて皿に入れ蒸し器に入れて強火で四〜五分、一気に蒸し上げる。 (3)フライパンにごま油を多い目に入れて熱し、蒸し上げたいわしをころがし、焼き目をつけて大根おろし、酢どり生姜をつける。レモン、トマトをつけてもよい。 牛肉とほうれん草の炒め物 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)牛肉(薄切り)二〇〇〜三〇〇グラム(2)ほうれん草一束四〇〇グラム(3)にんにく(みじん切り)ひとかけ、生姜(みじん切り)小さじ一杯、長ねぎ(みじん切り)大さじ一杯、油大さじ三杯、塩、胡椒、醤油少々 肉の下味つけ用●砂糖、酒、酢、ごま油、各小さじ一杯、水大さじ一杯、片栗粉小さじ一杯、生姜、ごま、化学調味料少々 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)牛肉は四センチ角ぐらいに、ほうれん草は冷水に漬け、パリッとさせた後、四センチの長さに切りそろえておく。 (2)牛肉の下味つけの調味料を合わせる。ボウルに、砂糖小さじ一杯、酒小さじ一杯、酢小さじ一杯、ごま油小さじ一杯、水大さじ一杯、片栗粉小さじ一杯、塩、胡椒、生姜、ごま、化学調味料各少々を合わせ、牛肉をつけこむ。 (3)中華鍋に薄く油小さじ一杯を落とし、強火でよく熱してから大き目に切ったほうれん草を入れて、手早く炒めて油がまわったら、水一カップを一気に注ぐ。すぐにその水を捨てると、ほうれん草のアクがとれる。 (4)炒めたほうれん草に、塩、胡椒で味つけをして取り出し、温めた皿に盛りつける。 (5)その鍋にサラダ油をたっぷり目に落とし、中火でにんにく、しょうが、長ねぎのみじん切りを炒め、牛肉を入れて強火で手早く炒める。仕上げに、醤油小さじ一杯半ぐらいを鍋のふちにそって入れ、風味を整えて、ほうれん草を盛った皿に盛りつける。 金子式ところ天素麺とトマトのカニカマボコのバター炒め [#ここから2字下げ] 〈材料〉 金子式ところ天素麺(1)素麺四束(2)酢大さじ六杯、醤油大さじ五杯、酒大さじ三杯、化学調味料少々、みりん大さじ一杯 トマトとカニカマボコのバター炒め(1)カニカマボコ一袋(2)トマト大一個(3)バター大さじ一杯半(4)酒、塩、胡椒少々、パセリのみじん切り大さじ一杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 [#ここから1字下げ] 金子式ところ天素麺 [#ここで字下げ終わり] (1)酢大さじ六杯とみりん大さじ一杯、酒大さじ三杯を煮たて、そこへ醤油大さじ四杯と化学調味料少々を入れて火を止め、冷まし、醤油大さじ一杯を入れてつけ汁にする。もっと酢味がほしいときは酢を足す。 (2)素麺はゆでて氷入りの鉢に入れ、食卓に出す。好みでごま(炒りごま)、さらしねぎ、海苔(きざみ)、みょうが、錦糸玉子、焼き豚(千切り)、大葉などの薬味とおろし生姜、柚子、胡椒、かんずりを添える。 [#ここから1字下げ] トマトとカニカマボコのバター炒め [#ここで字下げ終わり] (1)厚手の鍋又はフライパンを熱してバターを落とし、湯むきしたトマトを炒め、そこへカニカマボコのななめ切りを入れ、塩、胡椒、酒で味を整えて、皿に盛ってパセリのみじん切りをふる。とき玉子でとじると、子供向きにもなる。 ミネストロン(イタリア風野菜スープ) [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)玉ねぎ(一センチ角切り)小一個(2)長ねぎ(一センチ切り)一本(3)人参(一センチ切り)二分の一本(4)キャベツ(一センチ切り)三枚(5)ピーマン(一センチ切り)三個(6)セロリ(一センチ切り)一本(7)かぶ(一センチ切り)三個(8)じゃがいも(一センチ切り固めに下ゆでしておく)小一個(9)トマト(湯むきしてあられ切り)二個(10)にんにく(みじん切り)ひとかけ(11)ベーコン(一センチ切り)五枚(12)マカロニ(細片、ゆでたもの)一カップ(13)固形スープの素五個(七カップの湯でといておく)(14)ワイン又は酒大さじ二〜三杯(15)パセリ(みじん切り)大さじ一杯(16)粉チーズ大さじ三〜五杯(17)バター大さじ一杯(18)生クリーム大さじ一杯(19)塩、胡椒 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)大きめのスープ鍋にバターを入れてとかし、ベーコンを入れて中火で炒める。 (2)油がでてきたらじゃがいもをのぞいた野菜を入れて炒め、トマトを入れスープ七カップを入れて煮る(一五〜二〇分)。 (3)野菜がやわらかくなったら、下ゆでしたじゃがいもを入れ、にんにく、ワインを入れ煮る。野菜が煮上がったらマカロニを入れて塩、胡椒で軽く味を整えて食卓に出し、スープ皿に取り、粉チーズ、生クリームをふり、パセリをふる。 枝豆とハムのかき揚げ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)枝豆二〇〇グラム(2)ハム(ロースのかたまり)、ソーセージ一五〇グラム(3)小麦粉(揚げもの用)一カップ半(4)重曹(揚げもの用に含まれていればいらない)小さじ三分の一杯(5)玉子一個(6)氷水一カップ(7)塩少々 天つゆ(1)出し汁一カップ半(2)醤油大さじ四杯(3)砂糖大さじ一杯(4)みりん大さじ一杯(5)酒大さじ一杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)天つゆの材料を煮たたせ、冷ましておく。 (2)枝豆はゆでてさやから出しておく。 (3)ハム、ソーセージは〇・五センチほどの角切りの大きさに切る。 (4)揚げ粉(塩、重曹を入れる)はふるって、玉子と氷水を合わせたものの中に入れ、荒くかき混ぜてそこへ(2)と(3)を入れ、高温(一八〇度)に熱した揚げ油にスプーンで落として揚げる。 (5)皿に盛り、レモン、大根おろしをつける。精進揚げ用の野菜も揚げてつけ合わせる。いか、芝えびを合わせるとよい。 豆腐とコーンのスープ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)豆腐一〜二丁(2)スイートコーン一缶(3)ベーコン二切れ(4)玉子(といておく)一個(5)塩、片栗粉、酒、油、化学調味料、パセリ(みじん切り) [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)鍋に湯をわかして豆腐を入れ、二分ほどゆでて水に放して熱を取り、水気を切って賽の目に切る。 (2)ベーコンは細い千切りにする。 (3)鍋に油大さじ一杯を入れて、そこへベーコンを入れ、スイートコーンを入れて炒めひとかきして豆腐を入れ、つぶれないようにかきまわしてなじませてから、湯五〜六カップを入れる。煮たったら火を弱めてアクをすくい、塩、酒、化学調味料で味を整え、片栗粉小さじ一杯を入れてといた玉子をまわしながら入れ、トロミをつける。皿に盛ってパセリのみじん切りをふる。スープの素で味つけしてもよい。 たかべの塩焼きと揚げ出し豆腐 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 たかべの塩焼き(1)たかべ四尾(2)大根おろし一〇〇グラム(3)大根の葉四〇グラム(4)土生姜(すりおろしひとかけ)又はカンズリ、柚子、胡椒 揚げ出し豆腐●豆腐一〜二丁、塩、胡椒、化学調味料、小麦粉(片栗粉) [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 [#ここから1字下げ] たかべの塩焼き [#ここで字下げ終わり] (1)たかべは塩をふり塩焼きにする。大根青葉は塩湯を通し、水にさらしてすり鉢に取り、すって、大根おろしと合わせる。 (2)皿にたかべをおいて大根おろしと香辛料をつける。 [#ここから1字下げ] 揚げ出し豆腐 [#ここで字下げ終わり] (1)豆腐は布巾で包んで軽く押し水気を取り、四〜五片に切って塩、胡椒、化学調味料をつけて、小麦粉又は片栗粉をまぶして多い目の油で揚げるように焼く。タレは天つゆに大根おろしをつける。ピーマン、カボチャの薄切り、玉ねぎ、なすなどを焼いて添えるとよい。 あじの甘酢あんかけ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)あじ(中)四尾(2)片栗粉大さじ二〜三杯、ねぎ(白い部分)一本、生姜ひとかけ(3)下味つけ調味料●醤油大さじ三杯、酒大さじ一杯、生姜のしぼり汁大さじ一杯、みりん大さじ一杯 (4)甘酢あん●醤油、酢、砂糖、酒、各大さじ一杯、塩小さじ一杯半、胡椒少々、化学調味料、水一カップ、片栗粉大さじ一杯、ごま油小さじ一杯半 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)あじはゼイゴとわたを取って材料(3)の下味につけてなじませ、揚げる直前に片栗粉をつける。 (2)ねぎは小口切り、生姜は千切りにしておく。 (3)甘酢あんの調味料を合わせて小鍋に入れ、火を通してあんを作って温めておく。 (4)揚げ油を火にかけ、一七〇度くらいになったらあじを入れて揚げ、紙に取って油を切る。 (5)中華鍋にごま油大さじ一杯を入れて、ねぎ、生姜を入れてひとかきしてから、甘酢あんをからめ、またひとかきして、それを皿に盛った魚にかけて熱いうちに食べる。 鶏の治部焼き [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)鶏(豚も可)ひき肉四〇〇グラム(2)玉ねぎ(すりおろし汁気はとる)一〇〇グラム(3)生姜(親指大みじん切り)ひとかけ(4)塩小さじ三分の一杯(5)醤油小さじ一杯(6)酒大さじ一杯(7)片栗粉大さじ一杯半(8)ピーナッツ又はくるみ(くだいたもの)大さじ一杯半(9)化学調味料少々、ごま油大さじ四杯(10)とき辛子大さじ一杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)玉ねぎは皮をむき、おろして軽く水気を切っておく。 (2)鶏又は豚のひき肉はすり鉢に入れてよくすり、玉ねぎのすりおろしと合わせて少しすってから、生姜のみじん切りと調味料、片栗粉とピーナッツを入れてよくこねて、一五等分にして、小判型を作る。 (3)フライパンにごま油をたっぷり入れて、肉をすべらせて焼きつけ、焼き上がったら辛子酢醤油で食べる。 カボチャと豚バラ薄切り肉の煮物 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)カボチャ(三センチの角切りにして面取りをする)五〇〇グラム(2)オクラ(軸を切り塩ゆでにする)一二個(3)豚バラ肉薄切り一五〇グラム(4)出し汁一カップ、酒大さじ二杯、砂糖大さじ四杯、みりん大さじ一杯、塩小さじ三分の一(5)片栗粉、生姜しぼり汁、醤油大さじ一杯、酒大さじ一杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)鍋にカボチャを入れて、出し汁と酒を入れて落としブタをして煮る。カボチャに竹串が通るぐらい(一〇分)になったら、砂糖を入れて五分ほど煮てから、塩を入れて味を整え、オクラを入れてひと煮たちさせる。 (2)豚バラ肉薄切りは、酒と生姜汁、醤油を全体にふり、なじませてから片栗粉をまぶしてさっと湯通しし、冷水に落として荒熱を取り、ひと口大に切る。 (3)カボチャとオクラを煮た後の汁で(2)を軽く煮る。出し汁が少ないようだったら少し足してやる。以上を皿に取って合わせる。 かつおと蓮根の磯辺揚げ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)かつお(安いところでよい)一五〇グラム(2)蓮根(すりおろし、水気をきったもの)二〇〇グラム(3)玉子一個(4)片栗粉大さじ四杯(5)砂糖大さじ二杯(6)干しぶどう大さじ三杯(7)塩小さじ四杯(8)酒大さじ一杯(9)黒胡椒小さじ一杯(10)化学調味料少々(11)パセリのみじん切り又は大葉のみじん切り(12)浅草海苔八枚(13)揚げ油(14)大根おろし、天つゆ又は醤油、塩、レモン [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)かつおは細く切って、出刃の背でよくたたいて、玉子と片栗粉、蓮根のすりおろしたものに調味料を入れ、よくすり、干しぶどう、パセリを混ぜて一五〜二〇等分して浅草海苔一枚を四等分にしたものに塗りつけて一七〇度の揚げ油であげる。 (2)天つゆ又はおろし醤油、塩のレモンかけで食べる。     八 月     梅干し     百年ものの|糠《ぬか》|床《どこ》  六月に漬けた梅の土用干しをする。箸で梅のひと粒ずつをこわさぬようにそっと挟んで、汁気を切って|笊《ざる》に置く。  毎年梅漬は三・五キロほど作る。市販の梅が一キロ、庭の梅が二・五キロである。我が家には、亡母が丹精した白梅と紅梅の二本があり、実生は紅梅の方が成績がいい。白梅は、どういうものか蕾のうちに野鳥が|啄《ついば》むので実がつかない。  日本人にとって漬物は欠かせないものだが、この醗酵食品は西洋にはない味覚である。私は、毎年梅干しをつくり、糠漬の床の手入れをする。  わが家の糠床は百年の歴史がある。嘘ではない、本当の話である。というのは、もう大分昔の話になるが、小倉に行ったとき、小倉名物どぶ漬[#「どぶ漬」に傍点]の糠床を旧家から分けてもらって糠床をこしらえたのだ。  どぶ漬は、そのときはじめて知った。「無法松の一生」で有名な小倉の祇園太鼓の取材で行ったのだが、そのとき茶うけに出た糠漬や青魚の糠味噌煮が見事な出来だったので、その|床《とこ》をみせてもらったら、実に美しい|鼈《べつ》|甲《こう》色に輝いていた。つまり、糠漬に艶がある。  その家のお祖母ちゃんが言うには、|曾《ひい》|祖《ば》|母《ば》のそのまた昔から引き継がれてきた糠味噌で、その床を守るのは代々嫁の務めとしてきたという。私はお祖母ちゃんに懇願して、弁当箱一杯ほどの糠味噌を分けてもらい、わが家の糠漬の種としたのだ。  私は独り者のときから糠味噌作りが得意で、両親と別に住んでいたときに、母が来て糠漬の種にもって行ったほどだったが、世帯を持ったら家内が、即駄目にしてしまった。  それから十年、糠味噌作りは放棄してしまったのだが、小倉の糠味噌の種をもらって十年、今度は私が管理している。冬の間は自然塩をたっぷりくれて冬眠させて、春の息吹とともに起こしてやる。ようやくわが家の味になった糠味噌は、自讃ながら何を漬けても旨い。     梅の土用干し  梅干しは、梅酒のように青梅で作らず、熟して黄ばんだ梅を使う。一晩水に漬けてアク抜きしてから漬けるが、私は梅漬に限って減塩を気にせず、梅一キロに塩二五〇グラムぐらい使う。下手に減塩するとカビの出る恐れがあるからだ。  二〜三日は重しをかけて、日に何べんか漬け込んだ|瓶《かめ》をしずかに振って塩を梅に馴染ませ、軽い重しをかけて土用まで冷暗所に置いてやる。土用干しのときに、澄んだ上澄みの漬け汁を器にとりわける。これが梅白酢である。  梅白酢は瓶に入れ冷蔵庫で保存すると、何年でも使える。私は、食欲のおきないとき、吸物や三杯酢に混ぜる。焼肉、焼魚にふってもいいし、糠味噌の古漬にもふる。  女房が、赤くふっくらとしたやわらかい汁気たっぷりの梅干しを食卓に出した。炊きたてのご飯に乗せてひと口ほおばったら、塩気もほどが好くて旨い。 「どこの梅干しだ」  と女房に聞いたら、 「なに言っているの、貴方が去年漬けた梅干しよ!」  と笑われた。  赤紫蘇の梅干しは、赤紫蘇の葉を塩でよくもみ、黒い汁が出たら固くしぼってアクを出してから、梅白酢でよくもんで紅をだす。その汁気をしぼって梅漬の上にかぶせて、重しをかけて瓶を冷暗所に置く。土用干しのとき、赤紫蘇を固くしぼって梅干しと一緒に干す。  土用干し三日三晩と言うが、私は晴天五日、秋口に入っても天気のよいときには干してやる。土用干しのとき、晴天の夜には夜露にあてる。     にんにく漬三種  新にんにくの出盛りも五月の末から六月である。私は、にんにくオイル、にんにく酒、にんにく醤油を作る。  にんにくオイルは、新にんにくの外皮をむいて微塵に刻んで瓶に入れ、オリーブ油かサラダ油を被るくらいに入れる。ただそれだけのことである。冷蔵庫に二週間ほど寝かせてから使う。使い減りしたら、オイルやにんにくを足していく。  にんにく酒は、梅酒の要領で作る。このとき、月桂樹の葉を一、二枚入れてやる。レモンのスライスを入れるときもある。この場合、レモンのスライスは一月ぐらいで取り出す。  にんにく醤油は作っておくと便利である。にんにくの皮をむき、|笊《ざる》にならべて軽く塩をふり三時間ほど置くと、にんにくが汗をかく。乾いた布巾かペーパータオルで水気をふいてから瓶に入れ、醤油をにんにくが指|一《ひと》|節《ふし》ほど被るくらい入れる。私は醤油に日本酒を一割くらい入れる。  他に土生姜を皮つきのまま泥をよく落として半個分ほどスライスして乗せ、出し昆布の上物七〜八センチ角のものを置く。二か月ほどでにんにくを食べることが出来るが、一年でも二年でも置いておく。私の家には十年ものがある。ただし、古いものは醤油の気が抜けるので、使うときは新醤油と混ぜて使う。  にんにくは古いものほど味が出る。玉子入りにんにく焼飯はまさに絶品である。     夏の素麺  梅雨明けの豪雨は地面からも雨が湧いてくる。一寸先も見えぬ水しぶきの煙り方は、|何《い》|時《つ》降り止むかと思うほどの凄まじさだが、雨脚があがると乾きも速い。強い日差しに黒く濡れたアスファルトは、見る間に白く変わり、その繰り返しで夏がやってくる。  盛夏、若者には大いなる喜びだが、年とともに夏がだんだん苦手になる。この頃はクーラーが進歩して、家の中にいる限り暑さを忘れさせてくれるが、あれは、体にどうも毒のような気がする。真夏に汗をかかないということは、もうひとつ気色の悪いもので、冷房の効いた部屋で、冷えた西瓜を食べても素麺を食べても、私は旨さを感じない。  夏に食慾を失うことは、それは、大人の生理的現象だから致し方のないことだが、それはそれで、わが食慾を欺瞞させる手段を考える。その欺瞞食のひとつに素麺[#「素麺」に傍点]がある。  細打ちの麺に、冷や麦麺と素麺の二種があるが、私は素麺の方を好む。冷や麦と素麺の違いは諸説フンプンであるが、私は小麦粉を塩と少量の油で練り込み、てのべにして線状に切り、日光に晒して乾し、ひと梅雨経たものが素麺で、三輪素麺とか揖保素麺が有名であり、冷や麦とはそんな手間をかけない機械打ちの細打ち麺だと考えている。  素麺の講釈はこのぐらいにして、七月のレセピーで紹介した金子流のつけ汁[#「つけ汁」に傍点]はいかがだったか。これは誰にでも出来る簡単な仕掛けである。一番単純なのは、酢三に醤油一ぐらいの割りで両者を合わせ、複合調味料を加えてよくかきまぜて調味料が溶けたら出来あがり。もっとおいしく食べたいときには、上等の米酢半カップをさっと煮たたせ、酢が沸いたら日本酒大さじ二杯ほどを少しずつたらし込む(甘味が欲しければさらにみりんを大さじ一杯入れる)。これは熱気で酒のアルコール分を飛ばすため、少しずつ入れなければいけない。次に醤油を半カップの三分の一ほど入れる。そして、複合調味料をふり込み、冷蔵庫でよく冷やして食卓に出す。そのときに大さじ一杯の生酢を足す。醤油の分量、日本酒の分量はあくまでも私の目の子算なので、諸氏の好みに合わせられたい。私自身もそのときの己れの好みで酢を控えたり、醤油をふやしたりする。なおいえば、醤油もうすくち醤油と半々にしたり、うくすちだけ使うこともある。酢味を嫌うお方は日本酒、みりんを多く入れる。  次に具だが、これは通常、さらし日本ねぎやもみ海苔を使うが、私はこれに、切りゴマや錦糸玉子(玉子のうす焼の細切り。ほのかな甘味をつけるか塩味がよい)、青ジソの千切り、ハムや焼き豚の刻んだもの、おろし生姜や紅生姜などを添えることもある。また、ラー油やゴマ油をふりかけても良い。まだあった。茗荷の刻んだものを加えると、口中極めて爽やかでよろしい。とび魚や鰺など乾きめに塩あぶりして、身をささらにほぐして具にしてもうまい。 八月のお惣菜 ビーフストロガノフ [#ここから2字下げ] 〈材料〉(以下、指定のないものは四人前) (1)牛肉(薄切り)三〇〇グラム(2)玉ねぎ一個(3)マッシュルーム一缶(4)にんにくひとかけ(5)レモン二分の一個(6)トマトピューレ、トマトケチャップ、固形スープの素、バター、塩、胡椒、ローリエ、小麦粉、パプリカ、ウスターソース、砂糖、赤ワイン、ブランデー、パセリ、生クリーム [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)牛肉は三〜四センチのザク切りに、玉ねぎ、マッシュルームはスライスしておく。 (2)鍋に大さじ二杯のバターをとかし、中火でにんにくのみじん切りと玉ねぎの薄切りを炒める。 (3)(2)に牛肉、マッシュルーム、ローリエを入れ、火を強くして肉色が変わるまでよく炒める。炒まったら、塩小さじ一杯半、胡椒小さじ一杯、小麦粉大さじ二杯、トマトピューレ一カップ半、水一カップ、ウスターソース大さじ二杯、固形スープの素二個、パプリカ大さじ一杯、赤ワイン五〇cc、砂糖大さじ二分の一杯を入れ、約二〇分、弱火で煮る。 (4)仕上げにトマトケチャップ大さじ一杯半、レモン汁二分の一個分を入れて火を止め、香りづけに、あれば、ブランデーを大さじ一杯ふる。 (5)バターライスを型に取って皿の真中に盛り(4)をまわりにかけて、パセリのみじん切り、生クリームをふりかけて出来上がり。 パンおじやの玉子とじ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)食パン(キャラメル大に切る)二〜三枚(2)ベーコン(荒切り)四枚(3)ピーマン(熱湯を通し輪切り)五個(4)トマト(湯むきして種を取りみじん切り)大一個(5)バター大さじ一杯(6)固形スープ一個(7)牛乳五〇cc〜一〇〇cc(8)粉チーズ、塩、胡椒(9)玉子二個 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)鍋にバターをとかしてベーコンを炒め、そこへピーマン、トマトを入れ、トマトがくずれたら牛乳を入れ、固形スープを入れてとかし、パンを入れて弱火で汁を吸わせて寄せる。 (2)塩、胡椒で味をきかせて、とき玉子を入れてフタをして半熟にする。出来上がりに粉チーズをふる。 さけとキャベツの和え物 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)塩ざけ二切れ(缶詰なら一缶)(2)キャベツ二分の一個(3)醤油大さじ四杯(4)とき辛子小さじ二杯(5)酢大さじ五杯(6)砂糖大さじ二〜三杯(7)酒大さじ一杯(8)化学調味料少々 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)さけ缶は汁気を切り、適当な大きさにほぐしておく。キャベツは荒目の千切りにしておく。 (2)大きめの鍋にたっぷりと湯をわかし、塩ひとつまみを入れた中に千切りしたキャベツを入れ、少ししんなりする程度にゆでる。 (3)ゆだったら氷水に放ち、手で充分に水気をしぼったのち、器に入れてほぐし、酢を大さじ一杯、化学調味料少々を入れる。 (4)ドレッシングを作る。ボウルに醤油大さじ四杯、とき辛子小さじ二杯、酢大さじ四杯、砂糖大さじ二〜三杯、酒大さじ一杯を合わせてよく混ぜる。 (5)さけとキャベツを混ぜこみ、ドレッシングで和えて出来上がり。さけは生ざけの切り身があれば、薄塩で焼いてほぐしたもので作ると一層おいしい。 芝えびの天ぷらの醤油炒め [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)芝えび三〇〇グラム(2)玉子一個(3)塩小さじ二分の一杯、酒大さじ一杯、片栗粉大さじ六杯、サラダ油、胡椒、砂糖少々 タレ(1)トウバンジャン大さじすり切り一杯(又はタカの爪二本細切り)(2)にんにく(みじん切り)二かけ(3)土生姜親指大一個(4)老酒(ウイスキー)大さじ一杯、日本酒大さじ二杯(日本酒だけなら大さじ三杯)、砂糖大さじ一杯、醤油大さじ三杯、ケチャップ大さじ一杯、酢大さじ二杯、化学調味料小さじ一杯、ごま油小さじ一杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)芝えびは背ワタを取り、塩、胡椒、酒、砂糖と混ぜ合わせて下味をつけ、玉子と片栗粉に合わせておく(固いようだったら少し水をさす)。 (2)酒以外のタレの調味料は合わせておく。 (3)揚げ油を熱し、大さじで芝えびをすくって一七〇度で揚げていく。 (4)揚げ終わったら別の鍋に酒大さじ三杯を熱して、タレを入れて煮たたせ、揚げたえびの天ぷらを入れてタレと合わせ、仕上げにごま油少々を落とす。 マカロニとカボチャのサラダ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)カボチャ五〇〇グラム(2)マカロニカップ一杯程度(3)いんげん豆一〇〇グラム(4)玉ねぎ一個(5)トマト一個(6)ロースハム五〇グラム(7)パセリ(8)パプリカ(9)マヨネーズ(10)塩、胡椒(11)ゆで玉子 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)カボチャはひと口大に、いんげん豆は四センチの長さに切る。玉ねぎは、タテに薄く切り、水にさらしておく。 (2)ハムは角切りか、細切りにしておく。 (3)マカロニはゆでてザルに取り、サラダ油少々をふりかけておく。 (4)カボチャを皿におき、軽く塩、胡椒し、強火で十分蒸し上げる。こうすると、カボチャの栄養分や甘みが逃げない。 (5)いんげん豆を塩ひとつまみ入れたお湯でさっとゆでて冷ます。 (6)ボウルに玉ねぎ、いんげん豆、ハム、トマト、マカロニ、カボチャを入れ、カップ二分の一杯程度のマヨネーズで和える。好みで赤ワイン、マスタードなどを入れてもよい。 (7)盛りつけるときに、ゆで玉子のスライスを飾り、パプリカ、パセリのみじん切りをふりかけてでき上がり。塩、胡椒、香辛料はひかえめにして、好みに合わせて後でかけるようにするとよい。 納豆の朝鮮風味噌炒め [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)納豆一包(2)豚肉(薄切り、千切り)一五〇グラム(3)生しいたけ(千切り)三枚(4)長ねぎ(千切り)一本(5)ニラ(ザク切り)半束(6)もやし半袋(7)にんにく(つぶしきざみ切り)二かけ(8)生姜(つぶしきざみ切り)親指大ひとかけ(9)味噌大さじ三杯、醤油大さじ二杯、酒大さじ二杯、塩小さじ一杯、トウバンジャン小さじ一杯半、炒り白ごま大さじ一杯半(10)サラダ油大さじ一杯、ごま油大さじ二杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)中華鍋を熱し、サラダ油、ごま油を入れ、中火でにんにく、生姜を炒めそこへ豚肉、しいたけ、納豆を入れ、次に野菜を入れて塩を少し入れて強火で手早く炒める。 (2)肉の色が変わったら、味噌、酒、醤油、トウバンジャン、塩、化学調味料で味を整え、仕上げに炒り白ごまをふる。 柳川プディング [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)豚肉(薄切り)一〇〇グラム(2)ごぼう一本(3)玉子三個(4)生姜ひとかけ(5)醤油、みりん、酒、片栗粉、出し汁 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)豚肉は細切りにし、ごぼうは薄いささがきにして水にさらしておく。生姜はすりおろしておく。 (2)玉子三個は割りほぐし、一カップの出し汁で割る。そこへ醤油大さじ一杯、みりん大さじ一杯、生姜のしぼり汁小さじ二分の一杯を合わせ、よく混ぜてうらごしにかけて漉しておく。 (3)鍋に醤油大さじ二杯、みりん大さじ二杯、酒大さじ三杯、出し四分の一カップを入れ、豚とごぼうを入れて煮る。煮上がったら取り出し、豚とごぼうは冷ましておく。 (4)茶碗蒸しの器よりも少し大き目の器にラップをしいて、豚肉とごぼう、玉子の汁を注ぎ入れる。蒸し器に入れて、はじめは強火で五分、後は弱火で七〜一〇分ほど蒸し上げて固める。 (5)器をひっくり返して皿に取り、ラップを取る。 (6)豚肉とごぼうの煮汁は再び火にかけ、水とき片栗粉でトロミをつけ、くずあんを作る。熱いうちにくずあんをかけて食べてもいいが、一度冷やしてから食べると一層おいしい。 梅肉仕立てのあらい [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)すずき、車えび、はもの切り落とし、あら、あいごなど、あらいに適した魚なら何でもよい(2)梅干し一〇粒程度(3)穂じそ、わさび、素麺、かんずり(あれば)、柚子、胡椒(4)醤油、みりん、酒 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)魚の身は三ミリ程度の刺し身にしておく。 (2)車えびはカラをむき、背ワタを取る。はもは一ミリ〜二ミリ幅に深く切り目を入れて、骨切りをするが、むずかしいので、これは魚屋で買ったときにしてもらうとよい。 (3)八〇度のお湯をわかし、酒少々を入れ、そこへ魚の切り身をサッとくぐらせて、すぐに氷水に取って洗うようにして冷やす。 (4)水気をふき取り、氷や素麺を盛った器に盛りつけ、穂じそを飾る。 [#ここから1字下げ] 梅肉醤油 [#ここで字下げ終わり] (1)梅干しの種を取ったものに、みりん大さじ三杯、酒大さじ五杯、醤油大さじ一杯を合わせて、小鍋で軽く煮る。 (2)それを冷ましてうらごしすると出来上がり。甘味が足りなければ、砂糖を少し足すとよい。この梅肉醤油はドレッシングや、しそ巻き寿司にも幅広く使えるので、作りおきしておくとよい。 ちくわのかば焼き [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)ちくわ五〜六本(2)土生姜(3)醤油一〇〇cc、みりん一〇〇cc、酒七〇cc、砂糖大さじ一杯、サラダ油大さじ一杯半、ごま油小さじ一杯、化学調味料少々、粉山椒少々(4)竹串 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)ちくわはさっと湯通しして氷水に取り、生臭みを消しておく。 (2)ちくわを八〜一〇センチの長さに切りそろえ、タテ二つ割りにし、内側に数か所のタテの切り目を入れて開く。外側の焼き目のついたほうは、二〜三か所、ななめに切り目を入れる。 (3)開いたちくわ三枚くらいを並べて、竹串を二〜三か所に蒲焼きの要領でうつ。 (4)合わせダレを作る。小鍋に醤油一〇〇cc、みりん一〇〇cc、日本酒七〇cc、砂糖大さじ一杯、化学調味料少々を入れて火にかけ、軽く煮たたせて火を止める。 (5)フライパンにサラダ油をしいて、串をうったちくわを入れ、裏に焦げ目がつくくらいまで焼く。焼き目をつけたら、ちくわをとり出し、先ほどのタレと土生姜のスライスを入れて弱火で軽く煮たたせる。その中にまたちくわを入れて、タレを充分にからめるように煮ふくませる。このとき、焦がさないように気をつける。 (6)味が充分になじんだら、ごま油少々をたらしてでき上がり。粉山椒などをふって食べる。 ボイルド・ミートローフ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)合びき肉三〇〇グラム(2)玉ねぎ二分の一個(3)ミックスベジタブル(冷凍のもの)五〇グラム(4)パン粉二分の一カップ、玉子一個、片栗粉大さじ一杯、牛乳、ナツメッグ少々、塩、胡椒各小さじ二分の一杯、バター大さじ二杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)合びき肉をすり鉢に入れ、ねばりが出るまでよくする。 (2)そこに玉ねぎのみじん切りを炒めて冷ましたものと、ミックスベジタブルを入れて手でよく混ぜ合わせる。 (3)パン粉二分の一カップ、玉子一個、牛乳、片栗粉大さじ一杯、ナツメッグ少々、塩小さじ二分の一杯、胡椒小さじ二分の一杯を加え、さらによくもみこむようにして混ぜ合わせる。 (4)大きめのアルミホイル二枚重ねの内側に、大さじ二杯のバターを塗りつけ、ひき肉をロール状においてしっかりと巻き、形をくずさないようにフライパンで中火でゆっくりホイルごと焼く。 (5)焼き目がついたころをみはからい、火をとめ、少し冷ます。 (6)次にホイルの上からさらにラップをしっかりと巻きつけ、輪ゴムなどでとめる。 (7)深鍋にたっぷりの湯を沸騰させ、ラップにくるんだ材料を入れ、一五〜二〇分煮る。中までしっかり火が通ったら、出来上がり(串をラップの上からさして肉汁が濁っていなかったらよい)。ラップとホイルをはがしてスライスして粒マスタードなどを塗って食べる。 いわしとじゃがいもの重ね焼き [#ここから2字下げ] 〈材料〉五人前 (1)いわし(中ぐらいのもの)六〇〇グラム(2)じゃがいも(薄い輪切り)大二個(3)玉ねぎ二分の一個(4)ベーコン(千切り)三枚(5)パセリ(貝割れ菜)少々(6)とけるチーズ(7)塩、胡椒、酒、バター少々 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)いわしは三枚におろして、塩、胡椒、酒をふる。 (2)玉ねぎ、パセリはみじん切りにする。 (3)じゃがいもは皮をむいて、ごく薄い輪切りにし、水に放してアクをぬき、水気をふきとる。フライパンに多い目のバターを取り、両面を焦がさないように焼く。 (4)グラタン皿かキャセロールにバターを塗り、じゃがいもを薄くしき、その上にいわしを身のほうを上にして並べ、ベーコンをふり、玉ねぎ、パセリのみじん切りをふりかけ、チーズを散らす。これをくり返して、一番上がじゃがいもになるようにする。その上にとけるチーズをおき、熱した天火の上段又はオーブントースターで表面に焦げ目がつくように焼く。二重にホイルに包んで中華鍋に入れてフタをして蒸し焼きにしても出来る。 ポテトピザ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)じゃがいも四〇〇グラム(2)ウインナソーセージとハム、ベーコン、アンチョビ一〇〇グラム(3)ピーマン二個(4)玉ねぎ、トマト中一個(5)ピザ用チーズ適量(6)玉子一個(7)日清お好み焼き粉大さじ三杯(8)塩、胡椒 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)じゃがいもは皮をむき、半分に切って水にさらしてアク取りしてからすりおろす。 (2)すりおろしたじゃがいもに粉、玉子、塩、胡椒を入れて混ぜ合わせる。 (3)フライパンをよく熱してホイルを全面にしいて油を入れ、じゃがいもを入れて弱火にして、小口切りにした材料(2)〜(5)までの具を入れてフタをして焦がさぬように焼き、火が通ったら返して表を軽く焼く。このとき、表の方にも油を塗ったアルミホイルをかぶせて返してやる。 なすと枝豆の味噌炒め [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)なす五個(2)枝豆(ゆでてむいたもの)一カップ(3)むきえび(冷凍芝えび)大さじ三杯(4)長ねぎ二分の一本(5)生姜(親指半分大)ひとかけ(6)唐辛子(タカの爪を湯に浸して種ぬきをしてきざむ)一本(7)にんにくひとかけ(8)砂糖、酒、味噌各大さじ一杯、醤油大さじ二杯、油 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)なすは乱切りにして、水につけ、アクをぬく。 (2)枝豆は塩ゆでにしてむいておく。 (3)長ねぎ、生姜、唐辛子、にんにくはみじん切り。 (4)鍋に油大さじ六杯を熱し、長ねぎ、にんにく、生姜を入れて中火で炒め合わせ、水気を切ったなすとタカの爪を加えて強火で炒める。 (5)だいたい火が通ったら、枝豆とむきえびを入れて炒め合わせ、砂糖、酒、味噌大さじ一杯、醤油大さじ二杯、塩少々を加えて味を整え、弱火で煮つめる。 カリー・ド・ポーク [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)豚ロース(とんかつ用)四枚、五〇〇グラム(2)人参小五本(3)マッシュルーム二分の一缶(4)生姜(みじん切り)大さじ一杯(5)にんにく(すりおろし)ひとかけ(6)玉ねぎ(すりおろし)大一個(7)トマト(湯むきしてザク切り)二個(8)カレー粉大さじ二杯(9)ヨーグルト一本(10)バターライス、パセリ入れこみライス四人分(11)塩、胡椒、化学調味料、酒、バター [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)豚肉はフォークでさして、塩と黒胡椒をよくすりこんでおく。 (2)小人参はタテに二つに切って、バター大さじ一杯半で炒めて、そこへマッシュルーム二分の一缶を汁ごとあけ、弱火で二〇分ほど煮ておく。 (3)深手の鍋にサラダ油大さじ一杯と、バター大さじ一杯をとかして豚肉を入れて焼き目をつけて取り出す。そこへバター大さじ二杯を足して、にんにくと玉ねぎを入れて弱火でキツネ色になるまで炒めて、カレー粉、生姜のみじん切りを加えて焼いた豚肉とトマトを入れ、中弱火で煮る。このとき酒かワインを足し、塩気が足りないようなら塩を足す。 (4)(3)に(2)を入れて味見をして、足りないようだったらカレー粉、塩、化学調味料を足してひと煮たちさせて味を整え、皿に盛ったパセリライスに具と一緒にかけて、最後にプレーン、又は好みのヨーグルトをかける。 豚肉のたたき風 [#ここから2字下げ] 〈材料〉五人前 (1)豚もも肉(二五〇グラム)一枚(2)玉ねぎ(五ミリ角サイの目切り)一個(3)ゆで筍(サイの目切り)一〇〇グラム(4)しいたけ(生でもよい、サイの目切り)三〜四枚(5)セロリ(サイの目切り)一本半(6)生姜(みじん切り)ひとかけ、生姜汁小さじ一杯(7)にんにく(みじん切り)二かけ(8)サラダ菜一〜二枚(9)塩小さじ二杯(10)酒大さじ二杯(11)砂糖小さじ一杯(12)醤油小さじ一杯(13)片栗粉小さじ二〜三杯(14)スープ(しいたけのもどし汁を入れて固形スープでとく)一カップ(15)ごま油小さじ一杯(16)化学調味料少々 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)豚肉はできるだけ細かく包丁でたたいてひき肉状にしてから、塩小さじ一杯、酒大さじ二杯、生姜汁少々で下味をつけておく(ひき肉でもいいが味は落ちる)。 (2)野菜類も肉に合わせて細かくきざむ。にんにく、生姜はみじん切り。 (3)中華鍋に大さじ一杯の油を熱し、しいたけを香ばしい香りがしてくるまでよく炒めて、皿に取り出す。 (4)油を大さじ三杯ほど足して熱し、生姜、にんにくを入れて香りを出し、肉を入れて炒める。肉の色が変わったら、玉ねぎ、筍、しいたけ、セロリを加えてさらに、炒め、スープか水をカップ一杯ほど加える。 (5)塩小さじ一杯、砂糖小さじ一杯、醤油小さじ一杯、化学調味料少々で味をつけ、片栗粉小さじ二杯の水ときを加え、トロミをつける。 (6)火を止めてから、良質のごま油を少々たらし、風味をつける。 (7)サラダ菜を洗って一枚ずつにはがしたものに包んで食べる。 鳴門豆腐 [#ここから2字下げ] 〈材料〉二〜四人前 (1)豆腐一丁(2)卵白一個分(3)板海苔二枚(4)塩、醤油四分の一カップ、酒大さじ一杯、砂糖小さじ一杯半、とき辛子、片栗粉(5)かんぴょう六〇センチくらい(6)出し汁カップ一杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)豆腐は軽く水気をしぼり、すり鉢に取り、卵白を加えてよくすり混ぜる。塩少々を足す。 (2)板海苔に(1)を平らに塗りつけて、|巻《まき》|簀《す》におき端からグルグル巻く。きっちり巻いて蒸し器で一五分ほど蒸す。 (3)巻簀をはずし、塩もみしたかんぴょうで四か所ほど結び、間に包丁して切り分け、醤油をカップ四分の一杯、砂糖少々を加えた出しで煮ふくめる。 (4)豆腐を取り出し残りの汁にとき辛子少々を加え、水どき片栗粉で薄くトロミをつける。 (5)豆腐を器に盛り、防風など緑を添え、べつの器に(4)のあんを入れて添える。 中華風冷や奴 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)豆腐二丁、片栗粉大さじ一杯(2)桜えびカップ一杯、炒りごま大さじ一杯(3)ツァサイ又はたくわんのみじん切り、さらしみじんねぎ大さじ一杯半 かけ汁●醤油大さじ三杯、ごま油大さじ一杯又はラー油小さじ二分の一杯、酒大さじ一杯、酢小さじ一杯、化学調味料少々、生姜(すりおろし)半かけ [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)豆腐は片栗粉を入れた熱湯にくぐらせてから、冷やしておく。 (2)桜えびは熱した油でさっと焦がさぬように炒めておく。 (3)分量の調味料とおろした生姜のしぼり汁とを合わせてかけ汁を作る。 (4)器に冷たい豆腐を盛り、一面に桜えびと、ツァサイ、長ねぎのみじん切りなどの具をのせ、かけ汁をかける。 オクラの含め煮 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)オクラ一袋(2)砂糖大さじ一杯、塩小さじ二分の一杯、酒小さじ一杯、淡口醤油小さじ四分の一杯、みりん小さじ二分の一杯(3)炒り玉子(甘口)一〜二個分 出し汁●水二・五カップ、出し昆布五〜一〇センチ四方一枚、かつお節二五グラム [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)オクラは塩をこすりつけてもみ、細い毛をすり落とし、水で洗い、頭とヘタを取り、ヘタの切り口の角を取り、切り口に深目の十文字を入れておく。 (2)鍋にたっぷりの湯をわかし、オクラを入れてひと煮たちさせ、ザルにあけ、うちわで冷ます。 (3)オクラがひたるほどの出し汁を鍋に入れて砂糖、塩を入れて煮たたせる。そこへオクラを入れて煮たたせ、淡口醤油とみりんを落とし、二分間ほど煮てから取り出し、オクラをザルにあけて冷ます。冷えたら再び一緒にして味を含ませる。 (4)器に盛り、いろどりに炒り玉子をつける。 牛肉のインド風ロースト [#ここから2字下げ] 〈材料〉五人前 (1)牛肉(八〇〜一〇〇グラム)五枚(2)玉ねぎ(細かくみじん切り)一個(3)にんにく(4)カレー粉大さじ一杯、塩、胡椒、酒、油(5)牛乳カップ二分の一杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)肉に酒、塩、胡椒をする。 (2)にんにくはすりおろし、玉ねぎはみじん切りにする。にんにく、みじん切り玉ねぎの半量、カレー粉大さじ一杯を肉にまぶしつけ、しばらくねかしておく。 (3)フライパンに油大さじ一杯半を入れ、熱し、肉を一〜二枚入れて両面を焼き(焼き加減は好み)、焼き汁は別皿に移して、皿に取る。フライパンは洗って、また熱して油を落として、同じ作業をくり返す。 (4)焼き汁に残りの玉ねぎを加えて炒め混ぜ、牛乳を注いでトロリとさせ、肉の上にかける。 冷製生ざけ(コールドフィッシュ) [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)生ざけ(切り身)四枚(2)玉ねぎ(薄いくし型切り)二分の一個(3)パセリ(軸)二〜三本(4)レモン(皮を余分につける)三分の一個(5)ローリエ(6)塩、胡椒少々、ワイン又は酒大さじ五杯、サラダ油大さじ一杯半、バター大さじ一杯半(7)固形スープの素一〜二分の一個(8)マヨネーズ(タルタルソース用)大さじ五杯(9)玉ねぎ(みじん切り、水にさらす)二分の一個(10)ゆで玉子(固ゆで、黄身はうらごし、白身はみじん切り)二個(11)トマト、レタス、きゅうり、ピクルスなど(つけ合わせ) [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)生ざけは塩、胡椒して、少しおいて魚の汁気を切る。 (2)フライパンにバターとサラダ油をそれぞれ大さじ一杯半入れ、さけの裏表を焼く。 (3)そこへ材料の(2)〜(5)をのせ、固形スープをとかした水二分の一カップ、ワインをさし、はじめは強火で、沸いてきたら、弱火にしてフタをし、蒸し焼きにする。 (4)さけが蒸し上がったら、野菜をどけて、そのまま冷やす。 (5)さけにつけるタルタルソースは、マヨネーズ大さじ五杯に、玉ねぎのみじん切り、ゆで玉子のみじん切り、ピクルス、パセリのみじん切りをよく混ぜて、冷蔵庫で冷やす。     九 月     ペルーの珍味     西暑北冷の夏  いま、地球のお天気は狂っているようだ。  北海道の北では夏だというのにストーブの入る日があったというから、どういうことか? 米・小豆・玉ねぎ・|玉《とう》|蜀《もろ》|黍《こし》・牧草の|何《いず》れもが気候に左右されやすい。  六月に旭川市に行った。空から眺める上川地方の耕地は雄大で別世界である。見馴れた内地のそれとは規模が違う。それだけに、気象の異常は、農民にとって大打撃であろう。  ここ数年の異常さは、チリ沖で海水温が上昇しているエル・ニーニョ現象だとか、メキシコのエルチチョン火山爆発の影響だとか諸説フンプンだが、その真相はわからない。  私はスッポンの養殖にいいと言われて、南米ペルーのアミーゴ(友達)の招きで、リマ市をはじめアンデスの奥地やアマゾン川の源流を訪ねた。  ペルーは、かつては日本と漁獲量世界一を競い合った漁業国であったが、いまではその面影の片鱗すらうかがえない。魚の宝庫フンボルト海流がペルー沖のはるか彼方の太平洋へとその位置を変えたからだ。そのため、鰯科の魚(アンチョビ)が獲れなくなり、小から大の魚の漁獲がうんとへったという。     絶品! カエル魚  インカの国ペルーは、日本の四倍ほどの広さを持っているが、首都リマ市から海の方へ一歩踏み出すと、そこはサハラ砂漠かと思われるほどの砂漠地帯であり、山へ一歩あるけばアンデスのジャングルに行きつき、アマゾンの源流が激しく岩を噛んでいるという不思議な国である。  南半球に位置するこの国の気候はちょっと変わっていて、海岸寄りのリマ市は十一月から三月までが乾期で、四月半ばから十月まではシトシトと霧と雨の合いの子のようなインカの涙雨的現象が続く。山寄りのアンデス地方は、海岸と反対で乾期になる。  この気候の変化は、ペルー人に海の幸・山の幸を適当に恵むが、フンボルト海流の流れが変わってから海の幸はすっかり駄目になったそうだ。  この国のカキやウニは彼等が食べないので獲られないせいか、大きく成長しカキは大きなアワビの一倍半ほどもある。ウニも赤子の頭ほどもある。だからイシモチも体長一メートル余、体重一五キロほどのものが釣れる。  ペヘ・サッポ(カエル魚)は、|顔面《かおつつら》が蛙に似た、吸盤を持った二〇センチほどの魚である。カジカ科の魚かとも思うが、魚肉は白身で、中国風に|清蒸《ちんじよん》にするとまさに絶品である。  アミーゴ、ドン・ルーチョ松藤はリマ市に「松栄」という鮨屋を持っている。ここで私はペヘ・サッポを毎晩のように食べ続けたので、お腹が蛙のようにふくらんでしまった。  玉蜀黍、トマトはメキシコとペルーが原産地だとされている。リマでもクスコでも市場をのぞくと、インディオのおかみさんが道端にうずたかく積みあげて売っていたが、その種類の多いのに驚いた。  玉蜀黍からはチィチャという酒を作り、インディオは祭りの日にそれを飲む。まあ、日本の|御《お》|神《み》|酒《き》にあたるといってもいいだろう。  彼等のご馳走はクイというモルモットの一種で、アンデスでは古くから食用ネズミとして飼われている。鶏のように熱湯につけて毛をむしってから焼く。海岸地方ではあまり食べないようだが、やわらかくてクセがない。食用蛙も焼いたり揚げたりして食べる。  パチャマンカという野外料理もある。パチャマンカは、地面に穴を掘って石を焼き、その石で、豚・羊・鶏・クイ等の肉類のほか芋・玉蜀黍などを、味付けした肉と香草を重ねて再び埋めて蒸し焼きにする。ポリネシヤの料理と似ているが、味はもっと複雑だ。  面白いことに、サヤ付きのまま入れる空豆は、日本移民が持っていったものだが、これを入れないと本当のパチャマンカでないという。他には魚パチャマンカもある。     白身魚のライム汁漬  ペルー料理のなかで、セビイチエという白身の魚のライム汁漬は日本人の口にも合うので作り方をご披露する。簡単で誰にでも出来るペルーの洗いである。  用意するものは、すずき、鯛、平目などの白身の魚。ペルーではコルビーナというイシモチに似た魚で作り、これが一番旨い。他にライム、無ければレモン、私はスダチかカボスで作る。  そしてアヒという赤い獅子唐辛子のようなもので作る香辛料があれば最高だが、日本で手に入らないので、タカの爪を二、三本ほどちょっと水に漬けて戻し、これを細かに刻む。それから赤玉ねぎのスライスしたもの一個分と塩少々。  白身の魚は洗いのように薄くそぎ切りにして、氷水で洗って魚肉を晒しておき、塩少々をふりかける。ライムまたはレモン汁はウイスキーダブル分ほど絞り、タカの爪を漬けてしばらく置く。深目の皿に魚をならべ、玉ねぎをその上に乗せて、タカの爪、レモン汁をふりかけ、冷蔵庫に入れて三〇分ほど置く。これで出来あがり。  レモン汁をたっぷり作れば、シャブシャブみたいに|濯《すす》いで食べる。その味は絶品である。     アラスカざけ  東京育ちの私、子供の頃のさけと言えば、年の暮れに魚やの店頭に吊り下げられた新巻か塩ざけの切り身しか知らなかった。そのさけの切り身にしても、真白になる位に荒塩をまぶしたさけだから、焼くとピンクの切り身にブツブツと塩粒が浮き、食べると口がひん曲るほどの塩辛さだった。しかし、これは茶漬飯にすると実にうまい。冷御飯に焼きたての塩ざけをむしり、熱い番茶をかけたら最高である。  最近そんな塩ざけを見かけないので、行きつけの魚河岸の親父に尋ねたら、親父は笑って「専売公社の塩は高いばかりでまずくて塩じゃねえ! 第一塩をたっぷりふり込んだら魚の水気が切れて目減りするんで産地で敬遠するんでさー」と言った。  さけの|漁《すなど》りと言えば、私は映画やテレビで見る北洋のさけ漁か北日本の河川に乗っ込む産卵のさけの捕獲しか知らない。  その私に、テレビ局から、「南アラスカの紹介を兼ねて、アラスカへキング・サーモン釣りに行ってくれませんか」とお声がかかり、うまい具合に新番組の撮影が延びたのでスケジュールがとれ、アラスカへサーモン釣りに行くことになった。  東京国際空港からアラスカ州アンカレッジ空港までは、ジェット機でほんのひと飛びの空の旅である。東京とアラスカでは十九時間ほどの時差があり、アラスカの夏は短く八月の半ばになると、夏の青草に雪が降り、長く暗い冬が来る。  その短い夏をアラスカの人達はフルに活用する。とくに、キング・サーモンダービー(五月〜七月)が盛んで、何万ドルかの賞金がつく。私は、アラスカの海の玄関ケチカンのフィッシングリゾートとして知られるクローバー・パスで、生まれて初めてのさけ釣りをした。私が船着場に着いたとき、四五ポンドのキング・サーモンを釣り揚げた老婦人が鼻高々とそのさけを私に見せた。漁法はモーターボートでのトローリングである。|鰊《にしん》を餌に一時間ばかり流したら、七〇センチばかりのさけが二本かかった。土地の若者は、「われわれはキング・サーモンしか食べない。それは、ドッグサーモン(犬の餌)である」と言って軽蔑したが、私には大漁である。さけの腸を抜き、アメリカの塩を充分にふり東京に持ち帰り、腹の脂の乗ったところは妻の注文で金子式酢漬にした(作り方は「新巻ざけの酢漬け」参照)。 九月のお惣菜 鶏手羽肉とキャベツのクリーム煮 [#ここから2字下げ] 〈材料〉(指定のないものは四人前) (1)鶏手羽肉四〇〇グラム(2)キャベツの葉五〜六枚(3)玉ねぎ小一個(4)セロリ一本(5)ベーコン五〇グラム(6)生しいたけ五〜六枚(7)パセリ大さじ一杯(8)チキンスープの素一個(9)バター大さじ三〜四杯(10)生クリーム三分の一カップ(11)白ワイン二分の一カップ(12)ローリエ一枚(13)パプリカ少々(14)塩、胡椒 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)キャベツの葉はひたひたにかぶるくらいの水をさし、塩小さじ四分の一杯で軽く塩ゆでして、ゆで汁を残しておく。 (2)玉ねぎとセロリは細切りにしてバター大さじ二杯でしんなりするまで炒めて塩、胡椒し、冷ましておく。 (3)鶏肉に塩、胡椒で下味をつけ、白ワインをふってなじませる。 (4)ゆでたキャベツの葉を広げて、玉ねぎ、セロリ、細かくきざんだキャベツの芯を包み、ベーコンで巻いてようじでとめる。 (5)鍋にバター大さじ二杯をとかし、鶏肉を炒め、両面に焦げ目がついたら鍋わきにおき、そこへ生しいたけの千切りを加えてよく炒める。しいたけが炒まったら、ロールキャベツを入れ、ころがして焼き目をつける。 (6)次にキャベツのゆで汁を材料がひたる程度まで入れ、白ワイン二分の一カップ、ローリエ一枚、チキンスープの素一個を加えて中火で一〇分ほど煮こむ。仕上げに生クリーム三分の一カップを入れて火をとめ、パセリ、パプリカをふって出来上がり。 なすの舟形揚げ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)なす四個(2)牛ひき肉二〇〇グラム(3)春雨(一センチの長さに切ったもの)一カップ(4)生姜ひとかけ(5)醤油大さじ二分の一杯、塩少々、片栗粉大さじ一杯、酒大さじ一杯(6)卵白一個分(7)小麦粉 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)なすはへたを取り、もとまで切らずにタテ二つ割りにして薄い塩水につけ、アクをぬいておく。 (2)なすの水気を充分にふき取り、フォークか竹串などで穴をあけて、塩をふり、続いて小麦粉をふる。 (3)ひき肉を包丁の背でたたいてねばりを出してからすり鉢に入れ、生姜のしぼり汁小さじ二杯、醤油大さじ二分の一杯、塩少々、片栗粉大さじ一杯、酒大さじ一杯を入れてよくすり合わせる。 (4)春雨はハサミで一センチの長さに切っておく。 (5)なすの切口に(3)のひき肉をこんもりとなすりつけはさみ、卵白を塗り、小麦粉をふる。上から春雨をパラパラ程度にふりかけて、ちょっと押える。 (6)鍋に油を熱して、へたのほうを上にして静かになすを入れ、肉に火が通るまで揚げる。油の温度は一六〇度から一七〇度くらいのやや低目の温度。辛子酢醤油などをつけて食べるとよい。 酢キャベツとフランクフルトソーセージの煮物 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)キャベツ中一個(2)ベーコン一〇〇グラム(3)フランクフルトソーセージ五本又はウインナソーセージ二〇本(4)固形スープ一個半(5)白ワイン五〇cc(6)レモン汁二分の一個分(7)塩小さじ一杯半、胡椒小さじ二分の一杯、酢大さじ五〜六杯、バター大さじ二杯、粒マスタード、わさび [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)キャベツは四つ割りにして芯を取り、細く千切りにしておく。 (2)厚手の鍋にバターを落とし、ベーコンを入れて弱火で焦がさぬように五分ほど炒めて、油を出し、そこへキャベツの半分を入れ、かき混ぜ、フタをして一〇分蒸し煮をする。 (3)残りのキャベツを入れ、固形スープ一個半を水四分の三カップでといたものと白ワインを入れ、キャベツがやわらかくなったら、塩、胡椒、マスタード、酢を入れ、煮る。そこへソーセージの両端を切り、切れ目を入れたものを入れ、三〜四分弱火で煮る。 カボチャのシューマイ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)カボチャ四〇〇グラム(2)鶏ひき肉一五〇グラム(3)長ねぎ二分の一本(4)生姜ひとかけ(5)シューマイの皮(6)塩、胡椒少々、砂糖大さじ二分の一杯、醤油小さじ一杯、酒大さじ一杯(7)片栗粉大さじ三杯、小麦粉 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)カボチャは皮をむき、小さめ五ミリ角のサイの目切りに切りそろえる。 (2)フライパンに、カボチャ、生姜のみじん切り、長ねぎのみじん切りを入れ、カボチャがやわらかくなるまで油で炒め、少し冷ましておく。 (3)鶏ひき肉と、塩、胡椒少々、砂糖大さじ二分の一杯、酒大さじ一杯、醤油小さじ一杯、片栗粉大さじ三杯をボウルに入れてよく混ぜ合わせる。 (4)カボチャが冷めたらひき肉と合わせて、カボチャの粒がつぶれない程度に混ぜ合わせる。それらをシューマイの皮で好みのシューマイの形に包み、小麦粉の水ときをつけて口を閉じる。 (5)中華料理のセイロ、又は蒸し器に並べて約一〇〜一五分強火で蒸し上げる。 (6)辛子酢醤油、ポン酢などで食べる。 牛肉の三色揚げ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)牛肉(赤身のバター焼き用、一・五センチ角の棒状に切る)三〇〇グラム(2)卵白二個(3)白ごま大さじ三杯(4)人参五〜六センチ(5)パセリ(みじん切り)大さじ一杯半(6)片栗粉小さじ二杯(7)醤油三分の一カップ、酒四分の一カップ [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)牛肉は一・五センチ角の棒状に切って醤油三分の一カップ、酒四分の一カップの割り合いのつけ汁に、一五分つけておく。 (2)白ごまはゴミを取って、そのまま。 (3)人参はすりおろし、布巾に包んで水気をしぼり、小さじ二杯の片栗粉を混ぜる。 (4)パセリのみじん切りも水気を取る。 (5)牛肉の水気を取り、卵白をからませて三等分し、(2)、(3)、(4)の衣をそれぞれつけて揚げる。油の温度は一七〇度ぐらいでゆっくり揚げてやる。 五目きんぴら [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)牛肉(薄切り)一〇〇〜一五〇グラム(2)ごぼう(千切り)二分の一本(3)れんこん(薄切り)ひと節(4)人参(千切り)二分の一本(5)しらたき(下ゆでにする)一束(6)さやいんげん(ゆでたもの、ななめ切り)一〇本(7)生姜(千切り)ひとかけ(8)油大さじ三杯、砂糖大さじ一杯、酒大さじ二杯、みりん大さじ二杯、醤油大さじ五杯、タカの爪一本、化学調味料 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)牛肉は細切りにして、酒大さじ二分の一杯程度をふりかけ、下味をつけておく。 (2)れんこんは薄切り、ごぼう、人参は千切りにして水にさらし、しらたきは下ゆでにして食べやすい大きさに切っておく。さやいんげんはななめ薄切りにする。 (3)鍋に油を入れて熱し、牛肉、ごぼう、生姜を入れて炒め、そこへ人参、れんこん、しらたきを加えて強火で炒める。 (4)砂糖、醤油、みりん、酒、化学調味料少々を(3)に入れ、弱火にして煮てやる。煮汁がなくなりかけたら、さやいんげん、タカの爪を入れてまた少し炒めてでき上がり。 厚揚げの肉詰め煮 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)厚揚げ四枚(2)合びき肉一〇〇グラム(3)玉子一個(4)長ねぎ(みじん切り)二分の一本(5)生姜(みじん切り)ひとかけ(6)味噌小さじ一杯(7)醤油小さじ一杯(8)酒小さじ一杯(9)片栗粉大さじ二杯(10)出し汁一カップ(11)醤油大さじ三杯(12)砂糖大さじ二杯(13)酒大さじ三杯(14)片栗粉小さじ二杯(15)貝割れ菜 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)厚揚げは湯通しして油ぬきをし、半分に切り、ヨコ輪切りにして袋を作る。 (2)ボウルに合びき肉、玉子一個、長ねぎのみじん切り、生姜のみじん切りを入れてよく混ぜる。そこに醤油小さじ一杯、味噌小さじ一杯、酒小さじ一杯、片栗粉大さじ二杯を入れてよく練る。 (3)厚揚げの切り目の内側に片栗粉をまぶし、(2)を詰めて、片栗粉で切り目をふさぐ。 (4)フライパンに油を入れて熱し、厚揚げの切り口から、薄く焦げ目がつくまで焼く。 (5)材料の(10)〜(13)までを煮たたせ、そこに厚揚げを入れ弱火でゆっくり煮つける。煮上がったら、皿に取り出し、残りの煮汁に水とき片栗粉でトロミをつけ、上からかける。つけ合わせに貝割れ菜を添える。 なすとソーセージのチーズ風味 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)なす二個(2)フランクフルトソーセージ三本(3)じゃがいも二個(4)牛乳一カップ(5)粉チーズ大さじ二杯(6)塩、胡椒、白ワイン、バター、ナツメッグ、サラダ油、片栗粉(コーンスターチ)大さじ二杯、パセリ [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)じゃがいもとなすは五〜六ミリの厚さに輪切りにし、水にさらしてアクを抜いておく。 (2)ソーセージは七ミリぐらいの厚みのななめ輪切りにしておく。 (3)フライパンにサラダ油大さじ二杯をしき、じゃがいもを炒める。そこになすを加え、塩、胡椒、白ワイン大さじ三杯、ナツメッグ少々を入れ、フタをして弱火で五分ほど蒸し煮にする。 (4)キャセロールなど厚手の深鍋に、バターをたっぷりと塗りつけ、ソーセージと蒸し煮にしたじゃがいもとなすを重ねて入れる。 (5)別の小鍋に牛乳一カップ、塩、胡椒少々、片栗粉大さじ一杯弱を入れ、弱火であたため、トロミをつける。それをキャセロールに入れて、上から粉チーズ大さじ二杯程度をかけ、フタをして中弱火で五〜一〇分、蒸し煮にする。出来上がったところでパセリのみじん切りをふりかけて食べる。 白身魚の香り蒸し [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)魚(たらなどの切り身)(2)ロースハム(いちょう切り)一〇〇グラム(3)干ししいたけ(もどしてそぎ切り)五〜六枚(4)白ねぎ一本(5)生姜ひとかけ(6)えのきだけ一束(7)さやえんどう五〇グラム(8)キャベツの葉二枚(9)レモン汁二分の一個分(10)塩、胡椒、砂糖、酒 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)白身の魚に塩、胡椒、酒をふりかけて三〇分ほどおいて味をなじませて汁気を切っておく。 (2)生姜はスライスに、干ししいたけは砂糖ひとつまみを入れたぬるま湯でもどしてそぎ切りにしておく。もどし汁は漉して取っておく。 (3)ロースハムは二〜三センチの大きさに、白ねぎは五センチの細切りに切る。 (4)キャセロールか厚手の深鍋の底に、キャベツの葉をしき、生姜のスライス、白身魚、ロースハム、しいたけ、白ねぎ、えのきだけ、さやえんどうを重ねて入れる。 (5)しいたけのもどし汁一五〇ccと酒大さじ二杯をふり、フタをし、一〇〜一五分蒸し煮する。途中、火が通りかけたころ、すだち、あるいはレモンのスライスを上にのせて香りをつける。最初から入れると|柑《かん》|橘《きつ》類の苦味が出るので気をつけること。器に盛りつけ、すだち、レモンのしぼり汁をかけて食べる。醤油で食べても旨い。 豚肉とスイートコーンのメキシカンソテー [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)豚ロース肉(とんかつ用のもの)四枚(2)玉ねぎ(角切り)一個(3)りんご(角切り)一個(4)トマト(角切り)一個(5)ピーマン(角切り)四個(6)スイートコーン(ホール状の缶詰)一缶(7)油大さじ三杯(8)塩、胡椒、赤ワイン、パプリカ、タバスコ、カイエンペッパー大さじ一杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)豚肉は一センチぐらいの角切りにして、塩、胡椒、赤ワイン一〇ccをふって一〇分ほどおいておく。 (2)トマトは湯むきして種を取ったものを角切りにし、玉ねぎ、ピーマン、りんごも同じ大きさに切りそろえておく。 (3)フライパンに油を入れて熱し、強火で豚肉を炒める。次に玉ねぎ、りんごを入れて、バター大さじ一杯を入れて風味をつける。 (4)次にホール状のスイートコーン、ピーマンを加えてよく炒め、カイエンペッパー大さじ一杯程度を入れる。カイエンペッパーがないときは一味唐辛子でもいいが、分量はひかえめにする。 (5)最後にトマトを入れて炒め、パプリカ、タバスコで色と辛味を整える。バターライスを添えるか、小麦粉を少量の水とサラダ油で練ったものを焼いたパンケーキでくるんで食べるとよい。 秋さばの味噌煮 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)さば(大きめのもの)一尾(2)長ねぎ(焼きねぎにして三センチに切る)二本(3)梅干し(果肉をようじでついておく)二個(4)土生姜ひとかけ(5)タカの爪二本(6)出し昆布(一〇センチ角)一枚(7)砂糖大さじ四杯(8)醤油大さじ一杯(9)赤味噌大さじ四杯(10)酒四分の三カップ、水二分の一カップ [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)さばは二センチくらいの筒切りにして、熱湯をかけ生臭味を消しておく。 (2)長ねぎは三センチくらいの長さに切りそろえ、網で焼いて焦げ目をつけておく。 (3)梅干しはつまようじなどでつついて穴をあけておく。生姜ひとかけは三分の二をスライスにし、三分の一を針生姜にする。 (4)タカの爪は湯でもどして種を取っておく。 (5)鍋に出し昆布をしき、水一〇〇cc、酒一五〇cc、生姜のスライス、タカの爪、梅干し、砂糖大さじ四杯、醤油大さじ一杯を入れて煮たたせる。 (6)沸騰した中にさばを入れ、落としブタをして強火で約五分ほど煮る。次に火を弱め、鍋ブタをして約一五分煮る。さばが煮えたら焼きねぎを加え、赤味噌大さじ四杯を煮汁でときながら入れ、仕上げてゆく。 (7)昆布を取り出し、千切りにし、針生姜とともにさばに添える。 あじの合わせ焼き [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)小あじ(フライ用)一六尾(2)ロースハム(みじん切り)三枚(3)玉ねぎ(みじん切り)一個(4)生しいたけ(みじん切り)五枚(5)パセリ(みじん切り)一束(6)卵黄二個分(7)塩、胡椒、酒(8)マスタード大さじ三杯(9)サラダ油、バター(10)小麦粉 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)あじはぜいごとわたを取り、背開きにして、塩、胡椒、酒で下味をつけておく。 (2)ロースハム、玉ねぎ、生しいたけ、パセリはみじん切りにしておく。 (3)フライパンにバター大さじ一杯を入れ、ロースハム、玉ねぎ、生しいたけ、パセリのみじん切りを炒め、冷ます。冷ましてから卵黄を混ぜ合わせる。 (4)あじはペーパータオルなどで水気をふき取り、小麦粉をふり、八尾の腹側に炒めてさました具をのせる。残り八尾のアジにはマスタードを小さじ一杯程度ずつ塗り、具をのせたアジの上に重ねてサンドイッチ状にし、さらにその上に小麦粉をまぶす。 (5)フライパンにサラダ油大さじ一杯をしき、あじを入れ、両面に薄く焦げ目がつく程度に焼き、フタをして約五〜七分弱火で蒸し焼きにする。フライパンが薄い場合はアルミホイルをしいて焼くと焦げすぎない。つけ合わせは、ほうれん草、芽キャベツなど。レモン汁をかけて食べる。 油揚げと糸こんにゃくの炒り煮 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)油揚げ四枚(2)糸こんにゃく一個(3)酒三〇cc、みりん大さじ二杯、薄口醤油大さじ四〜五杯、砂糖大さじ一杯半(4)生姜(しぼり汁)小さじ一杯(5)ごま油小さじ一杯半(6)白ごま大さじ二杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)油揚げは油ぬきして開き、糸こんにゃくのように切る。 (2)糸こんにゃくは適当に切って酒を入れた熱湯に入れて湯がき、水気をよく切っておき、ごま油で中火で炒める。 (3)鍋に酒を入れて沸かし、煮切ってみりんと醤油と砂糖を入れ、(2)を入れて煮ふくませてから、油揚げを入れ、軽く煮て、仕上げに生姜汁をふり、白ごまの炒ったものをふる。 青じそのスパゲッティ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)スパゲッティ三五〇グラム(2)ベーコン(千切り)五〇グラム(3)青じそ(みじん切り)二束(4)にんにく(みじん切り)二かけ(5)アンチョビー少々(6)バター大さじ一杯(7)塩、胡椒、醤油、オリーブオイル [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)ベーコンは千切り、青じそ、にんにくはみじん切りにしておく。 (2)大鍋に約四リットルの湯を沸かし、塩小さじ四杯程度入れ、スパゲッティをゆでる。 (3)ゆでている間に、フライパンにオリーブオイル大さじ一杯、バター大さじ一杯を入れ、にんにくのみじん切り、ベーコンの千切りを入れて弱火で炒める。 (4)スパゲッティがゆであがったらザルにあげ、水気を切って、フライパンに入れて、ベーコン、にんにくと鍋の油をよくなじませる。弱火にして、アンチョビー、黒胡椒を入れて塩味と辛味をつけ、火をとめて青じそのみじん切りをよく混ぜる。アンチョビーがない場合は醤油でも、又は、たらこのほぐしたものを混ぜてもいい。醤油を使うときは、バターとオイル半々で炒めたほうがいい。 牛肉の醤油煮 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)牛肉(かたまり、ローストビーフにする部位、ランプかイチボ)四〇〇グラム(2)にんにく(薄切り)二かけ(3)生姜(薄切り)ひとかけ(4)長ねぎ(青い部分)二本(5)出し昆布(五センチ角)一枚(6)醤油二分の一カップ(7)酒二分の一カップ(8)水四分の一カップ(9)砂糖小さじ一杯(10)八角(中華料理で使う香辛料) [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)牛肉は凧糸でしっかりとしばり、フォークか竹串などでつついて穴を開ける。 (2)鍋に水四分の一カップ、酒二分の一カップ、醤油二分の一カップ、砂糖小さじ一杯、出し昆布、生姜のスライス、にんにく二かけ、長ねぎ、八角を入れ、煮たたせ、そこに牛肉を入れて強火で煮る。 (3)牛肉の表面の色が変わったら火を弱めてタレをからめながら約二〇分焦がさぬように根気よく煮る。火の通りを見るには、金串を肉の中心部まで一気にさしこみ、一〇秒ほど待って引きぬいて金串が生ぬるくなっていればいい。 (4)好みの煮具合をみはからって肉を取り出し、残りの煮汁に水とき片栗粉を加えてトロミをつけてソースにする。 (5)肉は五ミリくらいの厚さにスライスし、ソースをかけ、あればクレソンなどを添えるとよい。 さけの照り焼き(酢かぶ添え) [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)生ざけ(皮肌につやがあれば新鮮)四切れ(2)酒大さじ二杯、塩少々、小麦粉少々、サラダ油大さじ一杯半(3)出し汁大さじ三杯、みりん大さじ三杯(酒大さじ一杯)、醤油大さじ二杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)生ざけは薄塩にして酒をふり、少々おいて味をなじませる。 (2)さけの水気を取り、茶コシで小麦粉を両面にふってやる。 (3)フライパンをよくカラ焼きして、一度油返しをしてからサラダ油大さじ一杯半を入れて、さけの表になるほうからフライパンをゆり動かしながら焼く。 (4)両面に焼き目がついたら、材料(3)のタレを合わせて注ぎ、フライパンをゆすりながら照りをつける。 (5)酢かぶを作って一緒に盛りつける。 [#ここから1字下げ] 酢かぶ [#ここで字下げ終わり] (1)酢(大さじ五杯)、出し(大さじ一杯半)、砂糖(大さじ一杯半)、塩(小さじ三分の一杯)、化学調味料(少々)、種ぬき唐辛子(一本)を混ぜ合わせて、甘酢を作る。 (2)小かぶは皮をむき、タテ、ヨコに切れ目を入れて(1)の甘酢につける。 さば(又はかつお)のロースト [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)さば(二枚におろし、皮を取っておく)一尾(2)塩大さじ二杯、酒大さじ二杯、にんにくひとかけ、胡椒、粉、玉ねぎ(輪切り)四枚(3)生野菜(レタス、トマト)、レモン二分の一個(4)ゼリー(コンソメスープの素一個半を、カップ一杯の湯でとかしてから、ワイン小さじ一杯、塩小さじ三分の一杯、ゼラチン大さじ二杯を入れてとかしながら混ぜ合わせ冷まして固める) [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)さばに塩、胡椒、酒、にんにく(すりおろし)をよくまぶして塩がまわったら、粉を軽くまぶして、フライパンに多い目に油を入れて強火で裏表を焼き、フタをして弱火で一〇分ほど焼く。このとき臭み消しのため玉ねぎの輪切りを入れて蒸し焼き状にしながら焼く(オーブンで焼けばもっとよい)。 (2)冷まして食べやすい大きさに切り、野菜、ゼリーの五ミリ角に切ったものをつける。レモンをのせて、タルタルソース、フレンチ、サウザンドレッシングなどを添える。 里いもと鶏ひき肉の煮つけ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)里いも六〇〇グラム(2)鶏ひき肉二〇〇グラム(3)玉ねぎ一個(4)人参一本(5)グリンピース三〇〜五〇グラム(6)土生姜(薄く切り五枚、針生姜大さじ一杯)(7)醤油大さじ五杯、砂糖大さじ三杯半、酒大さじ二杯(8)サラダ油大さじ二〜三杯(9)片栗粉大さじ一杯(10)化学調味料 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)里いもは皮をむき、塩もみをして水洗いし、ぬめりをよく取っておく。 (2)玉ねぎはタテ八つ切りに、人参は厚さ七ミリ程度の輪切りにする。 (3)鶏ひき肉に砂糖大さじ一杯、醤油大さじ一杯半、酒大さじ一杯を加えてよく混ぜ、下味をつけておく。 (4)鍋にサラダ油大さじ二〜三杯をしき、土生姜のスライス、鶏ひき肉を炒め、続いて人参、玉ねぎ、里いもを加えてさらに炒める。 (5)炒まったら水カップ一杯半を入れ、中火で材料がやわらかくなるまで煮る。里いもに箸の先がスッと通るくらいまでやわらかく煮えたら、砂糖大さじ二杯、醤油大さじ三杯、酒大さじ一杯を入れ、さらに煮つめる。 (6)味が充分にしみたら器に取り出し、残った煮汁に水とき片栗粉でトロミをつけ、上からかける。グリンピース、針生姜などを上に添える。 ポークピカタ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)豚ロース肉(四〜五ミリの厚さ)八枚(四〇〇グラム)(2)玉子二個(3)玉ねぎ一個(4)トマトケチャップ四分の一カップ(5)スープ(固形スープの素一個をとかす)二分の一カップ(6)トマト(完熟)大一個(7)ピーマン大一個、ワイン又は酒大さじ一杯(8)バター大さじ四杯、塩、胡椒、小麦粉(9)粉チーズ [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)玉ねぎ、ピーマンはみじん切りにし、トマトは湯むきして種を取り、乱切りにしておく。 (2)豚肉は空きビンか肉たたきなどで軽くたたいておく。 (3)鍋にバター大さじ一杯を入れ、玉ねぎ、ピーマンのみじん切り、トマトを入れて玉ねぎが透明になるまでよく炒める。 (4)(3)にトマトケチャップ四分の一カップ、固形スープ一個を二分の一カップの湯でといたものとワイン、塩、胡椒を入れて煮こむ。 (5)ボウルに玉子を割りほぐし、粉チーズ大さじ五杯、小麦粉小さじ一杯、塩、胡椒を加えて混ぜ、ピカタの衣をつくる。 (6)豚肉にも軽く塩、胡椒をして小麦粉をふる。 (7)フライパンにバター大さじ二杯をとかし、中火で豚肉の表面をさっと焼く。 (8)バターを足して(5)のピカタの衣を豚肉にからめながら、弱火でゆっくり焼いて器に取り、(4)のソースをかける。 さわら(はまち)の祐庵漬 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)さわら又ははまち(切り身)三〜四切れ(2)すだち(輪切り)三〜五個(3)醤油大さじ七杯、みりん大さじ三杯、酒大さじ二杯(4)昆布(三センチ角)一枚(5)塩少々 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)魚をザルに並べて塩をふり、三〇分ほどおいてから塩気をふく。 (2)材料の(3)と(4)を混ぜ合わせた中にすだちの輪切りと一緒に漬けこむ。二時間から一日ぐらい漬けてやる。 (3)遠火で焼くか、アルミホイルで包んで焼いてやる。     十 月     |匂《かお》り松茸味しめじ     お櫃で味わう新米の味 「早場米ですが、食べくらべて下さい」といって、米屋が宮崎米と高知米の五キロ二袋を届けてきた。宮崎県のお米はコシヒカリである。  早速、両方を粥にして食味した。新米は水加減が難しい。私は、新米は必ず粥炊きにして水分の吸収具合を見る。宮崎産米も高知産米も水の吸収率に変わりなかったが、味は宮崎産米の方がよかった。  米食を一日に一回は食卓に出すわが家では、米の善し悪しには無関心ではいられない。  私は、米を炊くのに厚手の鋳物鍋をガス火にかけて炊く。そして、充分蒸らしをかけてからお|櫃《ひつ》に移すのだが、お櫃に移して、はじめて御飯の善し悪しがわかる。  お櫃は、一升と八合の二個あるが、小さい方は母の形見である。もう五〇年も使っているものだから、洗って日干しするとき、よほど気をつけないと干し過ぎてタガが外れてガタガタになる。  もうひとつの方は、私が秋田で見つけて買ってきた。青森へ映画のロケーションで行った折、青森の空港の気流が悪くて降りられず、秋田空港へ着陸した。東京、九州で探して無くて、青森でも探したが無かった。秋田ならばと秋田駅前の雑貨屋を尋ねたらあったのだ。  もっともその後、東京池袋の西武百貨店の炊事器具売り場を歩いていたら、そこにもあった。 「なあんだ、あんなに探していたのに」とちょっと気落ちしたが、値段は秋田のお櫃の方が大分安かったので気が治まった。  白木のお櫃は、遠からず日本人の食卓から消え去るものであろうが、先人の知恵の産物として是非残しておきたい食器である。     香りに乏しい韓国産  八月の初め、所用があって京都へ行き、錦市場を覗いたら、お馴染みの八百屋「川政」に松茸が出ていた。 「へえ、もう松茸かい」と私が言うと、番頭の好岡さんが笑いながら、 「韓国物だっせ。なんや知らん|時《と》|季《き》をわきまえない外道が出てきたんですわ。香りもなんもありません」  と素っ気ない口調で言った。どうしようかと思ったが、話の種にとコロ(傘の開いてないもの)を選んで五〇〇グラムばかり買った。  東京へ帰って早速吸物に使ったが、ただ松茸の|恰《かっ》|好《こう》をしただけのもので、物珍しさだけが取柄だった。  去年は、松茸のシーズンにカナダ産の松茸が大量に入った。この松茸、おかしなことに色が白い。丹波の松茸と違って、ただドボンとした見てくれの悪い松茸だったが、味は(松茸に味は無いから風味とでも言おうか)韓国物より良かった。  松茸は人工栽培は難しいようだが、松露の人工栽培に成功したという記事を読んだ。松露は山陰地方の砂丘で採れるのだが、もし本当に人工栽培が成功したとしたら、日本産「トリフ」としてフランスへ輸出できるかもしれない。  トリフ入りフォアグラの缶詰を得々として彼地から土産に持ち返ったら、フォアグラ(ガチョウの肝、これも日本で作られるようになった)もトリフも我が国から彼地へ輸出したものだった、なんていう|噺《はなし》はできすぎかな……。  以前にヨーロッパへ行った折、ローマのレストランでスパゲッティ・ボンゴレ(あさりのスパゲッティ)を注文したら、コックが営業用の缶詰を持ってきて、このあさりはお前の国から入ってきたものだから旨いだろうと言われたとき、それまで食べていたスパゲッティが急に味噌臭くなった覚えがある。     しめじのワイン煮 「匂り松茸味しめじ」、しめじも天然のものは松茸の地物ほどの値段がするが、栽培ものは安い。そこでしめじのワイン煮を一品ご紹介しよう。 〈材料〉しめじ一パック、ベーコンまたはロースハム二〜三枚(千切り)、玉ねぎ小一個、にんにくひとかけ、刻みパセリ大さじ一杯、パン粉大さじ一・五杯、トマトピューレ・赤ワイン大さじ三杯、塩・胡椒少々、バター、化学調味料。  しめじは、根付の部分を包丁でとり、塩少々を入れて沸かした湯で軽くふり洗いをする(こうすると水では落ちない泥も簡単に取れる)。このしめじを清水で濯ぎ洗いをして、水気を拭きとり小房に分ける。玉ねぎは半分に切り、薄い櫛型に切っておく。にんにくはみじん切りにしておく。  フライパンまたは厚手の鍋にバター大さじ二杯を中火で溶かし、ベーコン、にんにく、玉ねぎ、しめじの順に加えて炒め、バターが具に廻ったらトマトピューレ、赤ワインと塩・胡椒を入れ、中弱火に火力を落としてゆっくりと五分ほど煮る。  深皿に煮物をあけて、パン粉をまぶしてから、パセリをふってできあがり。えのき茸、生しいたけでもよい。 十月のお惣菜 シャリアピン風ステーキ [#ここから2字下げ] 〈材料〉(以下、指定のないものは四人前) (1)牛ロース切り身(五〜八ミリくらいの厚さ)四枚四〇〇〜五〇〇グラム(2)トマト中一個(3)玉ねぎ(みじん切り)二分の一個(4)ベーコン(薄切り)二枚(5)赤ワイン二〇cc(6)塩、胡椒、小麦粉大さじ一杯、バター、サラダ油(7)スープ(固形スープの素一個、湯一カップ) [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)先にソースを作る。トマトは湯むきして種を取り、手でつぶしておく。厚手の鍋にバター大さじ二杯をとかし、ベーコン、玉ねぎを入れ、あめ色になるくらいまで炒めて、小麦粉大さじ一杯を入れて粉に多少色がつくまで炒める。 (2)そこへトマトを入れ、煮とかしてから、スープを加えて伸ばし、赤ワインを入れて一〇分ほど煮て、塩、胡椒で味を整える。 (3)牛肉は輸入肉や固い肉なら、玉ねぎ二分の一個分をすりおろして、サラダ油大さじ二杯、ワイン大さじ三杯に、あればローリエ、パセリの軸、人参の皮などを混ぜこんだ中へ、一〜二時間ほどつけこむ(バーゲンなどで、肉をたくさん買ったとき、この液につけこんでおけば、四、五日はそのままでもよい)。 (4)上等の肉なら、そんな手間はいらないから焼く三〜五分前に軽くフォークで肉の全面をつつき、塩、胡椒して粉を茶コシでふりこみ、余分な粉をはたいて、フライパン(強火で焼いておく)にサラダ油大さじ一杯、バター大さじ一杯を入れて、牛肉を入れ、肉が薄いから、表側を焼いたら、手早く、裏に返して一気に焼く。 (5)皿を温めて肉をのせ、ソースをたっぷりかけてやる。つけ合わせは、人参のバター煮、ポテト、ほうれん草のソテーなど。 白菜と鶏もも肉のスープ煮 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)白菜六〜七枚(2)鶏骨つきもも肉三〇〇〜四〇〇グラム(3)油揚げ二〜三枚(4)出し昆布(一五センチ角)一枚(5)あさつき(小口切り)大さじ一杯(6)土生姜(薄切り)四〜五枚(7)酒三分の一カップ、塩小さじ一杯、醤油大さじ三杯、みりん大さじ二杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)鶏肉はぶつ切りにして熱湯をかけておく。 (2)白菜は軽く塩ゆでし、水気をしぼり、根もとのぶ厚いところはそいで、そいだものもとっておく。 (3)昆布は一リットルの水でゆっくりもどし、五ミリ幅のヒモ状に切ったものを、八本作り、残りの昆布はひき上げておく。 (4)油揚げは熱湯をかけて油ぬきをしたのち、開いておく。 (5)巻簀の上に白菜をたがいちがいに並べ、薄いところはそいだものでつぎ足す。その上に開いた油揚げをのせて巻きこみ、昆布のヒモで四か所をしっかりと結び、四つに切る。 (6)鍋に昆布をもどした水一リットル、酒三分の一カップ、生姜のスライス、塩小さじ一杯を入れて煮たてる。そこへ鶏と白菜、残った出し昆布を入れてアクを取りながら三〇分ほど、鶏がやわらかくなるまで煮こむ。 (7)仕上げに醤油大さじ三杯、みりん大さじ二杯で味を整え、ひと煮たちさせる。好みで加減する。 かじきまぐろのトマトケチャップ煮 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)かじきまぐろ(八〇〜一〇〇グラムの切り身)四切れ(2)玉ねぎ一個(3)人参(六センチ)一本(4)白菜又はキャベツ二枚(5)ベーコン三枚(6)パセリ少々(7)塩、胡椒、酒大さじ一杯、小麦粉少々(8)トマトケチャップ二分の一カップ、ウスターソース大さじ二〜三杯、酒大さじ二杯、水大さじ二杯、パセリの軸二〜三本、ローリエ一枚 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)かじきまぐろは両面に塩、胡椒をして、酒大さじ一杯程度をふっておく。 (2)ベーコン、白菜、玉ねぎは細切りに、人参は四センチの長さの千切りにする。 (3)かじきまぐろの両面に小麦粉をまぶす。 (4)中華鍋にサラダ油大さじ三杯を熱し、ベーコンを入れて炒め、いったん取り出す。次にかじきまぐろを入れて両面を焼き、これも取り出す。油を少し足して野菜を全部入れ、ベーコンを加える。 (5)これにトマトケチャップ二分の一カップ、ウスターソース大さじ二〜三杯、油大さじ二杯、水大さじ二杯を加えて炒め、かじきまぐろを再び入れて、パセリの軸二〜三本、ローリエ一枚を入れて、五〜一〇分ほど煮こむ。あまり強火にすると、焦げるので注意する。 (6)器に盛り、パセリのみじん切りをふる。 さんまのカレー風味ムニエル [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)さんま(生のもの)四尾(2)長ねぎ(五センチ切り)二本(3)玉ねぎ(すりおろし)三分の一個(4)牛乳五〇cc(5)カレー粉大さじ一杯半、小麦粉大さじ一杯半、塩、胡椒、バター、サラダ油 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)さんまは頭を取り、ななめ二つ切りにしておく。玉ねぎ三分の一個はすりおろし、長ねぎは五センチくらいの長さに切りそろえておく。 (2)盆ザルにさんまの切り身を並べ、少しきつい目に塩をふり、一〇分ほどおく。 (3)玉ねぎのすりおろしと牛乳五〇ccを混ぜたものにさんまを一〇分〜一五分漬けこみ、臭みを取る。 (4)さんまの汁気をふき取り、小麦粉大さじ一杯半、カレー粉大さじ一杯半を混ぜ合わせたものをよくまぶす。 (5)フライパンにサラダ油大さじ三杯ほどをしいて、塩、胡椒したさんまを入れ、両面を焼き、続いて長ねぎを入れ、油をからめて焼く。次に火を弱め、フタをして約五分ほど蒸し焼きにする。 (6)さんまにじっくりと火が通ればでき上がり。そのままか、タルタルソースなどをかけて食べる。 豆腐と豚肉のソテー [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)豆腐(木綿)二丁(2)豚三枚の薄切り肉一〇〇グラム(3)長ねぎ三本(4)あさつき二分の一束(5)醤油大さじ四杯、胡椒少々、酒大さじ一杯、生姜のしぼり汁小さじ一杯、化学調味料少々、サラダ油大さじ三杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)豆腐は水切りをして、七ミリくらいの厚みのトランプの大きさ程度に切りそろえておく。 (2)長ねぎは白い部分を四〜五センチの長さに切る。あさつきは小口切り。 (3)豚肉は適当な大きさに切り、醤油大さじ一杯、生姜のしぼり汁小さじ一杯ほどをふり、味をなじませておく。 (4)大きめのフライパンか中華鍋にサラダ油大さじ三杯ほどを熱し、豆腐をくずさないように入れ、その周りに長ねぎを入れて焼く。豆腐を途中で返して両面が焼けたら、豚肉を加えて焼き、胡椒を少々ふり、豚肉に充分火が通るまで焼く。 (5)仕上げに鍋肌にそわせるようにして醤油大さじ二杯から三杯をたらし、味つけと香りづけをしてから器に盛る。 (6)上からあさつきをふりかけて出来上がり。 牛肉の中華風味噌煮 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)牛もも肉三〇〇グラム(2)長ねぎ二本(3)セロリ一本(4)しし唐八本(5)青じそ五枚(6)にんにく(みじん切り)ひとかけ(7)味噌大さじ一杯半、醤油大さじ一杯半、酒大さじ三杯、砂糖小さじ一杯、サラダ油大さじ三杯、胡椒、ごま油小さじ一杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)長ねぎ、セロリ、しし唐はブツ切りに、青じそは千切りにしておく。にんにくはみじん切りにしておく。 (2)牛肉を一口大の短ざくに切る。このとき、肉の繊維に逆らって切ると、火が通ったときに縮まない。切った肉に塩、胡椒、酒をふっておく。 (3)ボウルに味噌、醤油、酒、砂糖を入れ、よく練る。 (4)中華鍋にサラダ油をたっぷり目にしき、にんにくのみじん切りと牛肉を入れて、強火で炒める。続いて、セロリ、長ねぎ、しし唐を入れ、先ほど合わせた味噌を入れて、少し火を弱めて、五〜一〇分ほど煮る。 (5)煮上がる直前にごま油小さじ一杯ほどを上からかけて香りをつけ、火をとめ、最後に青じその千切りをかけてさっと混ぜ合わせて器に盛りつける。 えびだんごと小かぶの煮物 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)芝えび五〇〇グラム(2)小かぶ(茎は三センチに切り、湯がいておく)一〇個(3)卵白一個(4)生姜汁小さじ一杯(5)塩小さじ二分の一杯、ごま少々、酒大さじ一杯、片栗粉小さじ一杯(6)出し汁二カップ半(7)塩小さじ一杯、薄口醤油大さじ一杯、みりん大さじ三杯、酒大さじ一杯(8)柚子の皮少々 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)芝えびは背ワタを取ってきざみ、すり鉢でよくすって、卵白、生姜のしぼり汁、酒、塩、片栗粉を混ぜて、一〇〜一二個のだんごにして熱湯を入れた鍋でゆでておく。 (2)小かぶは上下を切り落とし、八面に角をつけてむき、串が通るまでゆでる。茎少々も塩を入れてゆでておく。 (3)出し二・五カップに材料(7)の調味料を入れて小かぶを煮、味がしみたらえびだんごを入れ、おろし際に茎を入れ、煮ふくませる。 (4)器に盛り、柚子をふる。 豚肉とさつまいものかき揚げ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)豚肩ロース肉二〇〇グラム(2)さつまいも(あられ切り)二五〇グラム(3)ミックスベジタブル(冷凍のもの)一〇〇グラム(4)玉子一個(5)塩少々、胡椒少々、酒大さじ二杯、小麦粉一カップ、冷水三分の二カップ(6)大根おろし、おろし生姜適量 天つゆ●出し一カップ、醤油四分の一カップ、みりん四分の一カップ、酒大さじ三杯、砂糖小さじ二分の一杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)さつまいもは一センチほどのあられに切り、水にさらしておく。 (2)豚肉を一センチのサイの目に切りそろえ、塩、胡椒、酒大さじ二杯ふりかけて下味をつけておく。 (3)ボウルに玉子一個、小麦粉一カップを冷水でとき合わせて衣を作る。サックリとした衣を作るコツは、あまり練りすぎないこと。 (4)この衣の中に、豚肉、サツマイモ、ミックスベジタブルを入れてさっと混ぜる。 (5)小さめの玉じゃくしか、カレースプーンなどで、具をすくって、一九〇度くらいの高温の揚げ油で揚げていく。 (6)つけダレ(天つゆ)は、一度煮きって冷ました酒一に対して、醤油三の割り合いで合わせ、大根おろし、おろし生姜などをそえて食べる。 ミートボールシチュー [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)合びき肉三〇〇グラム(2)パン粉二分の一カップ(3)にんにく(すりおろし)ひとかけ(大さじ一杯半)(4)玉子一個(5)塩、胡椒、ワイン又は酒四分の一カップ、バター大さじ二杯、コンソメ二個、ウスターソース大さじ二杯、トマトケチャップ大さじ一杯、砂糖小さじ一杯、小麦粉大さじ二杯、ブランデー(6)なす(皮むきして輪切り)二個、トマト(湯むき)二個、カリフラワー(ゆでたもの)四分の一株、きゅうり(輪切り五ミリ幅)二本、玉ねぎ(薄切り)一個、ローリエ一枚 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)合びき肉に塩小さじ一杯、胡椒少々を入れ、パン粉二分の一カップ、にんにくのすりおろしたものひとかけ分、玉子一個を入れてよく練り合わせる。一口大の大きさの小判型にまとめ、フライパン又は中華鍋か厚手の鍋で軽く焦げ目がつくくらいまで焼いて取り出しておく。 (2)そのフライパンにバター大さじ二杯を入れ、玉ねぎのスライスしたものを入れて、中火でキツネ色になるまで約一〇分ほど炒める。そこへ小麦粉大さじ二杯を入れ、ヘラで混ぜながら、弱火でよく炒め、鍋に移しかえて湯四カップ、湯むきトマト、きゅうりの輪切り、なす、ゆでたカリフラワー、ローリエ一枚、赤ワイン又は酒五〇cc、コンソメ二個、砂糖小さじ一杯を入れ、だんごを入れて中火で一〇分煮る。 (3)(2)にトマトケチャップ大さじ一杯、ウスターソース大さじ二杯、塩、胡椒、香りづけにブランデーを入れて仕上げる。 里いもとツナのサラダ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)里いも五〇〇グラム(2)ツナ缶詰一缶(3)玉ねぎ(みじん切り)大さじ三杯(4)セロリ(ゆでたもの、三センチの長さに切る)一本(5)人参(ゆでたもの)小二分の一本(6)ベーコン(千切りして妙める)二枚(7)パセリ少々(8)あさつき(みじん切り)大さじ一杯半(9)レモン汁一個分、ワイン大さじ二杯(10)サラダ油大さじ三杯、酢大さじ一杯、塩、胡椒(11)マヨネーズ又はタルタルソース [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)里いもは皮のままゆでて、皮をむいておく。 (2)里いもにレモン汁、塩小さじ一杯をふる。鍋に水を入れ、塩、ワイン(酒)を入れて輪切りにした人参をゆでる。ゆだったら人参を取り出し、三センチの長さに切ったセロリを入れてゆでる。 (3)ボウルに里いも、人参、セロリ、みじん切りにして水にさらした玉ねぎ三分の一個、パセリのみじん切り、あさつきのみじん切り、細切りにして炒めて冷ましたベーコンを入れ、サラダ油、酢、塩、胡椒で味を整えながら混ぜる。 (4)ツナの缶詰はよくほぐし、サラダボウルに先ほどの里いもと他の野菜を合わせたものと、一緒に盛り合わせる。 (5)ドレッシングは市販のものでもいいが、マヨネーズとレモン汁を混ぜたものをかけて食べてもよい。 ひき肉のいが栗蒸し [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)豚ひき肉二〇〇グラム(2)栗(大粒、ゆでたもの)一〇個(3)長ねぎ(みじん切り)二分の一本(4)にんにく(すりおろし)ひとかけ(5)もち米二カップ(一カップ分は食紅で赤くしておく)(6)片栗粉一カップ(7)砂糖大さじ二杯半、塩小さじ三分の一杯、胡椒少々、酒大さじ一杯、水三分の二カップ [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)もち米は洗って一晩水につけてからザルにあげ、水切りをしておく。もち米の半量を食紅などで赤く染めると仕上がりがきれい(お米でもよい)。 (2)栗は皮つきのまま固めにゆでて、厚皮、渋皮をむいておく。 (3)ボウルに豚ひき肉、塩、胡椒、酒、おろしにんにく、長ねぎのみじん切りを入れてよく混ぜ合わせる。つなぎを使わないのがポイント。 (4)栗を砂糖大さじ二杯半、酒大さじ一杯、水三分の二カップ、塩少々で煮ふくめる。煮えたら少し冷まして全体に片栗粉をまぶす。 (5)ひき肉を一〇等分にして、栗をしっかりと包みこむようにしてだんごを作り、もち米の上にころがしてまぶしつけ、お米がはがれないようにしっかり握る。 (6)皿に布巾をしき、その上にだんごを並べて強火で約二〇分、一気に蒸し上げる。つなぎを使っていないので、ひき肉がパックリ割れ、中から栗が顔をのぞかせた状態になる。 合びき肉とトウモロコシのカツレツ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)合びき肉三〇〇グラム(2)スイートコーン(粒)一カップ(3)ごぼう(割箸を合わせた大きさの棒状)八本(人参でもよい)(4)玉ねぎ(みじん切り)大二分の一個(5)玉子四個(6)パン粉一カップ、小麦粉一カップ(7)塩、胡椒少々、ナツメッグ少々、牛乳大さじ一杯、酒大さじ一杯、バター大さじ一杯、固形スープの素二個、揚げ油 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)ごぼうは下ゆでしてから、水二カップに固形スープの素二個を入れたもので煮て、冷ましておく。 (2)玉ねぎはみじん切りにして炒めてから冷ましておく。 (3)合びき肉に、炒めた玉ねぎ、パン粉を牛乳にひたして軽くしぼったもの、トウモロコシ、塩小さじ一杯、胡椒少々、ナツメッグ少々、とき玉子一個分を合わせ、よく練り合わせる。 (4)ごぼうに小麦粉をまぶし、これを芯にしてミンチを細長い小判型にまとめる。これら全体に小麦粉をまぶし、とき玉子をからめ、パン粉をまぶし、一七〇度くらいの温度の油で揚げていく。カリッと仕上げるには、低温の油で、一度中までしっかり火を通し、取り出して油切りした後、高温の油で二度揚げするとよい。 さけのマヨネーズ焼き [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)生さけ(たらなど白身の切り身でもよい)四切れ(2)生しいたけ六〜七枚(3)マヨネーズ大さじ五杯(4)卵黄一個(5)粉チーズ大さじ二〜三杯(6)塩、胡椒、酒、小麦粉、油 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)生ざけは両面に塩、胡椒、酒をふりかけて下味をつける。 (2)しいたけはスライスして軽く塩、胡椒をふっておく。 (3)フライパンを熱し、サラダ油大さじ一杯半を薄くしき、生ざけを表になる面から焼く。両面に軽く焦げ目がついたら、いったん取り出す。 (4)ボウルにマヨネーズ大さじ四〜五杯、卵黄一個、粉チーズ大さじ三杯を入れ、よく練り合わせる。 (5)アルミホイルで舟型を作り、そこにサラダ油を塗り、しいたけをしく。 (6)さけの表面に軽く小麦粉をふり、先ほど合わせたマヨネーズを塗りつける。それをしいたけの上にのせて、フライパンにフタをして一〇〜一五分蒸し焼きにする。 (7)盛りつけて、マヨネーズの上にパセリのみじん切り、パプリカなどをふりかけていろどりをつける。 あぶ玉どんぶり [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)油揚げ三〜四枚(2)玉ねぎ(薄くくし型切り)一個(3)なめこ又はえのきだけ一袋(4)玉子三個(5)三つ葉一束(6)ご飯四人分(7)出し汁一カップ半、醤油三分の一カップ、みりん三分の一カップ、酒大さじ三杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)油揚げをあぶってほどよい焦げ目をつけて一口大に切りそろえる。 (2)鍋にみりん三分の一カップ、醤油三分の一カップ、出し汁一カップ半、酒大さじ三杯を入れ、ひと煮たちさせる。 (3)小さめのフライパンにお玉一杯程度の合わせ出しを入れ、玉ねぎの細切り、なめこを入れて、玉ねぎが透き通るくらいまで四〜五分煮る。 (4)そこにあぶった油揚げを入れて、よく出しをふくませて、といた玉子を入れて半熟の状態になったら、すかさず火をとめて三つ葉を散らし、どんぶりのご飯の上にかける。紅生姜をそえる。おいしく作るコツは、面倒でも一人前ずつ作ることと、油揚げをカリッと焼くこと。玉子を入れたときの火かげん。 豚肉の明太子焼き [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)豚ロース薄切り肉二〇〇〜三〇〇グラム(一二枚)(2)明太子(たらこでいい)二腹(3)醤油大さじ一杯半、酒大さじ三杯、生姜(しぼり汁)大さじ一杯、卵黄一個、小麦粉大さじ三杯、油(4)貝割れ菜、トマト、クレソン、レモン一個 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)豚肉は醤油大さじ一杯半、酒大さじ二杯をふり、下味をつけておく。 (2)ボウルに皮をしごいて中身をほぐして出した明太子を入れ、卵黄一個、酒大さじ二分の一杯を加えてよく練り合わせる。 (3)豚肉の汁気をふき、豚肉と豚肉の間に明太子をサンドイッチ状にはさんで重ねる。三段重ねのものを四個作る。 (4)豚肉の上下に小麦粉をふり、豚肉がはがれないようにしっかりとまとめる。 (5)フライパンにやや多目のサラダ油をしき、強火で豚肉の両面をさっと焼く。軽く焦げ目がついたら弱火にして、フタをしてじっくりと中まで火を通す。 (6)焼けたらひと口大に切り、皿に盛りつけ、貝割れ菜、トマト、クレソン、レモンなどをそえる。 さんまのパン詰めベーコン巻き [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)さんま四尾(2)食パン(耳をとったもの)二枚(3)玉子一個(4)玉ねぎ(みじん切りにし、さらしたもの)大さじ四杯(5)パセリ(きざんだもの)大さじ二杯(6)ベーコン八枚(7)レモン一個(8)塩、胡椒、小麦粉少々、酒大さじ三杯、サラダ油(9)粉ふきいも(カレー粉をまぶす)(10)牛乳三分の一カップ [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)さんまは頭とワタを取り、背開きにしておく。食パンは耳を取り、牛乳三分の一カップ程度にひたしておく。 (2)水気をきったさんまに塩、胡椒、酒、レモン汁をふる。牛乳にひたしたパンをしぼり、よくほぐして玉子一個、玉ねぎのみじん切り大さじ四杯、パセリのみじん切り大さじ二杯、塩、胡椒少々をしてよく混ぜ合わせる。 (3)さんまの汁気をよくふき取り、パンをはさみこむように包む。そこに小麦粉をまぶし、二枚のベーコンで巻き、つまようじなどでとめる。 (4)フライパンにサラダ油を熱し、じっくり中まで火が通るようにフタをして蒸し焼きにする。 (5)皿に盛りつけて、カレー粉をまぶした粉ふきいもをそえる。 ちくわのいんろう揚げ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)ちくわ五本(2)豆腐(木綿)一丁(3)長ねぎ(みじん切り)二本(4)ハム(みじん切り)五〇グラム(5)玉子一個(6)小麦粉大さじ一杯(7)天ぷら粉一カップ(8)塩、胡椒少々(9)水二分の一カップ(10)天ぷら油(11)すだち(しぼり汁)五個、白すりごま大さじ一杯、醤油大さじ二杯、砂糖小さじ二分の一杯、みりん大さじ一杯、サラダ油、ごま油 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)豆腐はよく水切りした後、布巾でかたくしぼっておく。ハム、長ねぎはみじん切り。ちくわはさっと湯通しをして水気を充分にふき取っておく。 (2)フライパンにサラダ油大さじ一杯、ごま油大さじ一杯を入れ、ハム、長ねぎのみじん切りを炒める。そこへ水気を切った豆腐をほぐし入れて炒める。軽く塩、胡椒をふり、薄味をつけたのち、小麦粉大さじ一杯を加えて炒める。しばらくの間冷ましておく。 (3)ビニール袋のはしを切ったものにアルミホイルをじょうごのように丸めてあてがい、しぼり出しを作る。そこに炒めた具を入れ、ちくわの穴の中にしぼり入れる。 (4)天ぷら粉を、水と玉子でといて、衣を作り、ちくわにつけて、一七〇度〜一八〇度ぐらいの温度で揚げる。 (5)揚がったら、すだち五個分のしぼり汁、白すりごま大さじ一杯、醤油大さじ二杯、砂糖小さじ二分の一杯、みりん大さじ一杯を合わせたつけ汁で食べる。 いかのカレー煮 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)いか一〜二杯(2)玉ねぎ(薄切り)二分の一個(3)セロリ(三センチ長さの薄切り)二分の一本(4)レーズン(ほしぶどう)(ワイン又は酒をふってやわらかくしておく)大さじ二杯(5)カレー粉大さじ一〜一杯半(6)小麦粉大さじ一杯半(7)オールスパイス、ナツメッグ少々、ローリエ一〜二枚(8)スープ(固形スープの素一個)二カップ(9)ベーコン一切れ(10)塩、胡椒、酒、バター、赤ワイン [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)いかは皮をむいて輪切りにし、塩、胡椒、酒をふり、フライパンで軽く炒めておく。 (2)ベーコン、セロリは細切りに、玉ねぎはタテにスライスしておく。 (3)鍋にバター大さじ一杯半をとかし、玉ねぎ、ベーコンを入れ、玉ねぎが半透明になるまで、焦がさないように炒める。 (4)そこに小麦粉大さじ一杯半を入れ、またよく炒め、赤ワインにつけておいたレーズン、セロリの細切り、カレー粉大さじ一〜一杯半、ローリエ一〜二枚を入れ、次に湯二カップに固形スープの素一個をとかしたものを少しずつ加えていく。 (5)そこにいかを入れ、オールスパイス、ナツメッグ少々、赤ワイン大さじ一杯、塩少々を入れて弱火で五〜一〇分ほど煮る。仕上げの際、風味づけにバター大さじ一杯を入れる。おかずとしてだけでなく、ご飯やスパゲッティにかけてもよい。 秋のせい目めし [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)米四カップ(2)干ししいたけ(もどしたもの)二〜三枚(3)こんにゃく(薄切り)二分の一枚(4)人参(千切り)二分の一本(5)ごぼう(薄切り)二分の一本(6)ぎんなん二〇粒(7)えのきだけ一束(8)しめじ一パック(9)油揚げ一枚(10)出し昆布(一〇センチ)一枚(11)塩小さじ一杯半、薄口醤油大さじ一杯、みりん大さじ二杯、酒四分の一カップ [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)米はよくといで三〇分ほど水につけ、ザルにあげて三〇分ほど水切りをしておく。 (2)こんにゃくは熱湯に酒を入れて、ゆでて細切りにしておく。 (3)油揚げは熱湯をかけて油ぬきをして細切りにする。 (4)ごぼうはささがきに、しいたけ、人参は細切りにする。ぎんなんは煎ったものを厚皮と渋皮をむいておく。 (5)えのきだけとしめじは二センチの長さに切りそろえる。 (6)昆布は四カップの水に一時間あまりつけて出しを取る。 (7)釜に洗って水切りした米、昆布の出し汁四カップ弱を入れ、材料の(11)としいたけのもどし汁大さじ二杯を入れ、そこに具を全部入れて、よくかき混ぜる。そのまま一五分ほどおいて、味をなじませてから炊く。炊き上がったら充分蒸らしてからかき混ぜ、錦糸玉子やもみ海苔をふりかけて食べる。 玉子と野菜入りしらす干しの炒め [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)玉子四〜五個(2)しらす干し二分の一カップ(3)長ねぎ(細くきざむ)二分の一本(4)土生姜(細くきざむ)大一本(5)さやえんどう(ゆでたもの、千切り)一〇枚(6)人参(千切り)小二分の一本(7)砂糖小さじ二分の一杯、塩、胡椒少々、酒大さじ二杯、サラダ油、ごま油 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)しらす干しは、酒大さじ二杯をふりかけて、少ししんなりさせておく。 (2)人参は千切りにしてさっと湯通ししておく。さやえんどうも軽く下ゆでして細切りにしておく。長ねぎ、生姜はみじん切りにしておく。 (3)玉子四個をボウルに割りほぐし、ごく軽く塩、胡椒して、砂糖小さじ二分の一杯を入れ、そこにしらす干し、人参、さやえんどうを入れてよく混ぜ合わせる。 (4)中華鍋にサラダ油大さじ二〜三杯を入れ、薄く煙が立つくらいまで熱する。そこに長ねぎ、生姜のみじん切りを入れて炒め、香りと風味をつけるために、ごま油小さじ一杯を入れる。 (5)次にといた玉子を一気に入れ、フワッとふくれだしたら手早く混ぜる。ほどよい固さになったら器に取り、熱いうちに食べる。     十一月     北陸路の味覚     国破れて山河あり  秋の深まる北陸三県、富山、石川、福井を歩いた。早稲の産地北陸は秋の訪れが早い。すっかり取り入れの終わった田は、荒れた地肌を見せている。  富山のホテルの階上にある食堂から朝の立山連峰を眺めると、朝日に映えた姿をくっきりと見せて、旅の目を楽しませてくれた。まだ、雪は被っていない。 「こんな日は珍しいんですよ」  と、土地の人は言う。  実を言うと私は、終戦の日をこの北陸で迎えたのだ。残暑が厳しく、蝉鳴がひときわ高く、蒼く冴えた樹々に響いた。 「国破れて山河あり」  終戦の詔勅に耳を傾けながら、そんな思いにふけったことを思いだした。  北陸三県は米どころでありながら、何故か|余《よ》|所《そ》者にはかたくなで、米を売ってくれない。しかたがないので、苗採りのすんだガリガリのサツマ芋・農林一号や草の根を齧って飢えをしのいだ。信仰心の厚いお国柄だが、何故か余所者には冷たい。  現在の小松空港(石川県)は、当時、海軍渡洋爆撃隊の基地で、戦争末期には飛べば再び還れぬ特攻機の基地でもあった。特攻機が前線基地へ飛び立つ朝は、街全体が静寂のなかに打ち沈み、昼夜の別なく戦車などの武器を作っている小松製作所の工作機械の唸りだけが、空しく町なかに響いた。  町の人は、雪に備えた深い廂のついた家のなかで、死地に赴く若者を偲びながらひそかにお念仏を唱え、|数《じゅ》|珠《ず》を繰っていたのだろう。  歌舞伎『勧進帳』で名高い「安宅の関」は当市にある。いまでは日本海特有の荒波に削られて街道はなく、松もまばらな砂丘にその記念碑があるだけである。義経、弁慶の一行も、終戦時の私と同じように飢えに耐えながら落ちのびていったのだろうが、彼等には富樫の|情《なさけ》があった。  北陸は米ばかりでなく旨いものがいくらでもある。しかし、終戦時に滞在した十か月の間、旨いものを食った印象はひとつもない。  大阪に向かう特急「雷鳥」の車中で笹に包まれた二段の鱒鮨を食らいながら、ただひとつだけ想い出した。黒部峡谷へ向かう途中でふるまわれたドブロク(|濁酒《にごりざけ》)の味である。  村長や駐在所の巡査までが「これは酒ではありません。山羊の乳です」と言って、茶碗になみなみと注いでくれたが、朝鮮ドブロクと違い、酸味も臭みもない芳醇な香りを放つドブロクであった。あんな旨い濁酒をあれから四〇年飲んだことがない。  あれは、本当にこの世のものであったのだろうか。そんな思いがいまもしている。     食べても尽きぬ海の幸  富山の料理屋で紅ずわい[#「紅ずわい」に傍点]が出た。形は越前ガニと同じだが、赤色が鮮明である。ただし、味は越前ガニより数等倍落ちる。翌る日の新聞をひろげたら、魚河岸に揚がった紅ずわいのせり市風景が出ていて、結構な値が付けられていた。  それでも、食卓にだされたときは、越前ガニかと一瞬胸がドキリとした。  北陸の海の幸はこれからが|旬《しゅん》である。ゴリ、ハチメ、ブリ、マダラ、ズワイガニ、アマエビ、ナマコ、アワビ、バイ貝……冬の北陸は、ひと月食べ暮しても尽きることがない。  加賀百万石の城下町金沢は菓子の町でもある。茶どころで生み育てられた菓子は、森八の銘菓「長生殿」「ちとせ」、板屋の「芝がき」など、いかにも風流な菓子である。  ホタルイカは、日本では富山湾だけでしか|漁《と》れない(新潟沖でも漁れるようになった)。生は三月から四月にかけて御当地だけでしか味わえないが、ひとゆでしたものは、冷凍技術の発達したこの頃では一年中食べることができる。  酢味噌和えが最高だが、甘辛く照煮にしたり、私はちょっとひねってサラダにしたりする。  アマエビもカナダ産のものが輸入されて、東京の鮨屋などにも一年中あるが、やはりこれからが旨い。  赤い鎧をつけたアマエビは、ほかのエビと違って殻もむきやすい。頭を取って殻をクルリと取り、ワサビ醤油か生姜醤油で食べる。知らぬうちに数を食べてしまう。     アマエビの煮物  今回は、このアマエビを使った煮物をご紹介しよう。 〈材料〉アマエビ二〇尾、里イモ五〜六個、しめじ八〇グラム、三つ葉二分の一束、出し汁二カップ、薄口醤油大さじ三杯、塩小さじ一杯、みりん大さじ五杯、日本酒大さじ一杯。  鍋に調味料を入れて煮たたせ、アマエビを入れて落としブタをして、最初は強火、煮たったら火を落として弱火で三分ほど煮る。火を止めたあと、一〇分くらいそのままにして味をしみ込ませてから、別の器にとり出す。  里イモは下ゆでし、しめじは小口に分けて湯煎して、水にとって汚れを落とし、そのあと水気を切っておく。  先のアマエビを煮た残りの汁で、里イモとしめじを煮る。汁気が足りないようだったら、少し出し汁と調味料を足す。  器にアマエビと里イモ、しめじ、三つ葉を形よく盛り、煮汁をたっぷりかけてから、柚子の皮などを散らす。     善福寺川の川芹  |鵯《ひよどり》の|喧《やかま》しい鳴声が薄刃の剃刀で|截《き》り裂くように中天を飛ぶ頃になると秋も深まる気配である。  わが家の裏を流れる善福寺川もこれが都会を流れる川かと思わず飲みたくなるような冷たい清澄な流れになり、群れをなして遊泳する鯉の緋の色が川面から浮き出るように鮮やかになる。  夏場には汚れていた川底も、夏の終わりから秋にかけて降った大雨でガラクタがすっかり掃除され、両岸に繁っていた味気ない帰化植物の夏草も公園の管理人にキレイに刈りとられてすがすがしい。この頃では、鴨のつがいの群ればかりでなく、白鷺や|鶺《せき》|鴒《れい》も遊ぶようになった。だから、この川沿いの散歩は楽しい。そして、もうひとつの楽しみは、散歩の途次偶然に見つけた川芹を摘むことにある。その場所は、それこそ私だけの秘密で家人にも教えない。秋風が吹き、川面が冷たく光るようになると、そっと、その秘密の場所に摘みに行く。小|笊《ざる》に軽く一杯ほども摘み「いいクレソンがあったから、今日はおひたしとクレソンと牛肉の中華風スープにしよう」と家人に言う。 「まあ、こんなに、ずいぶん高いんでしょう」  さよう、町のスーパーで求めたらそこそこの値段はするだろう。  離れの隠居所に池があったときは、井戸水を少しずつ落としながら浅場を作って芹を植えていたのだが、数年のうちに父と母を続けて失い、池に軒端の影が映るのは家相としてよくないと知人に言われて、迷信とは思いながらも、ふた親を失ったのもその故かと未練なく埋めてしまった。|鹿《しし》おどしまでつけた洒落た池だったが……。爾来、自生の芹には縁がなく、善福寺川で川芹を見つけたときは、ほんとうに嬉しかった。ただ、夏の川水の温さではなんとなく摘む気になれないので、秋口に入ってから摘む。春先にも少し摘む。  十一月は祝祭日が多いので、よく旬のご馳走を作る。十一月三日の文化の日(明治節)には菊寿司を作る。この日は、昔から晴天の日が多い。小春日和が続き、半袖で歩きたいぐらいだ。中学生のとき、気どってオーバーを着込んだのはいいが、暑くて往生したことはいまでも忘れられない。  敗戦後は、文化の日と表現が変わったが勤労感謝の日とともに私にはどうしても馴染めない。だから、いまでも明治節といっては息子どもから笑われる。文化住宅、文化釜、文化鍋、文化煎餅、いやな言葉だ。まあ、文化勲章、文化功労者ぐらいは仕方がないが、人間文化財となるともういけない。ムシズが走る。ブンカブンカと唱えだしたのは大正末期のことだそうだが、江戸時代、徳川家斉公のとき、年号を文化文政といっていた。綱紀|紊《びん》|乱《らん》風俗頽廃もいいとこだったそうだが、現代日本の文化国家とよく似ている。     戦さの前の……  その昔、ブンカの日に吉原へ登楼したことがあった。もっともその頃は、明治節といっていた。なぜかこの日に女郎屋は軍人学生割引があった。多分、明治天皇はたいそうな粋人であらせられたから、その余徳を偲んで女郎屋の方で粋なはからいをしたのだろう。  そんなとき、戦さの前の腹ごしらえと遊び仲間とかならず吉原大門の馬肉屋「中江」に行った。遊廓はなくなったが「中江」だけは健在で、昔ながらの営業をしている。入れ込みの座敷に仲間うちで差し向かいに坐り、|最《ハ》|初《ナ》は馬刺からはじまる。フィレとロースがあって生姜醤油で食べる。にんにくを効かすとうまいのだが、あまりにんにくの臭いをさせると女郎が嫌う。酒二本ほど飲んで桜鍋に移る。蹴とばし食らって|精《ケ》|気《ト》|払《バ》|い《シ》に行こうと勇気凜々たるものだった。敗戦間近で戦火が東京まで拡がりだし、食物が不自由になっても馬肉屋だけは営業していたが、陸軍の粋な心くばりで、老軍馬の払い下げがあったのかも知れない。  燈火管制のうす暗がりのなかでつついた桜鍋のおあまりを弁当につめて、土産に持っていくと彼女たちはおおよろこびで、それこそ馬力をかけてサービスしてくれたものだ。  小説家の故獅子文六先生は馬肉がお好きで、日本にはフランスのようにうまい馬肉ステーキを食わせる店がないとよく嘆かれていた。私も探しているが、いまだにお目にかからない。信州や九州の一部では、牛肉よりも馬肉を好んで食べるが、都会の女性は馬肉屋へ行こうというと「可哀そうだわ」といって誘いに乗らない。そのくせ、牛肉の刺し身やタルタルステーキ、朝鮮料理のユッケなどはよく食べる。 十一月のお惣菜 煮込みローストビーフ [#ここから2字下げ] 〈材料〉(以下、指定のないものは四人前) (1)牛肉(かたまり、ローストビーフ用ロース、イチボ、もも肉)五〇〇グラム(2)ベーコンとハム三枚ずつ(3)玉ねぎ(スライス)一個(4)セロリ(筋を取り三センチに切る)二本(5)パセリの軸三本(6)人参(五ミリの幅の輪切り)二分の一本(7)塩、胡椒、ガーリックパウダー、バター大さじ二杯、サラダ油大さじ一杯、固形スープの素一個(8)赤ワイン一カップ(9)ローリエ一枚(10)トマトケチャップ、ウスターソース [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)玉ねぎはスライスし、セロリは葉を捨てずに取っておき、筋を取って三センチくらいに切りそろえる。人参は五ミリ幅に輪切りにする。セロリの葉とパセリの軸、ローリエを凧糸で束ねてブーケガルニを作っておく。 (2)牛肉のかたまりに切り目を深く入れ、切り目の両内側にも切りこみをつけて袋状にする。切り目の内側に塩、胡椒、好みでガーリックパウダーをすりこみ、ハム、ベーコンを袋の中に詰めこむ。 (3)肉をしっかりとじて、凧糸でタテヨコにきつくしばり、フォークでつついて穴をあけ、塩、胡椒をよくすりこむ。これをフライパンで表面に焦げ目がつくまで焼き、深めの鍋に肉、玉ねぎ、人参、セロリ、スープ二〇〇cc、赤ワイン一カップ、バター、ブーケガルニを入れ、フタをせず三〇分ほど煮る。 (4)煮汁は|漉《こ》し、ウスターソース大さじ一杯、トマトケチャップ大さじ二杯、バター少々を加え、ソースにする。 きんめだいの煮つけ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)きんめだい(金目鯛)二尾(2)ごぼう一本(3)土生姜(皮つきスライス)五枚(4)長ねぎ(青い部分)二〜三本(5)砂糖大さじ二杯半、みりん大さじ三杯、醤油大さじ七杯、酒四分の一カップ(6)出し昆布(一〇センチ角)(7)ごま小さじ一杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)きんめだいはうろこを取り、二つ切りにして軽く塩をしておく。 (2)出し昆布は三〇分ほど一カップの水につけておく。ごぼうは皮つきのまま洗って、四〜五センチの長さに切りそろえ、下ゆでしておく。 (3)大きめの鍋に湯を沸かし、グラグラと沸騰しているところへきんめだいをさっとくぐらせ、すぐに氷水に取り水気をふき取る。 (4)鍋に出し昆布をしき、生姜のスライス、ねぎの青いところを入れる。そこに酒四分の一カップ、昆布を水でもどした出し二〇〇cc、砂糖大さじ二杯半、醤油大さじ七杯を入れて火にかけ、煮たたせる。充分に煮たったら、きんめだいを入れ、落としブタをして約二〇分ほど中火で煮る。途中魚をくずさないように裏返し、煮汁をまんべんなく魚にかけながら煮る。 (5)仕上げにみりん大さじ三杯、ごま油小さじ一杯をふり、照りと風味をつける。 (6)器に盛り、木の芽を添え、ごぼう、昆布もきざんで添える。 和風チャーハン [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)ご飯四人分(2)玉子二個(3)かまぼこ(七〜八ミリのサイの目切り)三分の一個(4)焼きちくわ(かまぼこと同じ)一本(5)しらす干し大さじ三杯(6)さくらえび(色の薄いもの)大さじ二杯(7)長ねぎ(みじん切り)一本(8)塩、砂糖、胡椒、醤油、酒、サラダ油大さじ五〜六杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)しらす干しは酒少々をふり、少ししんなりさせておく。かまぼこ、ちくわはサイの目に切り、長ねぎはみじん切りにしておく。 (2)ボウルに玉子二個を割りほぐし、塩、砂糖をひとつまみ入れて混ぜ合わせる。 (3)中華鍋を充分に熱し、サラダ油大さじ三杯を入れ、薄く煙が立つくらいになったら、玉子を一気に入れて、手早く混ぜ、すぐに取り出しておく。その鍋にまたサラダ油大さじ二杯から三杯を入れ、ちくわ、かまぼこ、しらす干し、長ねぎを入れて、胡椒を少々入れ、冷やご飯を入れる。火は最後まで強火。 (4)ご飯をほぐしながら充分炒め、さくらえびと、先に炒めた玉子を入れる。 (5)仕上げに、鍋肌にそわすように、醤油大さじ一杯を入れて味を整える。もし味がもの足りなければ、最後に塩で味を調整する。 カリフラワーのパン粉炒め [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)カリフラワー一〜二株(2)ベーコン五枚(3)パン粉一カップ半(4)バター大さじ五杯(5)小麦粉、塩、胡椒、粉チーズ [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)カリフラワーは大き目の鍋にたっぷりと湯を沸かし、小麦粉大さじ一杯、塩小さじ一杯を入れてゆでる。 (2)ゆであがったら冷水でよく洗って、小房に分けておく。 (3)フライパンにバターを入れ、ベーコンを一センチ幅に切ったものを炒める。弱火でゆっくりと、ヘラかしゃもじでかき混ぜながら炒める。 (4)そこにパン粉一カップ半を入れて、パン粉がきつね色になるまで炒める。(2)も別にバターとサラダ油小さじ一杯半ずつ合わせたもので炒める。 (5)小房に分けたカリフラワーを皿に盛りつけ、炒めたパン粉、ベーコンを上からかける。仕上げに粉チーズ、パセリのみじん切りをふりかける。 たらの酒蒸し [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)たら(生だらは塩を当てておく)四切れ(2)昆布(タテ一〇センチ、ヨコ五センチ)四枚(3)長ねぎ(四〜五センチ)二本(4)生しいたけ八枚(5)春菊二分の一束(6)土生姜(スライスしたもの)一二枚(7)酒(8)ポン酢、かんずり [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)たらは甘塩のものはそのまま、生のものは軽く両面に塩をふり、一〇分ほどおく。たらは皮が固いので、皮の部分に切り目を入れておくとよい。 (2)昆布はぬれ布巾などでよくふいて、ほんの少し湿り気を与えておく。 (3)ねぎは四センチくらいに切りそろえ、しいたけは大きめのものなら、二つに切る。 (4)アルミホイルの上に昆布をしき、その上にたらの切り身をのせ、生姜のスライスを三枚のせる。その上から酒大さじ一杯ほどをふりかけ、白ねぎ、しいたけを重ねて汁がこぼれないようにホイルで巻く。これを四つ作る。 (5)これらを皿にのせ、あらかじめ熱しておいた蒸し器に入れて強火で一〇〜一五分、一気に蒸し上げる。このときに春菊もよく洗って束ね、一緒に蒸して水気を切り、たらに添える。ポン酢、あればかんずりをつけて食べる。 揚げ豆腐の煮物 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)豆腐(絹ごし)二丁(2)玉子二個(3)スープ(チキンコンソメの素一個)一カップ(4)干しえび(きざみ)三分の一カップ(5)青ねぎ(きざみ)大さじ二杯(6)土生姜(きざみ)ひとかけ(7)長ねぎ(小口スライス)二分の一本(8)砂糖小さじ二杯、塩小さじ一杯、醤油大さじ四杯、酒大さじ四杯、ラード小さじ一杯、小麦粉 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)豆腐は水切りをし、一丁を六等分に切り分けておく。 (2)長ねぎは薄い輪切りに、もしあれば青ねぎもみじんに切っておく。 (3)豆腐の下味つけの調味料を合わせる。大きめの深皿に、材料(8)のすべてと生姜のしぼり汁小さじ一杯を入れてよく混ぜ、そこに干しえびを入れる。次に切った豆腐をくずさないように並べ、一〇分ほど味をしみこませる。 (4)鍋に湯一カップを入れ、チキンコンソメ一個をとかし、調味料につけておいた干しえびを入れて火にかける。 (5)豆腐はキッチンペーパーなどで水気をふき、小麦粉をまぶして玉子をからめ、一七〇度くらいの温度の油で揚げる。揚がったら鍋に移し入れ、白ねぎを入れて豆腐を煮ふくめる。 (6)五分ほど煮たら器に取り、青ねぎのみじん切り、又はあさつきなどをふる。 大根の中華風煮込み [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)大根二分の一本(2)ゆで筍一〇〇グラム(3)白菜又はキャベツの葉二枚(4)玉ねぎ二分の一個(5)油揚げ一枚(6)豚肉(角切り)(7)土生姜(千切り)ひとかけ(8)にんにく(みじん切り)ひとかけ(9)干ししいたけ(もどしてそぎ切り)二枚(10)醤油大さじ一杯半、酒大さじ二杯、スープの素二個、カキ油ソース小さじ一杯半、トウバンジャン少々、片栗粉小さじ一杯半、ごま油、サラダ油大さじ一杯、砂糖 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)豚肉は醤油小さじ一杯、酒小さじ一杯をふりかけ、下味をつけておく。 (2)大根は輪切りにして、米大さじ一杯を入れて水からゆでてそのまま冷ましておく。 (3)中華鍋にサラダ油大さじ一杯をしき、にんにくのみじん切り、筍の乱切り、ひと口大に切った豚肉、ゆでて洗った大根、白菜のザク切り、水でもどした干ししいたけ、二センチ幅に切った玉ねぎを入れて炒める。玉ねぎが少ししんなりする程度まで炒めたら、醤油大さじ一杯半、酒大さじ二杯、トウバンジャン小さじ一杯、固形スープの素二個を二カップのお湯でといたもの、干ししいたけのもどし汁一カップ、カキ油ソース小さじ一杯半、化学調味料を入れ、味つけする。 (4)次に油揚げのきざんだもの、砂糖少々を入れ、約一〇分ほど、材料に味がしみるくらいまで煮ふくめる。 (5)仕上げに水とき片栗粉でトロミをつけ、生姜の千切りを上にそえる。 牛肉と昆布の煮込み [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)牛薄切り肉四〇〇グラム(2)しらたき一袋(3)早煮昆布(ぬらして結び昆布)二〇〜三〇グラム(4)生しいたけ八枚(5)生姜(千切り)(6)ほうれん草二分の一束(7)出し汁二分の一カップ、みりん大さじ二杯、砂糖大さじ二杯、醤油大さじ五杯、酒大さじ三杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)牛肉は食べやすい大きさに切りそろえておく。しらたきはお酒を少し入れた湯を沸かし、軽くゆでて、適当な長さに切りそろえてザルにあげ、水切りをしておく。 (2)生しいたけはひと口大に切っておく。ほうれん草はさっと下ゆでしておく。 (3)早煮昆布はぬらして一センチのヒモ状に切り、それを結んで結び昆布を作っておく。 (4)鍋に出し汁二分の一カップを入れ、生しいたけ、結び昆布を入れ、昆布がやわらかくなるまで煮る。そこに砂糖大さじ二杯、醤油大さじ五杯、酒大さじ三杯、みりん大さじ二杯を入れ、牛肉四〇〇グラム、しらたき、しょうがの千切りを入れて、一〇分ほど煮こむ。このときしらたきを、ゆでたかんぴょうなどでひと口大に巻いておくと仕上がりがきれいになる。 (5)一〇分ほど煮たら、下ゆでしておいたほうれん草を入れ、緑色がとんでしまわないように、味をなじませたらすぐに器に取り、盛りつける。 豚ロースどんぶり [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)豚ロース肉(あれば骨つき)四枚(四〇〇グラム)(2)長ねぎ二分の一本(3)生姜(薄切り)四枚(4)にんにく(薄切り)ひとかけ(5)ほうれん草(ゆでたもの、三センチ切り)一束(6)醤油大さじ四杯、トマトケチャップ大さじ一杯、砂糖大さじ一杯半、酒大さじ四杯(7)胡椒(あらびき、黒)少々、片栗粉、油(8)ご飯四人分 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)豚肉は包丁で筋切りをし、軽くたたいておく。にんにく、生姜は薄切りにし、長ねぎは四〜五センチの長さに切り、包丁でタテに切り目を入れておく。ほうれん草は、さっと下ゆでしておく。 (2)深皿に材料(6)と、生姜とにんにくのスライスを入れて混ぜ、豚肉を入れる。上からブラックペッパーをふりかけて、長ねぎも一緒に一〇〜一五分つけこむ。下味がついたら、豚肉を取り出し、片栗粉をまぶす。 (3)フライパンを充分に熱し、サラダ油大さじ四杯を入れ、豚肉の両面を焼く。豚肉に焦げ目がついたら火を弱め、長ねぎ、つけ汁を入れて、肉に充分火が通るまで煮る。 (4)ご飯の上に、豚肉、長ねぎをのせ、残ったつけ汁に、ゆでたほうれん草を入れ、つけ汁と一緒にご飯にかけて食べる。 白菜鍋 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)白菜大二分の一株(2)豚バラ肉(薄切り)四〇〇〜五〇〇グラム(3)長ねぎ(ななめ切り)二本(4)干しえび大さじ一杯(5)出し昆布三センチ角(6)白ワイン又は酒二分の一カップ(7)固形スープの素(8)油揚げ二枚(9)生姜(薄切り)(10)ポン酢、大根おろし、さらしねぎ、七味唐辛子、かんずり、柚子、胡椒(11)生しいたけ、えのきだけ、うどがあってもよい [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)土鍋に出し昆布をしき、生姜のスライスを二〜三枚、白菜、豚肉、長ねぎ、油揚げ、干しえび、しいたけ等を入れていく。その上にまた、生姜、白菜、豚肉……と重ねて、手で押しこむ感じで、材料を入るだけ入れる。 (2)固形スープの素二個に対して五〇〇ccのお湯でといたスープをヒタヒタになる程度に注ぎ入れ、火にかける。煮たったら、白ワイン又は酒二分の一カップを入れる。ポン酢か好みのつけダレで食べる。残った出し汁は、醤油を足してぞうすいにしても、またうどんなどを入れてもよい。 大根と塩昆布の即席漬け [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)大根(なるべく葉のついている太いところ)二〇〇グラム(2)塩昆布(とこわか)二〇グラム(3)きゅうり一本(4)土生姜ひとかけ(5)タカの爪二〜三本(6)塩、酒小さじ一杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)大根は厚目に皮をむき、塩昆布と大きさをそろえて、五ミリの厚さにスライスする。残った皮や葉は捨てずに、塩湯で湯びきして、みそ汁や一夜漬けの材料にすると無駄がない。 (2)きゅうりはまな板の上に荒塩をふり、きゅうりをころがすように塩もみして、水洗いをし、スライスしておく。 (3)生姜は針生姜にしてさらしておく。 (4)大き目のボウルに、大根、きゅうり、塩昆布、湯もどしして種を取ったタカの爪二〜三本、針生姜を入れてよく混ぜる。家庭用の漬け物器があれば、それで重しをかけて漬けるが、ない場合は、ボウルの中の材料の上に底の平らな皿をしき、その上に適当な重しをして一時間ほど漬ける。ビニール袋を二重にして、中に水を詰めて口をしっかりととめたものでも充分重しになる。 (5)一時間つけたら、仕上げに酒小さじ一杯をふる。 白身魚のカレー風味 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)メルルーサ、又はかれいなどの白身魚四切れ(2)ベーコン(薄切り)六〜八枚(3)玉ねぎ(スライス)二分の一個(4)塩、胡椒少々、カレー粉大さじ一杯、小麦粉大さじ一杯、酒大さじ二杯(5)サラダ油大さじ二杯半(6)トマトケチャップ大さじ一杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)白身魚には、酒、塩、胡椒をふり、下味をつけて一〇分ほどおいておく。 (2)玉ねぎはヨコにスライスしておく。 (3)小麦粉大さじ一杯、カレー粉大さじ一杯をボウルで合わせる。魚は汁気をよくふいて、合わせた粉をまんべんなくまぶす。余分な粉ははたいて、ベーコンで巻き、つまようじなどでしっかりとめる。 (4)フライパンにサラダ油大さじ二杯半をしき、充分に熱してから魚を入れて両面を焼く。 (5)火を弱め、魚が焦げないように、玉ねぎのスライスを魚の下におき、フタをして七〜八分蒸し焼きにする。 (6)魚に充分火が通ったら、皿に取り出し、残った玉ねぎに、トマトケチャップ大さじ一杯を入れ、ソースを作る。これを玉ねぎごと魚の上からかける。パセリのみじん切りや生クリームをかけてもよい。 さけのおろし和えと味噌汁 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)塩ざけの切り身三〜四切れ(2)大根四分の一本(3)なめこ小一缶(4)油揚げ二分の一枚(5)いりこ二分の一カップ(6)酢大さじ二杯、酒、化学調味料、砂糖大さじ一杯、薄口醤油大さじ一杯、七味唐辛子 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)塩ざけは酒をふり、網で焼いて大き目にほぐしておく。大根は皮を厚目にむき、大根おろしを作る。残った皮や大根の葉は、さっと塩ゆでして、味噌汁の具にとっておく。 (2)なめこはザルに入れ、水でふり洗いしておく。 (3)酢大さじ二杯、砂糖大さじ一杯弱、薄口醤油大さじ一杯を合わせ、そこに大根おろし、水洗いしてから水気を切ったなめこ、ほぐしたさけの身を入れて混ぜ合わせる。器に盛って好みで七味唐辛子をふる。 [#ここから1字下げ] 味噌汁 [#ここで字下げ終わり] (1)味噌汁は、頭と腹をとったいりこで出しを取り、いりこの生臭さを消すために、古クギなどを焼いてジュッとつける。 (2)具はなめこ、大根の葉や皮を塩ゆでしたもの、湯通しして油ぬきして細切りにした油揚げなどを入れる。 大根といかの煮物 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)大根二分の一本(2)いか二杯(3)土生姜(薄切り)ひとかけ(4)出し昆布(五〜六センチ角のもの)一枚(5)タカの爪一本(6)醤油四分の一カップ(7)酒四分の一カップ(8)砂糖小さじ二杯(9)柚子の皮(千切り)小さじ一杯(10)米小さじ一杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)大根は厚目に皮をむき、二センチの厚みの輪切りにし、底に十文字の切りこみを入れる。 (2)鍋に水をはり、米小さじ一杯、タカの爪一本を入れて、そこに大根を入れ、水からゆでる。大根がやわらかくなったら火をとめてそのまま冷ましておく。 (3)いかは皮をむき、内臓を取り、一センチ幅の輪切りにして酒をふりかけておく。 (4)鍋に出し昆布をしき、そこに洗った大根、いかを入れ、材料がひたひたになるくらいまで水を入れる。生姜の千切りを入れて火にかけて煮る。いかの色が変わったら、砂糖小さじ二杯、醤油四分の一カップ、酒大さじ五杯を入れ、落としブタをしてさらに七〜一〇分弱火で煮ふくめる。このような煮ものの味つけは、材料が煮つまると味が濃くなるので、少しもの足りなく思う程度で、最初から濃い目の味つけにしないことがおいしく作るコツ。最後に柚子の皮をふる。 カキのベーコンフライ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)カキ(大粒)三〇〇〜四〇〇グラム(2)ベーコン(薄切り)一〇枚(3)玉子一個、小麦粉、パン粉、揚げ油(4)ブロッコリー二〇〇グラム(5)じゃがいも(二センチ角切り、ゆでておく)四〇〇グラム(6)パセリ(7)塩、胡椒、酒 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)カキの汚れの取り方は、「ふり洗い」といい、塩少々をカキにふり、大根おろしをたっぷりとまぶす。そのまま少しおいてからていねいに水洗いをしてザルにあげ、水気を切る。 (2)ベーコンは二分の一の長さに切り、カキをひと巻きできる程度の大きさにしておく。 (3)カキに酒少々をふりかけ、下味をつけて、キッチンペーパーなどで水気をよくふき取る。皿に並べて塩、胡椒少々をふり、小麦粉をまぶし、ベーコンで巻き、つまようじでとめる。次にとき玉子をくぐらせ、よくふるったパン粉をしっかりとまぶす。 (4)カキは火が通りすぎると固くなるので、フックラとふくれるぐらいが食べごろ。高温の揚げ油で衣をカリッと、中をフックラと揚げるのがおいしく作るコツ。材料(4)(5)(6)をそえる。 カキの味噌煮 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)カキ三〇〇グラム(2)焼き豆腐一丁(3)しらたき一束(4)えのきだけ一袋(5)長ねぎ二本(6)春菊一束(7)出し汁一カップ半(8)赤味噌大さじ三杯、醤油大さじ一杯、みりん大さじ一杯、砂糖小さじ一杯、酒大さじ三杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)カキは塩少々をふり、大根おろしをたっぷりとまぶしてしばらくおいてから、ていねいに水洗いして汚れを取っておく。 (2)豆腐は熱湯をかけ八つ切りにしておく。しらたきはサッと下ゆでして、食べやすい長さに切り、あればかんぴょうなどでひと口大にまとめて巻いておく。 (3)鍋に、かつお出しと昆布出しを合わせた出し汁一カップ半、酒大さじ三杯、味噌大さじ一杯を入れて煮たたせる。しらたき、豆腐を入れて、薄味がつくくらいまで煮る。 (4)ボウルに味噌大さじ二杯、醤油大さじ一杯、みりん大さじ一杯、砂糖小さじ一杯を入れ、よく混ぜる。 (5)(3)の鍋に長ねぎ、えのきだけ、カキを入れ、合わせた味噌を入れて、カキがふっくらと煮えたら火をとめ、春菊を入れて余熱で煮る。春菊がしんなりしたら出来上がり。カキを煮すぎないのがコツ。 さばのオランダ揚げ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)さば(小さめのもの)四尾(2)人参二分の一本(3)しいたけ四〜五枚(4)パセリ一束(5)小麦粉カップ二分の一杯(6)粉チーズ大さじ三杯(7)酒大さじ三杯(8)塩小さじ二分の一杯(9)揚げ油 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)さばは三枚におろして小骨を取り、盆ザルの上において塩と酒をふりかけて下味をつけておく。 (2)人参、しいたけ、パセリはできるだけ細かいみじん切りにしておく。 (3)ボウルにふるった小麦粉二分の一カップを入れ、冷水でときながら(天ぷらの衣より濃い目)、塩小さじ二分の一杯、粉チーズ大さじ三杯を入れ、そこに人参、しいたけ、パセリのみじん切りを加えてよく混ぜる。 (4)さばの両面に、よくふるった小麦粉をまぶし、先ほどの(3)の衣をしっかりとつける。衣がゆるそうだったら、少し小麦粉を足すとよい。 (5)揚げ油を一八〇度ぐらいに熱し、鍋のふちから衣がはがれないようにそっとさばをすべりこませる。表面がカリッと揚がったら出来上がり。タルタルソースか、好みのソースで食べる。 なまりと豆腐の煮物 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)なまり四切れ(2)豆腐(焼き豆腐があればそれにする)一丁(3)さやいんげん一〇〇グラム(4)土生姜(皮つきスライス)ひとかけ(5)醤油大さじ五杯、砂糖大さじ一杯、みりん大さじ二杯、酒大さじ二杯(6)焼きねぎ(三センチ切り)一本(7)タカの爪(種ぬき)一本半 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)なまりは熱湯をかけて臭味を消す。鍋に水一カップと材料の(5)をすべて入れて煮たたせ、なまりを入れる。 (2)生姜のスライス、湯もどしして種ぬきしたタカの爪一本半、焼きねぎを入れて、火を弱め、落としブタをして五〜六分煮る。なまりだけいったん取り出し、豆腐、さっとゆでておいたさやいんげんを入れ、煮汁がなくなりかけるまで煮る。 (3)ここで再びなまりを入れ、五分ほど煮ふくめる。魚など煮物のコツは、鍋に調味料を全部合わせてから、煮たたせて、それから魚を入れること。こうするとうま味が逃げない。     十二月     年の瀬の下町  年の瀬の町並を、正月の飾り笹をゆすりながら、軽く唸りをあげて木枯らしが吹き抜けて行くと歳末大売出しのチンドン屋のクラリネットが、木枯らしに合わせるように去り、明りを煌々と灯した米屋の賃餅つきの|杵《きね》音と|蒸籠《せいろ》の湯気が忙しげな買出しのお客の背を追いかける。  そんな師走の夕暮れの町を、私は母が丹精を籠めて作ってくれた肩揚げ腰揚げを目いっぱいに着けた仕立て下しの|絣《かすり》の着物を着てお使いに出る。手には|鬱《う》|金《こん》の小さな|布袋《ぬのぶくろ》をしっかり握っている。 「御隠居さんに、お願いしますってお渡しするのよ、気を付けて行きなさい」 「うん」  正月の仕度に追われている母に代わって|大《おお》|家《や》の処へ家賃を届けに行くのだ。町一番の金持で米屋の大家さんの自宅は、わが家から五、六軒先の並びにある黒板塀の小粋な平家である。  戦前、東京の下町では、持家住まいの者は|殆《ほとん》どいなかった。私の父は、大正の中期に開業した歯医者だったが、二十年の余も開業していても、自分の家は持てなかった。また、その必要もなかった。父は、同じ町内で三度引越しをしたが、その都度、大家は店子の商売に便利なような家を新築してくれた。|勿《もち》|論《ろん》借家である。  戦前の下町には、江戸時代の大家と店子の関係が、まだ、残っていて、町内の名士だった父は、大家が町会長のときは副会長であり、その関係は戦争が始まり、防護団団長、警防団団長になっても続いた。  大家の御隠居のもとに家賃を届けに行くと、付帳に受判を押して金を受け取った隠居はかならず、お駄賃をくれた。それは、たいていは最中のような和菓子か名物の谷中煎餅だったが、ときには森永のミルクキャラメルをくれたりした。  お歳暮に、薬品ホータイの入った救急箱一式を届けると、家主からは、さけの新巻が一本届いた。子供心に、 「シャケより救急箱の方が高いのに、大家のケチ!」と、よくそんなことを思った。  正月の仕度に忙しくなると、わが家の夕食は、いささか粗食になる。一汁一菜で、その一菜は塩ジャケのひときれか町の肉屋で揚げる一枚八銭のカツレツか三個十銭のコロッケ、父にはもう一品湯豆腐か胡麻よごしなどがつく。わが家は書生も女中も食待遇は|主人《あるじ》を除いては平等である。ときには、一枚十五銭のロースの特カツレツが食卓につけられることがある。そのときには、刻みキャベツのほかに、ポテトフライがつく。特カツは、特別の注文で揚げるので、肉屋の店先で待っていてもなんとなく気分がいい。いつもなら気になるヘッドやラードの臭いもちっとも気にならない。しかし、その翌る日はいけない。夕餉のご馳走は塩びきのシャケ[#「シャケ」に傍点]にホウレン草のおひたし、私は、シャケの魚肉をほぐすと、茶碗いっぱいに散らし、もみ海苔をシャケが見えなくなるくらいに振り、お茶漬けにして食べた。シャケ茶漬のヤケ食いである。子供の頃は、どうしても鮭の皮を食べることができず、皮にひっついた魚肉が憎らしかった。  その食い物の恨みは、大晦日までに作られるお節料理のおこぼれにあずかることでキレイに忘れてしまう。お|煮《に》|〆《しめ》や玉子焼を作っているとき、脇に立っていると、母がちょっと|摘《つま》んで口に入れてくれる。八ッ頭のアツアツなどは、目をシロクロさせながら、舌にまつわる芋のねばりや煮汁を楽しんだものだ。     母と作った正月料理  後年、私が世帯を持ち、父が隠居して私の家に同居するようになってからは、|専《もっぱ》ら母と私で正月料理を作った。母の得意は、おなますとお|煮《に》|〆《しめ》、私は、晦日|蕎《そ》|麦《ば》の蕎麦つゆ用と正月用の雑煮の出しをとる。そして、恒例のローストビーフを作る。  私のローストビーフ作りの歴史は古い。昭和三〇年頃からだから、もう、二五年余のキャリヤを持つ。食通作家の故獅子文六先生は、私達夫婦の芝居の先生だが、ある年の暮れ、私が会心の出来のローストビーフを持参すると、先生は賞味され、 「うん、これはまさにローストビーフだ。けど、お前、|大《にん》|蒜《にく》を使ったな!」  その通り、私は悪戯心を起こして、その年のローストビーフは大蒜の薄片を貼りつけて焼いてみたのだ。  晦日蕎麦をすまし、除夜の鐘が鳴り出すと、充分に温めておいたオーブンに一週間も前から仕込んでおいた四キロほどの肉塊を取り出し入れる。家庭用のオーブンでは四キロまでがリミットである。年明けとともに焼くのは、あまり早く焼きあげると、息子どもの手が早く出て、正月のご馳走の値打がなくなるからだ。  肉の焼け具合を見て火を止め、おもむろに若水仕立ての朝風呂、いや夜半風呂に入る。|去《こ》|年《ぞ》の垢を落とし、料理人の臭いも拭う。  風呂からあがると、ブランデーグラスを片手に、焼き立てのローストビーフの真中をサクリと切り裂き、おもむろにその一片を削ぎ、口に入れる。  あたりは静寂、あらたま[#「あらたま」に傍点]の日の出も間近である。     ポトォーフー  私は松茸は買うものではない、いただき物で秋を味わうものであるというのが持論だが、京都の錦小路市場を歩いて、値上がりのひどい諸物価に較べて、まあまあの値のとき、傘のひらいた一本も買って松茸御飯に吸物、酒蒸しとひと夜の膳をしゃれるのも悪くないと思う。事実そういう夕餉を何度か仕度した。  そんな夕餉を何度も迎えないうちに、足の早い冬が来た。我が家の庭の柿の木は二本とも実をつけないまま、葉が赤くなり、落ちてしまい、丸坊主になってしまった。  私は、柿のなりわいを見て、鍋物にかかる。冬の夜長を過すには、鍋物が安くて安直である。例えば、湯豆腐鍋ひとつにしても、たら[#「たら」に傍点]やかき[#「かき」に傍点]、ひき肉だんごなどを入れると、たちまち仕掛が変わってくる。  冬には、伜どもが喜ぶので、私はよくポトォーフーを作る。これはフランスの鍋物である。フランス人というと、なにかひどく豪華でオシャレなグルメ人種とわれわれは思いがちだが、実のところ、意外にケチで仕末屋なのがフランス人である。このPOT AU FEUもその産物である。彼等ははじめによく煮込んだスープを飲み、次の夜には野菜、三日目にはスープと肉をと実に無駄のない食生活を過す。  材料は、ぜいたくを言えばキリがないが、家庭で作る分には、脂肪と肉のほどよく混ざった牛バラ肉二〇〇グラムとすね肉二〇〇グラム(又はカレー・シチュー用に角切りした牛肉)をかたまりで求める。ほかに、玉ねぎを一個(六つ割りにする)、長ねぎ一本を四センチに切っておく。  厚手の鍋にサラダオイル大さじ一杯を熱し、玉ねぎと長ねぎをさっと炒め、そこへ水を入れる。これは肉を入れて、人さし指二節ぐらいまでの分量である。そしてローリエ(月桂樹)、セロリ、パセリの茎などの香り草を入れ、中火でコトコトと煮込む。中途でアクが出るから、丁寧にすくいとる。別に、人参、馬鈴薯、キャベツなどを大切りにして水煮しておく。欲を言えば、牛骨の二、三本を金づちでくだいて、一緒に煮込むと一層よい味になる。  肉が柔らかくなったら、香り草や骨をひきあげ、野菜を入れ、ブイヨンの固形スープを適宜に入れ、塩、胡椒、化学調味料で味を整え、日本酒かブドー酒を少々入れて風味を加えて出来あがり。食べ残したら、次の晩にはカレー料理に使えばよい。 十二月のお惣菜 ひじきと油揚げの炒り煮 [#ここから2字下げ] 〈材料〉(以下、指定のないものは四人前) (1)ひじき一袋(2)油揚げ二枚(3)人参(千切り)三センチ一本(4)タカの爪一本(5)切り白ごま(炒ったもの)大さじ一杯(6)砂糖小さじ二杯、みりん大さじ三杯、醤油大さじ四杯、出し汁一カップ、酒大さじ二杯、サラダ油大さじ四杯、ごま油小さじ一杯(7)針生姜 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)ひじきは水で洗ってぬるま湯でもどし、汚れを取りのぞいてザルにあげ、水気を切っておく。長さも四〜五センチに切りそろえておく。油揚げは熱湯をかけて油ぬきをし、五ミリ幅にきざんでおく。人参は極細の千切りにしておく。 (2)鍋にサラダ油大さじ四杯をしき、人参の千切り、ひじきを入れ、弱火で焦がさないようにゆっくりと炒める。次に油揚げを入れて炒め、砂糖小さじ二杯、醤油大さじ四杯、みりん大さじ三杯、湯もどしして種を取り、小口切りにしたタカの爪一本分、出し汁一カップ、酒大さじ二杯を入れ、落としブタをして、トロ火でコトコトと煮る。 (3)煮汁がなくなりかけたら、ごま油小さじ一杯ほどをまわし入れ、香りと風味をつける。 (4)器に盛り、切りごま、針生姜をそえる。ひじきと一緒に煮る具は、好みに合わせてこんにゃく、鶏肉などを加えてもよい。 豚肉と野菜のソース炒め [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)豚薄切り肉三〇〇グラム(2)玉ねぎ(大き目のもの)一個(3)ピーマン二個(4)えのきだけ一束(5)塩小さじ二分の一杯、胡椒少々、酒(6)トマトケチャップ大さじ三〜四杯、トンカツソース大さじ三杯(7)バター大さじ一杯(8)サラダ油大さじ二杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)豚肉はひと口大に切り、塩、胡椒、酒をふって下味をつけておく。玉ねぎは薄いくし型に、ピーマンは種を取り五ミリ幅に、えのきだけは三センチの長さにそれぞれ切りそろえておく。 (2)中華鍋にサラダ油大さじ二杯を入れ熱し、豚肉を入れて炒め、半分くらい火が通りかけたら、玉ねぎ、ピーマン、えのきだけの順に入れて炒める。 (3)野菜に充分火が通ったら、トマトケチャップ大さじ三杯、トンカツソース大さじ三杯、胡椒少々を入れて味をつける。 (4)仕上げにバター大さじ一杯を入れてとかし、香りと風味をつけて火をとめる。 鶏肉の味噌煮 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)鶏もも肉(四〇〇〜五〇〇グラムくらいのもの)(2)長ねぎ(青い部分)一本(3)味噌五〇グラム、みりん大さじ三杯半、砂糖大さじ一杯、出し汁大さじ三杯、酒大さじ二杯、醤油小さじ一杯半(4)生姜のしぼり汁小さじ一杯半(5)あさつき(みじん切り) [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)鶏肉は黄色い脂肪の部分をていねいに取りのぞいておく。 (2)フライパンに鶏もも肉と長ねぎの青い部分を入れ、弱火で両面をよく焼く。焼けたら金ザルに取り、熱湯をかけて、さらに油ぬきをする。キッチンペーパーなどで水分をよくふき取り、フォークでつついて、中まで味がよくしみこむようにする。 (3)フライパンに出し汁大さじ三杯、味噌五〇グラム、砂糖大さじ一杯、みりん大さじ三杯半、酒大さじ二杯、醤油小さじ一杯半を入れ火にかけ、よく混ぜる。そこへ先ほどの鶏肉を入れ、弱火で一〇分ほど、タレをまんべんなくからめるように返しながら煮る。このときに火が強いと、タレが焦げて苦味が出てしまうので、根気よくひっくり返しながら、煮汁がなくなるまで煮る。 (4)タレがほどよくからんだら取りだし、ひと口大に切り分けて器に盛り、生姜のしぼり汁、あさつきのみじん切りをかける。 牛肉とピーマンの炒め物 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)牛薄切り肉三〇〇グラム(2)ピーマン一〇個(3)筍(ゆでたもの)一五〇グラム(4)トウバンジャン又はラー油(5)醤油大さじ四杯半(6)砂糖大さじ一杯(7)酒大さじ二杯(8)片栗粉大さじ二杯(9)油、ごま油(10)塩、胡椒 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)牛肉は、肉の繊維に逆らうように一センチ幅の細切りにしておく。ピーマン、|筍《たけのこ》は細目の短ざく切りにしておく。 (2)牛肉に胡椒少々、醤油大さじ一杯半、酒大さじ一杯をふり、よくもみこむようにして下味をつけ、片栗粉大さじ一杯半程度をまんべんなくまぶす。 (3)合わせ調味料を作る。ボウルに醤油大さじ三杯、砂糖大さじ一杯、酒大さじ一杯、トウバンジャン小さじ二分の一杯を入れ、よく混ぜる。 (4)一六〇度くらいの揚げ油で牛肉をさっと揚げて、肉の色が変わりかけたらすぐに引きあげる。 (5)中華鍋にサラダ油大さじ二杯半をしき、筍、ピーマンを入れ、塩少々をふり、ピーマンが少ししんなりしたら、先ほど揚げた牛肉を入れて炒める。次に合わせ調味料を入れ、仕上げにごま油小さじ一杯程度を入れ、香りづけをして器に盛る。 白身魚のおぼろ昆布和え [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)白身魚(すずき、ひらめ、刺身用きす、こだいのささ漬)一〇〇〜一五〇グラム(2)おぼろ昆布(細いもの)五〇グラム(3)塩、酢大さじ二杯、砂糖小さじ三分の二杯(4)きゅうり、みょうが、うど(つけ合わせ用)(5)しその葉(しきもの用) 合わせ酢●酢大さじ四杯、出し大さじ二杯、砂糖大さじ一杯、塩小さじ四分の一杯、醤油小さじ一杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)白身魚を薄くそぎ切りにし、軽く塩をふり、しばらくおいてから、キッチンペーパーなどで塩気をふき取る。深目の皿に、魚の切り身又はささ漬を広げて並べる。これらに酢大さじ二杯、砂糖小さじ三分の二杯を合わせたものをかけて、約三〇分ほど漬けておく。 (2)合わせ酢をつくる。酢大さじ四杯、かつお出し大さじ二杯、砂糖大さじ一杯、塩小さじ四分の一杯、醤油小さじ一杯をよく混ぜ合わせる。 (3)三〇分たって白身魚に下味が充分ついたら、取り出し、おぼろ昆布を外側にまぶしつけるように巻き、青じその葉をしいた皿に形よく並べる。(2)をかけて食べる。 牛肉の中華風炒め煮 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)牛もも肉(かたまり)五〇〇グラム(2)長ねぎ(三センチの長さに切る)二本(3)にんにくひとかけ(4)土生姜ひとかけ(5)八角一枚(6)酒大さじ三杯、醤油大さじ四杯、砂糖小さじ一杯、胡椒少々、化学調味料(7)湯一カップ(8)ごま油大さじ三杯、サラダ油、酢、片栗粉 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)長ねぎは白い部分を三センチの長さに切り、青い部分は一〜二本捨てずに取っておく。 (2)にんにく、生姜は包丁の腹でつぶして、適当にきざんでおく。 (3)調味料を合わせる。ボウルに砂糖小さじ一杯、醤油大さじ四杯、酒大さじ三杯を合わせ、よく混ぜておく。 (4)中華鍋を充分に熱し、ごま油大さじ三杯、サラダ油大さじ一杯を落とす。そこに牛肉のかたまりを入れ、表面に焦げ目がまんべんなくつくように強火で炒める。このように肉の表面を一気に焼くと、肉のうま味、肉汁が外に逃げない。 (5)焦げ目をつけたら、白ねぎ、香りづけに青い部分を入れて、肉にからめる。次に(3)の合わせ調味料を入れて、生姜、にんにく、黒胡椒少々、八角一枚、湯一カップを入れて、少し火を弱め、二〇〜三〇分フタをして煮る。 (6)肉に弾力があるうちに取り出し、残った煮汁は漉して、酢小さじ一杯を入れ、水とき片栗粉でトロミをつけてソースにする。 (7)食べやすい大きさに肉をスライスして、ソースをかけ、煮えた白ねぎをそえる。 さばの洋風照り焼き [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)さば(三枚におろす)一尾(四切れ)(2)塩、胡椒、酒大さじ二杯、みりん大さじ三杯、醤油大さじ三杯(3)サラダ油、バター少々(4)レモン又はカボス(輪切り)四枚 船場汁●青ねぎ、昆布、生姜(スライス) [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)さばは三枚におろし、四切れに分けて、塩を強い目にふり、胡椒少々、多い目の酒をかけ、下味をつけて一〇分ほどおいておく。 (2)さばのアラはいい出しが出るので、捨てずに取っておき、後で船場汁をつくる。 (3)さばの汁気をよくふき取り、ごく薄く油をしいたフライパンで両面を焼く。このとき、充分に油ならしをしたフライパンでないと、さばの皮が鍋肌にくっついて、仕上がりが悪くなる。焼き方は、あまり強火にせず、かならずフタをして蒸し焼きにする。 (4)両面に焼き目がついたら、みりん大さじ三杯、醤油大さじ三杯をかけ、フタをしてさらに蒸し焼きにする。 (5)仕上げにバターを上にのせ、レモンをかける。 [#ここから1字下げ] 船場汁 [#ここで字下げ終わり] (1)アラに塩をして、熱湯にくぐらせ、鍋で青ねぎ、出し昆布、生姜のスライス、水三カップを加えて煮る。 (2)この煮汁を漉して、また鍋に入れ、下ゆでした大根や人参の短ざく切りを入れ、塩、薄口醤油、化学調味料で味を整える。 もやしの松前漬 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)もやし一五〇〜三〇〇グラム(2)出し昆布(又は糸昆布)四〇〜五〇グラム(3)土生姜ひとかけ(4)するめ一枚(5)醤油、酒、塩、とき辛子(6)梅干し [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)もやしは頭とひげを一本ずつていねいに取りのぞいておく。するめ、出し昆布は酒でふいておく。 (2)梅干しは種を取り、裏ごしにかけるか、又はすり鉢ですりつぶして梅肉を作っておく。 (3)昆布は、出し昆布だったら、少し湿らせて、長さ三センチ、幅三ミリ程度に切りそろえる。土生姜は千切りにして水にさらしてアクを取る。するめはさっとあぶって、細かくさいておく。 (4)とき辛子小さじ一杯程度、醤油小さじ五杯、酒小さじ二杯、梅肉大さじ一〜二杯を合わせ、そこにもやし、するめ、昆布、土生姜を入れてさっくりと混ぜ合わせる。上から適当な重しをかけて約一〇分ほど冷蔵庫で冷やす。うま味が足りなければ、化学調味料をほんの少々加えるとよい。 かれいと豆腐の煮物 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)かれい(切り身、一五〇グラムくらいのもの)四切れ(2)豆腐(木綿)(3)春雨四〇グラム(4)干ししいたけ(もどしたもの、大きめのもの)二枚(5)玉ねぎ中二分の一個(6)さやいんげん一〇〇グラム(7)酒大さじ四杯、醤油大さじ三杯、砂糖大さじ一杯、塩少々、サラダ油大さじ一杯、ごま油小さじ一杯、生姜(スライス) スープ●固形チキンスープの素二個をお湯でといたもの二カップ半、干ししいたけのもどし汁二分の一カップ [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)かれいはうろこを取り、大きさにより二〜三枚に切る。 (2)豆腐は奴切り、しいたけはもどしてそぎ切り、玉ねぎはくし型に切る。春雨は軽く水でもどしてザルにあげておく。さやいんげんはゆでておく。 (3)フライパンにサラダ油大さじ一杯、ごま油小さじ一杯を落とし、生姜のスライス四〜五枚を入れて熱し、かれいの両面を軽く焼く。 (4)大きめの鍋に固形スープの素二個を二カップ半のお湯でといたものと、干ししいたけのもどし汁二分の一カップ、玉ねぎ、しいたけのスライスを入れて火にかけ、沸いてきたら油で焼き目をつけたかれいと、酒大さじ四杯を入れ、フタをして約一〇分煮る。 (5)次に砂糖大さじ一杯、醤油大さじ三杯を入れて煮こみ、豆腐、春雨を入れ一〇分ほど煮る。味をみて、塩、醤油、砂糖を足し、最後にさやいんげんを入れる。 ハンバーグのベーコン巻き [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)牛ひき肉又は、牛七に対して豚三の合びき肉(荒びき)四〇〇グラム(2)玉ねぎ(みじん切り)一個(3)パン粉二分の一カップ(4)塩小さじ一杯弱、胡椒小さじ三分の一杯、ナツメッグ(あれば)、生クリーム大さじ一杯、ブランデー又は酒小さじ一杯、マスタード(5)小麦粉少々、サラダ油、バター大さじ一杯(6)ベーコン八枚(7)にんにく(みじん切り)小さじ一杯(8)トマトケチャップ大さじ三杯、ウスターソース大さじ一杯、酒大さじ二杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)玉ねぎはみじん切りにしてバターで炒め、大さじ一杯分を後で作るソース用に取り分けておく。 (2)ボウルにひき肉を入れ、炒めて冷ました玉ねぎと、パン粉二分の一カップ、生クリーム大さじ一杯、酒、塩小さじ二杯、胡椒、ナツメッグ少々を入れてよくこね合わせる。 (3)これらを四等分にしてハンバーグ型にまとめ、外側をベーコンで巻いて、まん中をくぼませ、つまようじでとめ、両面に軽く小麦粉をふっておく。 (4)フライパンを充分に熱し、多い目のサラダ油をしき、肉を入れ、はじめ強火で次に裏返して中火にして焼き、フタをして弱火にし、七〜八分ほど焼く。 (5)肉を焼いたフライパンに、とっておいた玉ねぎのみじん切り大さじ一杯、にんにくのみじん切り小さじ一杯、トマトケチャップ大さじ三杯、ウスターソース大さじ一杯、バター大さじ一杯、マスタード小さじ一杯、酒大さじ二杯、あればブランデーを小さじ一杯入れて煮てソースにする。 金子式ローストビーフ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)牛肉かたまり(ロース、イチボ、ランプなど)六〇〇〜八〇〇グラム(2)玉ねぎ(スライス)大二個分(3)セロリ(葉つき)三〜四本(4)人参(薄くスライス)一本(5)パセリ三〜四本(6)ローリエ二枚(7)塩小さじ二〜三杯、胡椒小さじ一杯、オールスパイス(あれば)小さじ一杯(8)赤ワイン二カップ(9)サラダ油三分の一カップ(10)中華鍋又は大きめのフライパンか厚手鍋、それに合わせた餅網、スチールかアルミのボウル、アルミホイル適当 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)牛肉のかたまりは凧糸でしっかりしばり、フォークで全面をつついて、バット又は深皿におき、塩、胡椒、オールスパイスをそれぞれ小さじ一〜二杯程度よくすりこみ、赤ワイン二分の一カップをかけ、三十分漬けこんでおく。 (2)玉ねぎ、人参はスライスして、セロリは葉先を切ってから筋をとっておく(掃除したセロリはサラダか、スープで煮てガルニにする)。人参も皮の部分を使ってバター煮してもよい。これらの作業は、肉に調味料をすりこんでからする。 (3)フライパン又は中華鍋を熱してから、サラダ油をたっぷり入れて、肉を入れ、強火で全体に焦げ目をつける。焦げ目がついたらオイルごともとのバットに返す。 (4)フライパン又は中華鍋をよく洗ってきれいにし、アルミホイルで包んだ餅網をおいて〇・五センチほどの空間を作っておく。 (5)焼き目をつけた肉に、軽く全体に凧糸を巻きつけ、全体に玉ねぎ、人参、セロリの葉、ローリエ、パセリをはさみこむ。 (6)アルミホイルの上をあけて肉を餅網の上にのせ、バットの汁を全体にかけ、スチールなどのボウルで鍋にフタをして一〇〜一五分ほど強火で蒸す。 (7)ボウルをあけて上下を返し、残りの赤ワインをかけて再びフタをして、はじめの五〜七分は強火、後の一〇分は中弱火で蒸し焼きにする。計三〇〜四〇分焼いたら火をとめる。一〇分ほど蒸らしをかけて取り出し、焼き汁をフィルターで漉した汁に、トマトピューレ、トマトケチャップ、ウスターソース、バターを加えてソースを作る(肉に弾力のあるうちは、中はレアの状態。蒸しを長くかけるほど中がよく焼けてくる)。 カキの土手鍋 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)カキ(むき身)四〇〇グラム(2)焼き豆腐二丁(3)長ねぎ四本(4)春菊一束半(5)しらたき(湯を通しておく)一束(6)白菜四〜五枚(7)生しいたけ一〇枚(8)出し汁一カップ半(9)出し昆布(五センチ)一枚(10)白味噌二〇〇グラム、赤味噌八〇グラム(11)みりん大さじ三杯、酒大さじ二杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)カキはよく洗って汚れを落とし、水気を切っておく。焼き豆腐は奴切り、長ねぎはななめ切り、白菜はそぎ切り、春菊は根に近い部分を切り取り、生しいたけは石突きを取り、十文字の化粧を入れておく。しらたきは一度湯通しして、ひと口大にまとめておく。 (2)土鍋の底に出し昆布一枚をしき、野菜を形よく入れていく。 (3)合わせ味噌を作る。赤味噌八〇グラム、白味噌二〇〇グラム、みりん大さじ三杯、酒大さじ二杯をすり鉢に入れてよくすり合わせる。すり鉢の内側に合わせ味噌をしっかりとからませ、ガスコンロに逆さまにかぶせ、弱火で味噌の表面をあぶる。味噌に適当な焦げ目がついたら、またよく混ぜ、それを今度は野菜を入れた土鍋の内側に、壁を作るように塗りつけていく。 (4)次にカキを入れ、出し汁を足して火にかけ、少しずつ味噌をとかしながらカキと野菜を食べる。 ウインナソーセージとじゃがいものカレー炒め [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)ウインナソーセージ一六本(2)じゃがいも四〇〇グラム(3)玉ねぎ(薄い輪切り)中二分の一個(4)カレー粉小さじ二分の一杯、塩小さじ二分の一杯、酒大さじ二杯、化学調味料少々、サラダ油大さじ五杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)ウインナソーセージはななめに切れ目を入れておく。 (2)じゃがいもは皮をむき、五ミリ幅程度の拍子切りにし、水にさらしてアクをぬいておく。玉ねぎも薄い輪切りにしておく。 (3)中華鍋、又はフライパンを充分に熱し、サラダ油大さじ二杯をしく。そこにソーセージ、玉ねぎのスライスを入れて炒め、酒大さじ一杯程度をふり、玉ねぎが少ししんなりする程度になったら、いったん別の器に取り出す。 (4)次に、その鍋にサラダ油大さじ三杯を入れ、また充分に熱し、水気をよくふき取ったじゃがいもを入れて炒め、塩少々をふる。 (5)じゃがいもに火が通りかけたら、先ほど取り出しておいたソーセージと玉ねぎを加えて炒め、カレー粉小さじ二分の一杯、酒大さじ一杯、化学調味料で味を整え、フタをして約一分程度蒸し焼きにする。火が通ったら器に盛り、ゆでたブロッコリーなどをまわりに添える。 新巻ざけの酢漬け [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)新巻ざけ(腹の部分、切り身)四〇〇グラム(2)長ねぎ(薄くそぎ切り、青い部分も)二本分(3)土生姜(千切りにし、水にさらす)ひとかけ(4)タカの爪三本、出し昆布(一〇センチ角)一枚(5)酢二カップ(6)酒四分の一カップ(7)薄口醤油大さじ二杯(8)砂糖小さじ一杯半(9)塩、化学調味料 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)新巻ざけは、腹の脂ののっている部位を四〜五切れ分ほどの幅で切り、皮をはいで、身は刺し身状に薄切りにする。皮は捨てずに広げて陰干しにし、酒、塩をふって遠火であぶり、千切りにすると茶漬や酒の|肴《さかな》になる。 (2)昆布は酢水でふいておく。長ねぎは薄くそぎ切りに、生姜は千切りにして水にさらし、アクを抜いてから軽く水気を切っておく。タカの爪は湯もどしをして中の種を取っておく。 (3)深目の皿又はバットに昆布をしき、長ねぎ、さけの切り身、生姜の千切り、タカの爪の順に重ねて入れていく。 (4)合わせ酢を作る。酢二カップに対して酒四分の一カップ、醤油大さじ二杯、砂糖小さじ一杯半を合わせ、バットの中に注ぎ、冷蔵庫で約半日ほど漬ける。半日で食べられるが、そのままおいても一週間はもつ。新巻ざけがない場合は、できるだけ新鮮な、甘塩のさけの切り身を利用するか、たらなどの白身の魚を使ってもおいしくできる。 チキンの西洋水たき [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)若鶏(骨つきもも肉)三〜四本(2)玉ねぎ(一センチ角)中一個(3)トマト(種ぬき、あられ切り)小一個(4)セロリ(一センチ角)一本(5)パセリ(みじん切り)と軸一束(6)にんにく(スライス)ひとかけ、ローリエ一枚、パプリカ(7)塩小さじ三分の一杯、胡椒少々、サラダ油大さじ二杯(8)白ワイン三分の一カップ(又は酒四分の一カップ)、バター小さじ一杯、水三カップ [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)若鶏はひと口大にブツ切りにし、多い目の塩、胡椒をふりかけておく。 (2)玉ねぎは一センチ角に、トマトは湯むきして種を取り、あられ状にする。セロリは筋を取り、一センチの大きさに切りそろえる。 (3)フライパンにサラダ油大さじ二杯を入れて熱し、若鶏とにんにくを入れて強火で焦げ目がつくように炒める。鶏に焼き目がついたら、熱湯を肉がかぶるまで入れてひと煮たちさせ、肉を網ですくいとって氷水に放ち、よく洗う。 (4)キッチンペーパーなどで鶏の水気をふき取り、厚手の鍋に入れ、白ワイン三分の一カップを注いでひと煮たちさせ、水三カップを入れ、はじめ強火で、煮たったらアクを取る。このとき、汁が濁らないように弱火にする。アクを取りきったら、玉ねぎ、セロリ、パセリの軸、ローリエ一枚を入れ、塩小さじ三分の一杯を加え、一五〜二〇分煮る。 (5)野菜類がやわらかくなるまで煮えたら、トマトを入れ、味をみて足りないようだったら塩を足してさらに五分ほど煮る。仕上げにバター小さじ一杯、パセリのみじん切りをうかし、パプリカをふる。 豆腐の変わり玉子とじ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)木綿豆腐二丁(2)長ねぎ(ななめにごく薄切り)一本(3)ベーコン一枚(4)スープ(固形スープ二分の一個をといたもの)一〇〇cc(5)酒大さじ一杯、サラダ油大さじ二杯、砂糖大さじ一杯、醤油大さじ二杯(6)とき玉子二個 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)豆腐は水気を切って一・五センチの厚さに切っておく。長ねぎは白い部分をななめに薄く切っておく。ベーコンは出しに使うので大きく二つ切りにしておく。 (2)合わせ調味料を作る。固形スープの素、できればチキンブイヨン二分の一個を一〇〇ccのお湯でといたものに、砂糖大さじ一杯、醤油大さじ二杯、酒大さじ一杯を入れ、よく混ぜる。 (3)次に中華鍋を充分に熱し、サラダ油大さじ二杯を入れ、少し弱火にしてから、ベーコンを入れて鍋肌に押しつけるようにしながら炒める。 (4)油と塩味がでてきたら、豆腐をくずさないように入れ、両面を焼き、まわりに長ねぎを散らすように入れていく。次に合わせ調味料を入れ、長ねぎがしんなりするまで火にかける。全体に充分火が通ったら、とき玉子二個分を上から流し入れ、すかさずフタをして火を止め、玉子が半熟になるまで蒸らす。辛味のほしい人は、玉子を入れる前に胡椒をふるとよい。 小だい、きすのささ漬昆布じめ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)小だいのささ漬、キスのささ漬(市販のもの)一桶ずつ(2)カニかまぼこ一本(3)出し昆布(一〇センチ角)一枚(4)土生姜(大き目のもの、千切りにして水にさらす)ひとかけ(5)青じその葉一束(6)これらの材料が入るくらいの経木や、へぎ板を使った箱とかまぼこ板二〜三枚 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)昆布は、薄い酢水でしめした布巾で汚れをふき取っておく。土生姜は千切りにして酢水にさらしておく。 (2)経木に昆布をしき、土生姜の千切りを全面にふって小だいのささ漬を並べていく。その上にまた昆布をしき、土生姜の千切りを散らし、今度はきすのささ漬を並べていく。次に青じその葉を魚が全部隠れるくらいまでしいて、その上にカニかまぼこを重ね、一番上にまた昆布をのせて経木をのせてラップで包む(土生姜をおくのは、昆布が魚の水気を吸って魚が乾きやすいため。うす塩をして三〇分ほどおいておいたたい、ひらめなどの刺し身用のサクならばその必要はない)。 (3)押しをよくするためにかまぼこ板などを二〜三枚重ねて、輪ゴム又は糸でしっかりとしばり、冷蔵庫に入れ、半日〜一日おく。     文庫版の読者のために〈お正月のもてなし料理〉  この頃のように、外で総ての料理を賄うことの出来る時代に「もてなし料理」はどのようにしたらよいかととまどう人は多い。謡曲で有名な鉢の木[#「鉢の木」に傍点]の佐野源左衛門のようなもてなしは冷暖房の完備した今日ではちょっと考えられない。しかし、もてなしの究極は、やはり「鉢の木」に通じるものがあるのではないかと私は思う。  私の母は十四年前の正月に亡くなったが、前の年の暮れに私が頼んでおなますと煮しめを作ってもらった。母は「私の作ったものなんか孫たちは食べないわよ」と言いながらも楽しげに作っていた。前の年の正月料理は伝統的なお節料理を息子たちが知らないので、私が知人の京都の料理人に頼んで四の重を作ってもらい正月の食卓に出したが、これが昔の正月料理かとあまり関心を持たずに、ただ、ムシャムシャと食べただけで終った。  わが家では、以前からお煮しめとおなますだけは母が作り、後の仕事は殆んど私が受け持って妻は黒豆作りに専念する。  その年のお煮しめとおなますは、中学生だった息子どもは旨い旨いと言っていつになく箸がすすんだ。母は孫の食べるさまを嬉しそうに見ていた。そして、正月六日の夜、心筋梗塞で呆気なくあの世へ旅立った。お煮しめは片づいていたが、おなますは母が例年、沢山作るので、まだ充分にあった。息子共は、それを冷蔵庫から出してきては「おばあちゃんの味」と言って二月になるまで食べた。私も勿論食べたが、子供の頃から馴染んだおふくろ[#「おふくろ」に傍点]の味に変りはなかった。しかし、日頃、お煮しめやおなますを口にすることのない息子が喜んで食べたということは、母の一期一会の作品だったのかも知れない。それ以後、私は何度となく「おなます」作りに挑戦したが、おばあちゃんの作った味とは違うと言って息子は受けつけてくれない。  いまにして思うと、お煮しめとおなますは亡母の孫たちへの最後の「もてなし」だったのだろう。 [#ここから1字下げ] お正月のもてなし料理 [#ここで字下げ終わり] たたきごぼう [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)ごぼう一本(2)酢、砂糖、醤油、白胡麻、米糠、みりん [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)ごぼうは皮を包丁でこそげとり、五センチ長さに切って酢水につけておく。このとき太い部分は縦二つ割りか四つ割りにする。 (2)鍋にたっぷりの湯をわかし酢少々と米糠を入れて、やや固目に茹であげ、すぐ冷水に取ってよく洗い、水気を切ってまないたにとる。すりこぎで形をこわさぬように叩いて繊維をほぐしておく。 (3)白胡麻大さじ四、五杯を香ばしく炒って粒を感じるほどにすり鉢ですり、この中で砂糖少々、酢大さじ一・五、醤油大さじ一杯の割り合いでタレを作り、ごぼうをあえてやる。このときみりん少々をたらすと風味をます。 だしまき卵 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)卵四個(2)出し汁(上等の出し昆布にけずりかつお節少々)二分の一カップ(3)醤油小さじ一杯、塩小さじ四分の一杯、みりん小さじ一杯、うまみ調味料 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)卵はよく溶きほぐして(2)の出しと(3)の調味料を入れて泡立てぬようによく混ぜ合わせる。 (2)卵焼き鍋をよく熱してサラダ油を含ませたガーゼで鍋をふき、油が全体になじむように滲みこませる。 (3)卵汁の六分の一量を(2)の鍋に流しこんで全体にまわす。半熟のとき手前か向うへ巻いて卵焼きを手前に引き寄せる。空いた部分に油を敷き、卵汁の六分の一を流して先に出来た卵焼きを箸で少し持ちあげて卵汁を流しこませて、前と同じように巻く。このようなだしまき卵を二本作り巻簀でまいて熱いうちに形をととのえる。 リンゴとセロリのサラダ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)リンゴ一個(2)セロリ三本(3)レーズン五〇グラム(4)マヨネーズ二分の一カップ、生クリーム二分の一カップ、ブリューチーズ大さじ一杯、ブランデー大さじ二杯 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)リンゴは皮をむいて八ツ割りにして、うすく小口切りにして塩水に漬けておく。セロリも同じようにうす切りにしておく。レーズンはブランデーに二十分ほど浸してやわらかくしておく。 (2)マヨネーズ、生クリームはよく混ぜて、そこへほぐしたブリューチーズを入れ、あまりダマのないようにほぐす。水気を切ったリンゴとセロリをあえてやる。色どりにパセリのみじん切り小さじ一・五杯、パプリカなどを散らす。 ぶりのあら鍋 [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)ぶりの身あら五〇〇グラム(2)水菜二分の一株(3)昆布出し五カップ、塩少々、薄口醤油少々、酒少々 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)水菜は洗って三センチ長さに切る。 (2)ぶりのあらは塩をもみこんで少しおき、たっぷりの熱湯を全体にかけ、氷水に取って冷やし水気を取っておく。 (3)土鍋に昆布出しを入れて煮たて、塩と薄口醤油で吸い物椀よりちょっと濃い目に味をつけ、酒大さじ二、三杯を入れ煮たてる。 (4)わいた土鍋にぶりと水菜を適宜入れてテーブルに置き、順に足しながら煮て食べる。このとき鍋に土生姜のスライス三、四片入れると体が温まる。 がんもどき、ぜんまい、ふきの炊き合わせ [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)がんもどき(小さなもの)八〜十二個(2)出し汁二カップ、薄口醤油大さじ一・五杯、酒小さじ一・五杯(3)ぜんまい(もどしたもの)一〇〇グラム(4)出し汁二カップ、薄口醤油大さじ一・五杯、酒小さじ一・五杯(5)ふき二本(6)一番出し五カップ、醤油大さじ二杯、酒小さじ一・五杯、みりん小さじ一杯、塩少々、重曹少々(7)木の芽少々 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)がんもどきは熱湯をかけて油抜きして水気をよく切り、(2)の出し汁と調味料を合わせたものとを鍋に入れて弱火で落しぶたをしてじっくり煮る。 (2)もどしたぜんまいは長さを揃えて端を糸でくくり、熱湯で四分茹でて水気を切り、(4)の出しと調味料で五〜六分中火で煮る。 (3)ふきは葉と固い部分をとり、鍋に入るほどの長さに切って、塩ひとつまみと重曹少々を入れた熱湯で五〜六分茹でて、氷水にとって皮をむいて五センチ長さに切り揃え、ぜんまいを煮たあとの鍋に入れて三分ほど煮る。 (4)一番出し五カップを煮たてて、塩、醤油、酒、みりんで味をととのえ大ぶりの椀にそそいで、がんもどき、ぜんまい、ふきを入れ、木の芽をそえる。 たいの蒸し焼き [#ここから2字下げ] 〈材料〉 (1)たい一匹(2)ベーコン三枚、玉ねぎ二分の一個、白ワイン二分の一カップ、レモン一個、パン粉一カップ、オリーブ油二分の一カップ、マッシュポテトの素二カップ、パセリのみじん切り大さじ一杯、卵黄一個分、小麦粉、卵、パン粉、塩、黒胡椒 [#ここで字下げ終わり] 〈作り方〉 (1)たいはうろこを落して内臓をぬいてうすい塩水でよく洗い、水気をふいて切れ目をいくつか入れる。塩、胡椒してうすいレモンの半月切りをはさみこむ。 (2)玉ねぎはうす切りにして天板に並べ、ベーコン三枚を二つ切りにして、玉ねぎの上に乗せ、さらにたいを上にのせて白ワインをかける。パン粉とオリーブ油を混ぜ合わせたものを全体にまき、熱したオーブン二〇〇度で焼く。ときどき煮汁をかけまわしてやる。 (3)マッシュポテトの素は熱湯でこねて、卵黄、塩小さじ二分の一杯、胡椒少々にパセリを混ぜて団子を作り、小麦粉、卵、パン粉をつけてフライのように揚げる。 (4)たいを皿にとりレモンの輪切りをのせ廻りにポテトフライを飾ってパセリのみじん切りをふって飾る。 主材料別お惣菜索引 ●夕食の主材料が思い浮かんだら、この索引を役立てて下さい。 肉 〈牛肉〉   ウインナソーセージの牛肉巻き [#ここから2字下げ] 金子式ローストビーフ 牛肉味噌ダレの網焼き 牛肉のワイン煮 牛肉の野菜炒め 牛肉と大根のスープ煮 牛肉のウスターソース煮 牛肉と野菜のスープ煮 牛肉と玉ねぎ炒め韓国風 牛レバー炒め 牛肉とらっきょうのおろし和え 牛肉とほうれん草の炒め物 牛肉のインド風ロースト 牛肉の三色揚げ 牛肉の醤油煮 牛肉の中華風味噌煮 牛肉と昆布の煮込み 牛肉とピーマンの炒め物 牛肉の中華風炒め煮 五目きんぴら シャリアピン風ステーキ 醤油味つけビフテキ ステーキの煮込み セイボリーシチュー(牛バラ肉の煮込み) 中華風ビフテキの照り焼き 煮込みローストビーフ ビーフストロガノフ 蒸しハンバーグ 洋風牛どん [#ここで字下げ終わり] 〈豚肉〉   カリー・ド・ポーク [#ここから2字下げ] 昆布イリチー シャブカレー とんかつの風味揚げ 夏バテ防止・変わりすき焼き 豚ひき肉と福神漬蒸し 豚バラ肉と蓮根の炒め物 豚ロースと玉ねぎの風味焼き 豚肉とこんにゃくの酒蒸し 豚三枚肉の納豆和え 豚ロース肉の大葉焼き 豚肉のカレーソテー 豚肉のたたき風 豚肉とスイートコーンのメキシカンソテー 豚肉とさつまいものかき揚げ 豚肉の明太子焼き 豚ロースどんぶり 豚肉と野菜のソース炒め 豚バラ肉の煮込み鍋 豚肉と昆布の煮物 豚肉の昆布巻き 紅生姜入り肉だんごの甘酢かけ ポークチャップ・スパゲッティ ポークピカタ 焼き豚と野菜の辛子醤油和え 野菜入りとんかつ 柳川プディング [#ここで字下げ終わり] 〈鶏肉〉   玉ねぎと鶏肉の旨煮 [#ここから2字下げ] チキンの西洋水たき 手羽肉の天ぷら野菜煮込み 鶏肉のクリーム煮 鶏もも肉と玉ねぎのカレー炒め 鶏の治部焼き 鶏手羽肉とキャベツのクリーム煮 鶏肉の味噌煮 ひな鳥の中華風空揚げ [#ここで字下げ終わり] 〈肉加工品など〉   合びき肉とトウモロコシのカツレツ [#ここから2字下げ] ウインナソーセージとじゃがいものカレー炒め 金子式ドライカレー コンビーフとキャベツの煮込み ハムと玉ねぎとチーズの重ね焼き ハンバーグのベーコン巻き ハンバーググラタン ひき肉のいが栗蒸し ひき肉の小判揚げ ベーコンとトマト、玉子の炒め物 ベーコンの重ね煮 ボイルド・ミートローフ ミートボールシチュー [#ここで字下げ終わり] 魚介   あこうだいの煮物 [#ここから2字下げ] あじの玉子風味揚げ あじのチーズ焼き あじの冷製野菜添え あじのムニエル あじの甘酢あんかけ あじの合わせ焼き フランス風あんこう鍋 いかのひき肉詰め煮 いかと玉ねぎのリング揚げカレー風味 いかのマカロニ詰め煮 いかと大根の煮物 いかのカレー煮 いわしの巻き揚げ いわしつみれの詰め物焼き いわしの生姜蒸しのごま油焼き いわしとじゃがいもの重ね焼き むきえびとえんどう豆のバター炒め 大正えびと白身魚のチーズ揚げ 芝えびの天ぷらの醤油炒め えびだんごと小かぶの煮物 カキのすり流し味噌汁 カキの辛子ソース揚げ カキのベーコンフライ カキの味噌煮 カキの土手鍋 かじきまぐろのトマトケチャップ煮 かつおの洋風たたき かつおの焼きびたし かつおと蓮根の磯辺揚げ なまりと豆腐の煮物 かれいと豆腐の煮物 きんめだいの煮つけ さけの酒かす煮 さけのムニエル さけとキャベツの和え物 冷製生ざけ(コールドフィッシュ) さけの照り焼き(酢かぶ添え) さけのマヨネーズ焼き さけのおろし和えと味噌汁 新巻ざけの酢漬け 秋さばの味噌煮 さば(又はかつお)のロースト さばのオランダ揚げ さばの洋風照り焼き さわら(はまち)の祐庵漬 さんまのカレー風味ムニエル さんまのパン詰めベーコン巻き 白身魚とカキの昆布鍋 白身魚の醤油煮込み中華風 白身魚の香り蒸し 白身魚のカレー風味 白身魚のおぼろ昆布和え たいの赤飯蒸し 小だい、きすのささ漬昆布じめ たいら貝のムニエル たかべの塩焼き たらのマヨネーズ焼き たらの酒蒸し焼き たらの酒蒸し たらこの甘辛煮 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かまぼこの和え物二種 こんにゃくの揚げ煮 さつま汁 節分豆味噌 ちくわのかば焼き ちくわのいんろう揚げ ちくわのカレーサラダ はんぺんのバーベキュー ヨーグルトスープ しらす干しとさけ入りご飯 錦丼 秋のせい目めし 和風チャーハン ソーススパゲッティ マカロニ・ナポリターナ スパゲッティのマヨネーズ和え 冷し中華ソバ 金子式ところ天素麺 青じそのスパゲッティ [#ここで字下げ終わり]     単行本 [#ここから2字下げ] 昭和六十三年五月実業之日本社刊 [#ここで字下げ終わり] [#ここから3字下げ] 文春ウェブ文庫版 金子信雄の楽しい夕食 [#ここで字下げ終わり] [#ここから3字下げ] 二〇〇一年八月二十日 第一版 [#ここで字下げ終わり] [#ここから3字下げ] 著 者 金子信雄 発行人 堀江礼一 発行所 株式会社文藝春秋 東京都千代田区紀尾井町三─二三 郵便番号 一〇二─八〇〇八 電話 03─3265─1211 http://www.bunshunplaza.com [#ここで字下げ終わり] [#ここから3字下げ] (C) Yatsuko Tanami 2001 bb010805 [#ここで字下げ終わり]